「淡水産のエビとカニ」 鈴木廣志 佐藤正典 西日本新聞社 平成6年 その4
(5)エビ・カニ類の名前を調べよう P.44~
鹿児島県の淡水産のエビ・カニ類の検索表
10ページを割り当て、眼や脚などの特徴を記述しイラストも掲載し
ているが一寸学術的
各種の解説(形態・生態・分布)
以下、1種に2ページを割り当てイラストと白黒写真も掲載し解説し
ていますが形態は学術的です。
ここでは科の特徴、和名と学名そして気になった点だけ記してお
きます。
ヌマエビ科
すべて淡水産
日本では7属23種で鹿児島県には10種
第1と第2胸脚は同形で長さもほぼ等しい、ハサミ脚で先に長い
毛
オニヌマエビ Atyopsis spinipes
ヌマエビ Paratya compressa compressa
陸封型と両側回遊型がいる
亜種のヌカエビ P.compressa improvisaとの違い
トゲナシヌマエビ Caridina typus
ツノナガヌマエビ Caridina longirostris
ミゾレヌマエビ Caridina leucosticta
ヒメヌマエビ Caridina serratirosyris
亜種または別種のコテラヒメヌマエビ C.celebensisとの違い
ヤマトヌマエビ Caridina japonica
※今はC.multidentata、Amano shrimp
アシナガヌマエビ Caridina rubella
琉球列島固有種
サキシマヌマエビ Caridina sakishimensis
琉球列島固有種
ミナミヌマエビ Neocaridina denticulata
島嶼には分布しない
亜種として
N.denticulata sinensis
N.denticulata koreana
N.denticulata keunbaei
テナガエビ科
日本には属101種、淡水産は約10種、鹿児島県は9種
ハサミの先に毛がない
地方名として奄美地方でタナガ・タンガ、屋久島でタクマ、県本
土でダンマ・ダツマエビ
スジエビ Palaemon (palaemon) paucidens
コンジンテナガエビ Macrobrachium lar
ザラテテナガエビ Macrobrachium australe
テナガエビ Macrobrachium nipponense
河口域は小卵で両側回遊型、静水域は大卵で陸封型と考え
られている
ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum
別称ヤマトテナガエビ
スベスベテナガエビ Macrobrachium equidens
種子島と奄美大島のみ
コツノテナガエビ Macrobrachium latimanus
ミナミテナガエビ Macrobrachium formosense
ツブテナガエビ Macrobrachium gracilirostre
日本では琉球列島のみ
アメリカザリガニ科
在来種 Cambaroides japonicus
北アメリカから3属4種
アメリカザリガニは1926年鎌倉市へ移入
アメリカザリガニ Procambarus(Scapulicambarus) clarkii
島嶼部には分布しない
イワガニ科
日本には31属約70種
オオヒライソガニ Varuna litterata
モクズガニ Eriocheir japonicus
寒い時期が繁殖期
地方名はヤマタロウ、ツガニ、ツガネ、ズガニなど
肺吸虫の中間宿主なので食用には注意する
サワガニ科
すべて陸封種
日本には1属9種
7種は奄美諸島以南
鹿児島県には5種
サワガニ Geothelphusa dehaani
冬眠する
肺臓ジストマ(ウェステルマン肺吸虫)の中間宿主で食用には
注意する
色彩の異なる個体群は分布が重複しない
リュウキュウサワガニ Geothelphusa obtusipes
琉球列島固有種
サカモトサワガニ Geothelphusa sakamotoana
琉球列島固有種
オオサワガニ Geothelphusa levicervix
琉球列島固有種
ミカゲサワガニ Geothelphusa sp.
大隅半島固有種
ミナミサワガニ科
日本には1属3種
鹿児島県には1種
アマミミナミサワガニ Candidiopotamon amamense
奄美諸島固有種
鹿児島県の淡水産のエビ・カニ類の分類表 P.122~
今は根鰓亜目と抱卵亜目
用語解説 P.126~
平仮名(漢字)から引ける
主要な参考文献 P.132~
1.淡水産のエビ・カニ類の分類、生態、分布について
2.人間の影響について
3.一般的な図鑑と参考書
4.鹿児島大学水産学部水産学科および理学部生物学科の卒業
論文(B)・修士論文(M)
索引
事項索引 平仮名
和名索引 カタカナ
学名索引 アルファベット
エビ・カニ談話室 ※コラム的な項
鹿児島県の生物地理的面白さ
生物地理区は旧北区、エチオピア区、東洋区、新北区、新熱帯
区、オーストラリア区の話
三宅線、渡瀬線の話
トカラ列島の不思議
海岸線の切り立ち、河口の落差による生息種の違い
エビ・カニ類の色彩
焼くと赤くなるのはクリスタセオルビンがチアンクルスタリンへ変
わるため
サワガニの赤はβ-カロテンから作られるアスタキサンチン・モノエ
ステルやアスタキサンチン・ジエステルと考えられる
無農薬の水田のまわりにエビ類がもどってきていないだろうか?
ミナミヌマエビは「タエビ」とも呼ばれ畦にもいた
エビ・カニ類の殻はからだにいい?
キチンと強アルカリで分解したキトサンの話
以上でこの本の紹介は終わりです。
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西暦1994年=平成6年
関連書
「faura」ファウラ 2006 SUMMER No.12 特集「ニホンザリガニ」2006年
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