「金魚 観賞と飼い方」 石川貞二 昭和32年 その3
第2章 金魚の形態
第1節 外部の形態
- 分類学上、魚綱・硬骨魚目・鯉科に属する。学名をカラシウス・オーラタス・ver Carassius・auratus・varで前半は鮒の学名である。
尾鰭
- 鮒尾→ツマミ尾→三ツ尾→桜尾→四ツ尾→孔雀尾
臀鰭
- 臀鰭が1枚であるか2枚であるかは、尾が鮒尾であるか開き尾であるかということに関係している。
腹鰭
胸鰭
背鰭
- 背鰭の欠除性はまだ固定したものではなく完全に背鰭のない親から産まれた子供でも、半分近くも背鰭の跡が残っている。
眼
- 金魚のデメは生まれてから、1,2ヶ月以上立たないと飛び出てこない。
頭
- 一般に、魚の頭部には鱗がなく、皮膚でおおわれているが、ランチュウなどは皮膚が盛り上がってコブになる。
コブの位置によって、兜巾(ときん)、おかめ、獅子頭と呼ぶ。
鱗
- 鱗は皮膚の一部で、外側の表皮と内側の真皮に分かれる。表皮と真皮の間には色素細胞があり、真皮の裏側には光彩層がある。光彩層は光を反射する部分である。
光彩層のない鱗は透明で光を反射しないので、これを透明鱗といい、あるものを普通鱗という。
少ししかなかったり、網目状に分布するものを網透明鱗という。こらは松井博士が昭和2年、ワキンの純系分離を実験中に発見した。
普通鱗性と透明鱗性を掛け合わせると。混ざったものが出来て、これをモザイク透明鱗性という。網透明鱗のものはすべて、全体が網透明鱗で、モザイクのものはない。
- 全透明鱗性は次の3通りがある。
1,真皮の光彩層が全然無いもので、鱗も皮膚も透き通っているから、内臓部まで見える。
2,真皮の光彩層が部分的に存在するもので、場所のよって内部が見えたり見えなかったりするわけで、鰓蓋や紅彩の片方だけが透明だったりする。
3,光彩層が完全なもので、鱗がはっきり見えないだけで内部は透視できない。
- モザイク透明鱗の場合も次の3通りある。
1,透明鱗の部分の真皮は光彩層が全然ないもので、鱗がはっきり見える不透明部と、鱗があるかないかわからず内部まで透き通っている部分が混ざっている。
2,透明鱗の部分でも真皮の光彩層があったりなかったりするもので、普通鱗の部分と、鱗が透明で真皮が不透明の部分と、鱗も真皮も透明な部分との三つある。
従って第一と第二においては、鰓蓋や紅彩が透き通っていたり、腹部が透視できたりするする場合がある。
3,真皮の光彩層が全体に分布しているもので、体は全部不透明ですが、鱗の光った部分と鱗が透き通った部分がある。
体色
- 金魚は2ヶ月目ぐらいまでは鮒色をしているが、成長するに従い黒くなり、さらにはげて黒と黄の斑になり、次に全体が黄色になり、次第に赤味を増してくる。これを褪色現象という。
褪色現象とは、黒色細胞が失われて黄色細胞が増殖することにほかならない。
第2節 内部の構造 ※省略
鰓
浮袋
消化器・泌尿器
循環系
生殖器
第3章 金魚の生態と生理
第1節 金魚の成長
- いい場所で正しい管理をしてやれば、20年は生きており、大きさも30cmぐらいになる。
第2節 産卵・孵化
- 春、水温が12,3度以上20度ぐらいになると産卵する。産卵後4,5日すると孵化する。2日間ほどぶら下がった後餌を食べ始める。
第3節 外囲の影響
水温
生存できる温度は一般に0~30度。
松井博士が10度内外で飼っていたワキンを用いた実験では
- 急激に変化する場合
27度 一時狂奔するが徐々に平静となる。
28度 同上
29度 5~7分間狂奔して横泳するが内に平静となるものがある。
30度 2~3分間狂奔そて横泳し呼吸回数が多く且つ弱くなって20分間でへい死するものが多い。
31度 狂奔して5~6分位には呼吸停止。
32度 同上
33度 同上
- 徐々に変化する場合
27度 運動が旺盛になる。
28度 同上
29度 同上
30度 一時狂奔して横泳し数時間位にへい死するが平常水に入れると回復する。
31度 同上
32度 狂奔して20分以内には呼吸が停止する。平常水に入れても回復しない。
33度 数分間の狂奔で完全に呼吸が停止する。
光線
- 金魚は趨光性といって、光の強い方へ集まる性質があり、稚魚はこの傾向が強い。
塩分
- 海水の塩分は3.5%ですが、金魚は1.5%位なら充分耐えることが出来る。2%で5時間、3%で1時間半ぐらいで死亡する。
酸素と炭酸ガス
- 体重1kgにつき、1時間で消費する酸素の量は、5~6度で16.07cc、16度で50.90cc、22度で83.81ccである。
呼吸量は15度の時、呼出炭酸ガス45.54cc、吸収酸素47.22CCである。
金魚が窒息する酸素量は、大体水1リットル中0.4cm3が限界とされている。
水流
趨流性、背流性ともにある。
音
- Manning氏は、皮膚と側線では344Hz、内耳の通嚢では43~688Hz、省嚢と爪状体では1376~2752Hzの音を聞くことができることを明らかにした。
におい
- 鯰を用いた実験によって確認されている。
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