「金魚のかひかた」 吉澤寛夫 猟と漁社 昭和五年 その2
序
・・・然るに市井と金魚の關係を觀るに、其の飼ひ方を知らぬため
徒らに金魚の生命を縮め遂には其の飼養をさへ斷念して・・・
・・・未だ適正に其の飼養法を教ゆる書物の少ない事を遺憾とした。
昭和五年六月 和州郡郡山柳澤養魚場にて 柳澤保惠
---メモ---
徒ら=いたずら
保惠=やすとし
冀う=こいねがう、キ
口絵
6ページを使い赤い写真で金魚8品種と2ページを使い白黒写真で
水槽と養魚場
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金魚の趣味 P.1~
・・・金魚を研究して見ると其の色彩や形態が水によく調和して一抹
の涼味を唆る許りではない、遺傳の原則がよく顯れて・・・小さな鉢
に卵子を産み、夫れが孵った仔魚に對する可愛味、金魚を殺すま
いとする人間味がある。・・・
---メモ---
涓=ケン。涓々
銷=ショウ、と・ける、け・す。銷夏
娯=ゴ、たの・しむ
唆=サ、そそのか・す
金魚の渡來と沿革 P.4~
大和本草十三の巻河魚の部、重修本草綱目啓蒙其の二十九巻
魚の部、金魚養玩草を引用して丁寧に説明
一、支那は南宋時代
秘傳花鏡、(門+虫)書南産志を引用し解説
---メモ---
(門構えに虫)=ビン
二、徳川時代の全盛
和漢三才圖繪、明良洪範、西鶴の置土産、元禄寳永珍話を引用
し解説
---メモ---
猶=なお
奢侈=しゃし 度を過ぎてぜいたくなこと
銷=ショウ、と・ける、け・す
銷夏=しょうか 夏の暑さをしのぐこと
舊=きゅう 旧
三、金魚と大和の郡山
藩士・佐藤三左衛門、柳澤伯爵家の豊田家扶、舊臣・元奈良懸
生駒農學校長上武豊太郎、城主・本多忠直、柳澤吉里、家臣・
金剛新助、行商人・高田屋嘉兵衞、舊藩主・柳澤保惠の関わり
の話
---メモ---
家扶=もと、皇族や華族の家で、家令の下で家務・会計に携
わった人
家令=皇族や華族の家の事務・会計を管理し、使用人の監
督に当たった人
四、琉球と琉金
・・・蘭鋳は・・・色は全部黑色にして尾筒の背筋の當たる處に
金色の鱗が
あった・・・
---メモ---
甃=しきがわら、いしだたみ
金魚の意識 P.20~
---メモ---
併=なら・ぶ
暇令ば=たとえ・ば、けりょう
一、安心を與へよ
給餌、水換え、掬うときなどの話
二、性質と顔形
体質、活発、温順などの話
---メモ---
貌=かたち、ボウ、バク
盡きる=つ・きる、ことごとく 尽きる
三、群衆性
・・・先頭になる魚は何時も同じ魚で他の魚は容易に先に出様
とはしない・・・
四、金魚の藝
空腹時の話
---メモ---
宛轉=宛転=えんてん 緩やかな曲線を描くさま
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西暦1930年=昭和5年
関連書
「秋山吉五郎翁」昭和5年
「金魚愛玩草」 郡山金魚の飼ひ方 上武豐太郎 林書店 昭和4年
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