「金魚文化誌」 書誌学的考察 松井佳一・松井魁 鳥海書房 昭和62年 その3
第三章
一 日本への金魚の伝来 9ページ
文亀年間の金魚伝来の傍証
文禄四年(1595)刊行の天草版日羅辞書は金魚のことをコガネ
ウオとしている。
朝鮮と金魚の話
伝来初期の文献を8点紹介、書名、著者、発刊年、該当箇所
説明を掲載
ここでは書名のみ書いておきます。なお、金魚養玩草について
は良く解説されています。
多識篇、訓蒙図彙(きんもうずい)、和事始、本朝食鑑
大和本草、倭漢三才図会、続江戸砂子、
金魚養玩草、金魚秘訣録、広大和本草、金魚名類考
大和本草枇正、紀伊続風土記、海録、
日本唐土二千年袖鑒、魚貝能毒品図考、随観写真
十三朝紀聞、萬物故、俗事百工起源
以上の文献より、伝来5説について記述している。
龍晴魚、望天眼魚、珍珠鱗魚、水泡眼魚、絨球魚、紅頭魚
玉鱗の伝来の話
図説日本 アンペール著、中国金魚図譜 サウピギニー著
の上記出典
---メモ---
彙=イ、あつめ、あつま 一所に集める
韜=トウ、ゆぶく、つつむ 弓や剣を入れておく袋。 つつんでし
まいこむ、中に隠す。
歿=ボツ、モチ、しぬ 没に書き換えられる
簽=セン、かご 題簽(だいせん)=和漢の書籍の表紙に
題名などを記してはる細長い紙片など。
鑒=カン、ケン、かんが・みる、かがみ、「鑑」の同字。
日本博物学年表 1934 白井光太郎
簽=セン、かご
素柳坂物語
二 日本の金魚伝来についての傍系証左 4ページ
下記文献の刊行年、著者、「金魚」の語句の部分を紹介
浮世草子、戯曲、俳諧、川柳、俳句、狂歌、小咄俗談、絵本
浮世絵、錦絵、地誌、金魚養玩草、金魚池
---メモ---
嚆=コウ、キョウ、さけぶ。
嚆矢=こうし。ものごとの始まり。
三 金魚の日本出現説の否定 3ページ
下記文献から解説
江源武鑑 佐々木氏郷著 1656
大和郡山に於ける金魚育養調査書 古川松相 1980
郡山の農業学校長 上武豊三郎氏の話
---メモ---
濫觸=らんしょう。物事のおこり
謬見=びゅうけん。まちがった考えや見解。
四 日本に於ける金魚に関する文献 30ページ
書名、著者、刊行年を記載されています。著者の蒐集品
とのこと。
文禄4年(1595)~昭和49年(1973)までの文献です。
古書探しには良い資料です。
1 金魚一般 170点
2 金魚飼育法 69点
3 考証資料 46点
4 品評会に関するもの 14点
5 金魚名所、地誌、取引記録 26点
6 絵入本 189点
7 艶本 14点
8 金魚を図案とした刊行本 13点
五 日本に於ける金魚飼育史 12ページ
1 徳川時代
文献に基づき詳細に解説
・・・金魚飼育手引書としての名著金魚養玩草が寛延元年
(1748)に刊行されるに至った。これは著者安達喜之が堺、
大阪で41年前から親しく金魚を飼育した経験を記述したも
のである。・・・異本が少なくとも6種あり・・・
2 徳川時代の金魚の種類
名称の初出を文献から詳しく紹介
解説種はワキン(和金)、リュウキン、ランチュウ(卵虫)
オランダシシガシラ、ワトウナイ(和唐内、和籐内)、ヂキン
(ヂオウ)、トサキン、ナンキン、ツガルニシキ、オオサカ
ランチュウ
淡路屋卯兵衛、大鮫松太郎
---メモ---
八朔=はっさく。旧暦の8月1日のこと。
3 幕末より明治以降
品評会の変遷などの話、輸出の話
明治38年頃の相場
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松井佳一氏の金魚の本一覧
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