「よみがえれ!! 日本の淡水魚」 滋賀県立琵琶湖文化館 昭和62年 その5
カワバタモロコ Hemigrammmocypris rasborella 2ページ
- 田中茂穂博士が、当時の滋賀県水産試験場長・川端重五郎さんにちなんで名づけたものと言われている。
日本列島の特産種
昭和54年ころより屋外の水槽にて繁殖に取り組んできた。
ホテイアオイなどの根の水面近くに産卵する。産卵は6月上旬から7月上旬の約1ヶ月間。
天然では普通3~4cmだが、飼育下では5年以上も生き、中には7~8cmに達するものがいる。雌の方が大きい。
ヒナモロコ Aphyocypris chinensis 2ページ
- 福岡市近辺にしかすんでいない。
1971年に飼育をはじめ、1980~1981年にかけて屋外の水槽で自然産卵させることに成功。おそらく日本で初めてのことと思われる。
産卵は7月初旬~8月初旬(水温23~30度ぐらい)の午前中に行われ、水面近くのホテイアオイやガガブタの根に産む。
ウシモツゴ Pseudorasbora pumila subsp 2ページ
- モツゴよりずんぐりしており、体の色もアメ色をしている。さらに、性格はモツゴより随分臆病である。
岐阜県下の生息地の発見者・内山隆によれば、池が埋め立てられ完全に消滅したとのこと。
愛知県下のものは1982年に永井貞さんたちによって生息が確認され、以後1986年に鈴木栄二さんらの発見を契機とし、この魚を天然記念物にとの声があがっていたようだが、その後どうなったことでしょう。
産卵させる材料として瓦が良いと聞いていたのでこれを使った。
岐阜県下ではウシとかケンカモロコと呼んでいる。
ホトケドジョウ Lefua echigonia 2ページ
- ひげは前方に向けて広く上下に生えている。これはプランクトンのような浮遊性のものを食べるのに適している。
真夏の高水温には耐えられないらしく、20度ぐらいが限界。水温が27~28度になると病気にかかり易くなり、30度を超えると息も絶えだえになる。
オヤニラミ Coreoperca kawamebari 2ページ
- 数尾同一の水槽に入れると、最終的には1尾のオヤニラミしか残らない。
水質・水温にもうるさく、清い水でしかも夏涼しく冬暖かでなければいけません。
タナゴモドキ Hypseleotris cyprinoides 2ページ
- カワアナゴの仲間
分布は西表島・宮古島など4島に限られている。
産卵期は3~4月。長崎大学では水槽内で産卵に成功したが、卵が小さく、仔魚も小さく与えるエサがないため、飼育下での繁殖はすごく難しい。
あとがき
- 私達が子供のころには、・・・・・。ここで私たちが認識しておかなくてはいけないのは、彼らが「絶滅しつつある」のではなく、「絶滅させられつつある」という点です。・・・・・・。
これをストップさせるためには、私たち一人一人が加害者意識を常に持ち、動物を、自然を大切に育ててゆきたいものです。美しい日本の自然とそこにすんでいる生きものを大切にすることは、ひきも直さず私たち自身の生活を守ることにもつながっているのですから・・・・・・。
1987年7月5日 著者一同
本著は琵琶湖文化館学芸員、前畑政善、秋山廣光、前田征也、桑田雅之がそれぞれ分担して執筆した。
-----メモ-----
1987年=昭和62年
以上でこの本の紹介は終わりです。
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