マシジミとガシャモクに関する調査研究報告集 手賀沼にマシジミとガシャモクを復活させる会 平成17年 その4
二枚貝マシジミの懸濁物ろ水能力 瀧和夫・松島眸 P.37~
執筆者の瀧和夫は所属不記載
松島眸は次報告に記載あり
---メモ---
眸=ひとみ
1 研究背景・目的
富栄養化湖沼の底泥層付近は溶存酸素不足で底生生物の生息
が困難
底生生物の中でもとくに手賀沼の固有種である二枚貝の"マシジ
ミ"のろ水作用に着目した
2 試験方法
9Lのビーカー4個に生息密度が0、140、350、700個/m2のマシジ
ミ投入
2週間の変化を観察
水質分析項目はChl-a濃度、濁度、PH、DO、N、C
3 試験結果と考察
試験項目のグラフ掲載
Chl-a濃度は生息密度が高いほど速く減少。捕食により増殖を抑
制している
濁度もChl-a濃度と同様。微細な浮遊片もろ過されいる。Chl-a濃
度との相関係数は0.89。
PHは低下。植物プランクトン補食により光合成反応を抑制。
DOは呼吸による溶存酸素を消費し低下。
Nのうち固形性窒素は減少傾向。植物プランクトンに含有される固
形性窒素成分を捕食したため。溶解性窒素成分は密度が高いほ
ど上昇。マシジミからの排泄物による。また全窒素成分は密度
140時は減少するが700時は増加した。
Cのうち固形性炭素成分は固形成分摂取により減少し溶解性炭
素成分は生息密度が高いほど減少。
4 まとめ
植物プランクトンの補食によりプランクトン増殖が抑制される
生息密度を140個/m2以下でマシジミによる排泄物の影響も少な
い
研究報告の経緯
二枚貝タイワンシジミの濾水速度に及ぼす環境因子の影響
林紀男・松島眸・古丸明・稲森悠平 P.47~
執筆者の松島眸は日本大学工学部土木工学科
古丸明は三重大学生物資源学部土木工学科
1.はじめに
・・・近縁の外来種であるタイワンシジミ(Corbicula fluminea)・・・
ヤマトシジミの輸入流通経路に乗じて帰化し・・・在来種マシジミ
を駆逐する勢いである。両種は、雌雄同体の卵胎生で・・・同一種
の地域差(同種異名)ではないかとも指摘されている。
・・・マシジミの殻内側が濃紫色を呈するのに比較して、タイワン
シジミは殻内側の色彩が薄赤色~無色まで多様性に富み・・・外
見から両種を区別することが非常に困難である。
・・・環境因子がタイワンシジミの濾水速度に及ぼす影響について
実験水槽を用いて検証し、同様の培養実験を実施したマシジミと
比較検討することとした。
2.実験方法
2.1 タイワンシジミ
千葉県印西市亀成川水系から採取
2.2 培養実験
基本条件と設定範囲
濾水速度の算定法
緑藻類の培養法
3.結果
水温35度以上でも活動、マシジミは停止、5度以下では両種低下
するがマシジミの方が著しい
PH4.2では両種とも著しく阻害、PH5.2~8.7では影響がない、
PH9.2~9.7ではマシジミの低下が著しい
塩分濃度はマシジミでは5PSUを超えると低下、10PSU以上で停
止、タイワンシジミ10PSUでも維持、12PSUで阻害
溶存酸素濃度3mg/lで両種低下するがマシジミの方が著しい
食物源濃度による影響は両種変わらず
底質粒度径による影響は両種変わらず
4.考察
水温から冬季マシジミは底質中に深く潜行する時もタイワンシジ
ミは底質表層に滞在する
アオコが異常増殖したアルカリ性水域や湧水の硝酸性窒素濃度
が高い酸性水域でタイワンシジミが優先化
海水(35PSU)が28%混合する水域でも生息区可能であることを示
唆
夏季の高水温条件下で底泥直上部の溶存酸素が枯渇して無酸
素状態でも増殖可能
5.まとめ
考察の内容を簡潔に記述
6.今後の展望・課題
二枚貝のシジミ類は、このアオコを濾過捕食することにより透明
度向上に大きく貢献する事が知られている。
マシジミが多くの生息地においてタイワンシジミに置き換わりつつ
ある現状は広く認識されていない
全国網羅的なタイワンシジミの生息調査が必要
植物プランクトンの種類、界面活性剤の影響。硫化水素耐性、捕
食の影響
謝辞
参考文献
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西暦2005年=平成17年
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