「金魚文化誌」 書誌学的考察 松井佳一・松井魁 鳥海書房 昭和62年
「金魚文化誌」書誌学的考察 松井佳一・松井魁 鳥海書房 昭和62年8月19日 A5判 P.181と索引P.20 函付 限定出版 非売
本書は自然科学の古書を扱う鳥海書房より発刊された本で、著者は金魚界で足跡を残した松井佳一氏及び弟の松井魁氏による書です。
内容は松井佳一が蒐集した金魚に関する古書・文献や美術品などを、幅広い知識で紹介していて、以前紹介した「日本の金魚」(昭和18年)にも目録が掲載されていたが、この本はより詳細に書かれています。
中国書の解説か所はインターネットや用語の基礎辞典、漢和辞典などが必要となります。
著者名が連名となっているのは、発行する前に松井佳一氏が死去したためで、その後を末弟である松井魁氏が補っています。
そのため扉部の著者名が「松井佳一 遺稿」、「松井魁 補遺」となっています。
このことのついては、先に紹介した「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」(昭和57年)にも少し記されています。
それぞれの名はヨシイチ、イサオと読みます。読みについては追悼記に佳一氏本人の弁が記載されています。
本の作りは函付、グラシン紙、金文字と高級感が漂います。本文は中国文献紹介ページは難しいが、適度に文献の白黒写真が掲載されています。
非売ながら年数が新しいためか古書界では時々見かけます。
【構成】
表紙
遊紙
扉
口絵
目次
第一章
一 地球の誕生と魚類の出現
二 人類の出現と歴史時代
三 動物学上の金魚
第二章
一 中国に出現した金魚
1 中国文化史に現れた淡水魚
2 金魚が記述せられている中国古文献
二 中国で金魚の出現を表す文献
三 中国に於ける宋以来の金魚飼育史
四 中国民族に表れる金魚
1 正月行事に表れる金魚
2 元宵節に於ける金魚
3 民芸品にある金魚
五 中国の美術工芸品に現れる金魚
1 陶磁器
2 絵画
3 版画
4 硝子絵
5 彫刻
イ 宝石類
ロ 大理石
ハ 象牙
ホ 七宝
六 金魚の名で金魚でないもの
七 金魚異名(別名)考
1 中国文献に於けるもの
2 金魚の外国名
八 中国に於ける金魚飼育考証文献
九 中国に於ける金魚の品種
十 中国金魚の国外への流出
第三章
一 日本への金魚の伝来
二 日本の金魚伝来についての傍系証左
三 金魚の日本出現説の否定
四 日本に於ける金魚に関する文献
1 金魚一般
2 金魚飼育法
3 考証資料
4 品評会に関するもの
5 金魚名所、地誌、取引記録
6 絵入本
7 艶本
8 金魚を図案とした刊行本
五 日本に於ける金魚飼育史
1 徳川時代
2 徳川時代の金魚の種類
3 幕末より明治以降
六 金魚に関する日本の民俗
1 金魚の見世物
2 金魚屋
3 金魚売り
4 硝子天井の金魚
5 郷土玩具
6 絵馬
7 姓名
8 切手
9 金魚の諺言隠語 ※げんげん
イ 金魚の刺身
ロ きんちやぶ
ハ 金魚に孑孑 ※子子に似た字 ボウフラ
ニ 金魚 月經
ホ 金魚 麩
ヘ 金魚酒
ト 金魚にチャプ
10 分身(刺青)
11 金魚でない金魚の名のあるもの
七 日本に飼育せられている金魚の品種
1 原産地の中国から古く輸入せられたもの
2 日本で生産せられたもの
イ 原種から突然変異を淘汰固定したもの
ロ 交雜により生産したもの
ハ 新しく交雜し略固定したもの
ニ 新淘汰して殆ど固定したもの
3 終戦後中国から輸入して繁殖したもの
4 米国から里帰りしたもの
5 米国から輸入したもの
八 日本文学上の金魚
1 浮世草子
2 戯曲
3 草双子
4 黄表紙
5 物語本
6 随筆
7 他誌
8 俳諧
9 川柳
10 狂歌
11 絵入本
12 其の他の本
13 魚譜
九 日本美術品に於ける金魚
1 絵画
2 浮世絵
イ 肉筆画
ロ 赤摺絵
ハ 錦絵
(一)金魚鉢または池に人物を配したもの
(二)硝子器の金魚
(三)着物の模様にある金魚
(四)金魚売
(五)玩具の金魚
(六)装身具の金魚
(七)諷刺絵、見立絵
(八)金魚を主にしたもの
(九)作りもの
(十)おもちゃ絵
(十一)双六
(十二)摺物
3 陶磁器
4 漆器
5 七宝
6 銅器
7 鉄器
8 刃物小物
9 彫刻
10 織物
11 其他
第四章
一 金魚に関する生物学的研究業績
あとがき
索引
奥付
遊紙
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昭和62年=1987年
松井佳一氏の金魚の本一覧
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