「金魚とその飼ひ方」 白木正光/秋山吉五郎 共著 大正15年 文化生活研究會 その8
第14章 産卵及びその前夜
鮒の産卵
省略
産卵の時期、囘數
- 第2囘、第3囘と囘數の累むに従って、朝は早くから産み出して、早くに終わるようになる。
産卵の徴候
- 八十八夜前後になると、色彩がめっきり鮮やかになって、艶もよく、何處とな落ちかぬ様子がある。
親魚の選定(おやうお)
- 親魚として最も適當なものは3歳魚、4歳魚で、これに反し2歳魚の仔は色の變化が遅く、且つ半分は尾鰭の發達の悪いものが産まれる。一方5歳、6歳と老年になっても矢張り結果は思わしくない。
一般に形態上の特色は夫體から遺傳し、母體からはその性質を享受すると云われている。
雌雄の見分け方
- 雄には追星が生ずる。
雄はすっきりした處があり、體は細長く、腹部の丸味も少なく、鼻筋平たく鰭や尾はつんとして居る。
雌は柔味があり、尾や鰭もふんわりとしていて、腹部は大きく、晩秋にもなると掌にのせて触れると、真綿にでも触れたような感がある。
親魚の飼ひ方
- 前年の秋から雌雄別にする。産卵の時節が近づいたら、數日間餌料を控え目にして、産卵の前日に充分與える。
産卵池
- 産卵前日の午後、幾分の注水をし、親魚を適宜の數入れる。容器の大きさは、徑(たて)2尺以上で、水深2,3寸で充分。
容器を用意できないときは、前日に水換えし、隔てを除く。
産卵と天氣
- 卵の發育も考え、お天氣の續くらしい折りを見る。
雌雄の組合せ方
- 雌1に雄2、又は雌2に雄3
金魚藻
- 又の名を聚藻(ふさも)と云う。總(ふさ)のようにしなやかな藻。
藻の危險
- 仔魚を害する生物が附着しているときがあるので、半月前から用意する。
柳の根
- 天日に干せるので害虫の卵を殺すことが出來る。
入れ方
- 水面近くに浮かぶ物體に産卵する習性があるので、藻は根本に小石を結わえ、柳は縄に挟み込む。
卵の容器
- 水深は1寸5分乃至2寸
産卵中の注意
- 雄が余りに元気なため、雌が半死に逢うときは別にする。
藻や柳の根は卵が落ちないように1,2囘取り替える。
産卵後の親魚
- 消化の良いものをごく控え目に與えるか、何も與えず別にし翌日與える。
孵化迄の注意
- 震盪る(ゆすぶる)のを忌みますから、容器は動かさない。
5,6寸離して覆いをする。
孵化
- 氣温の高下によって一定はしないが、大體9日乃至5日で孵化する。3番仔位で打切る。
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