「岩手県産 淡水魚類」 小山真一郎 昭32年 その4
第7章 岩手県産の淡水魚種類 の続き
26,シナイモツゴ(シナイモロコ)
方言
- ズイナイ(黒沢尻)、スバスリ、ヒバスリ(日詰、沼宮内)
アブラヤナギ(群馬)、ウシモロ(大垣)
27,ウグイ
方言
- オゲアエ、オオゲアエ(宮古、釜石、気仙、東西磐井地方)、クギ(県下各地)、ハヤ(盛岡、遠野、黒沢尻等)、フエアザ(盛岡、岩手郡)、アガハラ(宮古)、ユゴイ、ユグイ、ウゴイ(久慈)
オオガイ、オオゲアイ(仙台、青森、弘前)、ジャヤツコ(青森、鮫)、アカハラ、ハラアカ(仙台)、イグイ(岐阜)、イゴイ(富山)、オグイ(三重)、オイブ(三重)、イタ(四国)、ユダ(京都)、イス(兵庫)、ホニャバ(東京)、ハヨ(新潟)、アカウオ(長野)、アカイオ(岐阜)、ブドバヤ(静岡)、マユ(富山)、アイソ(日光)、タギ(群馬)、ギバヤ(館林)、カンザコ(栃木)
28,エゾウグイ 蝦夷鰄
方言
- ササヒザ、ヤツヒザ、フエアザ(岩手郡、外山、藪川)
- 著者が1950年、外山ダム逆川に採集したものは岩手県に於ける初めてのもの。
29,マルタ 丸太 一名 ユサンウグイ
方言
- オゲエア(県下各地)、オオガイ、アカハラ(仙台)
- 北上川では晩春(5~6月頃)本流を金ヶ崎まで遡河するといっている(金田一氏)。黒沢尻附近まで確かに遡河する(斎藤慶蔵氏)。
30,アブラハヤ 油鮠
方言
- ハヨ(県下各地)
アブラバエ(長崎)、アブラムツ、アブラモロコ(琵琶湖)、アブラメ(大分)、アブラバエ(山形)、クソバエ(岐阜)、ヤマモト(京都)、アブラケ(滋賀)
31,オイカワ 追河 移植魚
方言
- イマハヤリ(黒沢尻)
ヤマベ(東京)、ハエ(京都)、シラバエ(京都)、イカダズエ(岐阜)、ビワコワカサギ(静岡)、アカマツ、セバエ(広島、岡山)、イカリガンガラ(栃木)、ハヤ(滋賀)
- 岩手河川にオイカワがすむようになったのは、昭和8年琵琶湖産稚鮎を北上川に放流するようになってから。
32,フナ 鮒
方言
- フナコ、フナッコ(県下各地)
キンブナ、ギンブナ、マルブナ(東京)、ニゴロ、ヒワラ、ガンゾ(琵琶湖)、マブナ(東京)、カタサイ(大阪)、キンコ(栃木)、タイオ(福島)
- 岡田、中村両博士は1948年に群馬県城沼産のキンブナ、ギンブナ、ゲンゴロウブナについて、形態的並びに生態的に比較研究を行って、三者間に種々の顕著な相違点を指摘し、これ等の差異は単なる彷徨変異や環境による差異ではないとした。
33,コイ 鯉
方言
- マゴイ(県下各地)
アカクチ(静岡)、サラサ(新潟)、ハセリ(岡山)、ナメリ(熊本)、ナサゴ、ナンザ(静岡)
- 色彩上の変種にはヒゴイ、キゴイ、赤白ゴイ、斑ゴイ、五色ゴイ、三色ゴイがある。鱗の相違から、鱗鯉、茸鯉、鏡鯉などあり、革ゴイ、鏡ゴイは明治37年8月ドイツから日本に初めて移植されたもので、この後これ等をドイツゴイと呼んでいる。
(※茸鯉はネットで調べてもわかりませんでした)
34,ドジョウ 泥鰌
方言
- ドンジョ(県北の一部)、ドジョ(県南の一部)、アワドジョオ(二戸、荒沢)、ドンジョ(仙台)、ドゾカ(青森)
オドリコ(東京)、ヤナギバ(東京)、ジョジョ(和歌山)、ジョオ(高知)、ドジョ(岐阜)、ノロマ(甲府)、クソドジオ(鳥取)
- ドジョウは鰓呼吸の外、腸呼吸(所要酸素量の3分の1まで)する。
35,ホトケドジョウ 仏泥鰌
方言
- ドジョオ、ドジョコ(ドジョウと混同、県下各地)
ホトケ、メクラドジョウ(滋賀、彦根)、アカッパラ(静岡)、ハシ、サクドジョウ(長野)、シミズドジョウ(千葉)、マグソドジョウ(山形)、ヤマニラミ(京都)、チンボネムリ(岐阜)
36,シマドジョウ 縞泥鰌
方言
- スナメグリ(県南各地)、スナツベ(盛岡、花巻)、ジョロメコ(岩手、大更、雫石、滝沢)、ドジョカス(岩手、松尾、平舘)、ササジョウ(高知)、ムギナ(岐阜)、カシナメドジョウ(静岡)、ササドジョウ、キリメ(長野)、ゴマドジョウ(千葉)、ササ(京都)、スナハビ(栃木)、タカノハドジョウ(長野)
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西暦1957年=昭和32年
「ちちの科学随想」 小山忠郎 1973年(昭48) 三英社
地域で発刊された淡水魚の本
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