「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その8
第8章 金魚の繁殖法
第1節 産卵の準備
親魚
- 最適なものは、雄は3,4才魚、雌は4,5才魚。
産卵期の前から別々に飼育する。
雌雄の区別
- 雄の生殖孔は長楕円形で、雌はほとんど円形。
産卵期になると、雄に「追星」がでる。
産卵期
- 最適水温は20度内外で、一産卵期中に3~5回ぐらい産卵する。次の産卵は10日後ぐらいである。
産卵池
- なるべく日当たりのよい場所を選び、水深は10~15cmぐらいにする。
好天候が続きそうな日を見定めて、良く成熟した雌雄を入れる。
魚巣
- 金魚藻、梅花藻、川柳の根、棕櫚の皮などを浮くようにする。
魚巣の数は一尾の雌に対して、金魚藻ならば20本ぐらいの束を2束、棕櫚の皮であれば3枚ぐらいが必要。
第2節 採卵と孵化
採卵
- 雌雄の数は、雌一匹に対して、雄一匹か二匹入れる。産卵は殆ど日の出前から午前中に行われる。
産卵する数は、10cmぐらいのものならば5千粒ぐらい産む。
産卵後は雌雄を離して飼育する。
孵化池
- 水深は12cm内外として、日当たりの良い場所で、日覆を使用して水温を調節できるようにする。
卵のついた魚巣は、平均に日光が当たるようによく広げる。
孵化
- 卵が孵化する温度は12度以上で、適温は17~28度、最もよい水温は19度か20度です。
水温と孵化日数の関係は
12.5度 14 日
14.0 10
19.0 5
21.0 4
24.0 3.5
25.0 3
27.0 2.5
第3節 仔魚の育て方
仔魚の餌
- 孵化して2,3日は餌を与える必要はない。泳ぎ出すようになってから与える。
極細の篩でこして、小さなミジンコを与える。与える量と回数は、一日に2,3回、一度に仔魚一匹当たりミジンコ4,5匹ぐらい与える。
選別
- 第一回目の選別は、孵化後2週間目ぐらいに行う。平均1cmぐらいに成長して尾鰭の形も明らかになる。体が曲がっていたり、尾鰭が鮒尾(オタマともいう)のものは淘汰する。大小別々に分ける。1m2当たり50~70尾入れる。
第二回目の選別は一回目終了後、2,3週間の間に行う。この頃になると、仔魚は2cmぐらいに成長し、鱗も目立ってくる。奇形のもの鮒尾のものを淘汰する。
成長度
ワキンの成長度は(全長)
5月 1.2cm
6 2.5
7 3.5
8 4.0
9 5.5
10 6.0
11 7.0
- その他の当才魚で、ランチュウは7,8cm、ジキンで6,7cm、オランダシシガシラで10cm内外、デメキンで7,8cmが普通。
第9章 金魚の病気
※治療法は古書なので自己責任で。
1,白点病
- 原因はイクチオフチリウス(略称イックIck)が寄生するため。水温15度ぐらいで1ヶ月以上寄生するが、30度ぐらいであると2,3日で宿主から離れる。
治療法は水温を25度以上に高め、1%ぐらいの食塩水にして、1週間ぐらい放置する。
1万倍の氷醋酸溶液中に1時間ぐらい入れて、これを毎日繰り返す。
硫酸キニーネを水1斗に対して0.16gの割合で使用する。
2,白雲病
- 原因はコスチァ、ギロドンが寄生するため。
予防治療法は白点病と同じ。
3,サイクロキータ病
- 治療法は患部を1.5%の食塩水か、千倍の昇汞水で拭く。又は白点病と同様に薬液に入れる。
4,水棲菌病
- 全身綿を着ているようになる。
治療法は患部に千分の一の過マンガン酸加里液、サルチール酸液、硼酸液硫酸銅液などを塗るか、2%食塩水か、10万倍の過マンガン酸加里液に1回約30分ぐらい、数回入れる。
5,ギロダクチラス病
- 白雲病の症状に似ている。
治療法は10万分の1の過マンガン酸加里液、0.25%サルチール液、0.05%過酸化水素、8千万分の1の醋酸液に、30分から1時間ぐらいを数回入れる。
6,鰓腐病
- 「鼻上げ」に似た現象を示す。
治療法は暖かい流水に入れるか、食塩水中に入れる。
7,立鱗病
- 松かさ病とも云う。伝染しない。
治療法は流水中に入れるか、1%の食塩水中に入れておくと治ることもある。
8,魚虱病
9,イカリムシ病
10,感冒病
11,気胞病
- 鰭や頭部に小さな気胞が無数にできたりする。
治療法はガス体は冷水に入れると収縮するから、水温を下げてやればよい。
-----メモ-----
1斗=18リットル
昇汞水=ショウコウスイ=塩化第二水銀の水溶液
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