「淡水魚からのSOS 106」 森田員正 その4
26,オオクチバス(ブラックバス)
--無差別放流に反対--
スズキ目スズキ亜目サンフィッシュ科
- 三宅島の水源となっている大路池(タイロ)には1974年頃に突然現れた。
芦ノ湖に移植されたのが1924年頃で40年たって、相模湖、津久井湖をはじめ釣れだした。
1976年になると琵琶湖をはじめ、翌年には東条湖、生野銀山湖と広がる。
27,オヤニラミ
--淡水魚(※淡水?)にすむスズキの仲間--
スズキ目スズキ亜目スズキ科オヤニラミ属
- 鰓蓋後方には、目と色や大きさの似た丸い紋があって、ヨツメと呼ぶのは兵庫、広島など。
海のメバルに似ているのでカワメバルとも呼ばれる。
親不孝者の意味もある。訛ってネラミなどともいうが、少し変わったミツクリという名もある。
これは、卵に新鮮な水を送るから水繰り、の意ではないかといわれている。
28,カジカ
--子供の遊び相手だった--
スズキ目カジカ亜目カジカ科同属
- 釣具店ではカジカの卵を干乾して売っていた。渓流魚の餌として水で戻して用いる。
カジカは河鹿、鹿の肉は旨いものの代名詞。河で旨いのが河鹿。
実際カジカと言っても数種有り、ウツセミカジカなども単にカジカである。北海道にはハナカジカ、カンキョウカジカなどがいる。
29,カゼトゲタナゴとスイゲンゼニタナゴ
--生息地限定の両種--
コイ目コイ亜目コイ科タナゴ亜科バラタナゴ属
- カゼトゲタナゴは北九州にだけ見られる。青色帯はオスの方が長く、その先端は尖っている。
生息地が限られるだけに、水質の汚染悪化が心配される。柳川ではニホンバラタナゴと共に、ニガブナと呼んでいる。
岡山県吉井川水系にだけ見られるのが、同属のスイゲンゼニタナゴで、1965年に報告された。カゼトゲタナゴによく似ているが、青色帯が太く、体高が高いことなどで別種とされたが、体高は個体による差違がある。
30,カダヤシ
--メダカに似るが卵胎生--
メダカ目メダカ亜目カダヤシ科カダヤシ属
- 1916年頃に台湾から運ばれたとの記録がある。
もともとはマラリア蚊の幼虫を退治するのを目的に北米東南部から広がった。
環境次第では年6回も産卵し、1回に150尾位の子魚を産む。
英名モスキット(※モスキート)・フィッシュ
タップ・ミンノー(※ミノー)は別の魚。
31,カネヒラ
--本邦最大のタナゴ--
コイ目コイ亜目コイ科タナゴ亜科タナゴ属
- 15cmに達するものも見られる。自然分布は琵琶湖淀川水系より西の本州と九州の一部。
1979年に釣友が釣り上げ話題になった。前年に中村守純博士が霞ヶ浦に注ぐ一ノ瀬川で釣られたものを飼育し確認している。
霞ヶ浦では琵琶湖水系のセタシジミの養殖を1970年から始めた。カネヒラはタテボシと呼ばれる貝に産卵する場合が多く、この貝がセタシジミに混じっていたと考えられる。
32,カマキリ(アユカケ)
--利根川下流の汚染が打撃--
スズキ目カジカ亜目カジカ科カジカ属
- 稚魚期に一時海に入り、大型で30cm近くになる。
釣宿の主人に見せると「アユカケは夫婦仲がよく、いつも2尾でいる」との話。
九頭竜川ではアラレガコと呼び、霰(アラレ)の降る頃に腹を上にして河を降る。
背に寄った棘の1本は強大で鉤状、これでアユを掛けると想像されアユカケ、鎌の如く鋭いのでカマキリ。高知ではセガマ(背鎌)という。
33,カマツカ
--減少の理由は?--
コイ目コイ亜目コイ科コイ亜科カマツカ属
- 開発治水などで砂が多くなった。カマツカは砂地が大好き。
砂を掘り頭の型から大阪ではカワスキ(川鋤)といい、姿が海のキスに似ているのでカワギスと呼ばれる。
川に砂が多くなったが、年々その姿が見えなくなったのは原因不明。
34,カラフトマス
--鼻曲りならぬ背張り--
ニシン目サケ亜目サケ科同属
- 産卵のため川を遡るオスの背が張り出しているのでセッパリマスとかラクダ(駱駝)と呼ばれる。またホンマスとも呼ばれる。
北米やカナダではピンクサーモンと呼ばれ、多くは缶詰にされるが、未成魚は都会の魚屋でアオマスの名が用いられる。
豊魚年は西暦の奇数年次、偶数年次は1/4の凶漁となる。
35,カワアナゴとドンコ
--ナワバリを荒すのは誰--
スズキ目ハゼ亜目カワアナゴ科同属
- カワアナゴは太平洋側に多く、上流まで遡るが汽水域にもいる。
ドンコは純淡水にいて泥底を好み天竜川以西にいる。
« 「淡水魚からのSOS 106」 森田員正 その3 | トップページ | 「淡水魚からのSOS 106」 森田員正 その5 »
« 「淡水魚からのSOS 106」 森田員正 その3 | トップページ | 「淡水魚からのSOS 106」 森田員正 その5 »
コメント