「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その9
腹黒い妖姫 タナゴ族 14ページ
タナゴの常識学
- タナゴの語源は平タい魚(ナ)で小物(コ)かららしい。万葉のころはクソブナ。クソとは物の屑のこと、つまり物の役に立たぬフナ類似の小魚の意味。
朝鮮産のタナゴ類は内田恵太郎博士の「朝鮮魚類志」(1939年)
小さなタナゴ
バラタナゴ属
- 大陸のは婚姻色では腹びれが黒く、その前縁は白色に変わり、雌魚の産卵管は灰色か黒色なのに、日本産は腹びれが一様に黒く、雌魚の産卵管は先端が黒く、根元に赤味がある。
カラバラタナゴ Rhodeus sinensis
ヨーロッパタナゴ R.sinensis 種名は絹のように腹側が光る意味
カガミバラタナゴ R.spinalis 種名は棘に由来。台湾と海南島にいる。
ゼニタナゴ属 Pseudoperilamphus
- 朝鮮にはウエキゼニタナゴ、ホンダゼニタナゴ、スイゲンゼニタナゴ
海南島にはカイナンゼニタナゴが報告されている。
ミヤコタナゴ属 Tanakia 田中茂穂博士に由来
バラタナゴモドキ属 Pararhodeus 揚子江下流に知られる。
大きなタナゴ
タナゴ属 Acheilognathus 唇と顎のない意
- 口ひげは一対
日本にはヤリタナゴ、タナゴ、アブラボテ、カネヒラ、イタセンバラ、イチモンジタナゴ、タビラがいる。
朝鮮半島だけにいるはチョウセンイチモンジタナゴ A.yamatsutai(人名に由来)
中国の揚子江下流にはヒゲタナゴ A.barbatusがいる
タナゴモドキ属 Paracheilognathus 似た意味
- 中国にだけ3種いる
揚子江から北支にかけて石包魚 P.imberbis(口にひげのない意)
南支の広西省のクワンシイタナゴ P.meridianus(南方の意)
台湾や福建省、浙江省の山間渓流にいるキラヒー P.himantegus(皮に条がある意)
トゲタナゴ属 Acanthorhodeus トゲのあるタナゴの意
- 日本には北九州にカゼトゲタナゴ1種
朝鮮にはオオタナゴとチョウセントゲタナゴの2種
オオタナゴ A.macropterus(大きいヒレの意) 20cmになる
チョウセントゲタナゴ A.gracilis(細長いの意)
中国には四川省の渓流産ガビサントゲタナゴや北支産の白河トゲタナゴとか長身トゲタナゴ、北満の興凱湖タナゴがいる。
中南支と北ベトナムにいるのがトンキントゲタナゴ A.tonkinensis(トンキンは地方名)
民話民説
- 今の釣り餌は玉虫が最上とされる。この方法を発見したのは明治初年の東京は品川の人、山田弥ハチ氏。
掲載イラスト
カラバラタナゴ 雌雄
ヨーロッパタナゴ 雌雄
クワンシータナゴモドキ 雌雄
キラヒー 雌雄
オオタナゴ 雌雄
トンキントゲタナゴ
海底のひきがえる イザリウオ族 12ページ 省略
釣り竿所持の魚
イザリウオの仲間
イザリウオの生態
君は雄か雌か タウナギ 12ページ
性は変わる
- 性の転換で、哺乳動物では雄が雌に、鳥や両生爬虫類、魚等では雌から雄に変わることが多い。
タウナギの生態
- 学名は学者によって Flita alba 又は Monopterus javanensis のどちらかで多くは前者を採用。
大きさは7,80cm、重さ1.5kgになるが、通常は25~40cm級。
呼吸法と産卵
- 鰓は萎縮してあまり役に立たない。空気呼吸をやらせぬと死ぬ。
産卵期は中部日本では6,7月ごろ。浅い岸辺のアシの茂みの中などにきて泥底に穴を掘り、ベタのように泡をふいて水面に丸い浮巣を造る。
雌から雄へ
- ふ化後約2年の成熟期までは全部が雌。次第に雄に変わる仲間ができ、後には全部が雄になる。
外見では雌雄の判別がつかない。
日本の分布や料理
- 明治19年に書かれた「清国水産弁解」という本には同年(1886)、横浜在住の清国商人が福建省から輸入し、東京の深川にある池に放養したところ逃げられたと。
物知り帳
- タウナギにハエはよりつかぬと中支の魚屋は店に下げておく。
海のあいきょう者 カワハギ類 13ページ 省略
皮の利用
カワハギ族とモンガラカワハギ族
カワハギの生態
いろいろなカワハギ
モンガラカワハギ族
たれ眼の深海魚 ミツマタヤリウオ 12ページ 省略
深海と深海魚
雄雌と幼魚の変態
どこにいるか
ホップ・ステップ・ジャンプの元祖 ハゼ族 13ページ 省略
皇太子殿下のご研究
ハゼ学入門
トビハゼ族
ムツゴロウ族
中国特産的珍魚 12ページ
中国の川と水族
中国大陸の魚の70%はコイ科である。
頭がのびた桿魚
Luciobrama macrocephalus
大きいのは1.6m、30~40kg
サバ頭の竿魚
Elopichthys bambusa
最大で2m、50kg
紅尾魚と大口魚
尖嘴紅尾魚 Pseudoaspius leptocephalus
最大で64cm
大口魚 Luciosoma fasciata
体長25,6cmぐらい
管魚と赤眼鱒
管魚 Ochetobius elongatus
普通は湖中に多く見受ける。
最大1m、10kg
赤眼鱒 Squariobarbus curricularis
外見は草魚そっくりで、眼の上部が赤い。
雑食だがタニシや二枚貝の肉を好食する。
最大40~50cm、2.5kg。
掲載イラスト
桿魚
竿魚
尖嘴紅尾魚
大口魚
管魚
赤眼鱒
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