「淡水魚の話」 中野宗治 農業と水産社 昭和6年 その2
第1 緒言
・・・・河川湖沼等内水面に於ける漁業は、單に漁業者のみに依って濁占されて居る産業上のの立場に於いてのみ重要になるばかりでなく、沿岸住民は言ふに及ばず更に自然界に接する機會の少ない都人士の為めには得難い慰安であり、趣味性の満足に資せられるべき男性的ゲームでもある。・・・・・
第2 總説
・・・・・これを次の三種に區分することが出來る。
1,鹹水魚、2,半鹹水魚、3,淡水魚・・・・・以下私が説述しやうとしている魚は此等三種の内、前二者を除いた淡水魚に就いてである。
・・・・・右本邦内地産の淡水魚中から、最も普通な、吾々が、日常接する機會の多い十種類を選出して略述しやうとするのであるが、・・・・・。
1,水の流動に對する適應
- ・・・・・斯くの如き流れに對し反抗し得る性質を備へて居た者、即ち所謂、沈性卵を持った淡水生活志願者のみが永久の淡水生活者と成り、・・・・・
2,産卵期に現るはるゝ第二次的特徴
3,地理的環境への適應
生息場所によるエルゲンマン教授の八種の區分を紹介
4,温度に對する適應
アラスカ地方産のダリヤと呼ばれている魚の話
卵や稚魚からの適應性の話
5,光に對する適應
6,環境生物と其れに對する適應
7,水深及底質と魚類の適應
第3 各論
1,アユ(鮎、年魚、香魚) 19ページ
(1)名稱及分布
- アユに別名はない。漢字では鮎、年魚、香魚など。
(2)形態及特徴
- 産卵期前の臀鰭による雌雄判別法について解説。表を掲載
(3)棲息場及洄遊の状況
(4)食餌
(5)發生及成長
- 日暮、中井兩氏による水温とアユ卵の孵化日數の表を掲載
脇谷博士の相州三崎在油壺での調査では、シラスの九割がアユの稚魚であった。
大正13年に京都府下の河川にコアユの移出が始まった。
(6)經済的價値並に蕃殖保護及助成
- 多額順の縣名、昭和3年度農林統計の重量(貫)と産額
2,マス(鱒、(魚完)) 40ページ
(1)名稱及種類
- 大島博士の分類
木曽川上流地方(長野縣下)ではアメノウオ即ちヤマメをタナビラ、シマメ、オボソと區別している。)
(2)分布及棲息場
(3)形態及特徴
木曽川、犀川姫川、木崎湖での赤點の違い
マスの幼形時をエンドウ子と稱する地方がある。
(4)マスの一生、洄遊の状況
(5)食餌
シーメンツ氏による餌料の3分類
- 中井氏の琵琶湖産マスの4種の食餌の研究を解説。
木崎湖産ヒメマスの天然餌料表と上高地産イワナの天然餌料表を掲載。
(6)發育成長
- マスの天然と池中での成長度表と上高地産イワナ成長度表を掲載。
(7)蕃殖法
雌雄の成熟年、體色、體形を説明、雄は川に留まる?
木崎湖産マス卵測定表掲載、相乘積は536。
滋賀縣水産試驗場のマス母魚の大きさと孕卵數表
(8)養殖及蕃殖保護並に漁獲法
(9)産地、産額、統計
多額順の縣名、昭和3年度農林統計の重量(貫)と産額
« 「淡水魚の話」 中野宗治 農業と水産社 昭和6年 | トップページ | 「淡水魚の話」 中野宗治 農業と水産社 昭和6年 その3 »
« 「淡水魚の話」 中野宗治 農業と水産社 昭和6年 | トップページ | 「淡水魚の話」 中野宗治 農業と水産社 昭和6年 その3 »
コメント