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2009年7月15日 (水)

「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その8

第14章 産卵及びその前夜
 鮒の産卵
  省略
 産卵の時期、囘數

  • 第2囘、第3囘と囘數の累むに従って、朝は早くから産み出して、早くに終わるようになる。

 産卵の徴候

  • 八十八夜前後になると、色彩がめっきり鮮やかになって、艶もよく、何處とな落ちかぬ様子がある。

 親魚の選定(おやうお)

  • 親魚として最も適當なものは3歳魚、4歳魚で、これに反し2歳魚の仔は色の變化が遅く、且つ半分は尾鰭の發達の悪いものが産まれる。一方5歳、6歳と老年になっても矢張り結果は思わしくない。
    一般に形態上の特色は夫體から遺傳し、母體からはその性質を享受すると云われている。

 雌雄の見分け方

  • 雄には追星が生ずる。
    雄はすっきりした處があり、體は細長く、腹部の丸味も少なく、鼻筋平たく鰭や尾はつんとして居る。
    雌は柔味があり、尾や鰭もふんわりとしていて、腹部は大きく、晩秋にもなると掌にのせて触れると、真綿にでも触れたような感がある。

 親魚の飼ひ方

  • 前年の秋から雌雄別にする。産卵の時節が近づいたら、數日間餌料を控え目にして、産卵の前日に充分與える。

 産卵池

  • 産卵前日の午後、幾分の注水をし、親魚を適宜の數入れる。容器の大きさは、徑(たて)2尺以上で、水深2,3寸で充分。
    容器を用意できないときは、前日に水換えし、隔てを除く。

 産卵と天氣

  • 卵の發育も考え、お天氣の續くらしい折りを見る。

 雌雄の組合せ方

  • 雌1に雄2、又は雌2に雄3

 金魚藻

  • 又の名を聚藻(ふさも)と云う。總(ふさ)のようにしなやかな藻。

 藻の危險

  • 仔魚を害する生物が附着しているときがあるので、半月前から用意する。

 柳の根

  • 天日に干せるので害虫の卵を殺すことが出來る。

 入れ方

  • 水面近くに浮かぶ物體に産卵する習性があるので、藻は根本に小石を結わえ、柳は縄に挟み込む。

 卵の容器

  • 水深は1寸5分乃至2寸

 産卵中の注意

  • 雄が余りに元気なため、雌が半死に逢うときは別にする。
    藻や柳の根は卵が落ちないように1,2囘取り替える。

 産卵後の親魚

  • 消化の良いものをごく控え目に與えるか、何も與えず別にし翌日與える。

 孵化迄の注意

  • 震盪る(ゆすぶる)のを忌みますから、容器は動かさない。
    5,6寸離して覆いをする。

 孵化

  • 氣温の高下によって一定はしないが、大體9日乃至5日で孵化する。3番仔位で打切る。

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