「淡水魚の飼い方」 大村清友 昭和14年 大隣社 その4
序
・・・・・由来邦人の体格が、遠く欧米人の夫れに及ばざる所以のものは、動物性蛋白質の摂取量の欠乏に因由するところ尠少ならずと聞く、・・・・・彼の広漠たる国土を有する欧米列国の如く、牛、羊、豚等の肉に依りて動物性蛋白質を得んことは、至難の業に属するが故に、養魚に依って此の欠陥を補はんこそ真に策を得たるものと謂うべきなり。・・・・・
吾人は日頃の持論として、都会人士、就中無為徒食する者には成るべく菜食を、田舎に於いて農業に従事する者には動物性蛋白質の食用を提唱するものなるが事実は之に反するものあるを遺憾とす。是全く魚肉が経済上比較的高価なるが為めならずんば非ざるなり。
斯るが故に僅少の費用と労力とを以て生産し得らるる淡水養魚を行い、一は以て終日の労を醫すべく毎夕の食前に鮮魚料理を載せ、他は以て之を売却して一家経済上の増収を計るに於いては、蓋し一挙両得天恵の福運を招来するものと謂いつべきなり。・・・・
鱒鮭奨励会長 木村清友
第1章 養魚とは何ぞや
養魚とは魚の発育成長を助け、生殖を保護し、害敵を駆除し、疾病及び其の他の妨害物を駆除又は予防し繁殖を計ること。
1,個人の利益を主とする養魚
2,公益を主とする養魚
3,飼育に限られたる養魚
4,蓄養に限られたる養魚
第2章 温水魚と冷水魚
省略
第3章 養殖の種類
省略
第4章 養殖の種類選定
1,比較的需要の多大なるものを選定
2,土地、気候に最も適応したるものを選定
3,水質に鑑みて其の種類を選定
第5章 養殖の利益多い所以
- 1,養魚以外には殆ど棄てて顧みられぬ所でも、是を利用して生産を計ることが出来る。
2,餌料は、日常の生活の廃物を利用できる。
3,魚の体温と水温が同じであるから、これに食物を消費せず、肉料に全部消費出来る。
4,魚の体重と水の比重が同じなので、食物を運動に消費することが僅少で足りる。
5,魚は消化力が旺盛で、殆ど全部を消化する。
6,稲、クワイ、蓮等と併せて養殖出来、相互いに裨益して豊産出来る。
7,水土に従事すると、自然に親しみ、身心の健康を増進出来る。
8,起業した後は、婦女子、小兒、老人等でも管理でき、僅少の経費で済む。而も高尚なるが故に、家族一同保険乃至品性陶治上にも裨益をもたらす。
-----メモ-----
醫=イ、いや・す
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