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2019年5月

2019年5月24日 (金)

「金魚のかひかた」 吉澤寛夫 猟と漁社 昭和五年 その2


  ・・・然るに市井と金魚の關係を觀るに、其の飼ひ方を知らぬため
 徒らに金魚の生命を縮め遂には其の飼養をさへ斷念して・・・

 ・・・未だ適正に其の飼養法を教ゆる書物の少ない事を遺憾とした。

   昭和五年六月  和州郡郡山柳澤養魚場にて 柳澤保惠

  ---メモ---
   徒ら=いたずら
   保惠=やすとし
   冀う=こいねがう、キ

口絵
 6ページを使い赤い写真で金魚8品種と2ページを使い白黒写真で
 水槽と養魚場

---ここから本文---
金魚の趣味 P.1~
 ・・・金魚を研究して見ると其の色彩や形態が水によく調和して一抹
 の涼味を唆る許りではない、遺傳の原則がよく顯れて・・・小さな鉢
 に卵子を産み、夫れが孵った仔魚に對する可愛味、金魚を殺すま
 いとする人間味がある。・・・

 ---メモ---
  涓=ケン。涓々
  銷=ショウ、と・ける、け・す。銷夏
  娯=ゴ、たの・しむ
  唆=サ、そそのか・す

金魚の渡來と沿革 P.4~
 大和本草十三の巻河魚の部、重修本草綱目啓蒙其の二十九巻
 魚の部、金魚養玩草を引用して丁寧に説明

 一、支那は南宋時代
  秘傳花鏡、(門+虫)書南産志を引用し解説
   ---メモ---
    (門構えに虫)=ビン

 二、徳川時代の全盛
  和漢三才圖繪、明良洪範、西鶴の置土産、元禄寳永珍話を引用
  し解説
   ---メモ---
    猶=なお
    奢侈=しゃし 度を過ぎてぜいたくなこと
    銷=ショウ、と・ける、け・す
    銷夏=しょうか 夏の暑さをしのぐこと
    舊=きゅう 旧

 三、金魚と大和の郡山
  藩士・佐藤三左衛門、柳澤伯爵家の豊田家扶、舊臣・元奈良懸
  生駒農學校長上武豊太郎、城主・本多忠直、柳澤吉里、家臣・
  金剛新助、行商人・高田屋嘉兵衞、舊藩主・柳澤保惠の関わり
  の話
   ---メモ---
    家扶=もと、皇族や華族の家で、家令の下で家務・会計に携
        わった人
    家令=皇族や華族の家の事務・会計を管理し、使用人の監
       督に当たった人

 四、琉球と琉金
  ・・・蘭鋳は・・・色は全部黑色にして尾筒の背筋の當たる處に
  金色の鱗が
  あった・・・
   ---メモ---
    甃=しきがわら、いしだたみ

金魚の意識 P.20~
  ---メモ---
   併=なら・ぶ
   暇令ば=たとえ・ば、けりょう

 一、安心を與へよ
  給餌、水換え、掬うときなどの話

 二、性質と顔形
  体質、活発、温順などの話
   ---メモ---
    貌=かたち、ボウ、バク
    盡きる=つ・きる、ことごとく 尽きる

 三、群衆性
  ・・・先頭になる魚は何時も同じ魚で他の魚は容易に先に出様
  とはしない・・・

 四、金魚の藝
  空腹時の話
   ---メモ---
    宛轉=宛転=えんてん 緩やかな曲線を描くさま

---
西暦1930年=昭和5年
関連書
「秋山吉五郎翁」昭和5年

「金魚愛玩草」 郡山金魚の飼ひ方 上武豐太郎 林書店 昭和4年


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2019年5月21日 (火)

「金魚のかひかた」 吉澤寛夫 猟と漁社 昭和五年

「金魚のかひかた」 吉澤寛夫 猟と漁社 昭和五年七月廿八日發行 四六判 P.114 定價六拾錢

 著者の吉澤寛夫氏は以前紹介した「秋山吉五郎翁」昭和5年を著した人で、本文の最初には自身の名を「吉澤士口」とも記しています。

 「あとがき」で著者は先代秋山吉五郎翁から二十年来の知遇を得たと書いています。

 内容で新鮮なのは魚病の箇所で、文は短めですが他書で見られないものとなっています。

 なお著者は金魚本以外では和鳥などの本も書いています。

 本書は大正4年(1916)が初版で手元の本が昭和5年なので長い間発行されていますが、古書界ではなかなか出ない本です。紹介している本は大阪市の古書店から入手しました。


【構成】
カバー
表紙
遊紙


目次
 金魚の趣味
 金魚の渡來と沿革
  一、支那は南宋時代
  二、徳川時代の全盛
  三、金魚と大和の郡山
  四、琉球と琉金

 金魚の意識
  一、安心を與へよ
  二、性質と顔形
  三、群衆性
  四、金魚の藝

 東西趣味の相違
 気候の急激の變化
 金魚を買ひ入れる時期
 金魚の壽命

 金魚の種類と變化
  一、緋鮒の變化
  二、金魚の種類
   和金
   琉金
   蘭鋳
   和蘭獅子頭
   出目金

  三、新種の創成
   秋錦
   秋翠
   朱文金
   キャリコ
   金蘭子
   琉金獅子頭
   出目蘭鋳
   出目秋錦
   頂天眼
   鐵尾長
   孔雀

  四、其他の觀賞魚
   目高
   變り鮒
   鯉
   闘魚

  五、變化し易き魚
  六、遷種の作り方
  七、無精のもの
  八、祖父に似る

 飼育に就ての心得
  一、金魚と空氣
  二、水の撰擇
   水の腐敗と水苔
   水の急激の變化
   金魚と水温
   下層の水の混濁
   噴水に飼育した時
  三、容器に就て
   庭前の眺め
   容器の構造
   容器と金魚の數
  四、場所の撰定
   金魚と日光
   容器の蓋
   雨滴の落る所
  五、金魚の餌
   餌の給養
   餌飼の注意

 其の時々の飼方
  一、産卵期
   冬の圍から
   種魚は別々に
   水換と餌飼
   種魚の取扱
   種魚の撰擇
   雌雄の見分方
   雄
   雌
   雌雄の愛
   産卵
   二番仔三番仔
   卵子の取扱
   孵化した仔魚
   十日間の發育
   仔魚の撰り分け
   ヅン筒で産卵
   入梅の時期

  二、成長期
   活動の季節
   夏の飼育
   餌の食ひ過
   餌は午前に
   水換と心臓麻痺 ※まひの「ま」は旧字 機種依存文字
   一抹の涼味
   姿態を作る

  三、越年はどうしてする
   冬の圍

 病氣と治療
  粗腐病
  鰓腐病
  糜爛病
  松皮病
  ふくれ
  眼病
  白天病
  虱
  錨
  蟲

 金魚の輸送

口絵
本文
奥付
遊紙裏表紙

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西暦1930年=昭和5年
関連書
「秋山吉五郎翁」昭和5年

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