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2021年1月

2021年1月30日 (土)

「金魚の小百科」 蒼海芳雄 金園社 昭和54年 その2

口絵
 4ページに7品種と稚魚のカラー写真

まえがき P.1~
  キンギョは夏の風物詩、という季節感は次第に失われつつあり、
  春夏秋冬いつでも飼われている・・・

  短命だといわれる原因を探してみますと、たいていキンギョに対
  する愛情が不足していたり、水の管理、餌料の与え方などが悪い
  ことが・・・

  ・・・キンギョをよく観察して、通常と異なる様子をみせたときには、
  すぐ、何が原因でそういう様子をしたかを調べ、すぐ対処すること
  が何より大切です。・・・

      著者

1 金魚はどういう魚か P.11~
 どうして金魚が生まれたか P.11~
  中国説の話、文献等は記していない
  フナからの突然変異の話

  フナの証明
   血清の沈降反応、染色体、遺伝学的研究による

 フナから金魚への歴史 P.12~
  中国での話
  色の次は尾

  形のうつり変り
   ワキンからヒレ、肉瘤、透明鱗、鼻孔の話

 中国産の金魚 P.14~
  大別すると
   文魚(ウエンユウイ) 普通のキンギョ
   竜晴魚(ロンチンユウイ) 出目性のキンギョ
   蛋魚(タンユウイ) 背ビレのないキンギョ

  各部
   体形 狭長と短円
   頭部 虎頭(こ)、鷲頭(が)、蛤蟆頭(はま)、獅子頭、蝦蟆頭、
       高頭、鼠頭
   眼形 正常、小眼、竜晴、水泡眼。朝天眼、灯泡眼、望天眼、
       葡萄眼、鴛鴦(えんおう)、(石+朱)砂眼(しゅしゃ)

   鰓蓋 反鰓(はんすう)
   鼻孔褶 絨球(しゅうきゅう)

   尾鰭 単双、上単下双、垂尾、展開尾、三尾、長尾、中長尾、
       短尾
   背鰭 正常、残骨、竜背(欠骨)、長背、短背
   臀鰭 単双、上単下双、残臀、欠臀、長臀、短臀、腹臀
   鱗  正常な不透明、透明、網目、珍珠鱗

   体色 灰色、紫色、藍色、黒紅色、古銅色、橙色、白五色、
       斑色、雑斑
   品種 草金魚、蛋魚、竜晴、朝天眼、絨球、反鱗、獅子頭、
       墨魚、藍魚、鷲頭、紫魚、五花

    ---メモ---
     蟆=ひきがえる
     鴦=鴛鴦=おしどり、「鴛」は雄の、「鴦」は雌のオシドリ
     (石+朱)=鉱物の一種、朱砂

  以下の品種の解説
   珍珠鱗魚(チユンシユリンユウイ)
    別名は珠鱗魚(シユリンユウイ)、パール

   絨球魚(シュウチュウユウイ)
    日本ではハナフサと同一視している

   紅頭魚(ホントウユウイ)
    日本ではタンチョウ、丹頂

   哈蟆頭(ハマトウユウイ) ※ここでは「蛤」ではない
    水泡眼(シュイポオユウイ)、スイホウガン

   銀魚(イエンユウイ)
    白色に変わったものは白銀魚(パイイエンユウイ)

   青文魚(チンウエンユウイ)
    日本では羽衣
    尾の長いものは揺れ台目(ヤウタイユ=ゆれる満月)
    藍がかった銀魚を藍文魚(ランウエンユウイ)
    肉瘤があるものを藍鷲頭魚(ランガトウユウイ)

   紫魚(ツウユウイ)
    日本では茶金
    肉瘤が褐色のもの紫帽子(ツオマオユウイ)または紫帽子頭魚
    (ツオマオットユウイ)
    肉瘤が褐色で赤っぽいものを紅帽子(ホンマオツユウイ)または
    紅帽子頭魚(ホンマオットユウイ)

 日本産の金魚 P.21~
  以下の品種を解説。
  色、尾型、歴史など、ここでは別名など少し記しておきます。

  ヒブナ(緋鮒)
   真のフナと和金雑種の区分法

  ワキン(和金)
   別名ヤマト
   古くはコガネウオ、金魚(チンユウイ)

  リュウキン(琉金)
   別名オナガ、ナガサキ
   外人はベール・テイル、ファン・テイルと呼ぶ ※テール
   フナ尾はフキナガシ(吹き流し)、米国ではニンフ
   上葉と下葉との切れ目が深いものスワロー・テイル、
   リボン・テイル
   小型に育てたもの豆琉(まめりゅう)

   ランチュウ(卵虫)
    別名マルコ(丸子)、チョウセン、朝鮮金魚、(魚+蘭)鋳、金鋳
    外人はリオン・ヘッド ※ライオン?
    アズキサラサ(小豆更紗)、フサ、ヒゲ、シシガシラ(獅子頭)、
    トキン(兜金)、オカメ(お亀)の話

   オオサカランチュウ
    ヒラヅケ(平付)

   ナンキン
    島根県宍道町で中心に飼育保存

   オランダシシガシラ(和蘭獅子頭)
    クロオランダは胸ビレが黄色のものが多い

   テツオナガ(鉄尾長)
    黄金色に光る胸ビレを持っているものが多い

   ハナフサ(鼻房)
    伊勢地方で飼育されていたが絶滅
    松井佳一氏が大和郡山市高塚養魚場で発見しニホンハナフ
    サ

   トサキン(土佐金)
    動きの鈍さで繁殖率がよくない

   ワトウナイ(和唐内、和琉)
    別名ワリュウ

   ヤマガタキンギョ(山形金魚)
    ショウナイキンギョ、フリソデキンギョ(振袖)、フタツオキンギョ
    (二尾)

   ジキン(地金)
    地金魚、しゃち、愛錦、孔雀、六鱗などの別称
    腹部のくくれ方でムナバラ、ウシロバラ

   デメキン(出目金)
    支那魚、支那金、支那キンギョと呼ばれていた
    英語ではテレスコープ・アイ、中国では竜晴魚(ロンチンユウイ)

    A アカデメキン(赤出目金)
    B クロデメキン(黒出目金)
    C サンシキデメキン(三色出目金)

   チョウテンガン(頂天眼)
    別名デメランチュウ
    箕作佳吉博士は1904年に天文望遠鏡魚と名付けた
    英語名はCelestial gold fish(天文の金魚)

   シュウキン(秋錦)
    明治30年(1897)に松原新之助が命名

   ツガルニシキ(津軽錦)
    昭和2年(1927)に弘前金魚協会が命名

   ヒロニシキ(弘錦)
    ツガルニシキとランチュウの交配で明治41年(1908)にできた

   キンランシ(金蘭子)
    明治35年(1902)ごろ初代秋山吉五郎が生育

   シュブンキン(朱文錦)
    サンシキデメキンとフナ尾のワキンとヒブナの自由交配

   テツギョ(鉄魚)
    大正11年(1922)の平和記念東京博覧会に山形県の若畑沼
    のものが出品

   キャリコ
    キャリコとはサラサの意

   アズマニシキ(東錦)
    別名キャリコオランダシシガシラ

   エドニシキ(江戸錦)
    尾の長いものは京錦

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西暦1979年=昭和54年

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2021年1月24日 (日)

「金魚の小百科」 蒼海芳雄 金園社 昭和54年

「金魚の小百科」 蒼海芳雄 金園社 昭和54年3月20日発行 四六判 P.206 750円

 著者は金魚界で名は知られていませんが、本文を読んでいると他の金魚本では書かれない器官の仕組みや動き、栄養素の働き、活き餌、薬剤などは専門用語を使い詳説していて、生物学又は解剖学の先生か水産試験場の技師のように感じます。

 本文は白黒写真は少ない代わりに赤と黒のイラストを程よく配していますが、二段組みで文字も小さめであるため読み応えはあります。

 産卵育成のところは養殖業者の規模の話で、タライなどで金魚を殖やす方にはあまり参考になりません。

 本書は古書界にはよく出ていますので容易に入手でき、古書価も廉価です。手元の本は大阪府門真市の古書店より入手しました。

【構成】
カバー
表紙
遊紙

口絵
まえがき
目次
 1 金魚はどういう魚か
  どうして金魚が生まれたか
   フナの証明
  フナから金魚への歴史
   形のうつり変り

  中国産の金魚
   7品種名を羅列
  日本産の金魚
   27品種名を羅列

  金魚の習性
   産卵とふ化
   ふ化後の変化
    ふ化二日目 四日目 五日目 二十日目 その二~三日後
    約五十日

   金魚の生育
   金魚の形と泳ぎ方
   金魚と水温
   光と金魚

  知っておきたい金魚の器官
   金魚の眼
   魚と呼吸
   金魚と血液
   魚の胃・腸など
   不用物の排泄
   産卵の器官
   刺激を感じる器官
    臭い 味 音 触覚

  成長する餌
   餌と栄養
   栄養と成長
    蛋白質 炭水化物 脂肪 無機物 ビタミン類 H因子
   基本となる餌
   抗生物質を加える
   配合飼料の良さ
   配合飼料の使い方

  金魚に良い水の質
   水の温度と魚
   水の流れと魚との関係
   水の量と魚の体
   水の成分
   水の質と成長

  水草と金魚
  金魚の害虫
   水の中の虫
    ゲンゴロウムシ ガムシ ミズスマシ タイコウチ ミズカマキリ
    タガメ コオイムシ チョウ イカリムシ

  金魚の産卵

 2 金魚のふやし方
  産卵の準備
   産卵用の池
   親魚の選び方

  親魚の準備
   親魚の知識
   親魚の扱い方
   親魚の組合せ

  産卵のさせ方

  ふ化から稚魚まで
   選別の仕方
    第一回 第二回 第三回 第四回 選別の方法

  ふ化から取揚げまで
   子魚の池と水換え

  稚魚の病気と予防
  取揚げ
  金魚の活餌
   ミジンコ ケンミジンコ イトミミズ ワムシ アカムシ ボウフラ

 3 買って来たときの金魚
  買うときの準備
   買われる前の金魚
   良い水槽と悪い水槽

  金魚の買い入れ
   オスとメス
   買う金魚の年令
   金魚の色
   買う時期
   水槽と尾数
   水槽の扱い方

  水の質について
   水の中の酸素 金魚に適した水温

  買われた金魚

 4 病気の発見と防ぎ方
  発見と手当と防ぎ方

 5 魚病の取扱いと手当
  魚病と手当
   病名を26列記

 6 治療に使う薬剤
  薬の働きと使い方
   7種の薬名を列記

   飲ませる薬
    3種の薬名を列記

   薬浴
    8種の薬名を列記

 7 金魚の観賞の仕方
  ガラス容器
  ランチュウの観賞
   頭部 背中と尾筒 尾 体色と鱗

  金魚の観方
   メスとオス
   5品種名を列記

奥付
遊紙

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西暦1979年=昭和54年
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