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2010年6月

2010年6月28日 (月)

「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年 目黒書店 その2

表紙
 デフォルメされた金魚群

 釣りをしている少年の影絵
口絵 2ページ
 イラスト
  金魚の品種(一)

  • とさきん、てつぎょ、わとうない、おほさからんちう、ひぶな、てつをなが、三色でめきん、らんちう、わきん

  金魚の品種(二)

  • りうきん、くろでめきん、しうきん、ぢきん、しゅぶんきん、ちょうてんがん、をらんだししがしら、なんきん、あづまにしき

はしがき

 ・・・・・日本の國民性の立派なことは、萬世一系の皇室をいただき、風土のうるわしいこと、米と魚を食べるためであるとしてゐる外國の學者もあります。 ・・・・・
私は魚を科學的に觀察するために、最も手近にあって、そして最も親しみ深い、また飼うのに最もやさしい金魚について、魚としてのいろいろの事柄を知り、またそれを正しく飼って行くことが出來るやうに本書を書きました。

・・・・・そして本書の目的とするところは、これにより實物で魚に關する知識を得る方法を知って貰ふことにあるのであります。

 昭和十八年七月七日第六回支那事變記念日   松井佳一 しるす

 

ここから本文

第一章 體の外部の構造 9ページ
 一 體の形
  水中生活に都合のよい體形、體長と體高の比、體長と全長

 二 鱗
  圓鱗、櫛鱗(せつりん)、楯鱗(じゅんりん)、硬鱗

 三 頭
 四 鰭
  鰭條、鰭棘、奇鰭、偶鰭

 五 體の色
  黒色素細胞、黄色素細胞による體色説明。

第二章 體の内部構造 3ページ
 一 骨格
  中軸骨格と四肢骨格

 二 内臓
  鰓の数、一心室一心耳

第三章 金魚はどうして生きてゐるか(習性) 3ページ
 食性、産卵、適温と耐え得る水温、耐鹽水

第四章 形態習性について簡單に出來る實驗 4ページ
 一 體形の測定
  比の算出
 二 鱗と年齡
  側線鱗による年齡判定法

 三 赤血球
  200倍位の顯微鏡で見ることが出來る
 四 解剖
  ホルマリン漬、骨格の場合は90度の熱湯に10分置いたもの

 五 遊泳の動作
  平面ガラスの水槽で觀察

 六 出眼の發育
  孵化後1箇月頃から2,3箇月で調べる

 七 色變りの有様
  孵化後5,60日頃

 八 眼と色の關係
  白い洗面器と黒い洗面器、盲目

 九 嗅覺の實驗
  盲目と鼻

 十 鹽分と色との關係
  1%食鹽水での變化

2010年6月22日 (火)

「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年 目黒書店

「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年6月15日發行(3000部) 目黒書店 A5判 P.227 定價金二圓三十錢 特別行為税相當額二十二錢 合計金二圓五十二錢

 この本は日本が太平洋戦争真っ最中に執筆されたもので、この時期に発行された数少ない飼育書の内の一冊です。
 前に紹介した「日本の金魚」アルス 昭和18年も同氏による同じ時期の本でした。

 また、同書のもう一つの特長は熱帯魚の飼育について10ページ割いているところで、昭和10年代に熱帯魚の飼育について書かれたものは、いまだ見たことがありません。

 金魚については総ページ数の半分近くの割合ですが、副題にもあるとおり、淡水魚、海水魚、水族館についても書かれています。

 紙質は物資統制時代なので、わら半紙に近いようでよくありません。手元のは本ではカバーや函が付いていたかどうかはわかりません。

 発行部数3,000部が当時として多いのか少ないのかは定かではないが、古書界にはほとんど出ない一冊です。

【構成】
表紙

口絵
はしがき
目次
 第一章 體の外部の構造
  一 體の形
  二 鱗
  三 頭
  四 體の色

 第二章 體の内部構造
  一 骨格
  二 内臓

 第三章 金魚はどうして生きてゐるか(習性)
 第四章 形態習性について簡單に出來る實驗
  一 體形の測定
  二 鱗と年齡
  三 赤血球
  四 解剖
  五 遊泳の動作
  六 出眼の發育
  七 色變りの有様
  八 眼と色の關係
  九 嗅覺の實驗
  十 鹽分と色との關係

 第五章 金魚の種類
  一 種と品種との定義
  二~二十 20種の品種名を列記

 第六章 金魚の先祖と種類の出來た順序
  一 金魚の先祖返り
  二 縁が近いか遠いかを研究する方法
  三 金魚の祖先
  四 金魚の原種
  五 各品種の系統

 第七章 金魚の遺傳
  一 遺傳学
  二 眼の遺傳
  三 鱗の遺傳
  四 鰭の遺傳
  五 頭のこぶの遺傳
  六 體色の遺傳
  七 遺傳學の應用

 第八章 金魚の飼ひ方
  一 昔からどんなにして飼われたか
  二 飼ひ方の目安
  三 池はどんなのがよいか
  四 金魚を飼ふ水
  五 金魚には何を食はすか
  六 一つの池に何尾位の金魚が飼はれるか
  七 金魚は一年でどの位の大きさになるか
  八 寒いときにはどうするか
  九 金魚のはこび方
  十 金魚の病氣の手當
  十一 金魚の害敵は何か
  十二 小容器の飼ひ方

 第九章 金魚の子供の育て方
  一 親魚
  二 卵を産む時期
  三 卵の産ませ方
  四 孵化
  五 魚兒の飼料
  六 稚魚の飼ひ方
  七 よい金魚の選び方

 第十章 飼ひ方についての實驗
  一 水の容積とそれに入れ得る魚の數
  二 飼料の比較試驗
  三 放養尾數と生長度との關係 ※二と誤字
  四 病魚の觀察
  五 ウオジラミ、イカリムシの觀察
  六 追星の觀察
  七 金魚の發生
  八 魚兒の觀察

 第十一章 淡水魚と海水魚の區別
  一 海洋都内錘
  二 魚とはどんなものか
  三 淡水魚と海水魚

 第十二章 メダカ
  一 メダカと方言
  二 メダカの形態
  三 メダカの習性
  四 メダカの研究せられた遺傳の現象
  五 飼ひ方

 第十三章 コヒ(鯉) ※コイ
  一 最も古くから飼はれた魚
  二 コヒの形態
  三 コヒの習性
  四 コヒの種類
  五 コヒの品種改良
  六 コヒとフナとの雑種
  七 コヒの養殖
  八 コヒの利用

 第十四章 フナ(鮒)
  一 釣りに喜ばれる魚
  二 フナの種類
  三 フナの形態
  四 フナの雌雄
  五 フナの習性

 第十五章 ウナギ(鰻)
  一 昔はウナギは山芋が化けると考えた
  二 ウナギの子供とその一生
  三 ウナギの形態
  四 ウナギの習性
  五 ウナギの養殖

 第十六章 マス(鱒)
  一 人工的の飼ひ方の發達した魚
  二 マスの種類
  三 マスの形態
  四 マスの習性
  五 マスの養殖

 第十七章 アユ(鮎、年魚)
  一 世界で一番おいしい魚
  二 アユの形態
  三 アユの習性
  四 アユの養殖

 第十八章 普通の淡水魚
  一 形態の變った魚
  二 習性の面白い魚

 第十九章 熱帶魚
  一 熱帶の動物は美しい
  二 動物發生の三態
  三 卵生の魚
  四 卵胎生の魚

 第二十章 タヒ(鯛)
  一 日本では魚の代表
  二 タヒの種類
  三 タヒの形態

 第二十一章 イワシ(鰯)
  一 最も大衆的の魚
  二 イワシの種類
  三 イワシの形態と習性

 第二十二章 沿岸にすむ面白い魚
  一 雄が腹のふくろで子供を育てる魚
  二 横になって寝る魚
  三 棘をもって刺す魚
  四 食べると毒の魚
  五 形の奇異な魚

 第二十三章 水族館 ※本文は第二十章と誤記
  一 起源
  二 水族館の設備
  三 小規模の海産魚の飼ひ方
  四 日本の主な水族館の位置

-----メモ-----
1943年=昭和18年
関連本

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2010年6月19日 (土)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その13

光り輝く紳士 発光魚 12ページ 省略
 くらい話
 発光動物
  淡水では佐原市付近のヒカリエビ

 発光法a・b・c
 発光法d・e・f
 なぜ発光する

川の珍味 ヤマノカミ 12ページ
 考証・公評
  魚の語源の話、魚名の話など

 ヨーロッパのカジカ
  以下の種を解説

  • ヨーロッパカジカ Cottus gobio(属名はラテン語の頭、種名はハゼに似た意味)
    キビレカジカ C.poecilopus(黄色鰭のこと)
    バイカル湖
     大眼カジカ Comephorus baicalensis
     小眼カジカ C.dybowskii (動物学者の名)

  沿海州やアムール川流域
   ハリダシカジカ Mesocottus haitej

  豆満江
   コウライカジカ C.zerki
   カンキョウカジカ C.hamgiongensis

 日本のカジカ
  以下の種の特徴、雌雄の違い、産卵、地方名を解説
  カジカ Cottus pollux(ヨーロッパカジカに似た、ふた子の意味)
  ウツセミカジカ C.reini(ライン教授の名に由来)
  ハナカジカ C.nozawai(野沢氏に由来)
  カンキョウカジカ 一名キタノカジカ

 カマキリとヤマノカミ
  カマキリ C.kazika
   アユカケ、アヨカケ。カマキリは高知県の方言に由来。
   九頭竜川ではアラレカゴ、ガゴ、ガコブツ
   山形県ではエギギ、イシモジ
   北陸地方でグズ、ウラジロ
   相模川でカワフグ
   高知県で他にセガマ、フチガマ
   筑後川でミゾドンボ

  ヤマノカミ Trachidermus fasciatus

   (属名は粗い皮膚、種名は縞模様の意味)

  • 九州の有明海の奥に注ぐ川にすむ。
    ヤマノカミは福岡、佐賀県の地方名。ほかにヤマンカミ、カンカンジョウ

 掲載白黒写真 ヨーロッパカジカ
  カマキリ
  ヤマノカミ
  産卵直前のヤマノカミ

 掲載イラスト
  大眼カジカ バイカル湖特産
  小眼カジカ    〃

猪魚の一族 12ページ
 こよみと亥
 ギギ族大観

  • 暁新世の地層から出土するから、中新世の後期のナマズより相当早い誕生。
    日本にはギギ、ギバチ、アカザ及びウサギギギ、別名ネコギギがいる。

 珍味イノシシギギ

  • イノシシギギ Leiocassis dummerili(属名は滑らかなかぶと、種名は人の姓))

 美麗なイノシシギギたち
  北方産
   キタギギ
   ギギモドキ
  南方産
   シャムギギ L.siamensis
   シマギギ L.leiacanthus
   キビレギギ

 ギギやアカザなど
  ギギ
   ギギとは出す音に由来する琵琶湖や和歌山県の方言から。
   地方名はハゲギギ、ギウギウ、ギンギ、ググ

  コウライハゲギギ
  ギバチ
   カバツ、ゲバチ、ヘブイギンギョなどの地方語がある。

  ネコギギ
  アカザ

  • アカザは長良川地方の名。
    アカヂョウチン、アカネコ、ネコナマズ、ネギ、ムカイノカンヌシ、ミコウオ、徳島県でオイシャハン、信州でサソリ

 掲載白黒写真
  ギバチ
  アカザ
 掲載イラスト
  イノシシギギ
  シャムギギ
  コウライハゲギギ

以上でこの本の紹介は終わりです。

2010年6月16日 (水)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その12

両刀使いのエツ 9ページ
 魚は残った
 エツという魚
 エツの仲間
  ヨウスコウエツ Coilia brachygnathus は一生を淡水で暮らす。
 別種と雑種

欧米特産 ワンワン魚 10ページ
 欧米のざっこ
  Umbra
 ウムブラ 子犬魚

  • 初めは卵生メダカ族の近縁と言われていたが、パイクの血縁とされている。
    緯度からみると東南欧州産は青森県から北海道に相当、北米産は北海道からサガレンにかけてほぼ同じ。冷水魚である。
    飼育は容易、夏は23度まで、食いあう(※共食い)。

 欧州の子犬魚
  U.krameri(小さな奴とか、小間物屋の意味)
   危険を感じると泥中に尾からもぐりこむ。
            (マッド・ミノー どろバヤ)
   鰓の上部に空気呼吸の補助器官を持つ。
   雌が深みの泥土に簡単な凹んだ穴をひれで掘り、産卵後保護する。
   猛烈な共食をする。

 北米のマッド・ミノー
  U.limi(やすりの意味)
   俗称はセントラル・マッド・ミノー
   一般に3年で親になる。
   雌が巣を造ったり、水草にバラバラに産みつけ保護する。

  U.pygmaea(チビの意味)

  • 俗称はイースタン・マッド・ミノー、スモール・マッド・ミノー、ストライプド・マッド・ミノー   

  Novumbra hubbsi
   (属名は新ウムブラ、種名は魚類学者ハブス博士名)
   俗称 ウェスタン・マッド・ミノー

 氷中の珍魚
  Dallia pectorais

 掲載イラスト
  原始パイク
  東欧の子犬魚
  セントラル・マッド・ミノー

 掲載白黒写真
  イースタン・マッド・ミノー

紐状の深海怪魚 12ページ 省略
 暴風の贈り物
 フリソデウオの仲間
 リュウグウノツカイの仲間
 墨汁を吐くアカナマダ

珍妙な管口魚 9ページ 省略
 神、魚をつくる
 逆立ち泳ぎのヘコアユ
 半武装のヨロイウオ
 美しいサギフエ

フナの一族 10ページ
 ファウナ ヤポニカのフナ
  FAUNA JAPONICAではフナを4種としていた。
  longsdorfii、burgeri、grandoculis、cuvieri

 欧亜大陸のフナ
  ヨーロッパブナ系 Carassius carassius
  中国大陸系 C.auratus(種名は金色の意)

  C.humiris(低小の意)
  C.auratus gibelio(亜種名は銀色の意)

 日本のフナ

  • ギンブナ、キンブナ、ゲンゴロウブナの3亜種、またはそれにニゴロブナとナガブナを加えて5亜種。
    中村守純先生の研究によれば、シーボルトのlongsdorfii(人名による)がギンブナに相当、burgeri(人名に由来)がナガブナに、cuvieri(人名から)がゲンゴロウブナに、grandoculis(大きな眼の意味)がナガブナで、もう一つの亜種がキンブナだという。
  • ギンブナ 地方によるとゴロ、マルブナと呼ぶ。
    ギンブナ 一般にフナ、マブナと呼ばれ、琵琶湖ではヒワラ。
    ゲンゴロウブナ 大阪府河内で養殖してカワチブナ、関東ではひらたいのでヘラブナ。
    ニゴロブナ 小形のものをガンゾともいい、琵琶湖特産。
    ナガブナ 中村守純先生の研究によると、長野県の諏訪湖などから中部以西。アナブナの称がある。

 フナ雑識
  ギョウキブナ 行基上人、兵庫県下、透明鱗のフナのこと。
  ゴマブナ 吸虫の寄生
  ヒブナ 生息地について
  コイとフナの交配について
  ゲンゴロウブナの名の由来
  ニゴロブナの名の由来、モミジブナ

 掲載イラスト
  ファウナヤポニカのフナの図
  ヨーロッパブナ
  ヨーロッパギンブナ

2010年6月15日 (火)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その11

新釈マダイ伝 11ページ 省略
 タイの縁起
 タイ族と性転換
 マダイの一生
 タイ雑録

海ダラ、川ダラ 13ページ
 タラ学事始め
 タラ科とマダラ
 コマイとスケソウ
 ロタ族
 淡水のタラ
  Lota lota
  マス族のすむ低水温に生活する。

溺れる肺魚 13ページ
 呼吸と浮袋
 肺魚講釋
 オーストラリアの肺魚
  ケラトダス科 Ceratodidae
   歯がトナカイの角のように幅広く分岐した形の意

  Epiceratodus forsteri
   属名は絶滅したケラドダス属に似た意
   種名は人名に由来
   一般にNeoceratodusと書くが、エピのほうが先に命名される。

  夏眠はしない。

  • 人工ふ化のコツは、サンショウウオ同様に幼魚を浅い水中におき、時には水の外でも休めるような、砂の小山などを造ること。

 南米の肺魚
  Lepidosirenidae科 鱗のあるサンショウウオの意
  Lepidosiren paradoxa 種名は変な奴の意

  • 産卵は底の穴
    雄は腹鰭が2~3cm肥大し赤い樹枝状かふさ状の密生糸が生じる。卵を守る

 アフリカの肺魚

  • Protopteridae 原始的ひれを持つ意
    Protopterus annectens 種名は魚と両生類の連結者の意 ※アネクテンス
    亜種P.a.brieni 亜種名は人名に由来

    P.aethiopicus 種名はアフリカの意 ※エチオピクス
    P.amphibius 種名は両生類に似た意 ※アンフィビウス
    P.dolloi 種名はのびていること ※ドロイ  

 肺魚の産卵について書いてある。

小判形とダルマ形のハゼ 9ページ 省略
 続・皇太子殿下の業績
 コバンハゼ亜科抄写
 コバンハゼの仲間
 キギクハゼとダルマハゼ

エレファントノーズ記 10ページ
 鼻は鼻でも

  • エレファントとはフェニキアやヘブライ語のエルフとかエレプスに由来するが、もと牡牛の意味。
    上下両唇の伸びたもので、本当の鼻孔は目の前にある。

 モルミルス族とは

  • Mormydというアリストテレスの「動物誌」にある妙な海魚の名に由来。

 しりびれの長い仲間

  • 種名には、頭の形がにている鳥獣が多数。
    種類によると雄と雌とではしりびれつけ根の輪郭がカーブしているのと直線形との大差がある。

 ※以下の種について簡単な産地等の解説
  Mormyrus属(モルミルス) 

  • M.caballus 種名は牝馬のこと
    M.longirostris

  Cyphomyrus属 出張ったモルミルスの意

  • C.discorhynchus 種名は変わった吻

  Mormyropus属 細長いモルミルスの意

  • M.boulengeri 英国の魚類学者の名に由来 トランペット・ノーズ
    M.deliciosus 美味の意味 コルニッシ・ジャック(コンウオールの男)
    M.anguillaris ウナギの意味

  Marcusenius属(マルクーセン) 人名に由来

  • M.ansorgii アフリカの探検家に由来
    M.castelnaui ケープタウンにいたフランス領事の名に由来
    M.adustus 汚れた魚

  Ptrocephalus属 堅い頭の意

 背としりとのひれが同長の仲間
  Gunathonemus属(グナソネムス) あごなしの意
   G.petersi 人名に由来 俗にいうエレファントノーズ
   G.ristorio 道化者
   G.elephas ゾウ
   G.tamandus アリクイ
   G.curvirostris 曲がった吻
   G.numenius 鳥の名に由来
   G.gambiensis 地名のガンビアに由来

  Genyomyrus属 あごの特異なモルミルス

 ウナギ状のモルミルス
  Gymnarchus niloticus
   属名は裸のまま、すなわちひれが少ないの意
   種名はナイル川の魚の意
   J・S・ブジェット氏による現地での産卵報告

 掲載白黒写真
  C.discorhynchus、M.deliciosus

 掲載イラスト
  G.curvirostrisの頭部
  G.numeniusの頭部
  M.caballus
  M.ansorgii
  G.ristorio
  Gymnarchus niloticusの幼魚と成魚

2010年6月13日 (日)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その10

海の兇族 サメ 13ページ 省略
 サメとは何ぞや
 出現と上品なサメ
  1、しりびれのあるサメ
  2、しりびれのないサメ
 ゲバ棒サメ
 被害対抗の策

つり針を持つサヨリ 12ページ
 魚と漁業の神様
 サヨリの生態
 サヨリの仲間
 サヨリとクルメサヨリ
 デルモゲニー
  Dermogenys 体が完成後に生まれるの意
  D.pusillus
   雄魚は小さくて5~6cm、雌魚は7.5cm。
   6,7mm~1cm大の仔魚を5~15尾産む。
   1ヶ月半前後で上顎の2倍の長さになり、3ヶ月で親になる。
  D.viviparus

奇妙な交接脚 10ページ
 雄・雌主要論争
 魚の受精
 卵生メダカの交接脚
  Tomeiurus gracilis トメウラス
  Horaichthys setnai ホライクーテス

 のどにある交接脚
  Gulaphallus eximius グラファラス
  Neostethus amaricola ネオステサス

 交尾器の発達

 掲載イラスト
  トメウラスの交接脚
  ホライクーテス・セトナイ雌雄
  グラファラス・エキシミウス
  ネオステサス・アマリコラ

韓国錦江の魚 8ページ
 ※韓国への4週間の採集記
 錦江という川
 とった魚

  • コイ科やドジョウ科及びナマズの仲間については、そのすべてが九州大学の名誉教授、内田恵太郎先生が朝鮮総督府の水産試験場在任当時に発表された「朝鮮魚類誌・第一冊」(1939)に生態から生活史に至まで詳細に発表されている。

 ゲンゴロウの宝くじ

 掲載イラスト
  カムルチー
  カワヒラ
  カワイワシ

 掲載白黒写真
  コウライケツギョ(ソガリ)
  アカザ、ギギウ、ナマズ

秋の味覚 サンマ 8ページ 省略
 サンマ覚え書き
 サンマの仲間
 サンマの生態
 サンマの手づかみ

魚でないナメクジウオ 8ページ 省略
 学界に登場
 学問上の位置
 形態
 生態
 中国の漁業
 文昌魚

化石魚 15ページ
 魚・石に化ける

  • 地質学では生物発生の発端から今までを、五つの時代と、その各代内で、特徴のある標準の化石を持つ幾つかの紀に分ける。
    カンブリヤやオルドビス及びシルリヤは英国古代民族の名に由来。
    デボンは英国の地名

    ジュラはフランスとスイスの国境の山地名
    白亜は英国東海岸に堆積した白いチョーク層
    二畳と三畳はドイツで地層が二重、三重になっている某所のこと。

 顎なし魚類
  甲冑類
  翼甲類
  甲皮類
  棘甲類
  古椎魚類

 両顎のある仲間 板皮類~現代の真骨魚類
  板皮類
  節頸魚類

 軟骨魚類と硬骨魚類
  軟骨魚類
   翼魚類
   魚切類
   側鰭類

  硬骨魚類
   古鮫魚(パレオニスカス)
   扁体魚(プラティソニッド)
   内鼻孔類
   総鰭類

 日本の化石魚
  デボン紀以前のものはない。
  ヘリコプリオン・ベッソノウイ

2010年6月12日 (土)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その9

腹黒い妖姫 タナゴ族 14ページ
 タナゴの常識学

  • タナゴの語源は平タい魚(ナ)で小物(コ)かららしい。万葉のころはクソブナ。クソとは物の屑のこと、つまり物の役に立たぬフナ類似の小魚の意味。
    朝鮮産のタナゴ類は内田恵太郎博士の「朝鮮魚類志」(1939年)

 小さなタナゴ
  バラタナゴ属

  • 大陸のは婚姻色では腹びれが黒く、その前縁は白色に変わり、雌魚の産卵管は灰色か黒色なのに、日本産は腹びれが一様に黒く、雌魚の産卵管は先端が黒く、根元に赤味がある。

    カラバラタナゴ Rhodeus sinensis
    ヨーロッパタナゴ R.sinensis 種名は絹のように腹側が光る意味
    カガミバラタナゴ R.spinalis 種名は棘に由来。台湾と海南島にいる。

  ゼニタナゴ属 Pseudoperilamphus

  • 朝鮮にはウエキゼニタナゴ、ホンダゼニタナゴ、スイゲンゼニタナゴ
    海南島にはカイナンゼニタナゴが報告されている。

  ミヤコタナゴ属 Tanakia 田中茂穂博士に由来
  バラタナゴモドキ属 Pararhodeus 揚子江下流に知られる。

 大きなタナゴ
  タナゴ属 Acheilognathus 唇と顎のない意

  • 口ひげは一対
    日本にはヤリタナゴ、タナゴ、アブラボテ、カネヒラ、イタセンバラ、イチモンジタナゴ、タビラがいる。
    朝鮮半島だけにいるはチョウセンイチモンジタナゴ A.yamatsutai(人名に由来)
    中国の揚子江下流にはヒゲタナゴ A.barbatusがいる

  タナゴモドキ属 Paracheilognathus 似た意味

  • 中国にだけ3種いる
    揚子江から北支にかけて石包魚 P.imberbis(口にひげのない意)
    南支の広西省のクワンシイタナゴ P.meridianus(南方の意)
    台湾や福建省、浙江省の山間渓流にいるキラヒー P.himantegus(皮に条がある意)

  トゲタナゴ属 Acanthorhodeus トゲのあるタナゴの意

  • 日本には北九州にカゼトゲタナゴ1種
    朝鮮にはオオタナゴとチョウセントゲタナゴの2種
    オオタナゴ A.macropterus(大きいヒレの意) 20cmになる
    チョウセントゲタナゴ A.gracilis(細長いの意)

    中国には四川省の渓流産ガビサントゲタナゴや北支産の白河トゲタナゴとか長身トゲタナゴ、北満の興凱湖タナゴがいる。
    中南支と北ベトナムにいるのがトンキントゲタナゴ A.tonkinensis(トンキンは地方名)

 民話民説

  • 今の釣り餌は玉虫が最上とされる。この方法を発見したのは明治初年の東京は品川の人、山田弥ハチ氏。

 掲載イラスト
  カラバラタナゴ 雌雄
  ヨーロッパタナゴ 雌雄
  クワンシータナゴモドキ 雌雄
  キラヒー 雌雄
  オオタナゴ 雌雄
  トンキントゲタナゴ

海底のひきがえる イザリウオ族 12ページ 省略
 釣り竿所持の魚
 イザリウオの仲間
 イザリウオの生態

君は雄か雌か タウナギ 12ページ
 性は変わる

  • 性の転換で、哺乳動物では雄が雌に、鳥や両生爬虫類、魚等では雌から雄に変わることが多い。

 タウナギの生態

  • 学名は学者によって Flita alba 又は Monopterus javanensis のどちらかで多くは前者を採用。
    大きさは7,80cm、重さ1.5kgになるが、通常は25~40cm級。

 呼吸法と産卵

  • 鰓は萎縮してあまり役に立たない。空気呼吸をやらせぬと死ぬ。
    産卵期は中部日本では6,7月ごろ。浅い岸辺のアシの茂みの中などにきて泥底に穴を掘り、ベタのように泡をふいて水面に丸い浮巣を造る。

 雌から雄へ

  • ふ化後約2年の成熟期までは全部が雌。次第に雄に変わる仲間ができ、後には全部が雄になる。
    外見では雌雄の判別がつかない。  

 日本の分布や料理

  • 明治19年に書かれた「清国水産弁解」という本には同年(1886)、横浜在住の清国商人が福建省から輸入し、東京の深川にある池に放養したところ逃げられたと。

 物知り帳

  • タウナギにハエはよりつかぬと中支の魚屋は店に下げておく。

海のあいきょう者 カワハギ類 13ページ 省略
 皮の利用
 カワハギ族とモンガラカワハギ族
 カワハギの生態
 いろいろなカワハギ
 モンガラカワハギ族

たれ眼の深海魚 ミツマタヤリウオ 12ページ 省略
 深海と深海魚
 雄雌と幼魚の変態
 どこにいるか

ホップ・ステップ・ジャンプの元祖 ハゼ族 13ページ 省略
 皇太子殿下のご研究
 ハゼ学入門
 トビハゼ族
 ムツゴロウ族

中国特産的珍魚 12ページ
 中国の川と水族
  中国大陸の魚の70%はコイ科である。

 頭がのびた桿魚
  Luciobrama macrocephalus
  大きいのは1.6m、30~40kg

 サバ頭の竿魚
  Elopichthys bambusa
  最大で2m、50kg

 紅尾魚と大口魚
  尖嘴紅尾魚 Pseudoaspius leptocephalus
  最大で64cm

  大口魚 Luciosoma fasciata
  体長25,6cmぐらい

 管魚と赤眼鱒
  管魚 Ochetobius elongatus
  普通は湖中に多く見受ける。
  最大1m、10kg

  赤眼鱒 Squariobarbus curricularis
  外見は草魚そっくりで、眼の上部が赤い。
  雑食だがタニシや二枚貝の肉を好食する。
  最大40~50cm、2.5kg。

 掲載イラスト
  桿魚
  竿魚
  尖嘴紅尾魚
  大口魚
  管魚
  赤眼鱒

2010年6月 9日 (水)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その8

くせ者は? コイ 11ページ
 コイもろもろの巻
 コイの名と一生
  Cyprinusとは愛と多産の神アフロデットの別名に由来

 コイの変わり

  • 大頭鯉(Cyprinus pellegrini)、雲南鯉(Cyprinus yunnanensis)
    墨鯉(烏原鯉 Procypris merus)、岩鯉(岩原鯉 P.rabaudi)、中鯉(紅眼鯉 Mesocyprinus micritius)
    ヒゲブナ(Carassioides cantonensis)

 コイの雑草

 掲載イラスト
  欧州のコイ野生種
  カワゴイ
  カガミゴイ
  タムブラ Cyprinus c.flavipinnis
  日本のコイ
  大頭鯉
  墨鯉(烏原鯉)
  岩鯉(岩原鯉)
  中鯉(紅眼鯉)
  ヒゲブナ

赤ん坊にひげ トビウオ 13ページ 省略
 フジヤマノトビウオ
 日本近海のトビウオたち
 生態、卵、仔魚、雑記

鬼っ子をうむ マンボウ 12ページ
 海とマンボウ
 マンボウの生態
 マンボウ族
 鬼っ子と雑記

  • 再演性変態、後発性変態
    マンボウとは江戸中期ごろからの呼び名で漢字では満方や査魚と書き、それ以前はウキキと呼び、烏紀々ともあて字した。 

高原秘境のハダカゴイ 12ページ
 ヌード魚のいる秘境
  チベット以北の河や湖の説明

 ハダカゴイの生態
  黄色い卵は有毒で、下痢とけいれんを起こさせる。

  ※以下の種について解説
  高原ハダカゴイ Gymnocypris waddellii チベットの納木湖
  花班裸鯉、俗称花精 G.eckloni
  ホアンユイ G.przewalskii 青海湖産

  チベット裸裂尻鯉 Schizopygopsis stoliczkae
  軟棘裸裂尻鯉 俗称小嘴吻魚 S.malacanthus
  温泉裂尻鯉 S.thermalis
  小頭裸魚 Herensteinia microcephalus

 裸鯉の履歴書

  • 昭和4年8月、日本魚学界の草分けとして有名な東京帝国大学名誉教授岸上鎌吉理学博士一行は、揚子江を上がって四川省の重慶から支流を調査し、奥へ進んだが、同年11月22日未明四川省の省都成都で亡くなった。お供の日本人は筆者が唯一人。

 掲載イラスト
  高原ハダカゴイ
  湟魚(ホアンユイ)青島省青島湖産
  小嘴吻魚 揚子江源流の金沙江
  温泉裂尻鯉 チベットと青島省の境界温泉
  小頭裸魚 揚子江源流の金沙江

スリッパの元祖? シタビラメ 12ページ
 俗言集
 雑言集
  体形が左右で違うので異体類と言う。
 仲間集
 余談集

  • 淡水では中国のアカシタビラメ属のシナゲンゴ(Areliscus abbreviatus)で、揚子江の南京上流にいる。
    スマトラやボルネオの川にはCynogossus waananderiとC.microlepis、ニューギニアのローレンツ川にはC.heterolepis
    メラウケ川にはAsraggodes klunzingeriが泳いでいる。アマゾン川にはAcheirus acheirusがすむ。

2010年6月 7日 (月)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その7

吸血の兇悪魚 10ページ
 バンパイヤー・フィッシュ
 日本の吸血魔
 カワヤツメ
  ミツバヤツメ(ユウフツヤツメ)、シベリアヤツメ、スナヤツメ
 アマゾンの兇悪魚
  カンデール、カーネロ(※カンディル)
  ピラニア 土名カリバ

 掲載イラスト
  ヨーロッパメクラウナギ Myxine glutionasa
  ヌタウナギ Heptatretus burgeri
  カワヤツメ Entosphenus japonicus
  スナヤツメ E.reissneri
  ヨーロッパ産ヤツメウナギ
   ウミヤツメ Petromyzon marinus
   カワヤツメ P.fluviatilis
   コカワヤツメ P.branchialis
  カーネロ Vandellia cirrhosa
  ピラニア Serrasalmus niger

さつまのかみ コバンザメ 11ページ
 食い逃げの常習犯
 日本近海の仲間

  • コバンザメ、スジコバン、ナガコバン、シロコバン、クロコバン、オオコバン、ヒシコバン

 小判の構造と成因

  • 小判は第一背びれが変形したもの。吸い付いているとき後方に引いてもより吸着が強まるので、前方に引く。

 似た魚
  ブリモドキ、スギ

 方言・伝説・利用

  • ワラジザメ、ソロバンウオ、ハダシタビ、フナスイツキ、フナトメ、サメジラミ。
    高知県ではヤスダ、ヤスナ、水戸ではツゲのカミの甚四郎

ただいま北進中!! ナマズ 14ページ
 鮎と鯰

  • 中国では鮎魚(ネンユイ)、鯰魚、魚へんに夷、是とも書く。
    方言はヘコキ、ピーピー、トオザイ、アカヤス(以上静岡)、ショウゲンボウ(幼魚、三重)、ザシン(富山)、ヒョウタン(佐賀)、ゲエリ(福岡)

 大家族のナマズ

  • 居ないのは北欧、シベリア、カナダ等の寒帯地区とオーストラリアの南部。
    オランダの魚類学者P.ブレーカーは1858年に厚い本を著した。
    目は小さく、成長しても体に比例して大きくならない。この現象をAtrophisとうい。

 ナマズ中のナマズ
  ヨーロッパ系ナマズはヒゲが3対

  • ヨーロッパナマズ(Silurus glanis)、アムールナマズ(S.soldatovi)

  アジア系ナマズはヒゲが2対

  • 普通のナマズ(Parasilurus asotus 属名:シルルス属に似た 種名:一種)
    ビワコオオナマズ(P.biwaensis 友田淑郎氏命名)
    イワトコナマズ(P.lithophilus 種名:岩礁の意) 

 ナマズ似のナマズ
  ヤナギナマズ(P.microdorsalis 短い背びれの意)
  コーチンナマズ(P.cochinchinensis)
  アフガンナマズ(P.afgana)

 ナマズの進軍

  • ナマズはもともと関東には居なかったが、250年ぐらい前に北上したらしい。

 地震予報官

  • 東北大学の畑井新喜司、小久保清治両博士と山形大学の阿部教授等の報告によると、地震の起こる6,7時間前にナマズは非常に敏感になる。その的中率は80%

 掲載イラスト
  ヨーロッパナマズ Silurus glanis
  アムールナマズ S.soldatovi
  普通のナマズ Parasilurus asotus
  ビワコオオナマズ P.biwaensis
  イワトコナマズ P.lithophilus
  ヤナギナマズ Parasilurus microdorsalis
  コーチンナマズ Parasilurus cochinchinensis

珍味魚 ママカリ一家 11ページ 省略
 総理大臣の愛犬法
 日本 ママカリ
 中国 ヒラ類
 欧米 ニシン

2010年6月 5日 (土)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その6

ドジョウ国巡り 13ページ
 ドジョウ学

  • 中国では鰍(日本ではカジカ)
    大きく分けると、棘が隠れているグループと、棘を持たぬ一群となる。
    ワラス線以東には棲まない。

 マドジョウ一覧 省略
 仏様と福神
 ホトケドジョウ Lefua

  • 山形県下ではメロズと呼ぶが、これはウスノロの代名詞にもされている。
    ホトケとは変な名だが、これは琵琶湖あたりの方言に由来する。

 フクドジョウ Barbatula
   北海道特産

 シマドジョウたち
  シマドジョウ属 Cobitis

  • 側線のないのが特徴
    ヤマトシマドジョウ、シマドジョウ、スジシマドジョウ、シマドジョウ、アジメドジョウの解説。

   朝鮮のヨコジマドジョウ、ハナジロドジョウの解説

 クーリー・ローチなど
  クーリーとはこの魚をはじめて記載した人の名

 掲載イラスト
  カラドジョウ M.mizolepis
  エゾホトケ Lefua nikkonis
  フクドジョウ B.toni
  ヨーロッパシマドジョウ C.taenia
  アジメドジョウ C.delicata
  ヨコジマドジョウ C.multifasciata
  クーリー・ローチ

 掲載白黒写真
  ドジョウ雌雄
  ヤマトシマドジョウ C.taenia subs
  スジシマドジョウ C.t.striata

君の名はアユモドキ 11ページ
 アユモドキの風土記
  「大和本草紀聞」には"ミコウオ"とでている。
  仮称アジアアユモドキ属 Botia
  シナアユモドキ属 Sinibotia
  ハナアユモドキ属 Leptobotia

 古い型のアユモドキ
  アユモドキ属 Hymenophysa 口辺が膨れた膜状の意味
   ひげは6本

   日本産アユモドキ H.curta 短身の意味

  • 琵琶湖辺りではウミドジョウと呼ぶ。アウハダ、アユハダ、ドジョウバイなど。

   東南アジア

  • ボテドジョウ H.hymenophysa 11個の横帯(地方によっては15,6個)
    H.lucas bahi 横帯約10個 老魚では消える
    H.modesta 幼魚では4,5本の横帯がある。
    H.horae 横帯が5本
    タイ国ではプラ・ムウすなわちイノシシの牙魚という。

   中国
    金鰍魚(俗称)H.fasciata 横帯が21
    マンシュウアユモドキ H.xanthi 横帯14~17

 クラウン・ローチなど
  アジアアユモドキ属(仮称)Botia
  ひげは8本
   Botia.macrocanthus クラウン・ローチ
   B.geto インド東北部のガンジス川にいる。

  シナアユモドキ属(仮称)Sinibotia 
   Sinibotia superciliaris 江鰌魚
    揚子江に注ぐ四川省と貴州省の支流にいる。
    黄青色に10個の黒褐色の横帯がある。

  ハナアユモドキ属(仮称)Leptobotia 細長い意味
   眼下の棘は1本
   ひげは6本

   L.elongata 花鮎又は桃花斑魚
    四川省の川に多い
    50cmにもなる

   L.rubrilabris 紅鰌魚
    淡紅色に4個の黒い横帯、15cmになる

   L.purprea
    淡い紫黒色に黒い5個の横帯、10cm足らず
    洞庭湖から報告されている

   L.compressicauda
    福建省の山中渓流にいる
    鱗が背側だけにあり、縞模様がなくて暗褐色

 掲載イラスト
  ボテドジョウ カリマンタン島産
  白イノシシの一種 H.horae タイ国産
  マンシュウアユモドキ 松花江産
  シー・ナァロ Botia geto シッキム地方産
  花鮎 Leptobotia elongata 揚子江産

 掲載白黒写真
  オヤニラミ
  アユモドキ

かまととのシラウオ 10ページ
 とっしゃん小僧か
 シラウオの生態

  • イシカワシラウオ、アリアケシラウオ、アリアケヒメシラウオ
    地方名はアマサギ、ヒオ(氷魚)、シロウオ、スベリ

 中国の銀魚と故事

  • タイリクシラウオ別名マルシラウオ、中国では銀魚(インユイ)とか麺魚(ミエン)
    オオシラウオは准河流域では氷魚とか草茅魚(かんなくず)
    タイコシラウオ(太湖)

 掲載イラスト
  タイリクシラウオ Hemisalanx prognathus チョウセン大同江産
  オオシラウオ Protosalanx hyalocranius
  タイコシラウオ Neosalonx tankankei taihuensis 中国太湖産
  シロウオ Leucopsarion petersi
  白魚の一種 Erythroculter oxycephalus

 掲載白黒写真
  シラウオの雌雄

2010年6月 4日 (金)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その5

海を知らぬ海水魚 11ページ
 川魚と海魚
 西江を航く
 居たぞ珍魚
  ※河口から1200km上流の竜州に居るアカエイの話
 原籍地を忘れた魚

 掲載白黒写真
  竜州のアカエイ

ぬえ的珍魚 スカフィリンクス 11ページ
 スカフィリンクスたち ※各種の解説あり
  学名のScaphirhynchusとはヘラ状の鼻先という意味に由来
  シルダリア・スカフィリンクス Pseudoscaphirhynchus.fedtschenkoi
  大アムダリア・スカフィリンクス P.kaufmanni
  小アムダリア・スカフィリンクス P.hermanni

  パリッドスタージョン(蒼白チョウザメ) Scaphirhynchus.album
  ショベルノーズ・スタージョン(へら吻状チョウザメ)S.phatyrhychus

 兄弟分のチョウザメたち

 掲載イラスト
  大西洋チョウザメ
  ベルーガ
  セブリユーガ
  ステルヤージ
  アムダリア・スカフィリンクス
  シルダリア・スカフィリンクス
  大アムダリア・スカフィリンクス
  小アムダリア・スカフィリンクス

淡水のギャング ライギョ 11ページ
 魚のギャング
 ライギョの仲間

  • ふつうライギョには腹びれがあるが、これを欠くものもある。前者をライギョ属(Ophiocephalus)、後者を七星魚属(Channa)と区別してきたが、腹びれの有無は大した問題にならぬとして、七星魚属だけを認める研究者もいる。

  カムルチーの学名O.argusとは黒いライギョという意味。
  タイワンドジョウの学名O.maculatusとは細かな模様のある魚の意味
  中国では双方とも黒魚(ヘイユイ)とか烏(ウ)魚とか俗称する。

 どこから来たか悪紳士

  • 来歴の経緯が書かれている。
    その他の種を解説。学名だけ書いておきます。
    O.striatus(プラ・チョン)、O.micropeltes、O.gachua、O.barca、O.melasomus、Chanua.asiatica

 ライギョの習性

  • 6、7時間も空気を呼吸させぬと弱ってくる。水温0度以下になれば、泥中に潜って冬眠する。

 寄生虫の貯蔵庫ライギョの身体
  吸虫類の肺ジストマや条虫類の中間宿主。

 掲載イラスト
  カムルチー
  タイワンドジョウ
  七星魚

石を抱く魚列伝 10ページ
 だき癖 省略
 タニノボリの仲間

  • 大島正満理博がタニノボリと呼んだ。(魚・昭和15)
    詳しいことを知りたい方は、サンダー・L・ホラ著「ホマロプテラ魚族の分類と生態及び分化」(インド博物館紀要・1932)をみるとよい。

 以下の種の解説
 石把子(シパーツ)
 石を抱くコビトナマズ
 下口魚と石虎族

 掲載イラスト
  ボルネオタニノボリ カリマンタン北部産 Gastromyzon borneensis
  石把子 Lepturichthys guntheri リザードフィッシュ?
  石抱魚 Euchiloglanis davidi 揚子江上流の金沙江産
  沙錘魚 Gobiobotia sp 逝江省天目山水系産

2010年6月 3日 (木)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その4

鉄砲魚 11ページ
 現在は4種類(或いは5種類ともいう)が知られている。
 属名のトクソーテスToxotesとはギリシア語で弓のこと。
 採集記
 にせ物・ほん物

  • 18世紀ヨーロッパでは海水魚のチェルモンを鉄砲魚と思っていた。

 水鉄砲のからくり

 掲載イラスト
  細縞アーチャー Toxotes microlepis

巨大な魚 10ページ

 海洋の王者 省略
 陸水の王者
  アラパイマ・ギガス
   アラパイマとはガイアナ原住民の言葉で赤い魚のこと。
   ブラジルではピラルクー
  アロワナ
   ひげがあるのでバーベルド・アラパイマという
  シャウー ※ジャウー
  ピライバー
 東南アジアの王者
  パンガシアノドン・ギガス

  • カンボジアでトレー・レアッハ、タイやラオスでプラ・ブックと俗称する。
    川で泳ぎまわるのは雌魚ばかりで、雄魚は雲南省の大理湖で待っているといわれる。

 欧州と極東の巨魚

 掲載イラスト
  アラパイマー(昭和46年版の正の表紙)
  チョウザメ
 掲載白黒写真
  ピラルクー

変身の魔物 燕雀魚 11ページ
 燕雀魚(エンチャオ・ユイ)とは ※エンツイユ
 北米の仲間たち
  ホッグ・サッカー
 よくぞ化けた

  • 5年で成熟する。
    生かしておくには流れの速い清冷たで、酸素ガスを含んだ水でないと無理。
    中国ではこの魚の呼び名を統一し今は?脂魚<エンツ>(クチベニ)魚という。

 掲載イラスト
  シナ燕雀魚 旧称 Carpiodes chinensis
  ロングノーズサッカー Catostomus catostomus
  ホッグサッカー Hypentelium nigricans
  背高ゴイサッカー Carpiodes cyprius
  南京燕雀魚 Myxocyprinus asiaticus nankinensis
  福建燕雀魚 Myxocyprinus a. fukiensis
  アジアの燕雀魚 Myxocyprinus asiaticus

水中の長寿狼王 パイク 11ページ
  樺太のヨアカシ

  • 樺太の方言で和名はカワマス Esox reicherti 又はカモクチ、英名パイク。中国で狗魚(コウユイ)とか鴨子魚(ヤーズ)と呼ぶ。

  パイク一覧
   Esox lucius 最も分布が広い。ロシア語でシチュウカ。
   Esox reicherti アムール(黒竜江)に多い。
   Esox masquirongy グレート・レーク・マスケルンゲ
   Esox.m.immaculata タイガー・マスケルンゲ
   Esox.m.ohioensis オハイオ・マスケルンゲ
   E.americanus リトル・ピッケレル
   E.niger チェーン・ピッケレル

  暴食・水中の狼
   4歳、まれに3歳で産卵する。
  長生きのレコード

 掲載イラスト
  北米産のパイク
  ヨシアカ(カワカマス) Esox richerti 樺太産
  水中の狼王パイク Esox lucius ヨーロッパ産
  パイクの幼魚

2010年6月 2日 (水)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その3

トゲウオ 9.5ページ

  • 最も近い親類は、ビルマの奥地の川から発見されたインドストムス・パラドクス。
    イトヨ、トミヨの語尾のヨとはウオがイオ、イヨとなり、縮まってヨとなった。

 イトヨ(絲魚)

  • 俗称ハリウオ、イトウオ、ハリサバ。降海型と淡水型がある。
    淡水型は青森県の岩木川や福島県の阿賀野川、福井県の九頭竜川と栃木県の那賀川の上流に知られる。  

 ハリヨ(針魚)

  • 俗称ハリンコ、カワアジ、カワサバ。
    琵琶湖内やその東北岸と岐阜県、三重県の岐阜県寄り等から知られていたが、絶滅寸前。

 トミヨ(富魚)

  • トミヨ属の雄魚はイトヨのように体の下面が朱色にならぬ。
    ハリサバ、クニサバ(山形)とかの方言をもつ。すべて淡水型。

 イバラトミヨ

  • 俗称トミウオ、トンギヨ、トゲズ。別称キタノトミヨ。

 エゾトミヨ
  方言トンギヨ

 ミナミトミヨ
  俗称サバジャコやハリサバ

 ムサシトミヨ
  野生は探すのに困難なほど減ってきた。

 営巣と育児
  省略

 飼育  

  • 最も気を使うべきは水温。冬は零度でも案外大丈夫で静かにしているが、20度では水表近くを浮かんで呼吸が苦しくなり、24,5になると元気を失い、長く放置すると倒れる。適当な水温は3度から15度前後と思ってもよい。

 掲載イラスト
  インドストムス(ビルマ)
  イトヨ
  ハリヨ
  トミヨ
  エゾトミヨ
  ミナミトミヨ
  イバラトミヨ

ホワイト・クラウド・マウンテン 4.5ページ

  • 白雲山魚、俗称は赤ヒレ。1932年に中国魚類研究の大家、林書顔氏が学会に発表した。
    適温は20~25度であるが、低温の10度でも元気に餌を食う。しかし、5度以下や30度を越すと弱る。

ヘラチョウザメと象魚 7ページ

  • 残存魚類の一つに、淡水産のヘラチョウザメがいる。1種はミシシッピー川にすむアメリカ・ヘラチョウザメで、他は揚子江にすむ象魚(シャンユイ)こと和名ハシナガ(吻長)チョウザメ。  

 アメリカ・ヘラチョウザメ

  • パドル・フィッシュとかスプーン・ビークド・スタージオン(※スタージョン)と呼ばれる。

 ハシナガチョウザメ

  • 中国の古名は鮪、白?であるが、一般に象魚とか象鼻魚と呼んでいる。

 掲載イラスト
  ハシナガチョウザメ
  アメリカヘラチョウザメと幼魚、

雀膳よ、どこに居る? 8ページ
 ※じゃくぜん

  • 中国のオランダ総領事バーゼルが任満ちて帰国する際に、魚類の精緻画を持ち帰った。
    これをもとに魚類学者ブレーカーが学名をつけたが今だこの魚は見つかっていない。
    絵はガーパイクに似ている。

 掲載イラスト
  吻長ガー
  フロリダガー
  雀膳 Lepidosteus sinensis の絵

 掲載白黒写真
  アリゲーターガー

-----メモ-----
1932年=昭和7年

2010年6月 1日 (火)

「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その2

ここから本文

ケツギョ 3.5ページ

  •  同音から桂魚とか、日本でサケに用いた鮭魚とも書く。また水豚や牡水豚、北京辺りではホアチュイ(花季魚)が通称。在留日本人は長江ダイ、天津ダイ、外国人はマンダリン・フィッシュと呼んでいた。

   イラスト
    ケツギョ(花季魚)
    ケツギョを画いた明代の景徳鎮製皿

トゲウナギ 5ページ
 針鰻 Macrognathus aculeatus
 イカン・チラン Mastacmbelus  maculatus インドネシアではイカンが魚
 プラ・カチン Mastacmbelus circumcinctus タイではプラが魚

 イラスト
  針鰻 上海産
  イカン・チラン シンガポール産
  プラ・カチン 南タイ産

タツノオトシゴ(海馬) 8ページ 省略

闘魚族 9.5ページ
 ベタの仲間

  • 1900年には赤色品種が固定され、これがプラ・カット・クメール(カンボジア・ベタ)である。
    泡巣は酸素不足の水中に産むために会得した後天性の習性であろう。
    ベタが欧州に初めて輸出されたのは1873年。

    タイやボルネオ、スマトラにいるB.taeniataはタイでプラ・クリム・ワ・モンク(大頭のクリム)
    マラヤ産のB.bellicaはマレイ語でイカン・ベラガ又はラムピラ

    Trichopsis vittatusはプラ・カット・パ(野生の噛みつく魚)かプラ・クリム。タイ産は3本の縦線、ジャワ産は2本、ボルネオ産は4本。
    慶応大学の細谷英吉助教授はトランキライザー(精神安定剤)を使って面白い実験をした。

 パラダイスの仲間

  • 属名は大きな足(ひれ)という意味のMacropodus。
    チョウセンブナ又はチョウセンタナゴ
    暑さに弱く、35度以上で動きが鈍り、それ以上で死ぬ。零度
    ラウンド・テール・パラダイスと呼ばれる。中国の方言は蝶魚や娼婦魚(花嫁魚)、火焼膨皮(赤タナゴ)

    大正6年(1919)ころ東京付近の川などに殖えたが、これは当時深川にあった岩崎別邸か秋山金魚店で飼っていたものが、大水で逃げたものがもとという。

 タイワンキンギョ

  • フォークド・テール・パラダイスという。
    方言は銭片魚、花魚、丁班魚、波師魚、馬片魚。四川省では老梳火、香港で岐索魚、台湾で銭班魚。沖縄ではトウユウ、唐(中国)から来た魚の意味。

 イラスト
  チョウセンブナ雌雄
  タイワンキンギョ雌雄
  スパイクテールパラダイス

メダカ族 8.5ページ
 北海道には昭和の初めころ渡道した。
 朝鮮語でソンサリー、台湾で弾魚、中国語で小(魚将)魚
 卵生メダカ
 卵胎生メダカ

 イラスト
  Oryzias latipes雌雄
  カダヤシ雌雄

ベラ一家 省略

-----メモ-----
1900年=明治33年
1919年=大正8年

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