「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その6
第3節 遺伝のしかた
眼の遺伝
- 普通目は優勢、出目は劣性
F1は全部普通目だが、F2は(D+d)^2=DD+2Dd+ddであるから普通目対出目は3:1となる。
以下戻し交配の式により解説が続きます。
また、普通目の親に鮒を使った場合の遺伝について抑制因子を仮定し式で説明しています。
鱗の遺伝
A,モザイク鱗性の遺伝
1,モザイク鱗性の自殖
- モザイク鱗とは、普通鱗と透明鱗がモザイク状に混ぜ合わさったもの。
(T+t)^2=TT+2Tt+tt となり全透明鱗性1,モザイク鱗性2,普通鱗性1の割合で分離する。
全透明鱗性と普通鱗性を交配すると、全部モザイク鱗性の子供が出来る。これがモザイク雑種で、全透明鱗性と普通鱗性は優劣が決まらず、両方混ざってしまう。
2,モザイク鱗性と普通鱗性との交配
(T+t)*t=Tt+tt
B,網透明鱗性の遺伝
- 1,網透明鱗と普通鱗とのF1は全部普通鱗
2,F1に網透明鱗を戻し交配すると、二つの鱗性が1対1の比で分離。
以下網透明鱗性とモザイク鱗性の交配等の説明が続く。
鱗性についての4つの因子
全透明鱗因子:T
普通鱗:t
網透明鱗にさせない因子:N
網透明鱗にする因子:n
TはNより上位因子
TTNN、TTNn、TTnn、Ttnn は全透明鱗性
TtNN、TtNn はモザイク鱗性
ttNn は普通鱗性
ttNN は網透明鱗性
以下網透明鱗とモザイク鱗の式、モザイク鱗同士の式が解説されている。
鰭の遺伝
A,尾鰭の遺伝
- 金魚の鮒尾は、数個の遺伝因子によるヘテロ接合体で、環境の影響が加わるものと思われる。
開き尾の金魚と鮒を交配させると、F1は全部鮒尾になり、鮒の鮒尾は完全に優性である。
以下F2、F3の説明が続く。
B,臀鰭の遺伝
- 金魚の臀鰭を2枚あるものと鮒との交配では、F1は全部単臀鰭で、鮒の単臀鰭が優性。
C,背鰭の遺伝
- 背鰭のない金魚とある金魚とのF1を、外山と松井の実験表で出現率を掲載。
D,肉瘤の遺伝
- 肉瘤の発達は、環境の要素が重要ではあるが、遺伝することも確かである。
体色の遺伝
- 鰭以上に複雑で、純系が淘汰されていないため、あまり研究が進んでいない。
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