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2009年7月

2009年7月28日 (火)

「フィッシュマガジン」 昭和41年9月号 通巻7号 その3

ドンコ 塚原 博 1.5ページ

  •  関東地方には分布しない。ハゼと違って腹ひれは左右離れている。昼は水底の石や水草のかげに潜んでいるが、夜間にかくれ場を出て餌を採る。
    冬期水温が下がると背を底に埋めて眼だけを出して冬眠生活をする。水温15~20度で活動する。

    5月頃に全長10~15cm以上の腹部のふくれたメスにオスを1尾つけ、産卵場として土管を入れておく。卵は土管の内壁に産みつけられ、産卵後メスは出るが、オスは卵を守る。
    ふ化は15度内外で約1ヶ月を要し、ふ化した7,8mmのものははじめ水底生活をする。

ふな 大屋正太郎 1.5ページ

  • 一口に「ふな」と言われているが、実際には「きんぶな」、「ぎんぶな」、「げんごろうぶな」などの品種があり、琵琶湖にはきんぶな・ぎんぶなの琵琶湖型とも言うべき「にごろぶな」・「ひわら」がいる。(琵琶湖ではふなの幼少期のものを「がんぞ」と云っている。)

    大阪・奈良で養殖されている「かわちぶな」は単にげんごろうぶなの方言ではなく、飼育種としてつくりかえられたもので形態的・生態的に異なる点が多い。

    水槽で飼育する時は、馴れにくいので与えた餌を充分食べずに、残餌が水質を悪くさせることになるので注意が必要である。

鯉 松島昌大 1.5ページ

  • 天然から採ってきた鯉の仔に小さい白斑のようなものがあれば白点病の疑いがこい。水1m3につき1~2%の赤チン(マーキュロ)を1~2滴入れてやると自然に治る。(※古い本なので自己責任で)

うぐい 中村一雄 2ページ
 飼育水温と酸素消費量

  • コイ科の魚であるが、むしろ冷水を好む性質があり、且つ敏捷である。水温が26度以上になると食欲も減り始め、生活力が弱まる。20~16度の間は酸素の消費量が多く、最も健康な状態に生活し得るので最適な水温である。摂餌の限界は3度位までである。
    体長2~4cmの稚魚は200ccの水量に1尾以下の割合が安全であり、ウグイの酸素消費量は1リットル当たり279~500ccでかなり多く必要とする。

 かかり易い病気

  • 発生しやすい病気はキロドン病と白点病であり、2%塩水浴を5分間位、3~4回繰り返して、かなりの効果があった。また塩酸キニーネの20~30万分の1液で数日間水溶を反復すると効果があると言われている。(※自己責任で)

 石田力三 1.5ページ

  •  水槽で飼育する場合は20度前後が最も適当で、注水量は90*30*30の水槽で毎分0.5~1リットルは必要。
    以上の水槽で10尾前後飼育でき、大きさは12~13cm以下のものがいい。
    餌の量は水槽に入っている魚の重量の5~10%を一応の目安とする。一定の場所で与え続けるとテリトリーが出来る。テリトリーを持ったアユの胸びれ附近には黄色い斑紋があらわれる。

    水温が低い時に餌を与えすぎると胃腸障害を起こす恐れがある。
    細菌性の病気の代表的なものとしてビブリオ病があり、治療法としては魚の体重100g当たり10~20mgのサルファ剤を餌に混ぜ与えるが、伝染するから予防に努める。海産稚アユに発生しやすいので、湖産を購入するのが無難

2009年7月26日 (日)

「フィッシュマガジン」 昭和41年9月号 通巻7号 その2

日本産淡水魚の研究所 資源科学研究所 編集部
 モノクロページ

  • 昭和16年に設立され、戦後、財団法人として再発足。
    研究項目は、水、土地、生物、その他の天然資源の開発、利用、保全のための調査。
    中村守純先生は水産増殖に関する調査、研究の部門を担当。
     1,産業的に大事な魚の調査、研究
     2,動物地理学的に貴重な魚の保護対策

日本産淡水魚養殖の拠点 淡水区水産研究所 編集部
 モノクロページ

  • 昭和24年に設立 現在の所長は中村中六
    内水面漁業の振興のための基礎技術の研究を行っている。
     1,河川湖沼部
     2,養殖部
     3,水質餌料部

日本の淡水魚 中村守純 3ページ
分布と道具   中村守純
採集       中村守純

  • 目次では上記のようになっているが、記事は「採集と飼育」としてまとめてある。
    現在の日本川や湖の大部分には漁権があって魚を採集するのには遊漁料を払う必要がある。また各都道府県とも漁業調整規則で禁漁区や禁止漁法が定められている。

    採集してから持ち帰るまでの魚の取扱い方の要点は
     1,すれさせない
     2,酸素欠乏をおこさせない
     3,渓流魚では水温を約20度C以下に保つ

    飼い方
     1,止水式
     2,循環式
     3,流水式

ドジョウ 石田力三 1ページ

  • 我が国に分布しているのは、マドジョウ、シマドジョウ、スジシマドジョウ、アジメドジョウ、フクドジョウ、アユモドキ、エゾホトケ、ホトケドジョウの8種。
    ヒドジョウは北海道に多く分布している

    20*20*30cmの容器で、隊長10cm前後のものを4~5尾収容できる。細かい砂とやわらかい土とを混合したものを水底に2~3cmしき、水草等を植えればいい。

    よく見られる病気としては、頭部や尾の付け根、背鰭の周辺が赤くただれる病気がある。 治療法としてはサルファ剤を練餌に混ぜて与える。
    水槽に入れる前に、15~30万分の1のマラカイドグリーン溶液またはアクロマイシンを6~10万倍の水に溶かした中にドジョウを入れて消毒する。消毒に必要な時間はマラカイドグリーンで30分、アクロマイシンではほぼ1日。

スナヤツメ 大津 高 1.5ページ

  • 採集したら容器の水をごく浅くして背中が水から出る程度にして持ち歩くと比較的長持ちする。
    卵は小形透明で粘着性を持ち、やがてアンモシーテスという幼生が孵化する。3~4年目のアンモシーテスは9月頃から変態し成体となる。

    成体は食物を取らないから、飼育はアンモシーテスとなる。有機質に富んだ泥や珪藻を与え、水を浅くして充分に通気しても、天然のものより生長が遅れる。
    最も良いと思われるのはゆでた卵の卵黄を細砂と練り合わせて与える。春孵化したものがまもなく黒く色づき秋まで5~7cmに生長する。

    夏期は高温のため室内では殆ど不可能に近く、冷蔵式ショーケースを用い、15度前後に保った中に水槽を入れ通気をする。
    秋に変態した成体は体長15~16cmで飼育するのは極めて容易。
    アンモシーテスになかった目がぱっちり開き、えら穴と共に八ツ目を形成し、口はキセルの首のような独特の形となり物に吸い付く。餌はいらないが、水深を10cmの深さにし通気する。

    年末から二次性徴が現れ始める。すなわち、二つに切れていた背びれがつながり、雌では臀びれを生じ、雄では肛門の所に生殖突起が出来る。
    産卵は少し大型の水槽飼育するとみられる。
    水槽には2~3cmに砂か小石をしき、水草をいれておくとよい。

ホトケドジョウ 大津 高 1.5ページ

  • 生息地は湧水をま近にもつ細流の深いよどみや、河床の伏流水が湧き出ているところで、水は常に清く冷たい所が多い。

    飼育の水槽は30*30*60で10~20尾飼える。底に2~3cmの砂または小砂利を入れ、水深5~10cm、適宜水草を入れ、通気する。
    生息地の水は13,4~16,7度である。

    秋になると沢山の餌を食べ卵をはらむ。孵化した幼生は極めて小さいから、親魚の水槽からスポイトで一匹づつ吸い取る。
    餌はミナールをごくうすく溶かした水に一輪ざしの花の茎のしずくを落としておくとゾーリムシやミドリムシが繁殖するから、集めて与える。

カマツカとツチフキ 塚原 博 1.5ページ

  • カマツカは昼間は砂底に体を埋めて水中に眼だけを出しており、夜間水底に出て活動する。
    清流にすみ、川底もきれいな所に生活する魚で長期の飼育は比較的難しい。

    カマツカよりは体が短く、カマツカが全長20cm内外になるのに比して小さく、10cm程度の小形の魚である。地方によってドロカマツカ、ドロモロコ、スナモロコ、キツネモロコと呼ばれている。
    やや大型の水槽で常温、止水で簡単に飼える。温度調節の必要はない。

    オスはメスに比してやや大きく、体高は高くなり、成熟すると顔や胸びれに追星が現れる。とくに胸びれ前縁に大きな三角形の追星が出来る。さらに3~5月の産卵期にはオスは全体に黒みを帯び、輝いた黄色の婚姻色を生じる。

    産卵はオスが水底に20~40cm、深さ3~5cmの円形の産卵場を作り、卵を産ませる。卵はゼリー状の厚い膜に包まれ、これに浮泥がついて直径2~3mmの泥だんごになって、2000~4000粒位産みつける。
    産卵が終わるとメスはどこかへ行ってしまうが、オスは常に巣の中にあって掃除をする。10日内外でふ化し、全長1cm位で巣を出る。

2009年7月23日 (木)

「フィッシュマガジン」 昭和41年9月号 第2巻5号 通巻7号

「フィッシュマガジン」昭和41年9月号 第2巻5号 通巻7号 緑書房 B5版 P.140 定価200円

特集「日本の淡水魚」
全体の約半分である62ページまでを淡水魚の記事に割り当てており、執筆陣は大学の教授クラスで、今の観賞魚専門誌とは大分違います。

【目次】
表紙 オヤニラミ 提供:中村守純

日本の淡水魚 中村守純
分布と道具   中村守純
採集       中村守純

ドジョウ     石田力三
スナヤツメ   大津 高
ホトケドジョウ 大津 高

カマツカとツチフキ 塚原 博
ドンコ         塚原 博
ふな          大屋正太郎
鯉           松島昌大

うぐい   中村一雄
鮎     石田力三
ギギュウ 塚原 博

ウナギ 佐伯有常
タナゴ 路出 寧
ヤマメ 原 武史

多摩川中流の魚 曽根崎 久
淡水魚の参考書 中村守純

訪問
 日本産淡水魚の研究所  資源科学研究所   編集部
 日本産淡水魚養殖の拠点 淡水区水産研究所 編集部

宝石のように美しいドンコ 塚原 博

爬虫類大行進 編集部
金魚まつり   編集部

銀座を騒がせたソニービルの大型水槽       編集部
国府津海岸で採集会 フィッシュマガジン友の会 編集部
訪問 世界のワニを集めた 伊豆熱川ワニ園   編集部
逗子でサンゴ、海水魚、水中写真の展示会    編集部
訪問 少女愛魚家 高村麗子ちゃん        編集部

メチニスの産卵とふ化  飯塚泰二
アイデア提供 稚魚の安全地帯・稚魚すくい専用機
グッピー雑記(2)     和泉克雄
錦鯉の正しい観賞の仕方 黒木健夫

読者愛魚録
 奇怪な河童の伝説    新井春夫
 不思議な話の研究発表 川江康文

水族館の歴史 連載(1)      久田迪夫
変わった熱帯魚(7) ロリカリア  牧野信司
海水魚飼育の初歩と実践(1)   曽根崎 久
世界の奇魚(6) 阿部宗晴

相談室
 水槽についた虫の駆除法 笠原正五郎
 水草の育ちが悪い     熊谷孝良

みちのくの愛魚家グループ 釜鉄熱帯魚同好会 和泉克雄
リュウキンの水槽飼育(1) 梶 純夫

新刊紹介
新製品紹介

魚紳士録(7) トゲウオ<仲間と習性と飼い方> 木村 重
ろ過槽のろ材(1) 出口吉昭
上野動物園の水族館にいる動物たち 杉浦 宏

熱帯魚店めぐり
 藤田観光
 ペットフィッシュサービス
 東洋水族館

フィッシュ画廊
 ナンヨウハギ
 銀魚
 パンチャックス

フィッシュテスト(7) 私は誰でしょう
熱帯魚価格一覧表
海水魚価格一覧表

代理部案内
読者交換室
お知らせ

-----メモ-----
1966年=昭和41年
関連本

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2009年7月20日 (月)

「フィッシュマガジン」昭和41年7月号 通巻6号 その2

変わった熱帯魚(6) トーキング・キャットフィッシュ 牧野信司
 日本に輸入されたのは1960年で比較的新しい。

グッピー雑記 和泉克雄 4ページ
 純粋種グッピーの見分け方

  • 完全な成魚の中に1尾でも違った系統の色彩と紋様であると認められる魚がいればそれらは純粋種とは言い難い。
    純粋種のグッピーを求めようとするひとは、その種の特徴である形、色彩、紋様を予め知っておく必要がある。何の予備知識もなく、いきなり純粋種を求めるなら相手を信じるほかない。

    極めて魅力的なグッピーを市場に出すのは早くても第3世ぐらいからである。
    デルタテールが初めて市場に出たのは昭和39年10月である。私はこのグッピーの第4世までの成魚を見てから、完全な純粋種であることを確認し、熱帯魚協同組合発行の「熱帯魚ニュース」21号に、オス2雌の泳ぐ写真をそえ、新種グッピー「デルタテール・オブ・フォンテーヌ」と命名し発表した。

 グッピーの血統書

  • 「日本グッピー協会」というようなものが出来て、犬の血統書のように、生年月日、ブリーダー、祖先3代の名が明らかにされているようになれば誰でも純粋種のグッピーを安心して求めることが出来る。

 稚魚の分け方

  • オスに色彩と紋様が現れるのは生後2ヶ月ぐらいの時期であろうが、そのころの性別を分けるのはもうおそい。
    遅くとも生後1ヶ月、できることなら生後3週間ぐらいが望ましい。きれいな水に移し、明るい場所で選別すれば、発達しかかっている受精器によって性別を見分けることができる。

メダカの飼育もまた楽し 高橋耕二 2ページ

  • 体の表面に黒色色素細胞と黄色色素細胞とが混在していて両方の色が一緒になって黒い体色をあらわしている。
    黒色色素細胞を欠いていて、橙色色素細胞だけを持っているのがヒメダカである。また両方の色素細胞を共に欠いているのがシロメダカである。(※原文では黄色と橙色となっている)

    橙色色素細胞を欠いて、黒色色素細胞だけを持っているメダカは、体色は黒いことは黒いが普通のメダカよりは大分色がうすいので淡色メダカと呼ばれているが、また体色が多少青みを帯びて見えるので、アオメダカと呼んでいる人もある。

みじんこの生活史(※広告)

  • みじんこは鰓脚目のミジンコ、タマミジンコ、橈脚目のケンミジンコの総称。
    一般にみじんこは、卵よりフ化して7日で成熟し、2乃至3日間で10~18回位仔虫を産出し30~50日間生存し短い寿命を終わる。
    一匹の親虫から大体100~300匹の仔虫を残すと云われている。

グッピーの劣性斑点 (回答)和泉克雄

  • 赤系統のベールテールのメスの尾びれにピンク色の斑点がはっきり出てきているものなどを言う。
    このような斑点は、同血族間の無差別な交雑によってきわめて自然に発生する。

    これはデルタテールにも言えることで、デルタのメスに特有の尾の付け根にある水色と青のくさび形の斑点が乳白色又はピンク色になった場合は、明らかに選別と除去の労苦を欠いた結果の交雑種であり、劣性斑点と言えましょう。

読者交歓室

  • 意見感想を載せられた人の住所まで記載されていて、良き時代でした。

資材代理部案内

  • これは緑書房がろ材、飼料、魚病治療薬、水槽、蛍光灯、ポンプ、フィルター、サーモ、ヒーター、その他を読者に販売するコーナーです。
    一覧表には、それぞれの名称、仕様、単位、価格、荷造送料が掲載されています。

-----メモ-----
1960年=昭和35年
1964年=昭和39年

以上でこの雑誌の紹介は終わりです。

2009年7月16日 (木)

「フィッシュマガジン」昭和41年7月号 通巻6号

「フィッシュマガジン」昭和41年7月号 第2巻4号 通巻6号 緑書房 B5版 P.117 定価200円

この月の特集は「海水魚」なので、紹介する内容は少ないです。

【目次】
特集 海水魚
日本近海の海水魚 井田 斉
採集道具       井田 斉
水槽の選び方    山村 鱗
装置          山村 鱗

天然海水と人工海水魚 立井善明
塩分            立井善明
水槽中の海水の管理  吉田忠男
PHの調整         高村 守

光線と水槽 近藤三郎
濾過と通気 近藤三郎
繁殖     小沢秋生
海水の採取 立井善明

イソギンチャクの採集と飼育 柴田 清
天然海藻と人工海藻     柴田 清
餌とそのやり方        渡辺哲夫
病気の原因          鈴木四郎
病気の治療          広崎芳次

サンゴ礁の魚の飼い方と取合せ 安田富士郎
カニの飼い方            小田原利光
海の爬虫類             高田栄一
海水魚価格一覧

採集の旅 魚の宝庫!南支那海を探る
訪問 ダイバーの天国”伊豆海洋公園”
   相模湾の魚と二十年 簑島さん
   熱帯魚に憩いを求める 大谷冽子さん

アイデア提供
グッピー雑記       和泉克雄
金魚について再認識を 熊谷孝良

読者愛魚録
 淡水魚から海水魚へ   土居成吉
 メダカの飼育もまた楽し  高橋耕二
 魚の唄            倉嶋 暢

変わった熱帯魚 トーキング・キャットフィッシュ 牧野信司
世界の奇魚(5) トクビレイワシ           阿部宗晴

相談室
 オヤニラミの入手法    (回答)中村守純
 鯉がとび上がる理由は? (回答)中村守純
 オイカワの採集       (回答)中村守純
 グッピーの劣性斑点    (回答)和泉克雄

新刊紹介
新製品紹介

魚紳士録 ベラ一家 木村 重

読者交歓室
熱帯魚店めぐり
 美和熱帯魚
 広瀬熱帯魚
 城南水族館
 大岡山熱帯魚店

フィッシュ画廊
 シテニャッコ
 オーストラリアンレインボー
 銀鱗三色

私は誰でしょう(6)
後記
代理部案内

-----メモ-----
1966年=昭和41年
関連本

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2009年7月15日 (水)

「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その9

第15章 仔魚の育て方
 孵化當時の仔魚(こうお)
  省略
 藻の除ひ方

  • 孵化後數日して、お天氣のいい午過、藻なり柳の根なりは取り去る。

 仔魚の食物

  • 茹卵の黄身1個を水5合位の割に溶き、容器中の處々へそっと流し込む。一度に澤山入れない。
    その後1週間もすると自由に泳ぐので、微塵子か鰹節の削り粉を入れる。

 一番水

  • 第1囘の水換はその時分に行う。全體の7分目程。その後10日内外に2番水、次に又10日内外して3番水を取換える。

 選別

  • 3番水時には微塵子と同時に植物質の餌料を與えてもいい。生長が不揃いになり、また劣等の仔魚を分ける。
    區別が出来たら餌料は控え目に與える。

 變色

  • 6月末んは既に幾分その色彩の模様が判り、7,8月頃には最早立派に色變りが出來る。
    この際泉水の水を少なくして、日光に直射させると、一層鮮やかな色彩の金魚になると云われて居る。併しかくすると水の温度が昇って、魚が弱るから食物を半減し、且つ夕方の注水の量を特に多くする。

第16章 金魚屋と金魚の輸送
 郡山

  • 舊(きゅう)藩主柳澤伯の奨励に依って、盛んに産出され、最もいいので評判。

 彌富(弥富)

  • 量に於いては最大。ここは以前から農家の副業的に田の一部に金魚を飼養していた。
    概していい金魚とは云えないが、價もずっと安く、それ丈け需要は多い。

 金魚屋
  金魚は卸値は小賣値の約半分。

 輸送法
  省略

 金魚の小包便
  省略

 卵の輸送
  省略

第17章 金魚の病蟲害 ※古い文献なので処方は自己責任で
 1,病氣
  病氣の見分け方
   省略
  病因の四大別
   省略
  1,粗腐病(一名銹病:さび)

  • 石炭酸10滴、グリスリン20滴を1合の水に溶き、隔日位に筆の穂先で静かに洗う。

  2,鰓腐病

  • 藁の先で腐敗部を掻き捨て、その跡へ食鹽を塗るか、希薄な石炭酸水で洗うかする。

  3,松皮病

  • 毎日か又は隔日1囘サルチルサンを水に溶いたものか、食鹽水で洗う。

  4,糜爛病(びらん)
   泉水に雨水が入ると起こる。水を換える。

  5,ぬまり病(一名綿かぶり病)
   食鹽水、硼酸水で洗う。

  6,眼病
   食鹽水で洗う。

  7,糞詰病
   蕃椒水(ばんしょう)をのませると大抵治る。
  8,その他
   省略

 2,害敵
  省略

-----メモ-----
蕃椒=唐辛子

以上でこの本の紹介は終わりです。

「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その8

第14章 産卵及びその前夜
 鮒の産卵
  省略
 産卵の時期、囘數

  • 第2囘、第3囘と囘數の累むに従って、朝は早くから産み出して、早くに終わるようになる。

 産卵の徴候

  • 八十八夜前後になると、色彩がめっきり鮮やかになって、艶もよく、何處とな落ちかぬ様子がある。

 親魚の選定(おやうお)

  • 親魚として最も適當なものは3歳魚、4歳魚で、これに反し2歳魚の仔は色の變化が遅く、且つ半分は尾鰭の發達の悪いものが産まれる。一方5歳、6歳と老年になっても矢張り結果は思わしくない。
    一般に形態上の特色は夫體から遺傳し、母體からはその性質を享受すると云われている。

 雌雄の見分け方

  • 雄には追星が生ずる。
    雄はすっきりした處があり、體は細長く、腹部の丸味も少なく、鼻筋平たく鰭や尾はつんとして居る。
    雌は柔味があり、尾や鰭もふんわりとしていて、腹部は大きく、晩秋にもなると掌にのせて触れると、真綿にでも触れたような感がある。

 親魚の飼ひ方

  • 前年の秋から雌雄別にする。産卵の時節が近づいたら、數日間餌料を控え目にして、産卵の前日に充分與える。

 産卵池

  • 産卵前日の午後、幾分の注水をし、親魚を適宜の數入れる。容器の大きさは、徑(たて)2尺以上で、水深2,3寸で充分。
    容器を用意できないときは、前日に水換えし、隔てを除く。

 産卵と天氣

  • 卵の發育も考え、お天氣の續くらしい折りを見る。

 雌雄の組合せ方

  • 雌1に雄2、又は雌2に雄3

 金魚藻

  • 又の名を聚藻(ふさも)と云う。總(ふさ)のようにしなやかな藻。

 藻の危險

  • 仔魚を害する生物が附着しているときがあるので、半月前から用意する。

 柳の根

  • 天日に干せるので害虫の卵を殺すことが出來る。

 入れ方

  • 水面近くに浮かぶ物體に産卵する習性があるので、藻は根本に小石を結わえ、柳は縄に挟み込む。

 卵の容器

  • 水深は1寸5分乃至2寸

 産卵中の注意

  • 雄が余りに元気なため、雌が半死に逢うときは別にする。
    藻や柳の根は卵が落ちないように1,2囘取り替える。

 産卵後の親魚

  • 消化の良いものをごく控え目に與えるか、何も與えず別にし翌日與える。

 孵化迄の注意

  • 震盪る(ゆすぶる)のを忌みますから、容器は動かさない。
    5,6寸離して覆いをする。

 孵化

  • 氣温の高下によって一定はしないが、大體9日乃至5日で孵化する。3番仔位で打切る。

2009年7月10日 (金)

「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その7

第10章 水換と注水
 1,水換
  水換の原理
   省略

  囘數(回数)
   泉水なら夏期は月3,4囘、春秋は2,3囘、冬期は行わない。
  水換と天候時刻
   天氣晴朗、風のない穏やかな日
  水換の方法
   省略

  金魚の掬ひ方
   頭の方から掬う
  掃除の仕方
   省略
  泥池の水換
   省略

 2,注水(さしみず
  注水の意義
   省略
  時期
   5月から始めて、夏期は毎日行う。
  時刻

  • 午後の日影のかげった即ち4時5時頃のする。量は真夏の頃には手桶に冷たい水を2杯か3杯位差す程度にする。

  水の濾過
   省略

第11章 日覆と蓋と冬圍
 1,日覆
  時期

  • 5~9月の5ヶ月で、中でも6~8月が最も必要。5月頃は朝の10時頃から午後の3時頃まで、真夏は殆ど1日する。

  装置の注意
   高さは2,3尺乃至4,5尺程度

 2,蓋
  省略

 3,冬圍(冬囲)
  冬圍の程度
   省略
  圍ひ方

  • 片屋根を泉水の北西側につくる。通例11月下旬、もしくば12月始めに行うひ、晴天の暖かい日は取って、水を日光に晒す。注意したいことは、使う材料のあくが泉水に入らぬようにすること。

  小容器の防寒法
   省略

第12章 金魚の食物
 省略

第13章 餌料の與へ方
 控へ目
  省略
 時刻と囘數

  • 朝晝(ひる)2囘、少し残る程度に與へ、午後3時過ぎに残ったものを取り去る。

 季節と天候

  • 一番澤山食べるのは春暖の4,5月頃と涼しくなった秋。
    分量は當歳魚(当才魚 ※うおと読んでいる)は頭の大きさ程、2歳魚は頭の2分の1大位。

 夏季の注意
  省略
 與へる場所(与える)
  省略

2009年7月 8日 (水)

「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その6

後篇 金魚の飼ひ方 95ページ~
 ※ここからは秋山吉五郎氏執筆

第8章 金魚の容器
 小容器と大容器
  1,小容器
   三條件

  • それ自體が美的であり、部屋とも調和し、且つ金魚の美を増すもの、と3點に留意されいし。

   玻璃器(はりき)

  • これは透明で、中の金魚が透けて見えて、如何にも涼しげです。
    古くからある圓形楕圓の小玻璃器は12番、6番、4番、2番とあって、12番は直徑3寸、6番は直徑4寸5分、4番は5寸5分位、2番は7寸位ある。

    次に出来たのが硝子のズン筒(※どう)で、これが進歩し屋形とか、春日燈籠形などが出来てきた。

   陶器
    省略
   金屬器
    省略
   部屋へ飾る注意
    省略

  2,大容器
   金魚がめ

  • 直徑2尺から3尺位、深さ1尺乃至1尺5寸位の碗形の粗末な焼き物の瓶で、支那鉢も同様の目的で使われる。

   泉水
    種類

  • コンクリート製、漆喰製等の塗泉水と木槽(きぶね)がある。形状は大體圓形(まるがた)に近いもの、四角形、瓢形(ひさご)及び不正形の4に分けられる。

    理想的の泉水
     長方形若しくは正方形

    泉水の大きさ
     幅4尺縦6尺、即ち疊約1畳敷位のものが手頃である。

    泉水の深さ

  • 1尺を越さない方がいい。水深は2,3寸、深くても5,6寸あれば結構。深いと光線が透入しないし、水温が低下する

    泉水の位置

  • 南東の方角に開いて、陽(ひ)の當たりがよろしく土地高燥で風通しもよく、且つ西北にやや距って(へだ)森か何か障壁となるもののある場所。板塀等だと夏は日光が反射して水が蒸れる。

    新泉水の注意
     あくを抜く。

    泉水と魚數(うおかず)
     1畳大で當歳魚20、2歳魚11,12、3歳魚7,8内外が手頃。

   泥池

  • 泥底、もしくば砂、砂利底のままの池。
    泥池は金魚の性質もとかく野性的になり勝ちで、真に金魚の風格を愛する人達には排斥される。

第9章 金魚と水
 金魚と水質

  • 譬え艶麗な容姿はして居ても習性は鮒同様で、彼の普通に棲む半濁の河水が、金魚にも一番住みいい。而も酸素の多分に含まれた水が、金魚には最も理想的。

 水温
  省略
 濁りの程度

  • 平氣で手の洗へる程度の河水がまず適當である。なお、泥水のことではな。泥で濁った水は、金魚には絶對用いないこと。

 濁る原因
  浮遊生物と稱する、ごく微細な生物

 浮遊生物

  • 水が青色もしくは綠色の深味を帯んでいる場合は綠藻類、接合藻類、褐色の際は珪藻、又帯黄褐色の時は一般に甲殻類の繁殖を語る。

 水色の變る理
  省略
 浮遊生物と投餌
  まだこの方面の研究は甚だ幼稚。
 水換の理由
  省略

2009年7月 7日 (火)

「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その5

第7章 金魚の種類
 1,和金
  省略
 2,琉金
  一名長崎又は長尾と云う

 3,金鋳(蘭鋳)

  •  又の名を朝鮮もしくば丸子と云う。関西のらんちゅうには普通この獅子頭がありません。(※この当時の話)

    魚の良否識別の大略を觀魚会の定むる處によって誌すと、「頭はなるべく口先きより頬尻までの間長くして、厚みあるものがよろし。背部は幅廣く、頭の付根より弓形に漸々(だんだん)に上り、中央より又漸々に下って其間尾筒より長いものがよいとされる。又尾筒はなるべく太く、背の形に従ひ、程よく尾のつけ根まで漸々に下り、その丈け背より短いものがよい。尾は柔らかにして尾心曲らず、上らず、下らず、泳ぐ時は閉み(つぼみ)、止る時は直に圓の四分の一位に開くものをよしとする。それから腹部は左右同様に張出したものがよく、揖鰭は尾の下陰にかくれて外に現はれないものがよろし。」

 4,オランダ獅子頭

  • 琉金と金鋳との間に出来た金魚。
    今より七十年餘年前の天保年間に、大和の郡山附近に初めて見出された種類である。又、斑の出たのは最近二三┼年以来の事です。

 5,出目金

  • 日清戦争後初めて支那から輸入された。それで一名支那金の稱があります。

 6,出目らんちう
  元産地は支那で、明治45年頃初めて来た。

 7,和唐内

  • 和金と琉金の混血兒(あいのこ)
    初めて公に現れたのは、明治16年開催の魚類展覧會の折りである。

 8,秋錦

  • 金鋳とオランダ獅子頭との間に出来た金魚に、故水産講習所長松原先生が秋の錦繍、即ちあの眼も醒めるやうに美しい秋の紅葉を連想して名けたゆかしい名前。
    この金魚は明治28年頃、東京及び大阪の兩地に、期せずして同時に現れた。

 9,朱文錦
  和金、出目金及び鮒を交互に交配して出来た金魚。
  その名は故松原先生がその色に因んで命名した。
  明治32年頃創出された。

 10,金蘭子

  • 和金と金鋳との間に出来た金魚。出来てからまだ廿年位しかならない。
    金蘭子の名は金襴の様な深みのある美しい色彩をしている金魚と云う意味で、故松原先生が命名した。

 11,鐵尾長
  以前は関西地方、殊に名古屋附近で飼育されていた。
  琉金の一變種で、體形はほぼ琉金そのままと云っていい。

 12,孔雀尾
  名古屋附近では以前から飼育されていた。

 13,キャリコ

  • 琉金と出目金の混血兒。
    明治期の末頃出来た。
    キャリコの名は外人が更紗のような金魚と云う意味からキャリコキャリコと呼んでいたのが何時か名前となった。

 14,出目秋錦
  出目金と秋錦との間に出来た金魚。
  出来てから廿年にならない。

 15,琉金獅子頭
  琉金からごく稀に現れる。

 16,頂天眼
  支那産の金魚で、支那では朝天眼と云っている。

 總説

  • 16種の金魚系圖が掲載され、ここまで解説された16種の番号が振られている。

-----メモ-----
天保年間=1830~1843
日清戦争=1894年(明治27年)7月から1895年(明治28年)4月
明治45年=1912年=大正元年
明治16年=1883年
明治28年=1895年
明治32年=1899年

2009年7月 6日 (月)

「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その4

第4章 外人の日本金魚觀

  • 「日本の金魚」の著者エム・スミス氏は著書中に次のように述べている。
    「日本人は金魚の熟練な天才的飼養家とも云うべく、彼等の飼養法は独創で巧みで、しかも最も成功したものである。即ち彼等が長年月の間につくり上げた金魚は、實に驚くばかり綺麗な、たほやかな情趣の裕なものである。」

第5章 日本の金魚史
 何時日本に來た
  省略

 金魚傳來の二説

  • 1,この魚たるや何の頃より本朝に渡來せしや、其の故を知る者曾てきかず、遺憾ここに年あり。近日或る翁曰く、人皇百五十代後柏原院の御宇文亀二年正月二十日始めて和泉國堺の津に渡來し、時人珍魚なりとして來由を記録せしに、何れの秋か亡失し畢ぬ。(※おわぬ)(金魚愛玩経験録)

    2,大倭本草に昔は日本に之なし、元和年中異域より來たる。今世に飼ふもの多しといへり。(嬉遊笑覧 ※きゆうしょうらん)

 其の批判
  省略

 元禄七年町觸

  •  「江戸中金魚銀魚所持致す魚の數委細に書き付差出すべく候旨持候者候ても苦しからず候間遠慮なく有體に書付出すべき旨仰せられ度候」

 下谷池の端鎭鍮屋(したや いけのはた しんちゅうや)

  •  「延寶五年の印本「江戸雀」に「下谷池の端仲町といふあたりは両かた町とはあれど、今の如く家屋たちつづきたる所にはあらず、植木屋などありし様なり。此所に鎭鍮屋といふ金魚屋あり。是金魚屋とよぶものの初めなるべし。」

 西鶴置土産

  •  「黒門より池の端を歩むに端鎭鍮屋市左衛門とてかくれもなき金魚銀魚を賣るものあり、庭には生舟七八十も並べて溜水清く、浮藻を紅くぐりて三つ尾はたらき泳ぐなり。中にも尺にあまりて鱗の照りたるを金子五兩、七兩に買もとめてゆくを見て、又遠國にない事なり。是なん大名の若子さま、御慰になるぞかし。・・・・・」

 金魚の狂言
  省略
 町奴の金魚組
  省略

 町娘と金魚鉢
  歌麿の錦絵の説明

 東源氏皐月
  一壽齋國貞の錦絵の説明

 角玉屋若紫(※すみたまや)
  鳥高齋榮昌の錦絵の説明

 今様見立箱庭人形(※いまようみ)
  一勇齋國芳の錦絵の説明

 金魚屋の繪
  省略
 馬琴の日記
  省略

第6章 金魚の生物史
 金魚の祖先
  省略
 進化の理法
  ダーウヰンの淘汰説とド・フリースの突然變化説

 住所の廣狭による變化
  省略
 金魚の尾
  省略
 變化の不思議
  省略
 金魚の系圖
  省略

 鮒の容姿
  省略
 鮒の習性
  省略

 金魚各部の名稱

  • 金魚は身體各部にそれぞれ固有名詞があり、例へば口をすき口、胸鰭を向えら、腹鰭を土ずり、臀鰭を揖鰭、尾と體のつけ根を尾筒、若しくは金筒と称する。

 背鰭

  • 中庸の大きさを「半巻」と呼ぶ。大部分消失してちょっぴり残って居るものを「糸つまみ」、糸つまみよりいくらか大きい背鰭を「中つまみ」(※なか)、それより一層大きく半巻の半分ぐらいのものを「半鰭」、背鰭が中断して離ればなれに二個あるものを「二つ鰭」、背鰭の前後が長く、半巻より大きいものを「鮒背」と云っている。

 尾鰭
  省略
 色彩
  省略

 變色

  • 東京観魚会の定むるところに従って、大體區別すると
    赤の部 金色、丹色、紅、猩々
    白の部 純白の者を銀色と云う。大體は黄色を加味する。
    更紗の部 赤白交る斑を更紗と云う。多赤更紗、多白更紗、腰白、背赤
    頭模様の部 面被り、白面、丹頂、白頂、兩奴、口赤
    黒の部 鐵色、虎の部 斑黒

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