「長野県魚貝図鑑」 監修/中村一雄 信濃毎日新聞社 昭和55年 その4
貝編
淡水産貝類
紹介されている種を列記しておきます。
- オオタニシ、マルタニシ、ヒメタニシ、カワニナ、イボカワニナ、モノアラガイ、ヒラマキミズモドキ、ヒラマキミズマイマイ、カワシンジュガイ、イシガイ、カラスガイ、ドブガイ、ヤマトシジミ、マシジミ。セタシジミ、ニッポンマメシジミ、ドブシジミ
陸産貝類 ※省略
エビ・カニ類
紹介されている種を列記しておきます。
- サワガニ、テナガエビ、スジエビ、ヌカエビ、アメリカザリガニ、カブトエビ、ホウネンエビ
観察のてびき
1,悪化する生息環境
文献などによると各地方別の種類数は
北信地方 14科31種
東信地方 12科31種
北安曇郡 11科31種
南安曇郡 10科21種
松筑地方 12科23種
木曽郡 12科24種
南信地方 13科37種
淡水産貝類
諏訪湖 8科17種
仁科三湖 6科15種
県下全域 9科19種
2,河川の魚
魚の生活環境としての長野県の河川
長野県の河川と魚たち
(1)千曲川の魚
- 現在この水系に分布している魚種は13科32種である。このうち昔からすみついていた在来魚は20種で、サケ、マス、ウナギ、アユなど海を往復する在来魚がいないので、下流にダムが無かった頃に比べると種類が減っている。
また、昔河川環境が良かった時代には、川筋の人々に親しまれた在来魚のうち、アカザ、ナマズ、カジカ、ホトケドジョウなどは、なかなか姿が見られなくなり、ことにアカザは絶滅に近いといわれている。
(2)梓川・犀川の魚
- この水系に分布する魚種は、ダム湖の魚を含めて12科27種である。このうち在来魚は18種である。在来魚で最近めっきり数が減ってしまったのは、梓川のスナヤツメ、カジカ、犀川のカジカ、アカザなどである。
(3)奈良井川の魚
- この川に分布するのは11科20種で、そのうち在来魚が15種である。最近は在来のウグイとオイカワが目立って増えてきた。
逆に、本流のナマズ、カマツカと、上流や支流のアカザ、カジカなどの底生魚が激減して、ほとんど目につかなくなり、湧水域に姿を見せたスナヤツメは絶滅したと思われる。
(4)姫川の魚
- 水温の低い山地渓流なので、分布する魚種は少なくイワナやヤマメなど6種だけである。
近ごろはウグイが急速に殖えているが、砂利採取が盛んになって、河床の礫が洗われることや、ダム湖の出現が原因しているものと思われる。
(5)木曽川の魚
- 県境の木曽川水系に分布する魚種は、わずか7科18種で、うち在来魚は13種だから、千曲川や天竜川よりも種類が少ない。
昔は普通に見られたカジカ、アジメドジョウ、アカザ、そして県境付近のカワムツなどはまれにしか見られなくなった。
(6)天竜川の魚
- この水系に分布している魚種は、12科32種である。うち在来魚は18種で、14種が外来種だから、この傾向は千曲川の場合とほぼ同じである。
天竜川の魚相の特徴は、水源が諏訪湖であるために、この湖の魚相に大きく影響されているということである。たとえば、タイリクバラタナゴ、ゼニタナゴ、ホンモロコ、ビリンゴなどは、諏訪湖から流出したものと考えてよい。
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