「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年 目黒書店
「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年6月15日發行(3000部) 目黒書店 A5判 P.227 定價金二圓三十錢 特別行為税相當額二十二錢 合計金二圓五十二錢
この本は日本が太平洋戦争真っ最中に執筆されたもので、この時期に発行された数少ない飼育書の内の一冊です。
前に紹介した「日本の金魚」アルス 昭和18年も同氏による同じ時期の本でした。
また、同書のもう一つの特長は熱帯魚の飼育について10ページ割いているところで、昭和10年代に熱帯魚の飼育について書かれたものは、いまだ見たことがありません。
金魚については総ページ数の半分近くの割合ですが、副題にもあるとおり、淡水魚、海水魚、水族館についても書かれています。
紙質は物資統制時代なので、わら半紙に近いようでよくありません。手元のは本ではカバーや函が付いていたかどうかはわかりません。
発行部数3,000部が当時として多いのか少ないのかは定かではないが、古書界にはほとんど出ない一冊です。
【構成】
表紙
扉
口絵
はしがき
目次
第一章 體の外部の構造
一 體の形
二 鱗
三 頭
四 體の色
第二章 體の内部構造
一 骨格
二 内臓
第三章 金魚はどうして生きてゐるか(習性)
第四章 形態習性について簡單に出來る實驗
一 體形の測定
二 鱗と年齡
三 赤血球
四 解剖
五 遊泳の動作
六 出眼の發育
七 色變りの有様
八 眼と色の關係
九 嗅覺の實驗
十 鹽分と色との關係
第五章 金魚の種類
一 種と品種との定義
二~二十 20種の品種名を列記
第六章 金魚の先祖と種類の出來た順序
一 金魚の先祖返り
二 縁が近いか遠いかを研究する方法
三 金魚の祖先
四 金魚の原種
五 各品種の系統
第七章 金魚の遺傳
一 遺傳学
二 眼の遺傳
三 鱗の遺傳
四 鰭の遺傳
五 頭のこぶの遺傳
六 體色の遺傳
七 遺傳學の應用
第八章 金魚の飼ひ方
一 昔からどんなにして飼われたか
二 飼ひ方の目安
三 池はどんなのがよいか
四 金魚を飼ふ水
五 金魚には何を食はすか
六 一つの池に何尾位の金魚が飼はれるか
七 金魚は一年でどの位の大きさになるか
八 寒いときにはどうするか
九 金魚のはこび方
十 金魚の病氣の手當
十一 金魚の害敵は何か
十二 小容器の飼ひ方
第九章 金魚の子供の育て方
一 親魚
二 卵を産む時期
三 卵の産ませ方
四 孵化
五 魚兒の飼料
六 稚魚の飼ひ方
七 よい金魚の選び方
第十章 飼ひ方についての實驗
一 水の容積とそれに入れ得る魚の數
二 飼料の比較試驗
三 放養尾數と生長度との關係 ※二と誤字
四 病魚の觀察
五 ウオジラミ、イカリムシの觀察
六 追星の觀察
七 金魚の發生
八 魚兒の觀察
第十一章 淡水魚と海水魚の區別
一 海洋都内錘
二 魚とはどんなものか
三 淡水魚と海水魚
第十二章 メダカ
一 メダカと方言
二 メダカの形態
三 メダカの習性
四 メダカの研究せられた遺傳の現象
五 飼ひ方
第十三章 コヒ(鯉) ※コイ
一 最も古くから飼はれた魚
二 コヒの形態
三 コヒの習性
四 コヒの種類
五 コヒの品種改良
六 コヒとフナとの雑種
七 コヒの養殖
八 コヒの利用
第十四章 フナ(鮒)
一 釣りに喜ばれる魚
二 フナの種類
三 フナの形態
四 フナの雌雄
五 フナの習性
第十五章 ウナギ(鰻)
一 昔はウナギは山芋が化けると考えた
二 ウナギの子供とその一生
三 ウナギの形態
四 ウナギの習性
五 ウナギの養殖
第十六章 マス(鱒)
一 人工的の飼ひ方の發達した魚
二 マスの種類
三 マスの形態
四 マスの習性
五 マスの養殖
第十七章 アユ(鮎、年魚)
一 世界で一番おいしい魚
二 アユの形態
三 アユの習性
四 アユの養殖
第十八章 普通の淡水魚
一 形態の變った魚
二 習性の面白い魚
第十九章 熱帶魚
一 熱帶の動物は美しい
二 動物發生の三態
三 卵生の魚
四 卵胎生の魚
第二十章 タヒ(鯛)
一 日本では魚の代表
二 タヒの種類
三 タヒの形態
第二十一章 イワシ(鰯)
一 最も大衆的の魚
二 イワシの種類
三 イワシの形態と習性
第二十二章 沿岸にすむ面白い魚
一 雄が腹のふくろで子供を育てる魚
二 横になって寝る魚
三 棘をもって刺す魚
四 食べると毒の魚
五 形の奇異な魚
第二十三章 水族館 ※本文は第二十章と誤記
一 起源
二 水族館の設備
三 小規模の海産魚の飼ひ方
四 日本の主な水族館の位置
-----メモ-----
1943年=昭和18年
関連本
日本ブログ村観賞魚 沢山ブログが集まっているサイト
« 「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その13 | トップページ | 「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年 目黒書店 その2 »
« 「魚紳士録」 上巻 木村重 緑書房 昭和58年 その13 | トップページ | 「金魚 魚の話」 松井佳一 昭和19年 目黒書店 その2 »
コメント