「金魚と熱帶魚の飼ひ方」 白木正光 厚生閣書店版 昭和7年
「金魚と熱帶魚の飼ひ方」 白木正光 厚生閣書店版 昭和7年5月15日 B6判 P.316 定價弐圓八拾錢 函付き、布張り
副題「趣味の水鉢・泉水・プール」
本書は日本で始めて出版された熱帯魚飼育書であり、「はしがき」の中で著者も誇りとすると述べています。
時同じくして、鷹司信敬氏著による「熱帯魚」が西ヶ原刊行会より昭和7年7月21日に発行されたので、2ヶ月早いことになります。ただ、鷹司氏の書は熱帯魚飼育に限定したものである。
著者の白木正光氏は当時時事新報社学芸部長の職にあったので、執筆時期は鷹司信敬氏と同じであったが、出版の情報を知り一番乗りを決め込んだのかも知れない。あくまで、推測だが。
熱帶魚に関するページ数は57ページなのに対し、鷹司氏の108ページである。
熱帯魚の記載数、種数、品種数は本書が27、30、31で、鷹司氏の方は26、30、34で本書のほうが多いが、写真掲載数は本書13葉に対し、鷹司氏の本は19葉である。
熱帯魚飼育専門書としては鷹司信敬氏の本ということになるのであろう。
序を寄せている松平康昌氏は侯爵で、当時の熱帯魚飼育が高貴な人々による趣味であったかがわかる。
松平氏は序において金魚には触れずに熱帯魚飼育のことだけについて述べている。
著者にはこのほかに以前紹介した「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著がある。
当時の本のお決まりですべての漢字にふりがながふってあり、目次も煩いぐらいです。
【構成】
函
表紙
扉
口絵
序 愛玩魚飼養禮讃 松平康昌
はしがき
目次
序
はしがき
第一 水を取り入れた生活
夏の生活と水
水の魅力
水鉢趣味
未來るの泉水
第二 容器篇
1、部屋の水鉢
一 硝子の水鉢
硝子のズン筒
硝子の水槽
入れる金魚の數
水の取換へ方
愛玩魚の種類
愛嬌ものゝ昆虫
もえびと巻貝
水鉢の點景
水鉢飼飼料
水鉢の掃除
二 陶器の水鉢
より藝術的
新に使用の場合
國貞の水鉢
歌麿の水鉢
水盤
錢龜と河鹿
三 金属製水鉢
四 木舟
2、庭の容器
一 小型容器
金魚がめ
支那がめ
庭石と手水鉢
バードバス
木舟
二 泉水(プール)
泉水の大きさ
泉水の形状
理想の泉水
泉水の縁
泉水の位置
三 泉水の作り方
コンクリートのまぜ方
枠の作り方
コンクリートの流し込み順序
上塗り
色付け
あく抜き
給水装置
雨水の利用
噴水と自動給水
排水装置
蓋
差水換水
泉水に入れる魚の數
四 池
池の三種
池の作り方
飼育上の注意
第三 金魚
一 金魚の歴史
二 金魚の種類
三 金魚の飼ひ方
容器と飼養數
食物
みぢんこ
ぼうふら
あかこ
あかぼうふら
貝類
卵の黄身
魚肉
蠶の蛹 ※かいこ
麥類 ※むぎ
金魚麩 ※ふ
麺類
ふすま
あめかす
醤油粕
飼料の與へ方
梅雨頃の注意
暑熱の注意
冬圍ひ
四 仔を取る法
産卵の時期と時刻
産卵の徴候
親魚の選定
雌雄の見分け
親魚の飼ひ方
産卵前後の飼ひ方
産卵材料
卵の容器
孵化する迄の注意
孵化
五 仔魚の育て方
仔魚の第一印象
最初の食物
産卵材料の除去
仔魚の食物
一番水
選別
變色
六 金魚の害敵
魚虱
害虫
半翅類
甲虫類
病氣
病魚の見分け
粗腐病
糜爛病
鰓腐病
松皮病
眼病
其の他
-----メモ-----
1932年=昭和7年
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