「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」 松井魁 昭和57年 その5
東京大正博覧会
・・・工業館、御木本の真珠加工ががことに興味があった。
・・・館外に特設の多数のコンクリート池には、新潟県古志郡
竹沢村東山村鯉魚出品組合から出品の大きな色鯉は実に
美しく・・・これが現在流行している錦鯉が知られたはじめで
あった。・・・
・・・東京外語学校独語専修科の入学試験があるので・・・
学年最後の高島実験場の臨海実習
・・・岡村先生より例年の習慣で卒業後の方針などを尋ね
られる会合があった。卒業生の就職口はないとのことで
あった。・・・私は研究をつづけたい旨を申し出た。
照憲皇太后ごれん葬に参列 省略
下宿の移転 - 近火に遇う
・・・夜卒業論文の起稿にかかった。
・・・徴兵検査の汽車賃と日当を含む帰郷旅費は支給せらる
るとのことは・・・
徴兵検査帰郷の旅
・・・私は・・・身長5尺3寸6分(161.4cm)、体重13貫7百匁
(52.0kg)・・・結果は痔疾で戌種で、翌年まわしの決定であ
った。・・・
---メモ---
壮丁=明治憲法下で、徴兵検査を受ける義務のある満20
歳の男子。
徴兵検査
甲種、乙種合格は徴兵
丁種合格は、不合格
丙種合格は国民兵
戌(ぼ)種合格は、兵隊の適正が判断しにくい
卒業論文、卒業試問
6月21日(日)・・・夜12時前卒業論文漸く完成した。「スッポ
ンの諸器官の顕微鏡組織について」である。
試問の内容を記述
卒業式
7月5日(日)・・・午前10時卒業式場に入り・・・
・・・本郷曙町に日暮先生を訪い、今後の研究について御意
見を聞いたところ、外山亀太郎博士の金魚のメンデリズムの
実験を助手として手伝わないかととのこと。・・・望むところで
あるのでお引受をした。
卒業後の研究活動 省略
外山先生との初会見
・・・外山先生も御来場。ランチュウと出目金、出目と出目の
F1を選別調査、実に面白い結果が出ていた。・・・
高島実験場への旅
・・・欧州戦乱のため写真材料が2倍に高騰して・・・
---タグ---
膠州湾
帰郷の旅
---タグ---
舞子介類館、矢倉甫田、農林省蚕業試験場(さんぎょう)
慈母の死去
・・・59年前の日記を読みて思い出を新にした。詳記するに
忍びない。
・・・養殖研究室に一席を貰い、富長君より送付の真珠につ
いて研究することとして準備を整えた。
青山に外山先生を訪う。研究問題としてランチュウの骨格と
肉瘤の組織学的研究の問題を与えられた。・・・
・・・深川西町の高橋金魚屋へ行きランチュウを見る。研究
材料としてはあまりに高価であった・・・
---メモ---
逮夜=四十九日や一周忌など、定められた供養日の前日や、
命日の前夜
大正4年(西暦1915年乙卯) ※24才
ランチュウの肉瘤の研究の様子を記述
・・・歩兵第一乙種合格・・・
蚕業試験場への就職
・・・「本日午前10時出頭相成度し」との端書が農商務省蚕業
試験場より・・・場長加賀山辰四郎より「助手を命じ生理部勤
務」の辞令を受け、外山先生の室で・・・ランチュウの肉瘤に
ついて研究をつづけるようにとのことで・・・
・・・参考書は試験場で購入するが、参考書は自分で買うよう
に心掛けるべきである。・・・
秋山での金魚の実験を記述。
---メモ---
仍=ジョウ、ニュウ、よ・る、しきり・に、なお
賜暇=しか。官吏が願い出て休暇を許可されること。
帰郷の旅
---メモ---
魚梯=ぎょてい。魚が河川をのぼれるように作る、ゆるい
傾斜や階段状の水路。魚道。
大正天皇御即位
---メモ---
酸鼻=さんび。いたましくむごたらしいこと。また、そのさま。
大正5年(1916年) ※25才
今年度の研究について3点記述
仏語の学習
金魚、メダカ、に加え闘魚、イトミミズの試験の話も出てくる。
金魚は交配・交雜の種名まで書かれている。
蚕業はフランスと関係が深いので・・・
・・・秋山実験場へ行き金魚を観察し帰途朝鮮産闘魚を持ち
帰った。
文献については私も従前から蒐集につとめていたが。先生
(外山先生のこと)より文献は出来得る限り自費で買い集め
ることが良策で必要である・・・私は学生時代よりつとめてい
ることで・・・
・・・試験場でも購入費は豊富で丸善書店の得意先であって
・・・吾々にも多額の貸し売りをしてくれるので誠に助かった。
・・・1種の月賦制度であった。
・・・秋山実験場へ行き・・・白メダカを持ち帰った。雄が発見
できないので・・・
・・・ランチュウの肉瘤についての研究を一応取りまとめた。
・・・浅草へ行き観音裏千束町の金魚商石川亀吉氏を訪い、
折柄開催中の観魚会の品評会を視察した。
---メモ---
蚕蛹=さんよう
簇=ソウ、むら・がる
上簇=じょうぞく。成熟した蚕を、繭を作らせるため、蔟
(まぶし)に移し入れること。
訪い=とぶらい
---タグ---
金子保、横山慶次郎、水島南平(以上画家、写生)
日本育種学会、海事水産博覧会、西ヶ原の高等
蚕糸学校
-----
日本ブログ村観賞魚 沢山ブログが集まっているサイト
« 「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」 松井魁 昭和57年 その4 | トップページ | 「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」 松井魁 昭和57年 その6 »
« 「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」 松井魁 昭和57年 その4 | トップページ | 「金魚と真珠の研究に精力を捧げた 農学博士 松井佳一追悼記」 松井魁 昭和57年 その6 »
コメント