「淡水魚からのSOS 106」 森田員正 その6
46,クサフグ
--面白い産卵行動--
フグ目フグ亜目フグ科同属
- 5月から8月の新月か満月の前後5日間の間に大群で産卵する。千葉小湊ではアゲシオフグと呼んでいる。
47,クロホシマンジュウダイ
--本種にも生息--
スズキ目チョウチョウウオ亜目クロホシマンジュウダイ科同属
- 1970年以前、四万十川では繁殖もしていることが判っている。
観賞魚の愛好家の間では一般にスキャット・ファガス(※ファーガス)と呼ばれている。
48,ゲンゴロウブナ
--ヘラブナの放流について--
コイ目コイ亜目コイ科フナ属
- 琵琶湖特産でヘラブナは本種を人工増養殖したもの。
49,コイ
--十字軍とドイツゴイ--
コイ目コイ亜目コイ科コイ属
- 野生型で細身のノゴイとズングリとした飼育型のヤマトゴイがいる。この他に外来種のドイツゴイも見られ、鱗が大きいカガミゴイと鱗のほとんどないカワ(革)ゴイの2型がある。
コイをヨーロッパに伝えたのは十字軍で、当時教徒は金曜日に肉が食べられず魚を食べ、これを持ち帰った。
50,サクラマスとヤマメ
--川に残るのはオス--
ニシン目サケ亜目サケ科同属
- 昔は陸封されたヤマメはほとんどオスであった。栃木県では今でもヤマメといわずヤモメと呼んでいる。
51,サケ
--豊平川に帰ったサケ--
ニシン目サケ亜目サケ科同属
- 1981年秋、豊平川に戻ったサケの様子をテレビが伝えた。実は2年前にも戻った記録はあった。
52,サヨリ
--卵胎生もある--
ダツ目トビウオ亜目サヨリ科同属
- 茨城県涸沼(ヒヌマ)あたりでは産卵期のサヨリは吻が赤く鮮やかなのでベニサシと呼んでいた。
観賞魚として売られているデルモゲニーは卵胎生であるが、石垣島の宮良川に普通に見られるコモチサヨリも卵胎生である。
53,シシャモ
--神のくれた魚--
ニシン目サケ亜目キュウリウオ科シシャモ属
- アイヌ語のススハム(柳葉)の転で柳葉魚と書く。
54,シマドジョウ
--清流が好き--
コイ目コイ亜目コイ科ドジョウ亜科シマドジョウ属
- 清い流れの砂礫を好むオイカワなどと同じ水域にいる。
外国人に人気があり観賞魚として輸出されている。
近似種のスジシマドジョウ、タイリクシマドジョウ、1970年になって新種のイシドジョウが記録された。
山口県でイシドジョウは発表されて当時、6カ所の生息地があったが、現在は1カ所のみとなった。
55,シラウオ
--現在も徳川家に献上--
ニシン目サケ亜目シラウオ科同属
- 墨田川にも昔はシラウオが沢山獲れた。徳川家と共に三河から来た、との伝説もあり、佃島の漁師はシラウオによって保護され特権を持っていた。
今は霞ヶ浦のシラウオを献上している。
56,シロウオ
--シラウオと間違い易い--
スズキ目ハゼ亜目ハゼ科シロウオ属
- 熊本ではシロウオのことをシラウオ、和歌山では反対で、この辺りにも混乱する原因がある。
シロウオ料理は福岡の室見川では名物である。
シラウオは白魚で、シロウオの方は素魚と書くらしい。
57,ジンダイドジョウ
--三重県の天然記念物--
コイ目コイ亜目コイ科ドジョウ亜科同属
- 淡水魚保護協会の機関誌「淡水魚」4号に武田恵三氏が報告している。
湿田だけに見られ、細長く目が鋭い。大きなものは30cmにもなるが、近年は絶滅に近い状態。1971年に県の天然記念物に指定された。
名の由来は明治の初め頃、疫病が流行した折り煎じて呑むと治った。こらは神が身代わりになったとして神代ドジョウと呼ばれるようになった。
58、スゴモロコとデメモロコ
--似ているが別種--
コイ目コイ亜目コイ科モロコ亜科スゴモロコ属
- デメモロコは背鰭あたりがやや盛り上がっており、扁平な感じを受けるので琵琶湖ではヒラスゴと呼んでいる。
産卵期は半月の差があり、産卵時間はスゴモロコは夜、デメモロコは日中の快晴でないと産卵しないと言われている。
59,スズキ
--河口堰にはばまれて--
スズキ目スズキ亜目スズキ科同属
- 渡良瀬川の上流でも釣れたので、河口から100キロあるのではないか。しかし利根川河口に堰ができたため遡らなくなった。
60,ゼニタナゴ
--関東特産種--
コイ目コイ亜目コイ科タナゴ亜科ゼニタナゴ属
- 1975年11月、利根川下流域南岸で開催されたフナ釣大会で、7.5cmのメスと9.5cmのオスが釣れた。
その後1980年に利根川の対岸、翌年に霞ヶ浦の西浦湖岸でも釣れた。
現在バラタナゴ類をオカメと呼んでいるが、元来オカメとかオタフクと呼ばれたのはゼニタナゴであった。激減したためバラタナゴ類に移行した。
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