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2021年3月

2021年3月28日 (日)

マシジミとガシャモクに関する調査研究報告集 手賀沼にマシジミとガシャモクを復活させる会 平成17年 その4

二枚貝マシジミの懸濁物ろ水能力 瀧和夫・松島眸 P.37~
 執筆者の瀧和夫は所属不記載
       松島眸は次報告に記載あり
        ---メモ---
         眸=ひとみ

 1 研究背景・目的
  富栄養化湖沼の底泥層付近は溶存酸素不足で底生生物の生息
  が困難
  底生生物の中でもとくに手賀沼の固有種である二枚貝の"マシジ
  ミ"のろ水作用に着目した

 2 試験方法
  9Lのビーカー4個に生息密度が0、140、350、700個/m2のマシジ
  ミ投入
  2週間の変化を観察
  水質分析項目はChl-a濃度、濁度、PH、DO、N、C

 3 試験結果と考察
  試験項目のグラフ掲載
  Chl-a濃度は生息密度が高いほど速く減少。捕食により増殖を抑
  制している
  濁度もChl-a濃度と同様。微細な浮遊片もろ過されいる。Chl-a濃
  度との相関係数は0.89。

  PHは低下。植物プランクトン補食により光合成反応を抑制。
  DOは呼吸による溶存酸素を消費し低下。

  Nのうち固形性窒素は減少傾向。植物プランクトンに含有される固
  形性窒素成分を捕食したため。溶解性窒素成分は密度が高いほ
  ど上昇。マシジミからの排泄物による。また全窒素成分は密度
  140時は減少するが700時は増加した。

  Cのうち固形性炭素成分は固形成分摂取により減少し溶解性炭
  素成分は生息密度が高いほど減少。
  
 4 まとめ
  植物プランクトンの補食によりプランクトン増殖が抑制される
  生息密度を140個/m2以下でマシジミによる排泄物の影響も少な
  い

 研究報告の経緯

二枚貝タイワンシジミの濾水速度に及ぼす環境因子の影響
           
林紀男・松島眸・古丸明・稲森悠平 P.47~
 執筆者の松島眸は日本大学工学部土木工学科
       古丸明は三重大学生物資源学部土木工学科

 1.はじめに
  ・・・近縁の外来種であるタイワンシジミ(Corbicula fluminea)・・・
  ヤマトシジミの輸入流通経路に乗じて帰化し・・・在来種マシジミ
  を駆逐する勢いである。両種は、雌雄同体の卵胎生で・・・同一種
  の地域差(同種異名)ではないかとも指摘されている。

  ・・・マシジミの殻内側が濃紫色を呈するのに比較して、タイワン
  シジミは殻内側の色彩が薄赤色~無色まで多様性に富み・・・
  見から両種を区別することが非常に困難である。

  ・・・環境因子がタイワンシジミの濾水速度に及ぼす影響について
  実験水槽を用いて検証し、同様の培養実験を実施したマシジミと
  比較検討することとした。

 2.実験方法
  2.1 タイワンシジミ
   千葉県印西市亀成川水系から採取

  2.2 培養実験
   基本条件と設定範囲
   濾水速度の算定法
   緑藻類の培養法

 3.結果
  水温35度以上でも活動、マシジミは停止、5度以下では両種低下
  するがマシジミの方が著しい

  PH4.2では両種とも著しく阻害、PH5.2~8.7では影響がない、
  PH9.2~9.7ではマシジミの低下が著しい

  塩分濃度はマシジミでは5PSUを超えると低下、10PSU以上で停
  止、タイワンシジミ10PSUでも維持、12PSUで阻害

  溶存酸素濃度3mg/lで両種低下するがマシジミの方が著しい

  食物源濃度による影響は両種変わらず

  底質粒度径による影響は両種変わらず

 4.考察
  水温から冬季マシジミは底質中に深く潜行する時もタイワンシジ
  ミは底質表層に滞在する

  アオコが異常増殖したアルカリ性水域や湧水の硝酸性窒素濃度
  が高い酸性水域でタイワンシジミが優先化

  海水(35PSU)が28%混合する水域でも生息区可能であることを示
  唆

  夏季の高水温条件下で底泥直上部の溶存酸素が枯渇して無酸
  素状態でも増殖可能

 5.まとめ
  考察の内容を簡潔に記述

 6.今後の展望・課題
  二枚貝のシジミ類は、このアオコを濾過捕食することにより透明
  度向上に大きく貢献する事が知られている。

  マシジミが多くの生息地においてタイワンシジミに置き換わりつつ
  ある現状は広く認識されていない

  全国網羅的なタイワンシジミの生息調査が必要
  植物プランクトンの種類、界面活性剤の影響。硫化水素耐性、捕
  食の影響

 謝辞
 参考文献

---
西暦2005年=平成17年

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2021年3月21日 (日)

マシジミとガシャモクに関する調査研究報告集 手賀沼にマシジミとガシャモクを復活させる会 平成17年 その3

ガシャモク再生 星野保 P.19~
 手賀沼ビオトープの一角にガシャモク池の概要、経年変化、釣り人
 による魚等の放流
 ※文中から星野氏は復活させる会の会長らしい

手賀沼流域における水生植物の生息状況
                
 林紀男・横林庸助・星野保 P.23~
 執筆者の林紀男氏は千葉県立中央博物館環境科学研究所
     横林庸助氏は千葉県立中央博物館友の会
     星野保氏は手賀沼にマシジミとガシャモクを復活させる会

 1.はじめに
  ・・・近年において手賀沼流域での水生生物の生息情報を網羅的
  にまとめた成果は認められず・・・市民の手により手賀沼流域の
  生物相調査を実施し・・・

  手賀沼の諸元(平成9年度)を掲載

 2.手賀沼水系の生物相調査方法
   平成9年度から平成11年度の3年
   流域は148km2、流域図を掲載
   会員の共同調査と有志が随時行う個別調査

 3.調査結果
  貝類、甲殻類、水生昆虫、魚類、貧毛類、沈水植物、抽水植物を
  流域図に記入し掲載、貴重種は乱獲防止のため掲載しないとの
  こと

  水生植物、魚類、貝類についての調査結果を概説

 4.今後の展望・課題
  新聞報道による乱獲、来訪者によるゴミの散乱など広報の難しさ
  10年ごとの調査による戸籍簿の蓄積

 謝辞
 参考文献

二枚貝マシジミの濾水速度に及ぼす環境因子の影響
         
林紀男・村上和仁・藤本尚志・稲森悠平 P.31~
 執筆者の村上和仁は千葉工業大学工学部
     藤本尚志は東京農業大学応用生物科学部
     稲森悠平は独立行政法人国立環境研究所循環型社会形成
            推進・廃棄物研究センター

 1.はじめに
  ・・・シジミ貝の研究に関しては、水産養殖の対象とされるヤマト
  シジミやセタシジミが中心であり・・・マシジミの生態について
  は・・・系統進化論や生理学的研究によるものが多く・・・ここで
  は・・・環境因子がマシジミの濾過速度に及ぼす影響について実
  験水槽を用いて検証することとした。

 2.実験方法
  2.1 調査対象マシジミ
   ヤマトシジミ、セタシジミ、マシジミの特徴一覧表を掲載
    分布、発生、染色体数、殻表、殻内面

  2.2 調査対象地区
   4箇所を観測地点
   水温、PH、塩分濃度、溶存酸素濃度、TOC(総有機性炭素濃
   度)、T-N(全窒素濃度)、T-P(全リン酸濃度)、食物源としての植
   物プランクトン濃度、底質の粒度

  2.3 培養実験
   基本条件と設定範囲
   濾水速度の算定法
   緑藻類の培養法

 3.結果
  3.1 手賀沼流域調査
   4地点の溶存酸素濃度の年間推移(1998/4~2000/3)グラフを
   掲載
   差異を説明

  3.2 培養実験
   水温 0度以下、35度以上で停止
   PH  PH4.2で停止
   塩分濃度 5psuを超えると低下、10psuで停止
   溶存酸素濃度 3mg/l以下で低下
   プランクトン濃度 徐々に低下する
   底質の粒度 影響なし

 4.考察
  溶存酸素濃度 4地区のうちマシジミが生息しない1地区は嫌気
            条件が2週間以上継続しかつ20~25度に達する
            ため生残できないと推察される。

  水温 手賀沼流域の水路は夏期でも30度以下、冬期5度以下に
      底泥に潜行

  塩分濃度 河口堰や水門で淡水条件が確保されている

  植物プランクトン濃度 手賀沼流域調査では最小でも2μgChl/l
                が確保されている
  底質の粒度 粒度より底質のしまり具合が生残に影響するので、
          よって水生植物まわりに多い

 5.まとめ
  最も影響するのが底泥直上の溶存酸素濃度であることが明らか
  になった

 6.今後の展望・課題
  以下の必要性
  植物プランクトンの種類、界面活性剤濃度、硫化水素耐性
  魚類、鳥類の補食影響
  タイワンシジミ生息拡大要因

 謝辞
 参考文献

---
西暦2005年=平成17年

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2021年3月 6日 (土)

マシジミとガシャモクに関する調査研究報告集 手賀沼にマシジミとガシャモクを復活させる会 平成17年 その2

発刊の辞 星野保 P.1
 ・・・戦后の政策により、沼は干拓され面積が半分と小さくなったう
 え・・・生活排水の放流により、手賀沼は急速に汚れ・・・

 この環境悪化を憂い・・・平成9年4月29日に・・・「手賀沼にマシジミ
 とガシャモクを復活させる会」が誕生した。・・・

埋土種子から蘇ったガシャモク 林紀男 P.5~
 1.ガシャモクとは
  ガシャモク(学名:Potamogeton dentatus)は、ヒルムシロ科に属す
  る多年生の沈水植物です。

  ・・・葉を互生させますが、花茎の出る葉だけは偽対生葉となりま
  す。・・・ササバモと似ていますが、葉柄がほとんどないかあっても
  1cm以下と著しく短い・・・ガシャモクとササバモの雑種としてイン
  バモが知られています。・・・

 2.ガシャモクの分布
  ・・・手賀沼流域と**県**市***に位置する「***池」
  の2地域に限られています。・・・

  中華人民共和国の雲南省西部に位置するアルハイ湖は、ガシャ
  モクの生育密度が高い場所として知られています。・・・

 3.手賀沼水系のガシャモク
  ・・・1970年以降は生育が確認出来なくなりました。

  ・・・1996年から市民有志(手賀沼にマシジミとガシャモクを復活さ
  せる会)により・・・2年間で41回の調査を実施し・・・1998年までに
  ガシャモクが自生している場所を見出す事ことができました。・・・

 4.ガシャモク生育地の保全
  ・・・千葉県と我孫子市は、沼**の***に手賀沼ビオトープを
  創り・・・池造成にともなう表土掘削により埋設種子からガシャモク
  をはじめ・・・沈水植物群落が形成されました。・・・

  他に千葉県による手賀沼水辺生態園、国土交通省利根川下流
  河川事務所による再生池も紹介。

  ・・・ガシャモクの天敵であるアメリカザリガニやウシガエルのオタ
  マジャクシを人海戦術で排除・・・

 5.ガシャモク保全の問題点
  心無い盗掘、入手不明瞭販売株自然定着による遺伝的撹乱の
  話
  タイワンシジミによる占拠の話

 6.おわりに
  富栄養化による透明度悪化の影響の話
  上海の太湖におけるササバモの適応能力の
  話

手賀沼の再生池について 山口昌利 P.11~
 執筆者は国土交通省利根川下流河川事務所 広域水管理課

 1.ガシャモク再生池について
  平成9年10月手賀川拡幅工事による水たまりで、埋没種子発芽
  によりガシャモク確認、平成12年度には確認出来なかった。

  平成14年3月に高水敷に再生池、**機場に保全池を整備

 2.再生池の概要
  再生池2箇所と保全池の大きさ、水深、構造、水の供給源の一覧
  表を掲載

 3.生育調査の状況
  平成14年8月26日に会と事務所で調査
  1).調査場所
   再生池(住所記載)
  2).調査方法
   ポンプは排水後の目視、水中目視
  3).調査結果
   9種確認(種名は記載)

 4.底質・水質の状況
  1).再生の底質調査結果
   再生池2箇所の底質調査結果箇所を平成15年7月に調査
   粒度組成、COD、硫化物、T-N(総窒素)、強熱減量、T-P(総リ
   ン)のグラフを掲載
  2).再生池の水質調査結果
   再生池2箇所と保全池を平成14年4月~平成15年8月に調査
   水温、PH、DO、濁度、透明度のグラフを掲載

 5.今後の方針 ※ここでは4章と誤植
  下流川再生池と保全池で沈水植物の減少
  会、市民団体、学識経験者の意見を聞きながら継続的に行う

---
西暦2005年=平成17年
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