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2013年5月29日 (水)

「ハスの研究」 豊田清修 有明書房 昭和56年

「ハスの研究」 豊田清修 有明書房 昭和56年11月15日 A5判 P.168 函付 カバーなし 3,000円

 ハスの研究については大賀一郎博士が有名で、著作も以前紹介した「」、「蓮と共に六十年」などがあります。
 本書も数少ないハスに関する本で、書名に”研究”とは謳っていますが、”はじめに”で著者も触れていますが”平易に解説した”というように、読むのに苦労はありません。

 1ページに1、2点のイラストや白黒写真が配置されていて、読みづらさもありません。
 しかし、実験等の状況も書かれていますが、「研究だぞ」と言うような感じで無理があるような気がします。
 著者は大学の教授で名は「きよのぶ」と読むそうです。大賀博士のように植物の専門家ではありません。

 古書界では、冊数も豊富で、古書価も高くはありませんので入手は容易です。

【構成】

表紙
遊紙

口絵
はしがき
目次
 はしがき
 第1章 ハスの形態
  1.葉の形態
   A.成葉の形
   B.果実から発芽した葉
   C.葉の微細構造

  2.花の形態
   A.つぼみの形
   B.花について

  3.果実の形態
   A.果実の成熟段階
   B.果実の大きさと形
   C.果実の内部

  4.果託の形
  5.根茎の形
   A.根茎の外形
   B.根茎の断面

 第2章 ハスの生理・生態
  1.ハスの実の発芽
   A.未熟の果実で発芽
   B.ハスの実の自然発芽
   C.自然発芽の条件

  2.ハスの開花
   A.開花音があるか
   B.花の傾光性と開花日数
   C.果実よりの開花年数
   D.果実から早く開花させる法

  3.ハス池の泥土中のガス組成
   A.ハス池とイネ田におけるガス分析
   B.年間のガス組成の変化
   C.泥中のガス組成とハスの実のガス組成との差異

  4.ハスの絶滅
   A.他植物による圧倒
   B.動物による食害
   C.病原菌による
   D.人為的の害毒による

 第3章 ハスの生理・生化学
  1.ハスの実のガス分析
   A.ガス分析の方法
   B.分析に用いる薬品,器具
   C.二酸化炭素と酸素の定量
   D.ガス分析の結果

  2.根茎の気道内のガス分析
  3.ハスの呼吸
   A.葉における呼吸
   B.根茎における呼吸
   C.種子における呼吸
   D.芽生えの呼吸

  4.種子のクロロフィル
   A.クロマトグラフィー
   B.吸収曲線による判定
   C.ハスの幼芽におけるクロロフィルaとbの量比
    a.ペーパークロマトグラフィーによる
    b.光学密度から連立方程式による
   D.ハスの果実と光の透過率
   E.植物種子のクロロフィル

  5.ハスのアルコルビン酸
   A.種子のアルコルビン酸
   B.芽生えのアルコルビン酸
   C.葉におけるアルコルビン酸
   D.ハスと他の種子のアルコルビン酸含有量の比較

  6.ハスの種子とアルコール
   A.ハスとその他の種子におけるアルコール
   B.ハスその他の種子の無気呼吸におけるアルコール
   C.ガスクロマトグラフによる分析
      (参考)アルコール研究のきっかけ

  7.ハスと他の植物種子の無気呼吸における水素の発生
   A.種子とそのホモジェネレートにおける水素発生
   B.光の影響
   C.空気混入の影響
   D.Renwickらによる高等植物での水素発生

  8.ハスのアルカロイド
   A.Nelumbine
   B.その他のアルカロイド
   C.妙蓮,検見川ハスのアルカロイド

 第4章 古生と現生のハス
  1.古生のハス
  2.現生の古いハス
   A.青蓮
   B.大阪枚岡市の原始蓮
   C.自然ハス
   D.普蘭店のハス
   E.検見川出土のハス
   F.鎌倉源平池出土のハス

  3.新古ハスの実の発芽と生長の差異
   A.発芽率の相違
   B.生育状態の相違

  4.ハスの実の埋没と発芽
   A.ハスの実の埋没試験
   B.アメリカでの種子埋没試験
   C.加圧,経年によるハスの実の形態的変化
    a.果実の耐圧試験と生命力
    b.圧力機によるテストと土圧

  5.ハスの実の生死と概略年数の判定
   A.生死を判定する法
   B.概略年数を調べる法

 第5章 行田出土のハス
  1.発掘より開花まで
  2.発芽生長した行田ハスの形態
   A.全形
   B.葉
   C.花
   D.果実
   E.子房?の数
   F.根茎の断面

  3.出土したハスの実の形態
  4.新旧果実の形態比較
  5.行田ハスの実の化石
  6.行田ハスの実のき裂についての実験
   A.日光照射によるき裂
   B.果実の微細構造

  7.行田ハスの実の年代測定
  8.古代種子発芽についての異説 アリの運び
  9.移植した行田ハス
   A.神奈川歯科大で開花
   B.三渓園,大船フラワーセンターで開花

  10.行田ハス出現のなぞを探る

 第6章 ハスの栽培法
  1.果実よりの発芽,栽培法
  2.蓮根からの栽培法
   A.観賞用あるいは実験用
   B.食用バスの栽培
   C.病害とその対策
    a.アブラムシ被害
    b.斑点病
    c.褐班病
    d.腐敗病
    e.その他の原因

 第7章 古典に現れたハス
  1.日下江の入江のハス(古事記)
  2.一茎二花の蓮(日本書紀)
  3.荷葉飯(大和本草)
  4.曼荼羅,蓮酒,蓮肉(古今要覧)
  5.廬山泊蓮実600年で発芽(甲子夜話)
  6.果頭の傍に小突起(草木性譜)
  7.藤井氏の奇形蓮花の研究

 第8章 ハスの利用法
  1.観賞用
   A.古典に見られる品種
   B.現生のおもな品種
    a.誠蓮
    b.茶碗バス
    c.妙蓮
    d.行田ハス,青蓮,廬山泊,瑞光蓮,大白蓮
    e.碧台蓮

  2.食用
   A.蓮根
   B.ハスの実
   C.ハスの葉
   D.食用ハスの品種
    a.シナバス
    b.早生中種
    c.天王蓮
    d.上総種
    e.青葉種

  3.工芸品
   A.製作に用いるハスの実
   B.数珠
   C.ロザリオ
   D.ネックレス
   E.ハス糸の織物

 第9章 ハスの進化に関する考察
  A.行田ハスの形態から
  B.ハスの形態的進化
  C.生理・生化学的差異
  D.碧台蓮は突然変異か

 附録 ハスに関する国内のおもなる文献及び図書
 あとがき

本文
附録
あとがき
奥付
遊紙

-----メモ-----
1981年=昭和56年
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