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2008年12月30日 (火)

「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その8

第8章 金魚の繁殖法
 第1節 産卵の準備
  親魚

  • 最適なものは、雄は3,4才魚、雌は4,5才魚。
    産卵期の前から別々に飼育する。

  雌雄の区別

  • 雄の生殖孔は長楕円形で、雌はほとんど円形。
    産卵期になると、雄に「追星」がでる。

  産卵期

  • 最適水温は20度内外で、一産卵期中に3~5回ぐらい産卵する。次の産卵は10日後ぐらいである。

  産卵池

  • なるべく日当たりのよい場所を選び、水深は10~15cmぐらいにする。
    好天候が続きそうな日を見定めて、良く成熟した雌雄を入れる。

  魚巣

  • 金魚藻、梅花藻、川柳の根、棕櫚の皮などを浮くようにする。
    魚巣の数は一尾の雌に対して、金魚藻ならば20本ぐらいの束を2束、棕櫚の皮であれば3枚ぐらいが必要。

 第2節 採卵と孵化
  採卵

  • 雌雄の数は、雌一匹に対して、雄一匹か二匹入れる。産卵は殆ど日の出前から午前中に行われる。
    産卵する数は、10cmぐらいのものならば5千粒ぐらい産む。
    産卵後は雌雄を離して飼育する。

  孵化池

  • 水深は12cm内外として、日当たりの良い場所で、日覆を使用して水温を調節できるようにする。
    卵のついた魚巣は、平均に日光が当たるようによく広げる。

  孵化

  • 卵が孵化する温度は12度以上で、適温は17~28度、最もよい水温は19度か20度です。
    水温と孵化日数の関係は
     12.5度 14 日
     14.0  10
     19.0   5
      21.0   4
      24.0   3.5
      25.0   3
      27.0   2.5

 第3節 仔魚の育て方
  仔魚の餌

  • 孵化して2,3日は餌を与える必要はない。泳ぎ出すようになってから与える。
    極細の篩でこして、小さなミジンコを与える。与える量と回数は、一日に2,3回、一度に仔魚一匹当たりミジンコ4,5匹ぐらい与える。

  選別

  • 第一回目の選別は、孵化後2週間目ぐらいに行う。平均1cmぐらいに成長して尾鰭の形も明らかになる。体が曲がっていたり、尾鰭が鮒尾(オタマともいう)のものは淘汰する。大小別々に分ける。1m2当たり50~70尾入れる。

    第二回目の選別は一回目終了後、2,3週間の間に行う。この頃になると、仔魚は2cmぐらいに成長し、鱗も目立ってくる。奇形のもの鮒尾のものを淘汰する。

  成長度
   ワキンの成長度は(全長)
    5月 1.2cm
    6  2.5
    7  3.5
    8  4.0
    9  5.5
    10  6.0
    11  7.0

  • その他の当才魚で、ランチュウは7,8cm、ジキンで6,7cm、オランダシシガシラで10cm内外、デメキンで7,8cmが普通。

第9章 金魚の病気
 ※治療法は古書なので自己責任で。
 1,白点病

  • 原因はイクチオフチリウス(略称イックIck)が寄生するため。水温15度ぐらいで1ヶ月以上寄生するが、30度ぐらいであると2,3日で宿主から離れる。

    治療法は水温を25度以上に高め、1%ぐらいの食塩水にして、1週間ぐらい放置する。
    1万倍の氷醋酸溶液中に1時間ぐらい入れて、これを毎日繰り返す。
    硫酸キニーネを水1斗に対して0.16gの割合で使用する。

 2,白雲病

  • 原因はコスチァ、ギロドンが寄生するため。
    予防治療法は白点病と同じ。

 3,サイクロキータ病

  • 治療法は患部を1.5%の食塩水か、千倍の昇汞水で拭く。又は白点病と同様に薬液に入れる。

 4,水棲菌病

  • 全身綿を着ているようになる。
    治療法は患部に千分の一の過マンガン酸加里液、サルチール酸液、硼酸液硫酸銅液などを塗るか、2%食塩水か、10万倍の過マンガン酸加里液に1回約30分ぐらい、数回入れる。

 5,ギロダクチラス病

  • 白雲病の症状に似ている。
    治療法は10万分の1の過マンガン酸加里液、0.25%サルチール液、0.05%過酸化水素、8千万分の1の醋酸液に、30分から1時間ぐらいを数回入れる。

 6,鰓腐病

  • 「鼻上げ」に似た現象を示す。
    治療法は暖かい流水に入れるか、食塩水中に入れる。

 7,立鱗病

  • 松かさ病とも云う。伝染しない。
    治療法は流水中に入れるか、1%の食塩水中に入れておくと治ることもある。

 8,魚虱病
 9,イカリムシ病
 10,感冒病
 11,気胞病

  • 鰭や頭部に小さな気胞が無数にできたりする。
    治療法はガス体は冷水に入れると収縮するから、水温を下げてやればよい。

-----メモ-----
1斗=18リットル
昇汞水=ショウコウスイ=塩化第二水銀の水溶液

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