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2023年5月

2023年5月27日 (土)

「シジミ貝からの伝言」 藤原次男 鉱脈社 1995年 その2

 ※序とは書いてありません
藤原次男とマシジミ 日本貝類学会名誉会長 渡部忠重
  ・・・自然の神秘に触れ、自然の不思議に感動することは、それ等の生物を何度も何度も観察して、その生態を知ることから始まる。今ここにそれを実践した報告がある。それはマシジミを観察して約三十年の藤原次男氏のこの報告である。・・・

 ・・・マシジミは淡水に棲み直接子貝を産み・・・この常識が藤原次男氏のじっくり腰をすえた飼育観察から、マシジミもヤマトシジミのように卵を産むことが明らかにされ・・・

 藤原次男氏がつづられた約三十年のマシジミの観察研究を読んでこれに続く学生諸君が出ることを切に希望している。

   国立科学博物館分館にて 一九九五年十月五日

マシジミの生殖法 P.9~
 出会い
 水槽での放卵とシジミ貝権威の水産博士とのやりとり
 論文発表について

※以下、章の後に節があるわけではありません。内容を箇条書きしています。
マシジミの稚貝の成長 P.19~
 1948年の論文と実際の成長速度
 養殖業者の知恵

マシジミの放卵 P.23~
 最高水温の旬間平均との関係
 天気との関係
 ---メモ---
  旬間=特に区切られた10日間のこと

汽水域で採集されたマシジミ P.27~
 日本付近のシジミ12~13種の名前
 1936年論文の三群の分類
 ヤマトシジミの中のマシジミ

マシジミの成長と寿命 P.31~
 軟体部の重さの割合と土中へ潜る関係
 実験水槽による最長寿命、最大殻長
 池での最大殻長と推定寿命
 台湾シジミの寿命
  ---メモ---
  宣う=のたまう

マシジミの分布 P.35~
 生殖期間の前期と中期・後期でのD型幼生の違い

台湾調査旅行 P.39~
 台湾へ
  一年中抱卵する地域は
  張寛敏博士の協力

 新屋
  養殖場調査
  年間収穫回数と1ヘクタール当たりのトン数

 龍鑾潭
  台湾最南端の湖での採集調査
  ---メモ---
   鑾=ラン、すず
   潭=タン、シン、ふち

 台南
  台南水産研究所の養殖場での調査
  台湾の平均水温

 将軍
  将軍川での調査

 麦寮郷
  ・・・五〇〇〇戸の農家があり、その内、二〇〇〇戸がシジミ貝
  養殖である。・・・
  ・・・台湾のシジミ貝の養殖は一九六一年頃から始まり・・・

 竹山
 日月潭(湖)
  ・・・台湾最大の天然湖で・・・

 台湾シジミの正体
  ・・・香港大学のモルトン博士は・・・アジア、アフリカには約一〇
  九種のシジミ貝が棲息し、台湾には台湾シジミの一種だけが・・・

  ・・・台湾シジミ(Corbicula fuminea)の命名者はMullerで、一七七
  四年に報告しており・・・

  アメリカのシジミ貝は、大陸横断鉄道の工事に従事した台湾の労
  働者が食料に持ち込んだ台湾シジミ・・・

 台湾のシジミ貝養殖法
  日本と台湾の方法、台湾での養殖法を実例で紹介

 代表的な台湾シジミ貝の料理
  漢方薬として
  以下の料理の材料と調理法を記述
  シジミ貝の生漬け
  シジミ貝の炒めもの
  シジミ貝の蒸し汁

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西暦1995年=平成7年

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2023年5月20日 (土)

「シジミ貝からの伝言」 藤原次男 鉱脈社 1995年

 青水を透明な水にする方策としてシジミ貝の存在を知り、この本へとたどり着きました。

 本書はシジミ貝のうちマシジミのみで、単一種を扱う数少ない部類です。著者はこの本の他にもマシジミの本を著しています。

 シジミ貝関連では、ヤマトシジミ中心ですが中村幹雄氏による「シジミ学入門」 山陰中央新報社 2018もあり、いずれ紹介したいと思います。

 著者は大学卒業後、小林市の中学の先生となり、下宿先の味噌汁からマシジミとの付き合いが始まったと記しています。

 シジミ貝が淡水に棲息するという驚きから水槽での飼育を開始し、放卵、孵化を観察し、それまでマシジミが卵胎生と言われていた生態に、新たに卵生でも繁殖することを明らかにしました。

 著者の探究心はこれに止まらず、マシジミの起源を求め国内外を調査しています。

 内容は読み物的で平易な文章で読み易く、白黒写真も少し掲載されています。ただし飼育書ではありませんし、繁殖についても意図的に伏せています。

 この本はそれほど古くはありませんが、古書界ではあまり見かけません。手元の本は福岡市からの入手です。

【構成】
カバー
表紙

序 ※序とは書いてありません
 藤原次男とマシジミ 日本貝類学会名誉会長 渡部忠重

目次
 藤原次男とマシジミ
 マシジミの生殖法
 マシジミの稚貝の成長
 マシジミの放卵
 汽水域で採集されたマシジミ
 マシジミの成長と寿命
 マシジミの分布
 台湾調査旅行
  台湾へ
  新屋
  龍鑾潭
  台南
  将軍
  麦寮郷
  竹山
  日月潭
  台湾シジミの正体
  台湾のシジミ貝養殖法
  代表的な台湾シジミ貝の料理

 日本旅行調査
  筑後川
  宍道湖
  琵琶湖
  四国
  長良川

 シジミ貝は浮く
 私の人工孵化法
 シジミ貝館BRAZOS
 日本人のシジミ貝のイメージ

 館内の展示物
  水槽一、日本に棲息するシジミ貝
  水槽二、館内最大のシジミ貝(名前・ジャンボ)
  水槽三、泳ぐ(?)シジミ貝
  水槽四、不思議な形や色のシジミ貝
  水槽五、シジミ貝飼育水槽
  展示物一、シジミ貝の化石
  展示物二、シジミ貝ビデオ映画シリーズ

 桃色のシジミ貝
 理想のシジミ貝生息地
 シジミ貝の名前

 おわりに
奥付

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西暦1995年=平成7年

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2023年5月13日 (土)

「小鳥と金魚の飼養法」 高野芳雄 宋孝社 昭和8年 その3

八 産卵 P.94~
 ・・・兆候は八十八夜前後になれば・・・追ひかけっこを・・・
 雌雄別法、歳、産卵床、雌雄尾数を記述

 ・・・晴天の日以外には絶對に産卵しないといってもよく・・・

 ・・・數囘産卵するからその度毎に、卵の容器が要り・・・大小なん
 でも良く、たゞ水深二三寸のもので・・・

 産卵後の雌雄、卵の養生を解説

九 孵化 P.97~
 孵化日数、藻撤去の注意点を記述
 ・・・茹玉子の黄身であるが、一個を水五合に溶かし・・・

 ・・・一番水といふのは仔魚がみぢんこを與へる頃行ふ注水のこと
 であるが・・・一番水が終って十日前後して二番水・・・

一〇 金魚の外敵 P.99~
 鳥類
 獣類
 昆虫類
  ・・・ゆりのはなすひ(一名たいこうち)・・・
 魚蝨
  ・・・魚蝨(一名蝶)・・・
  ・・・白色の茶碗などに取ってみると・・・
  ・・・煙草の希薄な浸出液で、金魚を洗って・・・

 あをさ

一一 金魚の病氣 P.104~
 糞詰病
  ・・・蕃椒水を飲ませる・・・
 眼病
  食塩水
 ぬまり病
  ・・・一名綿かぶりと稱する。・・・
  食塩水、硼酸水
 糜爛病
  水換え
 松皮病
  サルチル酸水溶液、食塩水
 鰓腐病
  ・・・藁の先で腐敗部を除去し・・・
  食塩水、希薄な石炭酸水
 粗腐病
  ・・・一名銹病・・・
  食塩水、石炭酸とグリスリン

 ---メモ---
  椒=ショウ、はじかみ
  蕃椒=ばんしょう、トウガラシの別名

一二 金魚の種類 P.103~
 和金
 琉金
  ・・・又の名を長崎、尾長と・・・
 金鑄(蘭鑄)
  ・・・一名朝鮮、丸子・・・
 オランダ獅子頭
 出目金
  日清戦爭以後渡來し・・・

 出目らんちゅう
 和唐内
 秋錦
  ・・・明治二十八年出來たもの・・・
 朱反錦
  ・・・明治三十二年頃はじめて創出した。
 金蘭子
 鐵尾長
 その他

以上でこの本の初回は終わりです。


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西暦1933年=昭和8年

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2023年5月 6日 (土)

「小鳥と金魚の飼養法」 高野芳雄 宋孝社 昭和8年 その2

緒言
 金魚は、今や、我邦輸出品の大宗として・・・その趣味の普及し
 つゝある事は何人も知る通りである。

 ・・・著者の實驗と知識の限りを盡して執筆せらるもの、聊かなりと
 裨益する所あらざれば幸甚である。
  昭和八年二月  著者 識

一 金魚の扱ひ方に關する誤解 P.79~
 ・・・金魚が持つ色彩美、形態美、動的の美は、日本人の好む歌
 麿、豊國等の彩筆になる、かの浮世繪と相似的のものがありはし
 ないか、と思はれる。・・・

 たゞ都會人のある者が金魚を飼育しない、といふのはその繁雜な
 都會生活に疲れて、金魚を飼育する、といふ繁雜さを嫌惡する・・・

 金魚は一般に、その女性的な形態からして極めて育て難い、死に
 易い魚類と・・・その實、極めて頑健に長命を保つものである。・・・

二 金魚の住居 ※すまゐ P.80~
 ガラス鉢容器
  ・・・晝間はガラス鉢(普通ある金魚容器)に入れて觀賞し、夜
  は・・・大型のものに入れ換へる事が出來れば・・・

 泉水
  ・・・泥池、木枠、漆喰製、コンクリート製など・・・

 泉水飼育の注意
  ・・・庭園の美觀を添へる為に作られるものでは、金魚は迷惑する
  に違ひない。・・・

  ・・・金魚に惡癖をつけ、身體を損傷するのみならず、水換、掃除、
  外敵豫防などの管理に不便・・・

 理想的な泉水
  形は長方形又は正方形・・・巾は四尺、縦六尺位・・・深さは・・・
  一尺もあれば・・・水深は二寸~六寸もあれば・・・

  水深の浅い場合及び深い場合の注意点
  位置についての注意点
  新造時の注意点
  金魚の数と泉水の大きさ

 泥池
  ・・・自然的な金魚の住居であるから金魚も喜び、生長も速い
  が・・・外敵なども多く・・・

三 金魚と水 P.84~
 ・・・金魚は新鮮な水よりも寧ろ少しく溷りのある水が適當である。
 溷水といっても濁水ではなく・・・

 ・・・何故半溷のものが良いかといへば、水が溷る原因は主として
 浮遊生物の棲息によるのであるが・・・金魚の無二の好餌であ
 る・・・

 温度、井戸水の注意点

四 水換へ P.86~
 小容器の回数、泉水での春夏秋冬の回数、時間などの話

五 注水 P.87~
 ・・・容器を掃除する代りに、古い水に新鮮な水を注ぎ込む方法
 で・・・

六 日覆、蓋、冬圍 P.88~
 日覆
  必要な月、時間の話
  ・・・五月頃の日覆は・・・半分も覆へば・・・
 蓋
  ・・・外敵は殆んど夜間現れる・・・

 冬圍ひ
  ・・・初めは西北を塞いだ片屋根式の柵など作り、北風を防ぎ・・・
  いよいよ厳冬になって・・・上部を覆ふ。・・・

七 金魚の飼料 ※飼は旧字 P.90~
 動物性飼料 ※省略
  みぢんこ
  ぼうふら
  あかこ
  赤虫
  貝類
  魚肉
  鶏卵
  蠶の蛹

 植物性飼料 ※省略
  大麥
  金魚麩
  麺類
  麥粉菓子
  ふすま

 餌の與へ方
  ・・・春秋は當歳魚は頭の大さ、二歳魚は頭の二分と一大の餌を
  一日に食する・・・朝晝二回に分ち・・・午後三時頃には、その食
  べ殘りを除去する。・・・

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西暦1933年=昭和8年

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