「實驗 金魚の愛玩と飼育法」 松井佳一 弘道閣 昭和11年 その9
4,飼育法
(イ) 愛玩用の飼育法
a 選別
- 孵化後2週間位で1糎内外になる。この時第1囘の選別を行う。選別した魚兒は1m2に對して70尾乃至50尾以内の數を放養する。
b 放養尾數
1m2に對する大きさ別の尾數表を掲載。
c 換水
- 金魚は元來温水性の魚類で止水を好むものであるからあまり水の變化するのは育成上良い結果を來さない、従って換水よりも水質の變化に先立って差し水をすることがよい。差し水は全水の1割程度。
其の他月別の囘数が記述されている。
d 生長度 省略
e 餌料
- 著者の特許を取った人工餌料の抄録を掲載。愛玩用魚類人工餌料製造法特許第36253號(大正9年4月27日)
著者の友人伊東利男君は改良工夫し特許を得て「愛魚の友」として昭和9年夏から發賣した。
f アカコ
糸ミミズ、ボッタ、モ、ホオヅキとも呼ばれる。
g アカボウフラ 省略
(ロ) 營業的飼育法
a 稚魚放養と餌料 省略
b 餌料 省略
c 餌料と生活機能 省略
d 餌料成分と生活機能の障害、飢餓 省略
e 餌料の成分と營養價値 省略
f 金魚の人工餌料 省略
g 投餌法
- 1日の攝餌量(※せつじ)量は乾燥重で魚體重の2/100乃至10/100であって普通は5/100位を水温20度内外での標準量としている。
金魚では水温20度内外では餌料は4時間以上で消費せられる。
h 絶食の影響 省略
i 選別
- 孵化後間もなく尾鰭で良否を區別する。東京では「おたま抜き」といふ、「おたま」とは鮒尾のことである。
全體白色のものは賣品として価値が少ない、東京ではこれを「ヒロツコ(シロッコ)抜き」といふ。
j 放養尾數 省略
k 生長度 省略
l 換水 省略
5,人工的調色法
鹽分の効果を述べた続きで
- 先代秋山吉五郎氏からいろいろ金魚の飼育や金魚の見方などを教えられたが其の當時氏はこのことについて大に注意して居られ金魚養殖は海岸から1里以内の場所でなければ、よい色が出ないもので赤土の場所は駄目で黒土でなければいけないことを多くの實例やら實驗から話して居られたが、奈良縣の郡山地方は有名な金魚養殖地で良品が産出せられるが、これに全く反して海岸に遠く盆地で土質も赤土の處が多い。
郡山では醤油粕を多量に使用することから食鹽を使用して見ると赤の色が濃くなる結果を得た。
人工的に色素胞を破壊して其の再生を阻止する方法は、鱗を剥ぎ取って表皮を機械的に損傷するものと、薬品を塗布して化學的に損傷するのがある。
薬品としては50%の氷醋酸、10%のサルチール酸、5%の石炭酸の水溶液が常用せられる。
名古屋の增田冬輔氏による、「ぢきん」についての詳細な施術法が書かれている。
最近のコメント