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2008年12月

2008年12月31日 (水)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その9

第10章 害敵
 猫、ドブ鼡、いたち、五位鷺、川蝉
 鯰、鰻、ライギョ
 ゲンゴロウ、ガムシ、タガメ、タイコウチ、水カマキリ、ヤゴ

第11章 金魚の観賞
 第1節 金魚の良否

  • 尾鰭は三ツ尾、桜尾、四ツ尾などの開き尾を良とし、鮒尾、ツマミ尾を不良とする。また、開尾でも、ツボミ、開きすぎ、片開き、まがり、ちぢみ、でかじ、は喜ばれません。
  • 色彩については、一般にあまり白っぽいものは嫌われ、真紅のものや、鰭、頭部などに変わった模様のあるものは珍重される。

    珍稀とされるもの→六鱗、猩々
    上品とされるもの→多赤更紗、背赤、腹様、口紅、両奴、丹
                頂、白面、面被り蛇の目、三ツ星、鹿の
                子更紗、小豆更紗
    中品とされるもの→素赤
    下品とされるもの→多白更紗、白子

 第2節 品評会

  • 現在の品評会の基と云われるべきものは、明治17年(1884)に発足し、翌18年に第一回のランチュウの品評会を開催した観魚連で、明治33年、第17回から、これを観魚会と改称した。
    観魚会は、浅草千束町の金魚屋石川亀吉氏を中心とし、ランチュウの改良につとめた。

    品評会は秋に行われるのが普通である。東京観魚会審査規則(ランチュウ)の一部をあげてみると、
    ○下の種類は欠点とし其の甚だしきものを庇となし其の他の不具魚は審査せざるものとす。
      1,背鰭及び二ツ尾
      1,背及び尾筒の曲がり、瘤、凸凹
      1,尾の剛張り、ツボミ、ツマミ、片張り、不揃、チヂレ
      1,楫の鰭の外出、片孕、頭下げ、頭上げ
      1,目凹み

   ○審査の要部は左の七ケ所とす。
     姿勢、頭、背、腹、尾筒、尾、鰭

   ○審査の全点を200点としその得点により魚の等級を定む。

第12章 飼育暦の一例
 1~12月の作業が書かれている。

第13章 文学上に現れた金魚
 イ、和歌 明治以前の歌集に、金魚の歌はない。
 ロ、狂歌 
 ハ、俳句
 ニ、川柳

-----メモ-----
猩々=ショウジョウ

以上でこの本の紹介は終わりです。

2008年12月30日 (火)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その8

第8章 金魚の繁殖法
 第1節 産卵の準備
  親魚

  • 最適なものは、雄は3,4才魚、雌は4,5才魚。
    産卵期の前から別々に飼育する。

  雌雄の区別

  • 雄の生殖孔は長楕円形で、雌はほとんど円形。
    産卵期になると、雄に「追星」がでる。

  産卵期

  • 最適水温は20度内外で、一産卵期中に3~5回ぐらい産卵する。次の産卵は10日後ぐらいである。

  産卵池

  • なるべく日当たりのよい場所を選び、水深は10~15cmぐらいにする。
    好天候が続きそうな日を見定めて、良く成熟した雌雄を入れる。

  魚巣

  • 金魚藻、梅花藻、川柳の根、棕櫚の皮などを浮くようにする。
    魚巣の数は一尾の雌に対して、金魚藻ならば20本ぐらいの束を2束、棕櫚の皮であれば3枚ぐらいが必要。

 第2節 採卵と孵化
  採卵

  • 雌雄の数は、雌一匹に対して、雄一匹か二匹入れる。産卵は殆ど日の出前から午前中に行われる。
    産卵する数は、10cmぐらいのものならば5千粒ぐらい産む。
    産卵後は雌雄を離して飼育する。

  孵化池

  • 水深は12cm内外として、日当たりの良い場所で、日覆を使用して水温を調節できるようにする。
    卵のついた魚巣は、平均に日光が当たるようによく広げる。

  孵化

  • 卵が孵化する温度は12度以上で、適温は17~28度、最もよい水温は19度か20度です。
    水温と孵化日数の関係は
     12.5度 14 日
     14.0  10
     19.0   5
      21.0   4
      24.0   3.5
      25.0   3
      27.0   2.5

 第3節 仔魚の育て方
  仔魚の餌

  • 孵化して2,3日は餌を与える必要はない。泳ぎ出すようになってから与える。
    極細の篩でこして、小さなミジンコを与える。与える量と回数は、一日に2,3回、一度に仔魚一匹当たりミジンコ4,5匹ぐらい与える。

  選別

  • 第一回目の選別は、孵化後2週間目ぐらいに行う。平均1cmぐらいに成長して尾鰭の形も明らかになる。体が曲がっていたり、尾鰭が鮒尾(オタマともいう)のものは淘汰する。大小別々に分ける。1m2当たり50~70尾入れる。

    第二回目の選別は一回目終了後、2,3週間の間に行う。この頃になると、仔魚は2cmぐらいに成長し、鱗も目立ってくる。奇形のもの鮒尾のものを淘汰する。

  成長度
   ワキンの成長度は(全長)
    5月 1.2cm
    6  2.5
    7  3.5
    8  4.0
    9  5.5
    10  6.0
    11  7.0

  • その他の当才魚で、ランチュウは7,8cm、ジキンで6,7cm、オランダシシガシラで10cm内外、デメキンで7,8cmが普通。

第9章 金魚の病気
 ※治療法は古書なので自己責任で。
 1,白点病

  • 原因はイクチオフチリウス(略称イックIck)が寄生するため。水温15度ぐらいで1ヶ月以上寄生するが、30度ぐらいであると2,3日で宿主から離れる。

    治療法は水温を25度以上に高め、1%ぐらいの食塩水にして、1週間ぐらい放置する。
    1万倍の氷醋酸溶液中に1時間ぐらい入れて、これを毎日繰り返す。
    硫酸キニーネを水1斗に対して0.16gの割合で使用する。

 2,白雲病

  • 原因はコスチァ、ギロドンが寄生するため。
    予防治療法は白点病と同じ。

 3,サイクロキータ病

  • 治療法は患部を1.5%の食塩水か、千倍の昇汞水で拭く。又は白点病と同様に薬液に入れる。

 4,水棲菌病

  • 全身綿を着ているようになる。
    治療法は患部に千分の一の過マンガン酸加里液、サルチール酸液、硼酸液硫酸銅液などを塗るか、2%食塩水か、10万倍の過マンガン酸加里液に1回約30分ぐらい、数回入れる。

 5,ギロダクチラス病

  • 白雲病の症状に似ている。
    治療法は10万分の1の過マンガン酸加里液、0.25%サルチール液、0.05%過酸化水素、8千万分の1の醋酸液に、30分から1時間ぐらいを数回入れる。

 6,鰓腐病

  • 「鼻上げ」に似た現象を示す。
    治療法は暖かい流水に入れるか、食塩水中に入れる。

 7,立鱗病

  • 松かさ病とも云う。伝染しない。
    治療法は流水中に入れるか、1%の食塩水中に入れておくと治ることもある。

 8,魚虱病
 9,イカリムシ病
 10,感冒病
 11,気胞病

  • 鰭や頭部に小さな気胞が無数にできたりする。
    治療法はガス体は冷水に入れると収縮するから、水温を下げてやればよい。

-----メモ-----
1斗=18リットル
昇汞水=ショウコウスイ=塩化第二水銀の水溶液

2008年12月27日 (土)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その7

第7章 金魚の飼育法
 第1節 飼育についての注意
  狭い容器に魚を魚を入れすぎないこと
  餌を与えすぎないこと
  室内で飼育をつづけないこと
  あまり水換えを行わないこと
  容器はあまりきれいに洗わないこと

 第2節 容器
  小形容器
  大型容器
   池の場所
   池の大きさ
   池の形
   排水口
   池を作る材料
   あく抜き

 第3節 水質
  塩素の中和について化学式よりハイポの必要量を計算

 第4節 水中の酸素
  水温と酸素量の関係表
    0度 10.24cc/L
    5    8.98
   10   7.97
   15   7.15
   20   6.50
   25   5.96
   30   5.48

  • 金魚は水中の酸素量が1リットル中に0.5cc内外になると不安状態になり、0.3ccぐらいになると死亡する。

 第5節 水温
  適水温は15~26度

 第6節 水換と注水
  水換えは水質の変化に対して行わなければならない。

 第7節 冬囲

  • 零下2,3度に下がる地方や、積雪の多い場所では必要になる。
    金魚は水温が5,6度以下になると、冬眠状態になって水底に沈んで動かなくなり、零下1,2度になると死んでしまう。

    冬囲は水温3,4度以下が続く期間中必要で、大体12月から3月頃まで。
    冬囲を解くのは水温が大体12,3度以上になったときで、急に覆いを全部取らないで、毎日少しづつとる。

 第8節 餌料
  動物性餌料
   A,ミジンコ

  • 水温8度以上で繁殖を初め、24,5度の時、最も良く殖える。
    1週間で雌親となって、5,60個の夏卵を3,4日連続で産む。親の寿命は60日~80日もある。

    1匹の仔虫が10日で成熟するとして、卵を3日毎に15個生むとすると5,6月の60日間に1匹の親から生ずる仔虫は、12億9037万75匹になる。

   B,イトミミズ
   C,アカボウフラ 別名 赤ムシ
   D,ボウフラ
   E,ミミズ
   F,魚肉
   G,貝類
   H,その他
    蚕蛹、牛肝臓、アミ、小蝦、魚粉

  植物性餌料
   小麦粉、大麦、米糠、麺類、ふすま、麩、大豆粕など

  人工混合餌料

  • 動物性と植物性とを7対3か、または8対2の割合で混合する。幼魚の場合は動物性が多い方がいい。

 第9節 餌料と栄養価値
  飢餓 元の体重の1/2になると死ぬのが普通
  蛋白質の欠乏
  脂肪の欠乏
  炭水化物の欠乏
  無機質の欠乏
  ビタミンの欠乏

 第10節 餌の与え方

  • 水温10度以上になると餌を食べ初め、30度ぐらいが最も食欲が盛ん。28度の時投餌量を最大にする。雨の時は与えない。

 第11節 飼養尾数
  1m2に対し大体
   2cm 60尾
   3   50
   4   35
   5   15(※25の誤植か)
   6   25(※15の誤植か)
   7    8
   8    6
   9    5
   10    2

 第12節 人工調色法

  •  「ジキン」の調色法は、魚体に黒味がかかってきたら朝日以外には太陽光線に当てないで、日中は覆いをする。
    体色に黄色の斑が出てきたとき、朝早く内部の白い容器に入れて調色を行う。

    初めに眼と眼の間の頭の皮膚を爪先か竹べらを用いて剥がし取り、つぎに、背鰭の左右を鰓蓋の部分まで鱗を剥がし、背鰭の付け根の鱗一列を残して、背中の鱗を尾の付け根まで剥ぎ、側線の部まで剥がす。

    薬品で行うものは、魚体を乾いた脱脂綿で拭き、筆の先に薬品をつけて前と同様に塗ってやる。

    薬品は弱酸を用いるのが安全で、50%の氷醋酸、10%サルチール酸、5%石炭酸の水溶液が普通使われる。

    調色を行った魚体は、蓋を覆って日光を避け、水温20度ぐらいに保つ。30分ぐらいたったら元の飼育池に移し、日覆で内部を暗くしておき、1週間ぐらい後に水を換える。水換え後も日光の直射を少なくし、10日後水を換える。

2008年12月24日 (水)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その6

 第3節 遺伝のしかた
  眼の遺伝

  • 普通目は優勢、出目は劣性
    F1は全部普通目だが、F2は(D+d)^2=DD+2Dd+ddであるから普通目対出目は3:1となる。
    以下戻し交配の式により解説が続きます。
    また、普通目の親に鮒を使った場合の遺伝について抑制因子を仮定し式で説明しています。
  

鱗の遺伝
   A,モザイク鱗性の遺伝
    1,モザイク鱗性の自殖

  • モザイク鱗とは、普通鱗と透明鱗がモザイク状に混ぜ合わさったもの。
    (T+t)^2=TT+2Tt+tt となり全透明鱗性1,モザイク鱗性2,普通鱗性1の割合で分離する。

    全透明鱗性と普通鱗性を交配すると、全部モザイク鱗性の子供が出来る。これがモザイク雑種で、全透明鱗性と普通鱗性は優劣が決まらず、両方混ざってしまう。

    2,モザイク鱗性と普通鱗性との交配
     (T+t)*t=Tt+tt

   B,網透明鱗性の遺伝

  • 1,網透明鱗と普通鱗とのF1は全部普通鱗
    2,F1に網透明鱗を戻し交配すると、二つの鱗性が1対1の比で分離。

    以下網透明鱗性とモザイク鱗性の交配等の説明が続く。

    鱗性についての4つの因子
     全透明鱗因子:T
     普通鱗:t
     網透明鱗にさせない因子:N
     網透明鱗にする因子:n
      TはNより上位因子

    TTNN、TTNn、TTnn、Ttnn は全透明鱗性
    TtNN、TtNn はモザイク鱗性
    ttNn は普通鱗性
    ttNN は網透明鱗性

    以下網透明鱗とモザイク鱗の式、モザイク鱗同士の式が解説されている。
  

鰭の遺伝
   A,尾鰭の遺伝

  • 金魚の鮒尾は、数個の遺伝因子によるヘテロ接合体で、環境の影響が加わるものと思われる。
    開き尾の金魚と鮒を交配させると、F1は全部鮒尾になり、鮒の鮒尾は完全に優性である。
    以下F2、F3の説明が続く。

   B,臀鰭の遺伝

  • 金魚の臀鰭を2枚あるものと鮒との交配では、F1は全部単臀鰭で、鮒の単臀鰭が優性。

   C,背鰭の遺伝

  • 背鰭のない金魚とある金魚とのF1を、外山と松井の実験表で出現率を掲載。

   D,肉瘤の遺伝

  • 肉瘤の発達は、環境の要素が重要ではあるが、遺伝することも確かである。
  

体色の遺伝

  • 鰭以上に複雑で、純系が淘汰されていないため、あまり研究が進んでいない。

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その5

第5章 実験動物としての金魚
 形態学的の研究

  • 渡瀬庄三郎、日暮忠、纐纈理一郎、雨宮育作、戸沢富寿、松井佳一、陳楨、森安正、福井謙一、スミス、武部啓、グッドリッチ及びニコルス、グプナー、牧野佐二郎、グッドリッチ及びアンダーソン 等の研究についての概要説明。

 生態学的の研究

  • アロンソーン、ルナール、ビゲロー、クライドル、パーカー、ガドナー、パワー、ロガース及びルウィス、大橋裕之助、寺尾新、マンニング、福井謙一、石原誠及び操担道、松井佳一、山本時男、山本孝治 等の研究についての概要。

第6章 金魚の遺伝
 第1節 基礎の知識
  支配の法則(優性の法則)

  • 不完全優勢(赤と白の交配で中間の桃色になる。中間雑種という。)
    モザイク雑種(両方の性質が部分的に混ざって現れる)

  分離の法則

  • F2になるとF1になかった性質が現れる。
    外見上は同じでも、AAがホモ、Aaがヘテロ。
    相対因子で優勢を大文字、劣性を小文字で書く。

  独立の法則
  純粋の法則

 第2節 金魚の遺伝研究の歴史

  • 金魚を題材にして遺伝の研究が始めて行われたのは、明治34年(1901)石川千代松・外山亀太郎両博士の共同研究に端を発する。

    両博士の研究は東京深川の金魚商秋山吉五郎氏の養魚場で行われたが、大正6年10月の洪水で、研究材料を流出し、大正7年3月に外山博士がなくなって杜絶した。

    大正3年以来、外山博士に従事して、研究を進めていた松井佳一博士はその後金魚の遺伝の研究を続け、昭和9年に「日本産金魚の遺伝学的研究」を発表した。

2008年12月21日 (日)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その4

第4章 金魚の品種
 1,ワキン(和金、和錦)
 2,リュウキン(琉金、琉錦)

  • 安永天明年間(1772~1788)に薩摩へ輸入された。
    鮒尾のものはオタマまたは「吹き流し」と呼ばれる。

 3,ランチュウ(卵虫、蘭<魚壽>)、チョウセン(郡山附近)

  • 卵虫という名は1748年に出た金魚養玩草という本に出ている。
    オオサカランチュウ
    ナンキン

 4,デメキン(出目金)

  • 明治28年頃に広東から米国へ輸出する途中、横浜で東京の金魚屋が買い入れたのが最初といわれている。

    アカデメキン
    クロデメキン
    サンシキデメキン

 5,チョウテンガン(頂天眼)、デメランチュウ

  • 明治38年頃、広東産のもの30尾を横浜に輸入したのが最初。大正6年頃全滅した。

 6,ジキン(地金)

  • 別名を、ジオウ(地王)、ジキンギョ、シャチ、名古屋金魚、愛錦、クジャクと呼ぶ。
    中国の金魚を詳しく研究した陳楨という人の書にもこの名は出ていないので、この金魚こそ国産であると考えられる。
    クジャク尾の出現率は40%内外です。

 7,トサキン(土佐金)
  標準型尾鰭の出現率は30%内外です。

 8,テツオナガ(鉄尾長)

  • リュウキンの体色が、褪色しないままの色、つまり鮒色のままで成長する品種。各鰭は長く、尾鰭は三ツ尾、四ツ尾で総状のものが多い。

 9,オランダシシガシラ

  • 中国由来、リュウキンとランチュウの交配種等諸説有るが、松井佳一博士の研究によれば、リュウキンシシガシラの淘汰ということが一番説明しやすく、合理的であるとされている。したがって、由来がはっきりしない品種といっておきます。

 10,ワトウナイ(和唐内)

  • ワキンとリュウキンを交配すると、その一代雑種は両方の中間のような形になり、体はやや細長く、鰭長い金魚になる。
    和(日本)にも唐(中国)にもいないので、ワトウナイというのだと、いう人もいる。

 11,シュウキン(秋金)

  • ランチュウとオランダシシガシラとの交配から淘汰した品種。
    明治30年に水産講習所長 松原新之助氏が、金魚商秋山吉五郎の名にちなんで命名したが、大正年間に一度絶滅した。

    これを作り出した人は豊橋市の戸田善治郎、岡崎の杉田久五郎両氏で、明治20年代に東京に送ったところ、秋山氏から秋錦と命名したというしらせがあったそうです。

 12,ツガルニシキ(津軽錦)

  • はじめ「ジキンギョ」と呼ばれていたが、昭和2年、弘前金魚協会でツガルニシキと命名した。秋金と全く同じ形。

 13,キンランシ(金襴子)
  ランチュウとワキンの交配種。

 14,シシュブンキン(※頭にシが入っている)

  • 雑色のモザイク透明鱗性。
    秋山吉五郎氏(金魚の新品種と其遺伝力、1923)によれば、サンシキデメキンと鮒尾のワキンとヒブナを三種混合して作り出したものとされているが、これは全部で2万尾のうちの14,5尾しか出なかったものを淘汰したそうです。松井佳一博士はこの品種を作り出すのにワキンは不必要であり、サンシキデメキンと鮒の交配で半数近くのシシュブンキンが出ることを実験した。

 15,キャリコ

  • サンシキデメキンとリュウキンの交配種のうち、モザイク透明で、鰭が長く普通眼のものを淘汰した秋山吉五郎氏の作品に、米国人フランクリン・パッカード氏が明治45年に命名した。

 16,アズマニシキ

  • サンシキデメキンとオランダシシガシラの交配種で横浜の加藤金蔵氏の作品。昭和6年に命名。

 17,ヒロニシキ(弘錦)

  • ツガルニシキとランチュウの交配種、明治41年弘前市の宮本喜三郎氏によって作られた。

 18,ヤマガタキンギョ(山形金魚)
  ワトウナイの鮒尾でコメットに似ている種。

 19,テツギョ(鉄魚)

  • 大正11年(1922)の平和記念東京博覧会に、山形県若畑沼産のテツギョが出品された。

2008年12月17日 (水)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その3

第2章 金魚の形態
 第1節 外部の形態

  •   分類学上、魚綱・硬骨魚目・鯉科に属する。学名をカラシウス・オーラタス・ver Carassius・auratus・varで前半は鮒の学名である。

  尾鰭

  • 鮒尾→ツマミ尾→三ツ尾→桜尾→四ツ尾→孔雀尾

  臀鰭

  • 臀鰭が1枚であるか2枚であるかは、尾が鮒尾であるか開き尾であるかということに関係している。

  腹鰭
  胸鰭
  背鰭

  • 背鰭の欠除性はまだ固定したものではなく完全に背鰭のない親から産まれた子供でも、半分近くも背鰭の跡が残っている。

  眼

  • 金魚のデメは生まれてから、1,2ヶ月以上立たないと飛び出てこない。

  頭

  • 一般に、魚の頭部には鱗がなく、皮膚でおおわれているが、ランチュウなどは皮膚が盛り上がってコブになる。
    コブの位置によって、兜巾(ときん)、おかめ、獅子頭と呼ぶ。

  鱗

  • 鱗は皮膚の一部で、外側の表皮と内側の真皮に分かれる。表皮と真皮の間には色素細胞があり、真皮の裏側には光彩層がある。光彩層は光を反射する部分である。
    光彩層のない鱗は透明で光を反射しないので、これを透明鱗といい、あるものを普通鱗という。

    少ししかなかったり、網目状に分布するものを網透明鱗という。こらは松井博士が昭和2年、ワキンの純系分離を実験中に発見した。

    普通鱗性と透明鱗性を掛け合わせると。混ざったものが出来て、これをモザイク透明鱗性という。網透明鱗のものはすべて、全体が網透明鱗で、モザイクのものはない。
  • 全透明鱗性は次の3通りがある。
    1,真皮の光彩層が全然無いもので、鱗も皮膚も透き通っているから、内臓部まで見える。
    2,真皮の光彩層が部分的に存在するもので、場所のよって内部が見えたり見えなかったりするわけで、鰓蓋や紅彩の片方だけが透明だったりする。
    3,光彩層が完全なもので、鱗がはっきり見えないだけで内部は透視できない。
  • モザイク透明鱗の場合も次の3通りある。
    1,透明鱗の部分の真皮は光彩層が全然ないもので、鱗がはっきり見える不透明部と、鱗があるかないかわからず内部まで透き通っている部分が混ざっている。
    2,透明鱗の部分でも真皮の光彩層があったりなかったりするもので、普通鱗の部分と、鱗が透明で真皮が不透明の部分と、鱗も真皮も透明な部分との三つある。
    従って第一と第二においては、鰓蓋や紅彩が透き通っていたり、腹部が透視できたりするする場合がある。
    3,真皮の光彩層が全体に分布しているもので、体は全部不透明ですが、鱗の光った部分と鱗が透き通った部分がある。

  体色

  • 金魚は2ヶ月目ぐらいまでは鮒色をしているが、成長するに従い黒くなり、さらにはげて黒と黄の斑になり、次に全体が黄色になり、次第に赤味を増してくる。これを褪色現象という。
    褪色現象とは、黒色細胞が失われて黄色細胞が増殖することにほかならない。

 第2節 内部の構造 ※省略
  鰓
  浮袋
  消化器・泌尿器
  循環系
  生殖器

第3章 金魚の生態と生理
 第1節 金魚の成長

  • いい場所で正しい管理をしてやれば、20年は生きており、大きさも30cmぐらいになる。

 第2節 産卵・孵化

  • 春、水温が12,3度以上20度ぐらいになると産卵する。産卵後4,5日すると孵化する。2日間ほどぶら下がった後餌を食べ始める。

 第3節 外囲の影響
  水温
   生存できる温度は一般に0~30度。
   松井博士が10度内外で飼っていたワキンを用いた実験では

  • 急激に変化する場合
    27度 一時狂奔するが徐々に平静となる。
    28度 同上
    29度 5~7分間狂奔して横泳するが内に平静となるものがある。
    30度 2~3分間狂奔そて横泳し呼吸回数が多く且つ弱くなって20分間でへい死するものが多い。
    31度 狂奔して5~6分位には呼吸停止。
    32度 同上
    33度 同上
  • 徐々に変化する場合
    27度 運動が旺盛になる。
    28度 同上
    29度 同上
    30度 一時狂奔して横泳し数時間位にへい死するが平常水に入れると回復する。
    31度 同上
    32度 狂奔して20分以内には呼吸が停止する。平常水に入れても回復しない。
    33度 数分間の狂奔で完全に呼吸が停止する。

  光線

  • 金魚は趨光性といって、光の強い方へ集まる性質があり、稚魚はこの傾向が強い。

  塩分

  • 海水の塩分は3.5%ですが、金魚は1.5%位なら充分耐えることが出来る。2%で5時間、3%で1時間半ぐらいで死亡する。

  酸素と炭酸ガス

  • 体重1kgにつき、1時間で消費する酸素の量は、5~6度で16.07cc、16度で50.90cc、22度で83.81ccである。
    呼吸量は15度の時、呼出炭酸ガス45.54cc、吸収酸素47.22CCである。
    金魚が窒息する酸素量は、大体水1リットル中0.4cm3が限界とされている。

  水流
   趨流性、背流性ともにある。

  音

  • Manning氏は、皮膚と側線では344Hz、内耳の通嚢では43~688Hz、省嚢と爪状体では1376~2752Hzの音を聞くことができることを明らかにした。

  におい

  • 鯰を用いた実験によって確認されている。

2008年12月16日 (火)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その2

カバー
 紅白のリュウキンと黒デメキンの油絵


 上見のランチュウ

口絵 ※カラーイラスト
 アズマニシキ、オオサカランチュウ、テツオナガ
 シュウキン、ランチュウ、シュブンキン、リュウキン
 クロデメキン、ジキン、ヒブナ、チョウテンガン
 サンシキデメキン、トサキン、オランダシシガシラ、ワキン

  • 日本人で金魚を知らない人はいない筈です。・・・・・一般の日本人は案外無関心のようです。金魚は夏の間の子供のおもちゃぐらいにしか考えていません。
    この本は、特にこの点に想いをいたして記述しました。・・・・・

    最近、とみに熱帯魚の飼育が盛んになってきました。・・・・・やはり、日本人の趣味に合うように永年かかって作り出された金魚には、われわれの生活や、風土にぴったり適合した幾多の美点があります。・・・・・

    本書の記述に携わった三人は、熱帯魚に関している者ですが、このような意味からも金魚の本を執筆しました。・・・・・

    石川貞二
    多紀保彦
    渡辺哲夫

本文
第1章 金魚の歴史
 第1節 金魚の祖先

  • 松井佳一博士は、金魚と鮒と鯉をそれぞれ交配して、その類縁関係を調べた。
    金魚と鮒では遺伝学の法則に従って正常な雑種を作り、雑種第一代目では尾鰭、臀鰭などが優性のである鮒型を示し、第二代目ではメンデルの法則の通りに分離する。

    金魚と鯉とでは、雑種を作るには作りますが、その形態は両者の中間形になり、雄が不胎となって第二代目が出来ない。
    このことは、生物学的に見て、金魚が鯉よりも鮒にずっと近く、非常に密接であることを物語っている。

    牧野左二郎氏の研究によれば細胞核中の染色体の数は、鯉では104個であるが、金魚と鮒は共に94個である。

    石川誠、操担道両氏は血清学的に三者の類縁関係を研究し、金魚と鮒が非常に近いと示している。

 第2節 金魚の由来

  • 晉(期限265~419年)の張華撰博物誌、明(紀元1368~1644年)の本草綱目等から南中国の逝江・江西省方面に1500年前に金魚が存在していた。

    渡来は金魚養玩草、大和本草、和漢三才図絵等から、大体400年前、足利末期から江戸初期にかけて、中国からもたらされたものとされている。

2008年12月14日 (日)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 田中書店

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年3月20日 田中書店 B6版 P.203 250円

 この本は田中書店の実用百科叢書として出された本で、魚関連としては「熱帯魚の飼い方」多紀保彦、「海水魚の飼い方」柴田清がある。

 一般の飼育書と異なるところは、「金魚の遺伝」という章を設け基礎知識、遺伝研究の歴史、眼、鱗、鰭、体色の遺伝についての解説がある点です。
 ただし、図鑑的な面白味はなく、口絵にしてもカラーのイラストで、本文の方も白黒の写真と白黒のイラストです。

 著者はフリスコ熱帯魚研究所にいた人ですが、この本自体は多紀保彦氏、渡辺哲夫氏との共著になっています。
 ※本は「石川貞二著」となっている。

 3人とも東京水産大学養殖科を卒業しており、多紀保彦氏は先に紹介した「熱帯魚の飼い方」多紀保彦 鶴書房 昭和31年の前書きでフリスコにいたことは知られていますが、渡辺哲夫氏がフリスコにいたかは判りません。

 渡辺哲夫氏はこの本の他に先に紹介した「飼育教室 熱帯魚」 渡辺哲夫/飯塚泰二 昭和43年 鶴書房や「正しい熱帯魚の飼い方ふやし方」1985年 日本文芸社を著しています。
 因みに石川貞二氏は「熱帯魚の正しい飼い方」(1964年) 金園社 、「熱帯魚飼い方殖し方 」(1953年) 至誠書院(前身は加島書店)、「やさしい熱帯魚の飼い方」 (1957年) 金園社
を著しています。

【構成】

口絵

目次 ※節とは書いてありません。
 序
 第1章 金魚の歴史
  第1節 金魚の祖先
  第2節 金魚の由来

 第2章 金魚の形態
  第1節 外部の形態
  第2節 内部の構造

 第3章 金魚の生態と生理
  第1節 金魚の成長
  第2節 産卵・孵化
  第3節 外囲の影響

 第4章 金魚の品種
  ※品種の羅列
 第5章 実験動物としての金魚

 第6章 金魚の遺伝
  第1節 基礎の知識
  第2節 金魚の遺伝研究の歴史
  第3節 遺伝のしかた

 第7章 金魚の飼育法
  第1節 飼育についての注意
  第2節 容器
  第3節 水質
  第4節 水中の酸素
  第5節 水温
  第6節 水換と注水
  第7節 冬囲
  第8節 餌料
  第9節 餌料と栄養価値
  第10節 餌の与え方
  第11節 飼養尾数
  第12節 人工調色法

 第8章 金魚の繁殖法
  第1節 産卵の準備
  第2節 採卵と孵化
  第3節 仔魚の育て方

 第9章 金魚の病気
  ※病名の羅列
 第10章 害敵
 第11章 金魚の観賞
  第1節 金魚の良否
  第2節 品評会

 第12章 飼育暦の一例
 第13章 文学上に現れた金魚

-----メモ-----
西暦1953年=昭和28年
西暦1956年=昭和31年
西暦1957年=昭和32年
西暦1964年=昭和39年
西暦1968年=昭和43年
西暦1985年=昭和60年
関連本

2008年12月13日 (土)

「岩手県産 淡水魚類」 小山真一郎 昭32年 その5

 37,ウナギ 鰻
  方言

  • マウナギ(富山)、オオギ(高知、兵庫)、サジ(栃木)、ガエ、クイ(山口)、カニクイ、ゲイタ(愛媛)、カニクイ、ゲイタ、サジ(東京)、メツセイ、メセロ(静岡)

 38,イトヨ 糸魚
  方言

  • トンゲ、トンギョ(青森)、ハリウオ(七尾、鳥取)、ハリサバ(石川)、カワアジ、ケンジャコ(鳥取)、ハリウオ(石川)、ハリトト(鳥取)

 39,キタノトミヨ 北富魚
  方言

  • トミヨ、トゲウオ(久慈、宮古、気仙)、ガンガリ(東北地方)

 40,ボラ
 41,カムルチー 雷魚 帰化魚

  • 岩手のカムルチーは北上川の下流に放ったものらしい。昭和26年夏には北上川生母村付近に出現、昭和27年には、北上川水沢付近に出現、昭和29年には北上川黒沢尻付近にも出現。
    筆者は書31年10月花泉地方に採集の折り、7~8寸のカムルチーを相当採集した。
    その際地方人の話では、最近この地方にはカムルチーが特に増殖して、タナゴ類は殆ど絶滅に近いほど食い荒らされているとの事であった。

 42,スズキ 鱸
 43,ハナカジカ 花鰍
  方言

  • カズカ(九戸、山形村戸呂町、北海道)
    1955.5月に著者が初めて、久慈川上流戸呂町川にて採集、松原、中村両博士の査定により本州に初めて発見。

 44,カジカ 杜父魚
  方言

  • カズカ(県下各地)、セカズカ(黒沢尻地方)
    カジツカ(福井、新潟)、アイカ(福井)、ドンコ(群馬)、カブ(岐阜)、フグ、オコゼ(琵琶湖)、マゴリ(石川)、オニカジカ(小名浜)、ホウテク(山梨)、カンジイ(静岡)、イワクジリ(印旛沼)、キス、キスカジカ(青森)、ミヤマゴリ(山口)

 45,カマキリ 鎌切
  方言

  • カズカ(久慈、宮古、大鎚、大船渡)
    アイカギ、アイカケ(東京)、アイキリ(高知)、アラレカゴ、カゴ(福井)、ダイミョウバタ(奈良)

 46,ヌマガレイ 沼鰈
 47,ヨシノボリ 葦登
  方言

  • ゴリ、ゴリカジカ、ドブカズカ(盛岡、日詰)、セキカズカ(黒沢尻)
    ダボ、ダボハゼ(東京)、イシブツ、ゴリ(琵琶湖)、カジカ(群馬)、アネサマゴリ、ツユゴリ(石川)、イサザ(長野)、イシナシゴ(岡山)、グズ(富山)、ゴリキ(奈良)、ゴリンチ(広島)、シマビシ、ロレンコ(岐阜)、ヨナ、スイツキ(長野)、ズンコオ、ボチ(静岡)、イソハゼ(高知)、カワハゼ(和歌山)

    ヨシノボリは従来南日本の魚とされていたが(田中博士)、著者は昭和8年高松池に採集してから各地に採集調査し、田中先生に報告した。

 49,アシジロハゼ 足白鯊
 50,マハゼ 真鯊
 51,ビリンゴ 微倫吾
 52,ウキゴリ 浮吾里
 53,チチブ 知知武
 54,シマハゼ 縞鯊

以上でこの本の紹介は終わりです。

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西暦1957年=昭和32年

「ちちの科学随想」 小山忠郎 1973年(昭48) 三英社

地域で発刊された淡水魚の本

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2008年12月 8日 (月)

「岩手県産 淡水魚類」 小山真一郎 昭32年 その4

第7章 岩手県産の淡水魚種類 の続き

 26,シナイモツゴ(シナイモロコ)
  方言

  • ズイナイ(黒沢尻)、スバスリ、ヒバスリ(日詰、沼宮内)
    アブラヤナギ(群馬)、ウシモロ(大垣)

 27,ウグイ
  方言

  • オゲアエ、オオゲアエ(宮古、釜石、気仙、東西磐井地方)、クギ(県下各地)、ハヤ(盛岡、遠野、黒沢尻等)、フエアザ(盛岡、岩手郡)、アガハラ(宮古)、ユゴイ、ユグイ、ウゴイ(久慈)
    オオガイ、オオゲアイ(仙台、青森、弘前)、ジャヤツコ(青森、鮫)、アカハラ、ハラアカ(仙台)、イグイ(岐阜)、イゴイ(富山)、オグイ(三重)、オイブ(三重)、イタ(四国)、ユダ(京都)、イス(兵庫)、ホニャバ(東京)、ハヨ(新潟)、アカウオ(長野)、アカイオ(岐阜)、ブドバヤ(静岡)、マユ(富山)、アイソ(日光)、タギ(群馬)、ギバヤ(館林)、カンザコ(栃木)

 28,エゾウグイ 蝦夷鰄
  方言

  • ササヒザ、ヤツヒザ、フエアザ(岩手郡、外山、藪川)
  • 著者が1950年、外山ダム逆川に採集したものは岩手県に於ける初めてのもの。

 29,マルタ 丸太 一名 ユサンウグイ
  方言

  • オゲエア(県下各地)、オオガイ、アカハラ(仙台)
  • 北上川では晩春(5~6月頃)本流を金ヶ崎まで遡河するといっている(金田一氏)。黒沢尻附近まで確かに遡河する(斎藤慶蔵氏)。

 30,アブラハヤ 油鮠
  方言

  • ハヨ(県下各地)
    アブラバエ(長崎)、アブラムツ、アブラモロコ(琵琶湖)、アブラメ(大分)、アブラバエ(山形)、クソバエ(岐阜)、ヤマモト(京都)、アブラケ(滋賀)

 31,オイカワ 追河 移植魚
  方言

  • イマハヤリ(黒沢尻)
    ヤマベ(東京)、ハエ(京都)、シラバエ(京都)、イカダズエ(岐阜)、ビワコワカサギ(静岡)、アカマツ、セバエ(広島、岡山)、イカリガンガラ(栃木)、ハヤ(滋賀)
  • 岩手河川にオイカワがすむようになったのは、昭和8年琵琶湖産稚鮎を北上川に放流するようになってから。

 32,フナ 鮒
  方言

  • フナコ、フナッコ(県下各地)
    キンブナ、ギンブナ、マルブナ(東京)、ニゴロ、ヒワラ、ガンゾ(琵琶湖)、マブナ(東京)、カタサイ(大阪)、キンコ(栃木)、タイオ(福島)
  • 岡田、中村両博士は1948年に群馬県城沼産のキンブナ、ギンブナ、ゲンゴロウブナについて、形態的並びに生態的に比較研究を行って、三者間に種々の顕著な相違点を指摘し、これ等の差異は単なる彷徨変異や環境による差異ではないとした。

 33,コイ 鯉
  方言

  • マゴイ(県下各地)
    アカクチ(静岡)、サラサ(新潟)、ハセリ(岡山)、ナメリ(熊本)、ナサゴ、ナンザ(静岡)
  • 色彩上の変種にはヒゴイ、キゴイ、赤白ゴイ、斑ゴイ、五色ゴイ、三色ゴイがある。鱗の相違から、鱗鯉、茸鯉、鏡鯉などあり、革ゴイ、鏡ゴイは明治37年8月ドイツから日本に初めて移植されたもので、この後これ等をドイツゴイと呼んでいる。
    (※茸鯉はネットで調べてもわかりませんでした)

 34,ドジョウ 泥鰌
  方言

  • ドンジョ(県北の一部)、ドジョ(県南の一部)、アワドジョオ(二戸、荒沢)、ドンジョ(仙台)、ドゾカ(青森)
    オドリコ(東京)、ヤナギバ(東京)、ジョジョ(和歌山)、ジョオ(高知)、ドジョ(岐阜)、ノロマ(甲府)、クソドジオ(鳥取)
  • ドジョウは鰓呼吸の外、腸呼吸(所要酸素量の3分の1まで)する。

 35,ホトケドジョウ 仏泥鰌
  方言

  • ドジョオ、ドジョコ(ドジョウと混同、県下各地)
    ホトケ、メクラドジョウ(滋賀、彦根)、アカッパラ(静岡)、ハシ、サクドジョウ(長野)、シミズドジョウ(千葉)、マグソドジョウ(山形)、ヤマニラミ(京都)、チンボネムリ(岐阜)

 36,シマドジョウ 縞泥鰌
  方言

  • スナメグリ(県南各地)、スナツベ(盛岡、花巻)、ジョロメコ(岩手、大更、雫石、滝沢)、ドジョカス(岩手、松尾、平舘)、ササジョウ(高知)、ムギナ(岐阜)、カシナメドジョウ(静岡)、ササドジョウ、キリメ(長野)、ゴマドジョウ(千葉)、ササ(京都)、スナハビ(栃木)、タカノハドジョウ(長野)

---
西暦1957年=昭和32年

「ちちの科学随想」 小山忠郎 1973年(昭48) 三英社

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「岩手県産 淡水魚類」 小山真一郎 昭32年 その3

第7章 岩手県産の淡水魚種類
 種類の記述は
  カタカナ名 漢字 幽門垂 科名
  学名
  方言
  特徴
  地理的分布
  生態
  人生との関係
  附記

 1,スナヤツメ 砂八眼
  方言

  • マノションベン、ウマノションベン(岩手郡、沼宮内、平舘、大更、松尾、渋民、玉山)
    ギナヤツメ、ギナギナメ(長野)、スナホジリ(石川七尾)、スナクグリ(富山、三日市)、カガヤツメ(新潟)     

 2,カワヤツメ 河八眼
  方言 ナナツメ(鳥取)

 3,ベニマス 紅鱒 移植魚
 4,ヒメマス 姫鱒 移植魚
 5,サケ 鮭
  アイヌ語のシャケケンベ(夏食)。略してシャケ

 6,サクラマス 桜鱒 降海型
  方言 ママス(宮古、盛岡)、ヒカリ(幼魚、盛岡、気仙、宮古)

 7,ヤマベ 山女 サクラマスの陸封型
  方言

  • ママベ(釜石)、ヤモ(栃木)、ヤモメ(東京付近の山間部)、ヤマバエ(仙台)、タナビラ(木曽福島)、マダラ(熊本八代)

 8,ニジマス 虹鱒 移植魚
 9,イトウ
  方言

  • エドウ、エド(盛岡、和賀郡、岩手郡その他)、オヘライベ(アイヌ)、イト、イド(北海道)

 10,アメマス 雨鱒 一名蝦夷岩魚
  方言 イワバエ(仙台)
  本県水域では未だに採集されていない。

 11,カワマス 川鱒 移植魚
 12,アユ 鮎
  方言

  • アイノヨ(秋田)、エノヨ(山形)、アイナゴ(石川、広島、和歌山)、シライオ(熊本、富山)

 13,ワカサギ 公魚
  方言

  • チカ、ツカ(県内各地、青森県地方)、アマサギ(石川、鳥取、福岡)、シラサギ(鳥取)、サイカチ(群馬)、シロイオ(新潟)、ソメグリ(石川、富山)

 14,チカ
 15,シラウオ 志良魚
 16,メダカ 目高
  方言

  • 昭和13年6月に辛川正雄氏が「目高考」を著し、日本内地産2159語の方言をあげている。岩手県のメダカの方言は30余語となっているが、その多くは実際メダカの棲んでいない他魚の幼魚と混同している。

 17,ナマズ 鯰
  方言

  • チンコロ(東京附近)、ヘツゴ(静岡)、ナマズツコ(静岡)、ヤツコナマズ(鳥取)、ナマンズ(山口)

 18,ギバチ 義蜂
  方言

  • ギンギョ(県下各地)、ギニタ(和賀沢内)、ギンタ、ギンタコ(雫石、大更、滝沢)、ギンギョ(仙台)、ギクバチ(仙台)、ゲバチ(東京)、ギウタ(群馬)

 19,ゼニタナゴ 銭タナゴ
  方言

  • ドシタナゴ(盛岡)、ビラタナゴ(黒沢尻町)、ビラコ(北上市地方)
    オカメタナゴ(東京)、ヤスリメ(群馬)、ビタ、ニガビタ(千葉)、キンタイ(秋田)、ニガタ、ニガブナ(千葉)

 20,タナゴ
  方言

  • ボテ(滋賀)、センパ、センパラ(岐阜)、ニガタ、シャレブナ(千葉)、シラダ(群馬)、センタ(愛媛)、エタラシ(前橋)、ドマコ、タナンコ(福井)、ハラボテ、タナンコ(兵庫)、カソンド、カメンタイ(岡山)、ニガブナ(広島)、アキブナ(広島、吉田)

 21,ヤリタナゴ 鎗タナゴ
  方言

  • タナゴ(県下各地)
    シラタ、ボテ(東京)、ニガタ、ヤナギ(千葉)、シロタナ(栃木)、ボテ(滋賀)

 22,タビラ
  方言 タナゴ、ビラコ(県南各地)
      シラタ(群馬)、ボテ(滋賀)

 23,ニゴイ 似鯉
  方言

  • ミゴイ(北上川流域地方全般)、カワゼイ(一関、舞川)
    サイ、セータツボ、サイコロ(東京)、マジカ(彦根)、アライゴイ(長野)、イス(千葉)、カワザイ(福島)、キツネゴイ(大阪)、ヘバチゴイ(奈良)、ミゴ(新潟)、メゴイ(福井)、ホリコイ(広島)

 24,カマツカ 鎌柄
  方言

  • ゴリカズカ(盛岡)、ドブクズ(黒沢尻)
    アサガラ(高知)、スナムグリ(多摩川)、ダンキリボ(滋賀)、アザガラ、エツショウ(徳島)、イセブチ(千葉)、カナクジリ(京都)、カマスカ(大分)、カワハゼ(福島)、ギス(長野)、スナクジ(福島)、ジムグリ(長野)、スナホリ(京都)、ドブロク(徳島)

 25,ヒガイ
  方言
ハエ(盛岡)

  • サクラバエ(岐阜)、ホヤル(岡山)、アカメ、ムギバエ(愛知)、ツラナガ(琵琶湖)、ホソメ(福井)

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西暦1957年=昭和32年

「ちちの科学随想」 小山忠郎 1973年(昭48) 三英社

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2008年12月 5日 (金)

「岩手県産 淡水魚類」 小山真一郎 昭32年 その2

第1章 まえがき
 図は省略した。(※写真やイラストはありません)

 第1節 淡水魚

  • 岩手県内の在来種47種(亜種も含む)と移植種7種を記載した。
    方言は県内の方言と県外の方言を記載した。

 第2節 魚類の測定

  • 背鰭、臀鰭、不分岐軟条、分岐軟条
    鱗数、側線鱗数、背鰭起点から側線鱗まで、臀鰭起点から側線鱗まで

 第3節 本書中の主な用語略記

  • 咽頭歯、鰓肥、幽門垂

第2章 淡水魚類の検索表

  • 1,鰓孔は鰓蓋で被われていない、いる。
    2,脂鰭をもつもの、もたないもの。
    3,口が頭の上方に向いて開くもの、口が頭の前方から下方に開くもの。
    4,口の周囲にヒゲをもつもの、ないもの。
    5,産卵管のないもの、あるもの。
    6,鱗があきらかにわかるもの、不明なもの。
    7,臀鰭が大きいもの、小さいもの。
    8,腹鰭が吸盤状になるもの、ならないもの。
    9,体が細長いもの、側偏するか円盤状のもの。
    10,胸鰭が大きいもの、小さいもの。
    11,背鰭と腹鰭とは離れた棘になるもの、多くの軟条からなるもの。

第3章 岩手県産淡水魚類の国内及び隣邦分布表

  • 54種について樺太、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州、台湾、朝鮮、支那での分布状況を表にて掲載。

第4章 日本の淡水魚の分布に就いての論文

  • 1,JORDANは南北の二区にしている。
    2,田中茂穂博士は南日本、東北地方、北海道の三区としている。
    3,岡田彌一郎博士と中村守純博士は大体次の三区としている。
       東北地区、中央地区、西南地区

第5章 採集と保存
 採集時には次のようなことを野帳に書いておくこと。
  1,採集地
  2,方言
  3,底質
  4,水温
  5,気温
  6,水流
  7,採集月日時
  8,多寡等

 標本と保存

  • 絹又は木綿の布で付箋をを作り、整理番号を記入し、魚体の右側に結ぶ。
    約1尺以上の魚は内臓を痛めないように腹部にメスを入れて浸液に入れる。
    ホルマリン溶液は原液を10倍にうすめる。小魚類は12倍にうすめる。
    硬化、軟化を防止するためホルマリン溶液6合に対し、硼酸を茶匙一杯位入れておくと良い。

第6章 方言と和名
 方言をアイウエオ順に並べ、その右に和名を掲載している。

---
西暦1957年=昭和32年

「ちちの科学随想」 小山忠郎 1973年(昭48) 三英社

地域で発刊された淡水魚の本

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2008年12月 3日 (水)

「岩手県産 淡水魚類」 小山真一郎 昭32年

「岩手県産 淡水魚類」 小山真一郎 昭32年5月1日 中央印刷 B6版冊子 P.42 非売品

 この本は岩手県内に産する54種の淡水魚を紹介しているが、県内河川や湖沼の分布状況については、ほんの少ししか記述されていない。
 特徴的なのは、全国の方言が記載されている点と、食用とか観賞対象かの記述がなされている点である。

 著者はネットで調べると高校の先生であったようで、全国区の魚類専門家というわけではない。逆に、このような人のおかげで特定地域の淡水魚関係の本を目にすることが出来るのだと思い。
 著者はこの他にも1955年に「岩手の魚類」(盛岡第一プリント社)を著している。

 地方出版の冊子であり、さらに非売品であるため古書界ではめったに出ない1冊である。

【構成】

目次 ※本書は章ではなくローマ数字で書かれている。
 第1章 まえがき
  第1節 淡水魚
  第2節 魚類の測定
  第3節 本書中の主な用語略記

 第2章 淡水魚類の検索表
 第3章 岩手県産淡水魚類の国内及び隣邦分布表
 第4章 日本の淡水魚の分布に就いての論文
 第5章 採集と保存
 第6章 方言と和名
 第7章 岩手県産の淡水魚種類

奥付
-----メモ-----
西暦1957年=昭和32年

「ちちの科学随想」 小山忠郎 1973年(昭48) 三英社

関連本 地域系

2008年12月 2日 (火)

「ザ・フィッシュ・ワールド」 創刊号 昭和54年 その3

シクリッド飼育の楽しさ 中島重雄 3ページ
 1,繁殖のすすめ
 2,一夫一婦性の強いシクリッド
 3,親が子を育てる
 4,繁殖の場所
 5,自然の状態で親子の群泳を楽しむ
 6,子育てを楽しめる魚たち

シクリッドの繁殖法 中島重雄 5ページ
 1,エンゼルの繁殖法

  • 改良型のどんな組み合わせもでもペアーになるが、ブラックのみのペアーや、片方がブラックの場合は繁殖力がよくない。
    レースエンゼルのペアーからブラックは10~20%ほど出るので、稚魚の黒いものを取り出して大切に育てれば相当数のブラックを得ることが出来る。

 2,一般シクリッドの基本的繁殖法
 3,暗いところや物かげで産卵するものの繁殖法
 4,ハーフマウスブリーダーの繁殖法
  哺生の責任は種類によって違うが、雌であることが多い。

 5,マウスブリーダーの繁殖法
 6,ディスカスの繁殖法

これから熱帯魚を飼育する人のために 14ページ
 1,熱帯魚とは
 2,熱帯魚の分類
  A,目高目
  B,コイ目
   a,コイ科
   b,カラシン科
   c,ドジョウ科
   d,ナマズ類
  C,スズキ目
   a,アナバンティ科
   b,シクリッド科
   c,ハゼ類

 3,熱帯魚 一緒に飼える魚 飼えない魚
  ※解説の他、組み合わせ例が掲載されている。
  (1),胎生及び卵生目高科
   ベロネソックスのような肉食魚は一緒に出来ない。

  (2),カラシン科
  (3),コイ科

  • ブラックシャークやトリカラーシャークは他魚をなめるので避ける。

  (4),アナバンティ科
  (5),シクリッド科

  • この科の混泳は一概には言えない。エンゼルとスマトラやフグは一緒に出来ない。

 4,病気について
  各種の病気について解説。治療法は書かれていない。

 5,水草の必要性
 6,砂、岩の必要性
 7,照明の必要性
 8,餌について
 9,エアーレイションの必要性
 10,その他の器具の必要性

カラーグラビア フィッシュ・ワールド・NOW
 ジュリドクロミス・オーナタスの産卵

  • 110*30*30の水槽にジュリドクロミス属とカリノクロミス属全種が1~3個体入っている中で、テリトリーを作り子育てしている。

 ソルビミクチス・プラニセプス

  • 以前にも輸入されているが、現存が確認されているのは1匹のみです。今回も2,3匹しか輸入されていないようです。(※当時の話)

以上でこの雑誌の紹介を終わります。

2008年12月 1日 (月)

「ザ・フィッシュ・ワールド」 創刊号 昭和54年 その2

マニアのためのシクリッド最新情報 佐藤哲 6ページ

  • ※執筆者は高校生の時からシクリッド飼育についてフィッシュマガジンに投稿していたほどの熱帯魚好きで、それご高じてシクリッドの生態を職にした人です。マラウィ湖かタンガニーカ湖でナマズがシクリッドに託卵することを発見したことでも有名な方です。

 1,誘拐犯出現?

  •   1976年に行われた実験で、Cichlasmd citrinellum が他のペアーの稚魚を受け入れ、時には誘拐してくることが判明した。
    さらに、全ての5周目位の稚魚の群には Neetroplas nemdtopusの稚魚が混ざっていた。

    これは、自分の稚魚が肉食魚に食べられてしまう危険が大きくて、他の稚魚が自分にとって直接的にも間接的にも害とならない場合には、他の稚魚を受け入れることは、親にとって、また、本来の稚魚たちにとって有利なことになるためである。

 2,稚魚たちはお母さんが好き?

  • 実験により親は嗅覚によって自分たちの稚魚を他のペアーの稚魚や他種の稚魚と見分け、また、稚魚のいる方向を見つけることが出来る、と言う結論を得た。
    親たちの鼻孔をふさぐ実験と併せると、親は稚魚がいる方向については、主に視覚によって知り、その稚魚が果たして自分の稚魚であるかどうかは、嗅覚で見分けていると考えた。

    稚魚の立場からのは1977年の実験により、稚魚は自分の母親と他の母親の区別は出来ず、父親に至っては水との区別も出来なかった。
    濁った水の中で父親の方へ泳いでいくと、父親はテリトリーの境界附近にいることが多いので、危険な方向へ進むことになるためで、母親を区別できないのは、近くにいる雌の方向へ行く方が安全なためである。

 3,暖かいだけが能じゃない

  • 1978年、移動に伴う水温の変化が魚の成長にどのように影響するかを調べた。実験には50g前後のTilapia rendalliが選ばれた。この魚は夜間は水温20度以下の場所にいて、昼間は30度を超える浅い岸辺にいることが多い。

    魚を18度一定の水温に入れておくとすると、その時、魚が満腹するまで食べた食物に含まれるエネルギーの量は、その大きさを維持するために必要なエネルギーの量とほぼ同じである。ということになった。
    また、昼間は高い温度で多くのエネルギーを貯え、夜間は低い温度で消費されるエネルギーを少なく抑えている。ということになった。

    水槽内の魚たちが、野生のものに比べて成長が悪いのは、今までスペースのせいにされてきたが、むしろ、水温との関係が重要だったのかも知れません。サーモスタットを工夫しすることで、成長が増加するかどうかは、やってみないとわかりませんが、やってみるだけの価値はあると思います。

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