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2011年7月11日 (月)

「熱帯魚」  鷹司信敬 昭和7年 西ヶ原刊行會 その2

カバー
 台付アルミ枠水槽にプラティ各種の白黒写真
表紙
 ブルー地にエンゼルフィッシュのイラスト 背は金文字

 カバーと同じ写真

口絵
 白黒写真
  泡巣を守るベタ・ルブラの雄
  アメリカの展覧会 2葉
 カラーイラスト 4ページ
  T.SEKIGUCHI氏による精緻なイラスト ※関口
  魚名は薄紙に記し、イラストにかぶせるようになっている。

  • パンチャックス、チャペリ雌雄、グッピー雌雄、バルブス・セミファシオラトゥス、ダニオ・アナリプンクタトゥス、ゼブラ・ダニオ
    ソードテール雌雄、ブリュー・ムーン雌雄、レッド・ムーン、ブラック・モーリー雌雄
    パラダイス・フィッシュ雌雄、ベタ・カンボジア雌雄、ベタ・スプレンデンス、ベタ・ルブラ、スポッテッド・グラミー
    スカラレ、バヂス・バヂス雌雄  


 専門家の學術書は兎角無味乾燥に落ち入り易く、又好事家が學術を道樂半分に取扱った書物には誤謬があって困る。讀んで趣味多く、然かも正確なる内容に充ちた著書は中々に得難いものであるが、本書は此の兩缺點を好く免れ得たる快著である。
・・・・さは云へ觀賞魚の飼養に關して指針たるべき良書の未だなきは甚だ残念である。本書は即ち此の缺を充すものである。
 所謂觀賞魚は好事家のみが道樂に飼ふものであると思っては間違いである。・・・・依って研究家は魚を小容器中に活かして長く貯へ、又實驗室内にて繁殖させる必要がある。其に適當する觀賞魚並に其の飼養法を熟知することは研究上に便宜が甚だ多い。本書は此の意味から見て學術書である。敢えて私の推奨するまでもないが本書は愛鱗家の好伴侶であり、又學術研究家の参考書である。

   東京帝國大學農學部水産學教室にて
   昭和七年初夏  雨宮育作

はしがき
 ・・・・此の熱帶魚を飼ふと云ふ事は、今云ふた金魚より手易く、しかも適當に飼へば或は金魚より丈夫であるかも知れないのであります。少くとも同じ程度に容易に飼へるものであります。
 本書は極う初心の方々を目標として居ますから、今迄に多少とも手掛けた方々には、判かりきった事と思はれる點が多いかも知れませんが、其れはご容赦願ひます。
 ・・・・兎に角皆様方に熱帶魚を飼ふと云う事は何んな物であって、飼って見たら成程面白い物であると思って下されば、著者は幸甚と思ふ次第であります。
 ・・・・多くの寫眞を撮影された本庄伯郎氏に對し、又見事な圖版を畫かれた關口俊雄氏に對し・・・・

熱帶魚飼養の歴史 1ページ
 ・・・・我が國に於ける熱帶魚の飼養は極めて最近の事で、大正五年に秋山吉五郎氏がソード・テール(Xiphophorus helleri Heckel)を輸入したのに始まり、同七年にグピー(Lebistes reticulatus Peters)を更に昭和三年頃からは少しづつ輸入され・・・・

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