「長野県魚貝図鑑」 監修/中村一雄 信濃毎日新聞社 昭和55年 その2
※ここから内容紹介
はじめに
・・・長野県に生息する魚貝、エビ・カニ類の図鑑は今回が初めてのことで、意義深いものがあります。
・・・海魚に恵まれない人々にとって古くから大切な食料、タンパク質の給源になっていました。・・・長野県には外国からの輸入魚も含めて18科40種余りといわれています。ここにはそれらの大部分と、観賞用に県内で養殖しているニシキゴイ、キンギョの主な品種を収めました。
また、淡水産の貝類は県内の8科19種、陸産貝類は県内に見られるおもなもの16科31種を取り上げました。エビ・カニ類は魚貝類ではありませんが同じように漁獲対象になるものがあるので、県内の6科7種を併せて収めました。
水生動物の生体写真は、ほとんど全種が動物写真家の行田哲夫氏の年余にわたる大変な努力によるものです。・・・陸産貝類の写真は全部飯島国昭氏が撮影しました。
一方、記述については魚類が上原武則、青沼賢三、富永正雄の三氏、淡水産貝類は倉沢秀夫、名取昇一氏、陸産貝類は飯島国昭氏、エビ・カニ類は秋田正人氏がそれぞれ執筆しました。・・・・
1980年 中村一雄
体の部分のなまえ
イラストで説明
用語解説
魚編
貝編
エビ・カニ編
魚編
- ※ここから各魚種をカラーで解説。長野県に関するところを紹介しておきます。
- スナヤツメ
犀川、天竜川の一部、佐久地方の千曲川などに生息する。
上田、小県地方ではこの魚をむし焼きにしたものを粉末にして、子供のかんの虫の良薬として用いたという。
地方名としてはヤツメウナギ、カワヤツメ、ギナ、ギナメ、ギナンボ
- ウナギ
県内全域
信州では、秋の台風にともない大水に乗って大型のウナギが多数降下することが、やな漁によって知られている。
- イワナ
県内には、体側の斑点が淡黄色のものと、朱紅色のものが分布する。最近まで淡黄色のものをニッコウイワナ、朱紅色のものをヤマトイワナと呼んで2種に分けていたが、今では同一種の中の型違いということにしている。
- アマゴ
地方名が多く、諏訪湖ではアメ、伊那谷でアメノウオまたはアメウオあるいはアメノイ、木曽谷ではアメノウオまたはタナビラと呼ぶ。
- ヤマメ
千曲川水系の上流や支流、姫川に分布する。
中信地方ではタナビラ、アメノウオ、アメウオ、アメオ、さらに稚魚をエンドッコなどと呼んでいる。
- サケ
下水内郡栄村付近に、年によって2~3尾が来る程度。
- ヒメマス
県内に初めて移植されたのは1911年と古く、まず野尻湖と仁科三湖へ、その後明神池、大正池、さらにダム湖にまで移植されたが、繁殖しなかったらしい。現在は青木湖にだけ毎年10万粒移植されている。
- ニジマス
1926年に県内の河川に放流された。
穂高町、明科町付近と県水産指導所は、全国的にニジマス養殖のメッカ。
- カワマス
1925年以降、県下の農林省水産試験場木崎分場、県水産指導所、仁科三湖、明神池などに移植された。上高地の大正池から明神池一帯にかなりの密度で繁殖しており、少数ながら菅平にもいるという。菅平ではアメリカイワナという。
- ブラウントラウト
カワマス卵とともに入り、明神池、仁科三湖へ移植された。
現在、田代池から大正池へかけて、種族を保っている。
- コレゴヌス(コクチマス科)
現在飼育されているのはコレゴヌス・ペレッドという種類で、わが国では県水産指導所佐久支所が初めてチェコスロバキアから導入した新種である。
- アユ
県内全域
- ワカサギ
1915年に霞ヶ浦から諏訪湖へ移植。
- コイ
1764~1771年間に淀川から松代に、1789~1800年間には佐久に移入。これが松代の浅黄色をしたアサギゴイと佐久ゴイの始まり。
- キンブナ
諏訪湖に生息する。
- ギンブナ
県内全域
- ナガブナ
諏訪湖の沖合の底層にすむ。やや赤褐色を帯び、アカブナとも呼ぶ。
- ゲンゴロウブナ
県内に広く分布。
- キンギョ
上田市、飯田市周辺に養殖業者がいる。
-----メモ-----
1911年=明治44年
1915年=大正4年
1926年=大正15年=昭和元年
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