「實驗圖解 金魚の飼養」 前田閑亭 博文館 明治39年
「實驗圖解 金魚の飼養」 前田閑亭 博文館 明治39年7月28日發行 菊判 P.156 正價金八拾錢
※実験図解 飼は旧字ですが機種依存なので置き換えています。
本書は金魚飼育書の中で、句点は入っていませんが、読むのに苦労を要しない年代のうち最も古い時代の書だと思います。
また、今の飼育書や雑誌と異なり、文章に味わいがあり、金魚以外に広い教養、知識を持ち合わせていないと書けないと感じます。
尾の形の解説では特上品、上々品、上品、下品、筋などの言葉で良く書かれています。
病気の治し方やウオジラミの対応には、知られていない方法書かれていて面白いです。
雑記の項の「金魚の味」は興味深く、昭和20年ごろの戦時色が濃い時代、食糧難に対する施策のためか、あの松井佳一氏であってもこの部分に触れていましたが、戦後には味に触れた本文は見られません。
同じくこの項での「金魚と天気予報」の記述は、金魚の飼育書では初めて見ました。金魚の動きや、居る場所で翌日の天気がわかるというものです。
本書に限らず昭和初期までの本は、漢字を読めない人が多かったのか、全てにふりがながあててあります。
今読むと金魚飼育特有の専門用語の読み方が解り助かります。
例えば
仔魚(こうお) ※現代は学術的には「しぎょ」と読み、卵のうが消費されるまでの魚の名称
因みに、手元の本は昭和11年8月15日 12版発行の本です。
本書は古書界では昭和5年前後発行の書が多く、入手は容易ですが、古書価は高額です。手元の本は佐賀県唐津市の古書店から入手しました。
【構成】
表紙
遊紙
扉
口絵
自序
目次
第壹章 金魚の傳來 ※伝来
金魚の傳來
金魚の名字
金魚の法度
金魚の遊戯
金魚の輸出
支那及歐州の沿革 ※欧州
第貮章 形態
元始
構造
背鰭
尾鰭
色模様
第参章 種類
日本の種類
支那の種類
人為淘汰
第四章 飼育法總論 ※総論
飼育法の目的
寒季の飼育
暑季の飼育
餌飼方
飼育上の注意
色模様を鮮美にする法
第五章 水と容器
金魚と容器
金魚と水
水の質
水の温度
容器
第六章 水換へ及び注し水
水換の必要
注水の必要
水換及び注し水の時期及回數 ※回数
水換及注し水を行ふ方法
附 魚の取扱方
第七章 日覆と冬圍
日覆及び冬圍の必要
日覆の種類
冬圍の種類
第八章 金魚の食物
金魚の種類及適否
餌の施與法 ※与
餌食の改良説及餌の製法
第九章 藻
藻の良否
藻の使用法
藻の貯藏法 ※貯蔵
藻の代用品
第拾章 蕃殖及仔魚飼育法 ※繁殖
時期
魚の産卵數
産卵の回數
蕃殖に對する注意
雌雄魚の識別
親魚の撰擇附遺伝の關係 ※選択、遺伝
蕃殖に対する準備
孵化前の注意
卵子の孵化
仔魚の飼育法
餌付
一番水
二番水及ひ三番水
水換の注意
仔魚の撰別 ※選別
仔魚の餌飼
仔魚一般の飼養法
第拾壹章 魚の鑑別法
鑑別法の困難
仔魚の鑑別
成魚の鑑別
容と疵
魚疵
第拾貮章 病害
病氣 *病気
害敵
雑記
附録
金魚飼育 年中行事
奥付
---メモ---
疵=きず、シ、ジ
明治39年=1906年
昭和11年=1936年
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