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2016年12月

2016年12月30日 (金)

「金魚之常識」 阿部舜吾 慶友社 昭和30年 その4

趣味の會 ※会 P.71~
 金魚の會
  観魚会の話
  三代目・石川龜吉氏の略歴 ※亀吉

 會の様式
  運営の仕方についての話
  ・・・審査場に運ばれ、そこで數名の審査員によって豫選を初め、
  優、上、中、下と大別したのち、愈々優等魚から順に審査に移り
  ます。・・・
  第一回金鋳競和出世鑑の番付表を掲載。 ※鋳は魚壽

大會及審査規定 P.78~
 昭和二十七年度観魚会のものを掲載
 ・・・一瞥して上中下と大體三段階に格付け出來ます。そしてその
 割合は大凡上、二〇パーセント、中、七〇パーセント、下、┼パ
 ーセント位で・・・

 審査員の姿勢の話
 昭和二十九年度らんちゅう競艶会の開催日、会名、会場を記載
  会として樂友會(楽友会)、横濱觀魚會(横浜観魚会)、愛鱗
  會、愛魚會、觀魚會、紫錦會の名が書かれています。

 ---メモ---
  須らく=すべか・らく。当然のこと
  據る=キョ、コ、よる
  矯める =た・める。悪いものをよくする。

金魚の飼い方(飼育法) P.85~
 ・・・ランチュウ飼育を標準として書くことに・・・

 池の場所
  方位や樹木の話
  ・・・海岸近く、多少の鹽分を含む水は特に金魚の色を良くする
  と・・・

 池の型
  大きさ。深さ、水溜り、面数、放養尾数

 池の數とその配列 ※数
  イラスト掲載

 池の附屬品 ※属
  網、日除けの話

 水
  井戸水、水道水、雨水の話
  ---メモ---
   喧=ケン、コン、かまびすしい、やかましい

 水色と浮遊生物
 水温と適應力 ※応
  金魚が生存できる水温を記述

 水温と酸素と放養尾數 水中瓦斯との關係
  1m3中の温度別の酸素量の表を掲載
  ---メモ---
   ゲンギョウ=魚が水面に口を出して呼吸すること。

 水換えと水掃除
  ・・・割水或は水直しといい、池の上澄のところを半分位扱み集
  め、汚れた底水を捨ててから薪水で補う・・・
  月別水換表を掲載
   親魚・仔魚別、尾数、池の大きさ・深さ、気温などを記述

 日除、風除と冬圍ひ ※囲い
  日除け
   ・・・金魚が隅に片寄らぬよう池の中央に渡してやります。・・・
   時間、親魚と当才での違いなどの話

  風除け
   6~9月の仕方の話など

  冬圍い
   詳しい構造を記述

 餌料
  ・・・金魚を育むには餌料の善し悪しより、寧ろその與え方の如
  何が問題で・・・

 餌のやり方(投餌)
  「切り餌」の話
  ・・・氣温の昇降と水の温度とは時間的に約一時間のずれを生
  じます。・・・
  「漬餌」の方法
  ・・・金魚が私にこういいました、ほんとうに金魚のことを知りた
  かったら、いつも池の邊りについていて吾々の泳ぐところをぼ
  んやり眺めているのが一番いい。・・・

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2016年12月24日 (土)

「金魚之常識」 阿部舜吾 慶友社 昭和30年 その3

金魚の貿易 P.39~
 欧州への話
 米国への話
  明治四十年ごろの横浜渡しの一尾の値段を記述
  昭和六年の各地の港からの輸出尾数、外国での歩留りの話

金魚の種類 P.42~
 一、 和金
 二、 琉金
  ・・・ふな尾のものは特に吹き流しと呼ばれ・・・
  表現が面白いので少し書いておきます
   背の頂には美事な背鰭が恰かも十二分に引き絞られた、弓
   づるが描く弧のように張り擴げられた・・・

  イ、鐵尾長 ※鉄
  ロ、土佐琉金
  ハ、獅子頭琉金
   特徴がないので人目を惹かず、現存する數も少ない。
  ニ、和唐内
  ホ、キャリコ琉金
   ・・・初代秋山吉五郎が・・・米國向け金魚として特に作ったも
   の・・・その時のものは一代雜種でした。

 三、 らんちゆう
  ・・・鱗にはグアニン石灰分を多量に含むため體色は・・・

  ヘ、秋錦
  ト、津輕錦 ※津軽
   ・・・褪色が遲く、三年位も・・・
  チ、金蘭

 四、 和蘭獅子頭
  ・・・肉瘤は頭頂に厚く、高く、兩頬に少ない。所謂兜巾頭で・・・
  ・・・東京方面ではランチュウの流行に押されてか・・・。關西の
  代表魚です。・・・

 五、 出目金
  渡来の話
  ・・・群泳すること少く、てんでんばらばらで・・・

  リ、赤出目金
  ヌ、黑出目金 ※黑
  ル、三色出目金
   ・・・普通鱗性のものと違い、褪色現象がなく・・・

  ヲ、頂天眼
   渡来の話
   ・・・支那では望天魚の名を附けている。・・・

 六、 孔雀尾
  ・・・産地では地金魚又は六鱗ともいいます。・・・

 七、 東錦
  名の由来

 八、 朱文金
  作出と命名の話

  ワ、緋鮒

知樂魚莊の金魚(金魚の種類) ※楽 P.56~
 知楽魚荘とは北京西陽の金魚屋とのこと
 昭和十四年に見た中国金魚の20種類の種名、尾鰭の長短、本
 邦種に相当する色彩・体型を列挙
 種名の意味も記載
 4種のイラスト掲載

金魚の進化とその系統 P.61~
 松井佳一氏の金魚の系統図を掲載
 ・・・一般に見受ける魚種の殆どが、變異、淘汰を經て出來たも
 ので、異種交配による雜種のものとしては、僅かに朱文金、東
 錦等、いずれも雜色性の魚で・・・
 ---メモ---
  做=サ、サク、つくる。 看做=みなす

金魚の色と模樣 P.64~
 金魚の色
  ・・・古くは赤、白、黒でしたが、三色出目金の如く、雜色性のもの
  が出來てからは靑、紫等も加わり、大體五彩となった・・・
  色素胞の話

 金魚の模様
  以下の呼称を解説
   素赤、猩々
   白、赤目
   更紗、多赤更紗、赤勝、多白更紗、白勝
   鹿の子
   面被り、兩奴(両)、頬被り、丹頂、口紅、船底
   六鱗、蛇の目、三ツ星
   鼻白、頬白、白面、腰白、尾白
   引窓(まど)、面更紗
   抜け模様

  模様が飛ぶ、模様が差す の解説
  ・・・更紗同士の交配はとかく白が多く出るといわれ・・・

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2016年12月21日 (水)

「金魚之常識」 阿部舜吾 慶友社 昭和30年 その2

口絵
 白黒写真6ページ
 彩色イラスト綴じ込み1様

序に代えて
 獅子文六
  なぜ、阿部舜吾君のことを、私たちが”ヒョンさん”と呼んだのか、
  正確にはわからない。・・・ヒョンは横濱の正金銀行本店に勤め
  て・・・銀行をやめて目下、金魚のみに没頭している・・・・
       (昭和二十四年初夏)

 ---メモ---
  惟=イ、ユイ、おもう、これ
  舊=キュウ、グ、ふるい、もと
  忸=ジク、ニク、、はじる
  怩=ジ、ニ

---ここから本文---

金魚の趣味と觀賞 P.17~ ※観賞
 金魚の趣味
  ・・・動物の持つ自然の美しさ、愛らしさを感受し得るようになっ
 て、初めて各々の趣味として、夫々に樂しむことになる・・・

  ・・・結局落着くところは各人の環境によって一番手頃なものを
 撰ぶということになると思います。こんな意味から、娯樂としての
 愛玩動物にも自から範圍が限られて來るのであって、此點金額
 など昔から永らく多くの人達から可愛がられていることからしても
 確かに愛玩動物として立派な資格を備えているものといえるでしょう。

  ・・・趣味としての金魚となると、やはり自身で小さいものを順に育
 てて行く苦心、更には進んで卵から孵化させた水子を丹清して、見
 事な成魚になったその姿を眺める時の樂しさなどで、結局金魚の
 趣味はその觀賞と飼育、育成することの樂しみとは相半ばするか
 或は愛するものの成長を見て樂しむ方が一段上かと思うもので
 す。

  「日本の金魚」の著者エム・スミス氏の金魚愛についての一文を
 掲載

  ---メモ---
   盡=ジン、シン、つくす、つきる
   嘗=ショウ、ジョウ、なめる、かつて

 金魚の觀賞
  ・・・金魚の觀賞に當っても全體の均整、動作の自然なることを
 條件とします。・・・人工的な美しさばかりに目を奪われる事なく・・・

  ・・・金魚は自然の美しさの上に人工的な華やかさが加味され
 ているので・・・

金魚の起源 P.27~
 金魚渡來説・江戸時代の金魚 ※渡来
  安達喜之著「金魚養玩草」、貝原篤信著「大和本草」を引用

 江戸時代の金魚
  「西鶴置土産」、「元禄實永珍話」の引用
  東京附近の産地の変遷の話 
  ---メモ---
   諧う=かなう・ととのう、やわらぐ 、たわむれ
   諧(言+虚に似た字)小説=かいぎゃく
        洒落しゃれ・冗談などひねったところがあって、笑いや
        おもしろみを感じさせる言葉。ユーモア
        相手からの言及を前にズレてみせること

日本での金魚發祥説と群山の金魚 P.32~ ※発祥
 郡山藩士 佐藤三左衛門からの話
 雙尾連正から尾長、長崎、ランチュウ、オランダへを年代を入
 れ解説
 甲斐守 柳澤吉里からの話
 愛知県弥富の産地としての経緯

金魚の先祖 P.35~
  ・・・鯉では・・・側線上の鱗數は三十六枚とほゞ一定しています。
 鮒では凡そ二十六ですがその數に差異のあるものが出ます。・・・
 このような鮒の特異性に加えて・・・今日の金魚となった・・・

  ・・・卵の發育中の或る時期に震盪すると・・・尾の二ツあるものが
 出來るので・・・

 ---メモ---
  盪=トウ、ドウ、あらう
  震盪=しんとう。 振り動かすこと

 金魚と鯉との相違
  ・・・雜種は出來ても、その雜種の雄は不胎となって・・・

 鯉の歴史
  ---メモ---
   臘=ロウ。西希臘=西ギリシャ

---メモ---
昭和30年=1955年

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2016年12月17日 (土)

「金魚之常識」 阿部舜吾 慶友社 昭和30年

「金魚之常識」 阿部舜吾 慶友社 昭和30年3月31日發行 B6判 P.231 定價280圓

 本書は「あとがき」に記していますが、昭和24年(1949)に著した「金魚」に追加補充したものだそうです。

 内容は飼育書の部類ですが、文章が軽妙で洒落ています。一部をリュウキン解説のところに文調を書いておきました。

 序によると著者と兄は慶応大出身で殊に兄が文筆家であったのも関係しているかもしれません。

 特に面白いのが「色屑閑話の人の聞きたがる話」の項で、文書も洒落ていますが、内容も良いです。

 古書界でこの後の著作である「金魚愛玩六十年」(加島書店 昭和32)はよく出ますが、本書とこの本の元の{金魚」(慶友社 昭和24年)は、ほとんど見かけません。 手元の本は相模原市の古書店からの入手です。

【構成】
表紙カバー
遊紙

口絵
序に代えて
目次
 金魚の趣味と觀賞 ※観賞
  金魚の趣味・觀賞
 金魚の起源
  金魚渡來説・江戸時代の金魚 ※渡来
 日本での金魚發祥説と群山の金魚
 金魚の先祖
  金魚と鯉との相違・鯉の歴史
 金魚の貿易

 金魚の種類
  一、 和金
  二、 琉金
   鐵尾長 ※鉄
   土佐琉金
   獅子頭琉金
   和唐内
   キャリコ琉金
  三、 らんちゆう
   秋錦
   津輕錦 ※津軽
   金蘭子
  四、 和蘭獅子頭
  五、 出目金
   赤出目金
   黑出目金 ※黑
   三色出目金
   頂天眼
  六、 孔雀尾
  七、 東錦
  八、 朱文金
   緋鮒

 知樂魚莊の金魚(金魚の種類) ※楽
 金魚の進化とその系統
 金魚の色と模樣
  金魚の色・金魚の模様
 趣味の會 ※会
  金魚の會・會の様式
 大會及審査規定

 金魚の飼い方(飼育法)
  池の場所
  池の型
  池の數とその配列 ※数
  池の附屬品 ※属
  水
  水色と浮遊生物
  水温と適應力 ※応
  水温と酸素と放養尾數
  水中瓦斯との關係 ※関
  水換えと水掃除
  日除
  風除と冬圍ひ ※囲い
  餌料・餌のやり方(投餌)

 金魚の仔引(繁殖)
  産卵期
  種類の撰定 ※選
  種親の飼い方
  産卵
  魚巣
  孵化池の取扱いと仔魚の飼い方
  藻虫の害

 三種の生餌
  ミヂンコ ※ミジンコ
  赤孑孑 ※ボウフラ
  絲蚯蚓 ※イトミミズ

 餌採りとその始末
  ミヂンコ採り
  赤孑孑採り
  絲蚯蚓採り

 金魚の見方(鑑識)
  魚體の構成とその機能
  らんちゅうの見方
  姿勢と位置
  泳ぎ方(游泳) ※遊
  背部と腹部(背成りと腹形)
  頭部(かしら)
  尾鰭と尾皿

 金魚の取扱い方
 ガラス器の金魚
 金魚の病気
  皮膚病
  呼吸器病
  消火器病
  血行器病
  泌尿器病
  生殖器病
  氣鰾病 ※気
  甲状腺病
  脳神經病 ※経
  眼病
  筋肉病
  骨格病
  腹膜及體腔病

 金魚の害敵
 色屑閑話
  らんちゅうの禮讃
  アマチュア向きの金魚らんちゅう
  餌に繋がりのある挿話
  人の聞きたがる話
  所かわれど品かわらず
  白目高と科學の力
  右廻り左廻りと魚類の遡行性
  魚の五感

 附録
  らんちゆう一年(金魚の枝折)
  支那での金魚
 あと書

 奥付
 遊紙

---メモ---
昭和30年=1955年

ランチュウセット関連本

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