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2010年6月22日 (火)

「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年 目黒書店

「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年6月15日發行(3000部) 目黒書店 A5判 P.227 定價金二圓三十錢 特別行為税相當額二十二錢 合計金二圓五十二錢

 この本は日本が太平洋戦争真っ最中に執筆されたもので、この時期に発行された数少ない飼育書の内の一冊です。
 前に紹介した「日本の金魚」アルス 昭和18年も同氏による同じ時期の本でした。

 また、同書のもう一つの特長は熱帯魚の飼育について10ページ割いているところで、昭和10年代に熱帯魚の飼育について書かれたものは、いまだ見たことがありません。

 金魚については総ページ数の半分近くの割合ですが、副題にもあるとおり、淡水魚、海水魚、水族館についても書かれています。

 紙質は物資統制時代なので、わら半紙に近いようでよくありません。手元のは本ではカバーや函が付いていたかどうかはわかりません。

 発行部数3,000部が当時として多いのか少ないのかは定かではないが、古書界にはほとんど出ない一冊です。

【構成】
表紙

口絵
はしがき
目次
 第一章 體の外部の構造
  一 體の形
  二 鱗
  三 頭
  四 體の色

 第二章 體の内部構造
  一 骨格
  二 内臓

 第三章 金魚はどうして生きてゐるか(習性)
 第四章 形態習性について簡單に出來る實驗
  一 體形の測定
  二 鱗と年齡
  三 赤血球
  四 解剖
  五 遊泳の動作
  六 出眼の發育
  七 色變りの有様
  八 眼と色の關係
  九 嗅覺の實驗
  十 鹽分と色との關係

 第五章 金魚の種類
  一 種と品種との定義
  二~二十 20種の品種名を列記

 第六章 金魚の先祖と種類の出來た順序
  一 金魚の先祖返り
  二 縁が近いか遠いかを研究する方法
  三 金魚の祖先
  四 金魚の原種
  五 各品種の系統

 第七章 金魚の遺傳
  一 遺傳学
  二 眼の遺傳
  三 鱗の遺傳
  四 鰭の遺傳
  五 頭のこぶの遺傳
  六 體色の遺傳
  七 遺傳學の應用

 第八章 金魚の飼ひ方
  一 昔からどんなにして飼われたか
  二 飼ひ方の目安
  三 池はどんなのがよいか
  四 金魚を飼ふ水
  五 金魚には何を食はすか
  六 一つの池に何尾位の金魚が飼はれるか
  七 金魚は一年でどの位の大きさになるか
  八 寒いときにはどうするか
  九 金魚のはこび方
  十 金魚の病氣の手當
  十一 金魚の害敵は何か
  十二 小容器の飼ひ方

 第九章 金魚の子供の育て方
  一 親魚
  二 卵を産む時期
  三 卵の産ませ方
  四 孵化
  五 魚兒の飼料
  六 稚魚の飼ひ方
  七 よい金魚の選び方

 第十章 飼ひ方についての實驗
  一 水の容積とそれに入れ得る魚の數
  二 飼料の比較試驗
  三 放養尾數と生長度との關係 ※二と誤字
  四 病魚の觀察
  五 ウオジラミ、イカリムシの觀察
  六 追星の觀察
  七 金魚の發生
  八 魚兒の觀察

 第十一章 淡水魚と海水魚の區別
  一 海洋都内錘
  二 魚とはどんなものか
  三 淡水魚と海水魚

 第十二章 メダカ
  一 メダカと方言
  二 メダカの形態
  三 メダカの習性
  四 メダカの研究せられた遺傳の現象
  五 飼ひ方

 第十三章 コヒ(鯉) ※コイ
  一 最も古くから飼はれた魚
  二 コヒの形態
  三 コヒの習性
  四 コヒの種類
  五 コヒの品種改良
  六 コヒとフナとの雑種
  七 コヒの養殖
  八 コヒの利用

 第十四章 フナ(鮒)
  一 釣りに喜ばれる魚
  二 フナの種類
  三 フナの形態
  四 フナの雌雄
  五 フナの習性

 第十五章 ウナギ(鰻)
  一 昔はウナギは山芋が化けると考えた
  二 ウナギの子供とその一生
  三 ウナギの形態
  四 ウナギの習性
  五 ウナギの養殖

 第十六章 マス(鱒)
  一 人工的の飼ひ方の發達した魚
  二 マスの種類
  三 マスの形態
  四 マスの習性
  五 マスの養殖

 第十七章 アユ(鮎、年魚)
  一 世界で一番おいしい魚
  二 アユの形態
  三 アユの習性
  四 アユの養殖

 第十八章 普通の淡水魚
  一 形態の變った魚
  二 習性の面白い魚

 第十九章 熱帶魚
  一 熱帶の動物は美しい
  二 動物發生の三態
  三 卵生の魚
  四 卵胎生の魚

 第二十章 タヒ(鯛)
  一 日本では魚の代表
  二 タヒの種類
  三 タヒの形態

 第二十一章 イワシ(鰯)
  一 最も大衆的の魚
  二 イワシの種類
  三 イワシの形態と習性

 第二十二章 沿岸にすむ面白い魚
  一 雄が腹のふくろで子供を育てる魚
  二 横になって寝る魚
  三 棘をもって刺す魚
  四 食べると毒の魚
  五 形の奇異な魚

 第二十三章 水族館 ※本文は第二十章と誤記
  一 起源
  二 水族館の設備
  三 小規模の海産魚の飼ひ方
  四 日本の主な水族館の位置

-----メモ-----
1943年=昭和18年
関連本

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