「金魚の飼い方」 白木正光 丸ノ内出版社 昭和8年
「金魚の飼い方」 白木正光 丸ノ内出版社 昭和8年5月20日 A5判 P.177 函付 定價一圓五十錢
本書は昭和初期に発刊された金魚の飼育書で、この年を含め前後には金魚、熱帯魚などの飼育書が相次いで出されています。
著者の白木正光氏は新聞記者ですが、飼育魚関係ではこの書を含め３冊の魚の本を著しています。
本の作りはカラー写真は掲載されていませんが、本文中にはイラストよりは多めの、割と鮮明な白黒写真を適度に配しています。
章の表現も独特で、文章にはフリガナが多く、行間が広いため読みやすいです。
また、最後に小売店や問屋の広告が出ているのも珍しく、しかも金魚界では有名な方の店名も掲載されていて楽しめます。
内容は章節が細かく、あまり突っ込んだ内容はなく、浅く広く的な感じがします。この辺は実務経験からの執筆ではないことが起因しているかと推測します。
古書界ではほとんど見かけない一冊だと思います。
入手先は大阪市の古書店で函を含め状態は良いです。
【構成】
函
表紙
遊紙
扉
口絵
はしがき
目次
１、金魚禮讃
少年期と金魚
金魚屋
金魚飼ひ着手前
２、金魚飼ひ常識
金魚は死なぬ
草花栽培との比較
３、日本の金魚史
何時日本に來たか
二説の批判
金魚の記録調べ
西鶴置土産
町奴と金魚組
浮世繪と金魚
金魚屋の繪
金魚の著述
４、金魚の生物史
金魚の祖先
尾の發達
鮒の形態
鮒の習性
金魚と鮒の相違
金魚各部の名稱
金魚の鰭と尾
金魚の色彩
金魚の壽命
金魚の採點表
５、金魚美の解剖
金魚美の三要素
美的の飼い方
色彩の照應
容器
群れの美
６、金魚の種類
※種名列記
金魚の系圖
７、金魚の容器
小容器
硝子容器
陶器その他
部屋に飾る注意
大容器
金魚瓶
泉水
池
養殖池
８、金魚と水
金魚と水質
水温
濁りの研究
９、水換と注水
水換の原理
回數
水換の注意
金魚の掬ひ方
掃除の仕方
注水の意義
時期と時刻
10、日覆と蓋と冬圍
日覆
蓋
冬圍
圍ひ方
小容器の防寒法
泥池の防寒法
11、金魚の食物
動物の飼料
みぢんこ
孑孑
あかこ
あかぼうふら
貝類
魚肉
卵
蠶蛹
植物質の飼料
大麥
鉄魚麩
そば粉
麺類
ふすま其他
12、食物の與へ方
食物は控へ目に
時刻と回數
夏季の注意
水温と生長度
13、産卵とその前後
鮒の産卵
産卵の時期回數
産卵の徴候
親魚の選定
雌雄の見分け方
親魚の飼ひ方
産卵池
産卵と天氣
産卵と温度
雌雄の組合せ方
産卵材料
卵の容器
産卵中の注意
孵化迄の注意
孵化
14、仔魚の育て方
孵化當時の仔魚
仔魚の食物
一番水
選別
變色
變色と水温
蘭鋳仔魚の育て方 ※鋳は魚壽
15、金魚の産地と輸送法
郡山
尾張彌富 ※弥富
東京
その他の地方
金魚屋の金魚養成法
金魚屋の収支計算
呼賣金魚屋
副業として金魚
金魚の輸送法
金魚の小包便
卵の輸送
16、金魚の海外進出
米國へ輸出
金魚の船旅
輸出金魚の種類
あちらの金魚店
米國の金魚
17、金魚の蟲害
病魚の見分け方
病因の四大別
粗腐病
鰓腐病
松皮病
糜爛病
ぬまり病
眼病
糞詰病
その他
害敵
鳥類
獣類
蛙
昆蟲類
魚虱
錨蟲
あをさ
口繪目次
一圖から五十九圖までのタイトルを記載
奥付
広告
遊紙
－－－メモ－－－
昭和８年＝1933年
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