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2012年6月

2012年6月20日 (水)

「巨椋池の植物生態」 三木茂 京都府史蹟勝地調査會 1927年 その4

六、群落の分布に關する生態的考察 8ページ
 (一)渚生植物群落

  • ハス、マコモ、ヒメガマ、ヨシの占有面積比について、水深、土壌、節間伸長から説明。

 (二)水生植物群落

  • エビモとガガブタが季節的交代により同一地積に存在する説明。
    ミズヒキモとヒロハノエビモ、ササバモとの関係を説明。

 (三)浮遊植物群落

  • トチカガミとウキクサ、サンショウモとの関係を説明。
    ムジナモが東北岸桃山にのみ限り存在する理由。

七、結論

  • 水位の変化を2m、2m(大曲)、4~5mと3区分し、それぞれに池の中心から外縁に向い生育する種類を一覧表で掲載。

八、摘要
 引用文献
 附圖の説明
 巨椋池産植物目録
  学名、和名、生育地、年数(一年、多年等)を記載。種数だけ
  書いておきます。
   i.隠花植物
   シャジクモ類 2種
   蘚苔類 2種
   シダ類 4種

  ii.顯花植物 ※顕花
   1.単子葉類
    ガマ科 2種
    ヒルムシロ科 7種
    イバラモ科 3種
    オモダカ科 3種
    トチカガミ科 6種
    禾本科  21種 ※イネ
    カヤツリグサ科 25種
    テンナンシャウ科 1種 ※テンナンショウ
    ウキクサ科 2種
    ホシクサ科 2種
    ツユクサ科 1種
    ミヅアフヒ科 1種 ※ミズアオイ
    ヰ科 2種

   2.雙子葉類 ※双子
    ハンゲシャウ科 1種 ※ハンゲショウ
    ヤナギ科 2種
    タデ科 8種
    ヒユ科 1種
    キンギョモ科 2種
    ヒツジグサ科 4種
    ウマノアシガタ科 2種
    十字科 3種
    イシモチサウ科 1種 ※イシモチソウ
    ベンケイサウ科 1種 ※ベンケイソウ
    マメ科 1種
    ミヅハコベ科 1種 ※ ミズハコベ
    ミゾハコベ科 1種
    ミソハギ科 4種
    アカバナ科 6種
    アリノタフグサ科 4種
    サンケイ科 4種
    サクラサウ科 1種 ※サクラソウ
    リンダウ科 2種 ※リンドウ
    シンケイ科 5種
    ゴマノハグサ科 7種
    ゴマ科 1種
    タヌキモ科 4種
    キツネノゴマ科 1種
    アカネ科 2種
    ウリ科 1種
    キク科 4種

圖版
 巨椋池の全景 白黒写真
 マコモ状況 白黒写真
 主植物の分布圖 イラスト
 ヲギ(※オギ)、フトヰ(※フトイ) 白黒写真
 ヨシ 白黒写真
 セイコノヨシ、ツルヨシ 白黒写真
 セイコノヨシ、ヨシ、ツルヨシ、オギ 断面描画
 マコモ 断面イラスト
 マコモ 白黒写真
 ガマ、ヒメガマ 白黒写真
 ハス 生育經過模型図 描画
 ハス 白黒写真
 オニバス 白黒写真
 ヒシモドキ、ガガブダ、ヒシ 白黒写真
 ヒメカハホネ(※コウホネ)ヒツジグサ 白黒写真
 マルバオモダカ、ヨシ、アゼナ、ヒシ 白黒写真
 オグラノフサモ、タイモ、フサモ、クロモ 白黒写真
 エビモ、センニンモ、ヒロハノエビモ、ミズヒキモ 白黒写真
 マコモ、ヨシ、フトヰ、ガガブダ、イバラモ、トリゲモ 描画
 トチカガミ、ヒメタヌキモ、ミカハタヌキモ、ノタヌキモ
 サンショウモ 描画
 ムジナモ、ゴハリキンギョモ、トチカガミ 白黒写真
 タヌキモ、ヒメタヌキモ、ノタヌキモ 白黒写真
 セキショウモ、カウガイモ(※コウガイ)、クロモ 白黒写真
 カサスゲ、カワジサ(※カワジシャ)、ドクゼリ 白黒写真

これでこの本の紹介は終わりです。

2012年6月18日 (月)

「巨椋池の植物生態」 三木茂 京都府史蹟勝地調査會 1927年 その3

四、主要植物の生態
 (一)湿地生植物 1ページ
  ヲギ
 (ニ)渚生植物 15ページ
  ヨシ屬

  • ヨシ、セイコノヨシ(ウドノヨシ)、ツルヨシの形態的特徴、葉の鋸の差異、蕃殖形態を説明
    巨椋池ほか5地点での地下莖、稈、葉の成長記録表、京大植物園での実験結果表を掲載

  マコモ
   京大植物園での実験結果表を掲載
   湧水個所は発育不良と述べている。

  ガマ屬
   ヒメガマとガマの数値的比較表を掲載
   京大植物園での実験結果表を掲載

  フトヰ
   綠莖は地下莖の七節毎に出る

  ハス
   莖(越冬莖は蓮根)の生長について詳細な記述。
                          ※大変興味深い

 (三)浮葉植物

  • オニバス、ヒシ、ガガブタ、ヒツジグサ及ヒメカハホネ、マルバオモダカ、ヒシモドキ

 (四)沈水植物
  エビモ、ミヅヒキモ
  イバラモ屬
   巨椋池にはイバラモ、トリゲモ、ホッスモあり。
  センニンモ、ササバモ及ヒロハノエビモ、カウガイモ及セキシウモ
  キンギョモ及ゴハリキンギョモ

  • ゴハリキンギョモは従來臺灣のみに知られたるも、京都二中、丹信實氏によりて此の池に存するを知れり。

  フサモ屬

  • 巨椋にはホザキノフサモ、オグラノフサモ、フサモ、タチモの4種あり。
    オグラノフサモは・・・・フサモと區別せられ、主として巨椋附近及寳池(※たから)にて發見せられたるにより巨椋を記念する為、オグラノフサモと命名し學名 Myriophyllum oguraenseを與へたる所以なり。

 (五)浮遊植物
  トチカガミ
  ムジナモ
   種子を1年半乾燥保存し、発芽に至った話あり。

  サンショウモ及アカウキクサ
  タヌキモ屬

  • 巨椋池には他にノタヌキモ(Utricularia pilosa)、ミカハタヌキモ(U.nagurai)、ヒメタヌキモ(U.minor)が産す。

五、植物景觀 3ページ
 (一)自然状態に於ける諸群落

  • 濕地帶とは夏の常水位近くに存在し、時々の增水によりて氾濫する部分。
    渚帶は夏の常水位と冬の常水位との間に位置する部分。

   一、ヨシ部落
   二、マコモ部落
   三、ハス部落

 (ニ)稻作地
  稲田
   一、小形にして蕃殖力強く且、除去に困難なるもの
    (マツバヰ、ヒデリコ、アゼナ、アゼトウガラシ)
   二、生活期間が稻より短く弱光にも堪へ得るもの
    (キカシグサ、コウキクサ、ミゾハコベ)
   三、春期稻苗を植へ付くるまでに生育を終るもの
    (ムツヲレグサ、コオニタビラコ、スズメノテッポウ)

  畦道
  溝

2012年6月14日 (木)

「巨椋池の植物生態」 三木茂 京都府史蹟勝地調査會 1927年 その2

一、緒言 3ページ

  • 池の形成経緯、池の大きさ、植生の概要、各氏への謝意

     「巨椋池は山城盆地の東南に位し、京都より南へ十粁、伏見より同二粁、宇治より西に二粁、桃山御陵より南に瞰下せらるヽ一大沼地なり。・・・・・。
    現状。海抜一〇.二米、東西四粁、南北三粁、周圍十六粁、其の面積九百二十九ヘクターあり。・・・・・」

           (昭和二年六月三十日 京大植物學教室にて)

ニ、生態要素 4ページ
 (一)水深及水位の變化

  • 大正6年から大正15年までの月別水位の表を掲載。
    宇治川との連絡を絶った後は1.5m、冬季には0.5m程度だったとの事。

 (ニ)水の性質

  • ・・・・酸度は略六より八なり。・・・マコモの内部は六に近く、他の多くの場所は八に近し。・・・・

 (三)氣象
  月別の風向、氣温、降水量、降水日数の表を掲載。
  夏の気温は意外に低く28.9度となっている。
 (四)土壌

三、巨椋池所産植物 3ページ
 この地域には四十七科九十六屬百五十三種三變種の植物あり。
 本邦産水生植物にて巨椋池に存せざるは八屬に過ぎず。

  • ボタンウキクサ、ミジンコウキクサ、イトクズモ、スギナモ、エゾノミヅタデ、ウメバチモ、ジュンサイ、ミヅニラ

  これらの存しない理由を解説している。

  • 一年生及冬期二年生、多年生を稲田生、湿地生、渚生、水生毎に種數を分類。さらに水生を浮遊植物、浮葉植物、沈生植物に三別。
    浮遊11種、浮葉9種、沈水20種の名を列挙

2012年6月11日 (月)

「巨椋池の植物生態」 三木茂 京都府史蹟勝地調査會 1927年

「巨椋池の植物生態」 三木茂 京都府史蹟勝地調査會報告第八冊別刷 1927年
  190*265 本編P.145及び図版(肉厚紙 写真含 片面)25ページ

 国産水草が好きな方はオグラコウホネ、オグラフサモの名を知っていると思いますが、巨椋池は昭和8年からの干拓事業によりその姿を消した池でした。

 著者の三木茂氏は古書界において数年に一度しか出ず、かなり高額である「山城水草誌」を著した京大の教授である。

【目次】
一、緒言
ニ、生態要素
 (一)水深及水位の變化
 (ニ)水の性質
 (三)氣象
 (四)土壌

三、巨椋池所産植物
四、主要植物の生態
 (一)湿地生植物 ヲギ
 (ニ)渚生植物
  ヨシ屬、マコモ、ガマ屬、フトヰ、ハス
 (三)浮葉植物
  オニバス、ヒシ、ガガブタ、ヒツジグサ及ヒメカハホネ
  マルバオモダカヒシモドキ
 (四)沈水植物
  エビモ、ミヅヒキモ、イバラモ屬、センニンモ、ササバモ及
  ヒロハノエビモ、カウガイモ及セキシウモ、フサモ屬
  キンギョモ及ゴハリキンギョモ
 (五)浮遊植物
  トチカガミ、ムジナモ、サンショウモ及アカウキクサ
  タヌキモ屬

五、植物景觀
 (一)自然状態に於ける諸群落
 (ニ)稻作地

六、群落の分布に關する生態的考察
 (一)渚生植物群落
 (二)水生植物群落
 (三)浮遊植物群落

七、結論
八、摘要
 引用文献
 附圖の説明
 巨椋池産植物目録

-----メモ-----
1927年=昭和2年
関連本 地域系

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2012年6月 7日 (木)

「金魚の飼い方ふやし方」 新井邦夫 松井佳一監修 福書房 昭和29年 その5

十一 病害虫の種類とその手当及駆除 12ページ
 害虫6種、魚病(キロドン、コスチア等)8種、寄生2種の解説

十二 金魚の遺伝 4ページ
 ・・・・退色の傾向は雌親に似てくる・・・・

十三 金魚生産地における養殖業発達の沿革 19ページ
 この項は他の書籍では見られない事柄が書かれており、
 資料的価値も高い。

 (一)奈良県郡山地方

  • 「大和金魚養殖の方法」古川松柏著、「日本地理体系」惟子三郎著を引用して説明
    郡山金魚組合、郡山金魚株式会社、郡山金魚特産組合、郡山金魚輸出組合、セントルイスの博覧会の話
    高槻氏、小松春鱗氏の活躍

 (二)東京近郊
  先代秋山吉五郎氏の経歴と業績の話

  • 東京金魚組合、東京金魚種鯉販売購買組合、淡水魚類養殖漁業協同組合の話
    戸山博士、横山慶次郎画伯、明治43年と明治45年の洪水、津波の話

 (三)愛知県彌富地方 ※弥富
  権十郎という寺小屋、伊藤経介、佐藤宗三郎、安井尚三郎
  の話    

十四 らんちゅう養殖場を訪ねて 10ページ
 西ヶ原の石川養殖場の話
 産卵と孵化
  回数、尾数、魚巣の話

 選別の手順
  関西と関東の生育、泳ぎの話

 餌料 省略

 管理法
  青水、梅雨期の話

 蘭鋳飼育は経営として成立するか

  • ・・・・損得を考えない真のらんちゅう愛好者の集まりであってこそ、六十三回の全国品評会の長い歴史があるといえます。

推薦のことば(監修者) 4ページ

  • 金魚は千五百年位前の宋時代から支那大陸では飼育せられ・・・・。
    我が国で金魚の飼育書がはじめて刊行されたのは、今から約二百年前の寛延元年で安達喜之著金魚養玩草である。・・・・多くの異版がある。
    ・・・・定めし本書が金魚を飼育し愛玩せらるゝ人々のよき伴侶として役立つことは疑はない、敢て拙文を加えて推賞する所以て共に金魚を愛し、金魚を楽しみ金魚の寿命の長かれと念ずるものである。

  昭和二十九年夏
         洛東 欣魚荘文庫にて
             松井佳一 識

東京都金魚卸賣業者名簿(正組合員)
 19名の氏名、住所、電話番号を掲載
 たとえば、吉田松樹、秋山吉五郎、大森松男

書籍にはめずらしく広告が掲載されている。
 墨田区吾妻橋   原硝子
 墨田区錦糸町   廣田硝子
 台東区浅草小島町 吉沼硝子

以上でこの本の紹介は終わりです。

2012年6月 5日 (火)

「金魚の飼い方ふやし方」 新井邦夫 松井佳一監修 福書房 昭和29年 その4

九 金魚のふやし方 18ページ
 (一)親魚の選び方
  特徴と年齢について説明

 (二)産卵について
  コンクリート池、土池での雌雄割合
  面積による親魚の総重量(貫)

 (三)ふ化について
   坪当り卵数、温度、避ける時期の話

 (四)稚魚の飼い方
  奈良と東京の違い
  飼育池、水換え、坪当り収容尾数、選別の話

 (五)餌の与え方
  容器の垂下位置の数値記載

 (六)冬を越す準備
  外と室内での対処法を記述

  • ・・・・人間の寒さを感ずる頃には金魚にも冬仕度を忘れないように致そうではありませんか。そうすることによってきっと金魚も読者の皆様と一緒に楽しい正月を迎えることが出来るでありましょう。・・・・

 (七)養魚池の金魚の取り上げ  省略

 (八)販路と価格

  • ・・・・金魚の売行きは・・・昨今のような不景気のときは、極めて順調であって、昔からこのことは業者間でもいわれていることでありますが、金魚売行きは売子の手が増えるということからも納得できるでしょう。・・・・

    輸出について数値を示し説明

 (九)養殖器具 省略
  手網・みじんこすくい網・前かき・ふるい・いけす・四つ組桶・水車
  水盤

┼ 金魚の売り方と買い方 12ページ
 (一)金魚の売り方
  船による輸出法なども書かれている。

 (二)金魚の買い方 省略

 (三)良い金魚とは、どんな金魚か 省略
  らんちゅうについては黒子の選び方が書かれている。

2012年6月 2日 (土)

「金魚の飼い方ふやし方」 新井邦夫 松井佳一監修 福書房 昭和29年 その3

五 金魚の飼い方 22ページ
 (一)金魚鉢の中の飼い方

  • ・・・・金魚鉢の中を金魚が逃げ迷う様ではまだゝ熱心さが足らない証拠です。

 (二)庭池・叩池の中の飼い方
  叩池の造り方
   イラスト有
  庭池の造り方 省略

 (三)養魚池における飼い方
  (イ)養魚池の選定と造池上の注意
   他書では見られない注排水口の堰板などに触れている。
                          イラスト有

  (ロ)養魚池の採卵準備について
   魚巣の話

  (ハ)養魚池の採卵上の注意点
   産卵池、ふ化池、分離の話

  (ニ)ふ化するまでの管理について
   水温、魚巣の撤去時期、雨天時の覆いの話

  (ホ)養魚池の金魚飼育のコツ
   コンクリート池、板がこい池、土池の話
   土池では抱卵数の半分が魚巣に付着
   敷地面積の八割が池及水路、二割が通路
   土池では親魚の比率が違う
   水換えの時期、餌

 (四)金魚を馴らすには、どうすればよいか
  ・・・・餌を与えることが、一日の楽しい日課の一つになれば・・・・

六 金魚はどんな水を好むか 12ページ
 (一)飼育用水と水の換え方
  水温、水苔の話
  水質、水量、底質、塩分の話
  春夏秋冬の水換えの話

  • ・・・・人も寝つかれない様な、暑い夏の夜等耳をすまして聞いていれば、部屋の中の金魚鉢から、金魚の苦しそうな喘ぎを、はっきり聞き取ることがあると思いますが、この喘ぎを聞き捨てできないようになればきっと金魚も幸福になるでしょう。・・・・

 (二)水と魚との関係
  硬水、軟水、水素イオン濃度、水中瓦斯の話
  マスと金魚の温度別酸素消費量の表を掲載

七 養魚池の底土について 3ページ
 (一)土質
  保水力、保温力の話
 (二)池底にある藻は害があるか
  瀑干、石灰消毒の話

八 金魚の餌 11ページ
 (一)餌の種類
  甲殻類の少し詳しい話、イラスト
 (二)みじんこの作り方
  みじんこ、魚粉、小麦粉の成分比較表を掲載
 (三)金魚の生長について
  餌の体内吸収の方法の話
 (四)糸みゝず・赤むしの採集法
  イラストで解説

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