「熱帯魚の飼い方」 牧野信司 昭和33年 愛隆堂 その4
第6章 水草と貝のいろいろ
水草について
- 炭酸同化作用又は光合成は1799年にイギリスのプリーストリーという学者が発表した。
紹介され熱帯魚用として植えられている水草は60種以上にのぼる。
以下イラストで各種を紹介しているが、工夫が見られるのはイラストに
光の強弱を 強と淡
水温が高い方がいいを 高
一般種と高級種を 普と特
と表示しています。
たとえば、「淡高特」は間接光線で水温はやや高めで比較的高価な水草ということになる。
時代考察のため紹介されている種名を書いておきます。
サジタリア・スブラタ、ジャイアント・St、St・ナタンス、バリスネリア、コークスクリュウ・バリスネリア、アナカリス、ルドウジア、ハイグロフィラ、カボンバ、アンブリア、ミリオフィラム、セラトフィラム
ウォーター・クローバー、ヘアーグラス、ウォーター・セレリ、バナナ・プラント、ウォーター・ナスターテイム、スパッター・ドック、ピグミー・チェン・ソードプラント、エクィドラウス・ラジカンス、ナロウ・リーフ・アマゾン・ソード・プラント、ブロード・リーフ・アマゾン・ソード・プラント
アポノゲトン・アンデュラタム、Ap・アルベンシス、ラフルド・ソード・プラント、マダガスカル・レース・プラント、ウォーター・スプライト
クリプトコリネ・ウィリッシィ、Cy・ベケッティ、Cy・シリアタ、Cy・コルダタ、Cy・グリフィッティ、Cy・アンダルタム、ニテラ、ウィロウモス、ウォーター・ファン、ウォーター・レタス、ダックウィード、アゾラ、サルビニア、リシヤ
貝の種類 イラスト有り
観賞的な貝
- レッド・ラムション、オーストラリアン・レッド・スネール
其の他の貝
- タニシ、コロンビア・ラムション、ポンド、リンペット(マグニファイト)、ペーパー・シェル
第7章 熱帯魚のいろいろ
※P.157から最後まで良く書かれています。
予備知識
- 科別名、科の分布図、魚名(カタカナ発音魚名、英名、学名)、産地、適温、水質、体型・体色、習性、繁殖法を記した。
ここも時代考察のため種名を書いておきます。
胎生目高科 10種
- グッピー(シングルソード、ダブルソード、ファンテール、レーステール、ベールテール、ジャイアント)
ダブルソードとライアテールの違いは線と線の付け根に模様があるものをライアテールという、と書いてあります。
プラティ(ワグ、タキシード、ヘルメット、サラサ)
ソード・テール、ヴァリアタス、ブラック・モーリー、オレンジ・テール・モーリー、リバティ・モーリー、セールフィン・モーリー、モリエニシア・ヴェリィイフェラ
サヨリ科 デルモゲニー
カラシン科 45種
- ヘッド・アンド・テール・ライト・フィッシュ、ブラック・t、フレーム・フィッシュ、プリステラ・リッドルアイ、フェザーフィン、レモン・t、モンクフォーシャー・オリゴレピス、モンクフォーシャー・ピティーエリィー、シルバー・t
プルッカー 輸入されたては、ラスボラ・テトラと呼ばれていた。
サーペ 輸入の初期は都市の名を取ってマット・グロッソーと呼んでいた。
ロージィ・t、マーブル・ハッチェット、ブラック・ウィングド・ハッチェット、シルバー・ハッチェット、グロー・ライト・t
ネオン・テトラ さすがに8ページを割いて解説しています。
当時産卵孵化させた状況を原文で紹介しておきます。
昭和27年頃ドイツの学者が、ごくわずか成功したらしいというニュースが入りましたが、そのデーターは公表されませんでした。・・・
日本には昭和26年頃ごくわずかのネオンが輸入されまして当時1匹1万円もしました。・・・・・
著者も種として20匹ばかり求めて大事に、それこそ特別待遇であつかい、ひまさえあれば観察して状態をしらべていました。始めの頃は雄だか雌だかわからないほどの大きさでしたが、2ヶ月ばかりするうち、雌らしきものは腹部が大きくなってきました。
まず雌雄を別々の容器に隔離して頃合いを見て用意した水槽に入れて、様子を見るうち、産卵を始め夕方までに産み終わり、親を取り出し、付きっきりで状態を見ていましたが、心配で食事も出来ない始末で半分あきらめ、半分望みを持って見守るうち10時間くらいつまり夜中に卵がチョロと動いたような気がししましたが「ねぼけまなこ」の錯覚ぐらいに思っていると、あちこちと卵が廻り出したでありませんか。
もちろん水槽内はかろうじて見える程度暗さなので、そのままではとても肉眼では見えませんので懐中電灯で照らして見たわけですが、光線があたる度にチョロチョロ動きます。そうこうするうちに朝になり、それからさらに10時間たつ頃には完全に卵型から細長い魚の型にかわってきました。
そのくらいになるとすこぶる動作が早く、一寸電気をつけただけでも石の下にもぐり込んで、けっして目のとどくところに出てきません。
これを見てもネオンの幼魚は極度に光線をきらう事がわかるし、又他の魚のように思って今まで手がけた多くの人はまれに孵ったネオンの幼魚を認められず、始めからダメだと思い込んであきらめてしまって、幼魚が見えないのを勘違いして水をこぼしてしまった例が多かったのではないかと思われます。
孵化した幼魚を発見した時はそれこそ天にも上る気持ちで、足が宙に浮いてしまいました。
この気持ちは実際にご自身で経験されていないとわからぬと思います。そのご順調に成育し、1ヶ月後にはネオンの仔らしく立派に成長しました。時に昭和28年10月でした。
これは公表されたかぎりでは日本で最初(外国の報告はわかりませんので)の人工孵化で、このことはすぐに報道され(朝日ニュースと三大新聞)ましたから、当時、熱帯魚の飼育をやっていた方はご存じと思います。
・・・・・このときの数は初産の親ですので少なく、産卵数28粒、成育して親になったもの28匹、つまり100パーセントにあげたわけですが、この時は半月という間、夜もろくろくねむらずに面倒を見ました。
- 繁殖の条件を
1,若魚を用いること
2,雄の良いのを選びだすこと
3,質の良い産卵容器を用意すること
4,水質に気をつけること
5,照明の限度
とし、各条件を解説している。
カーディナル・テトラ
この魚が紹介されたのは、1956年にアメリカの地方熱帯魚誌「Paramount Aquarium」が熱帯魚界のベテラン、ドクター・Myersに送り、Myers氏から発表され、さらにドクターHarald Schultz氏(ブラジルの人)によって確認されて、ブラジルのリオ・ネグロが原産ということが知らされたと同時に、ドイツの雑誌「DATZ」誌上に置いて、ドイツ人ドクターWerner氏の発表が掲載されていました。
ヘテロラヴダゥス、レッド・ノーズ、ナノストマス・アノマルス、ナノストマス・マジナタス、ナノストマス・トリファシェイタス、ブルー・t、アフィオチャラックス、コードヴィタタス、ブッラクライン・t
ブラインド・ケーブ・フィッシュ
この魚が熱帯魚界に始めて紹介されたのは、1936年テキサスのBasil Jordan氏がメキシコの鍾乳洞から採取した魚を熱帯魚界のベテランInnes氏に送って始めてみとめられ、1943年4月5日ニューヨーク動物科学研究所により魚類学界に発表された。
コーペイナ・アーノルディ、コーペイナ・グッティタ、ゼブラ・カラシン(まだ輸入されていない)、ソード・テール・カラシン、ドラゴン・フィッシュ
サンタマリア
アマゾン流域ゴヤという所の支流トカンタイン河で見つけられ、この河がサンタマリアという町を通っているところから名付けられた。
※オブリカ(オブリクァ)より大きいと書いてあります。
ヘミオダス・セミティニィアタス、ペンシル・フィッシュ、ブラックライン・レッドテール・ペンシル、キロダス・プンクティタス、アバーイミテス・ミケロセファラス(アブラミテスのこと)、アノストマス・アノストマス
ピラニア(1956年に輸入された)、ミィロソマ、コロソーマ(※全長12cmというのが面白い)、メティニス・ルーズベルティ、メティニス・スクレイトミュレリィ
-----メモ-----
1936年=昭和11年
1953年=昭和28年
1956年=昭和31年
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