「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」 松井魁 昭和57年
「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」 松井魁 昭和57年4月 非売品 A4判 P.129
本書は本という体裁は採っておらず、A4判で報告書風な装丁で、紙質は良く、文字がぎっしりで口絵の2葉以外イラスト、写真、図表はありません。よってページ数のわりに読むには時間を要します。
金魚に関心を持つと必ずこの人に出会うほど、松井佳一氏は金魚界では功績の多い方です。本書は氏が没した昭和51年(1976)から6年後に末弟である松井魁氏により、松井佳一氏の業績を取り纏めた書として出されたました。
主な内容は、本人(松井佳一氏)曰く随筆と言っていますが、氏の31才頃までの自叙伝が80ページを使い転載されています。日記形式ではあるが師である外山亀太郎博士の指導、当時の各地の水産講習所の事や秋山金魚店での日々の実験等、読み応え十分であり、氏の勤勉さもよく伝わってきます。
「佳一」の読み方について考察している箇所もなかなか面白いので、この箇所は抜粋しておきました。因みに「よしいち」です。
なお、先に書いた「秋山吉五郎翁」吉澤寛夫 昭和5年 とも共通部分があって、両書を読み較べるのもいいものです。
また、金魚本の文献、資料を探している方にとっては、この本の「金魚に関する書誌目録」の章は必見で、15ページを割り当て、明治以前も含めて、昭和52年までに国内で刊行された多くの飼育本の名称等が列記されています。
著者は松井佳一氏の末弟で「マツイ イサオ」と読みます。
同氏はこのほかに、佳一氏との連名で生物学の古書では有名な古書店の鳥海書房から、昭和62年に「金魚文化誌」副題 「書誌学的考察」を出版しています。(2800円)いずれ紹介したいと思います。
上記の本の扉での著者名は
松井佳一 遺稿
松井魁 補輯
となっています。松井魁氏は1987年(昭和62年)に没しています。
この本、出版年は新しいけれど、非売品で発行部数が少ないためか、古書市場にまったく出てきません。入手困難な本の一冊です。
【構成】
表紙
口絵
目次
あいさつ
略歴
追悼
業績目録 ※番号はローマ数字だが機種依存のため変えました。
i,原著論文
ii,報文
iii,随筆
iv,メキシコ政府顧問時代の著作目録
v,著書
金魚に関する書誌目録
故人による回想
i,私の魚歴
ii,私と金魚
iii,トップに聞く
-----メモ-----
昭和57年=1982年
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