「淡水魚からのSOS 106」 森田員正 その3
11,イタセンパラ
--守った人たち--
コイ目コイ亜目コイ科タナゴ亜科同属
- 昔は「ビワタナゴ」の標準和名を用いられたこともあった。
1974年にミヤコタナゴとともに天然記念物となった。
兵庫県伊丹市にある今池(人工池であった))では1969年に生息が確認されたが、その翌年に埋め立てられ消滅した。公立図書館が建っている。
12,イチモンジタナゴ
--(付)タナゴの語源--
コイ目コイ亜目コイ科タナゴ亜科同属
- 琵琶湖周辺においては、タナゴ類をボテ、と呼びタナゴという呼び名は関東独特と思うのは間違いで、元来は京都方面でタナゴと呼ばれており、それが関東に伝わったもので訛って「タノゴ」(長野)、「タンゴ」(千葉)と呼んだりする。
現在、京都地方の呼び名はタビラ、だがこれは古語転属詞のタビラコ、の略で、掌魚の字に見られるように、テノヒラゴ→テビラコ→タビラコ→タビラ、と変化してきたもののようだ。
タナゴもタビラコの転だし、掌の字はタナゴコロ、とも読むので頭の三文字を捕ってとなり、タ=手、ナ=の、ゴ=魚と説明される語源説と同じである。
13,イトウ
--成長おそい巨大魚--
ニシン目サケ亜目サケ科イトウ属
- シベリアのアムールイトウ(タイメン)、鴨緑江のコウライイトウ、揚子江には現地で「虎魚」と書くイトウ、と日本のイトウを併せてアジアには四種のイトウが生息しており、もう一種がヨーロッパのダニューブイトウ(ニシイトウ)である。
北海道教育大釧路分校の山代昭三戦線の観察によると、「満1年で10センチ以下、2年15センチ、5年32センチ、8年50センチ、10年63センチとなり、1メートルになるには15年かかると見ている・・・・・」
14,イトモロコ
--相模川で見つかった--
コイ目コイ亜目コイ科モロコ亜目(亜科?)スゴモロコ属
- 中村守純博士が「淡水魚」4号に報告。
本種に限らずモロコ類は関東にいなかったが、タモロコを中心に近年は繁殖している。
一時はイトタナゴの標準和名を用いられたこともあった。
15,イトヨ
--巣をつくる年魚--
トゲウオ目トゲウオ科イトヨ属
- 背中に鋭い棘を持っているのでトゲウオと呼ばれる。棘が普通3本のものがイトヨ属、9~10本がトミヨ属である。
イトヨは降海性であるが、内陸部に陸封されたものもあり、福島、栃木、福井の各県では天然記念物に指定、保護されている。
北海道の漁師は「イトヨ(現地名・ハリサバ)がやってきたから、ニシン漁は終わりだ」というようにその頃接岸し、川を遡る。
16,イワトコナマズとビワコオオナマズ
--琵琶湖特産のナマズたち--
コイ目ナマズ亜目ナマズ科同属
- 琵琶湖には3種のナマズがおり、学術的に認められたのは1961年。
何故琵琶湖にだけ3種のナマズがいるのだろうか?
この点については2種の登録者である京都大学の友田淑郎博士は著書「琵琶湖とナマズ」の中に詳しく述べている。
17,イワナ
--深山幽谷の主といわれ--
ニシン目サケ亜目サケ科イワナ属
- 体紋によってカメクラ型、ナガレモン型、ムシクイ型、ムハン型がある。
島根、鳥取のイワナをゴギ、奈良のイワナをキリクチといい別亜種として扱う。
更にニッコウイワナとヤマトイワナに分ける場合があり、更に北海道にはアメマスの陸封型としてエゾイワナとオショロコマ(カラフトイワナ)が生息する。オショロコマの陸封型で然別湖のものをミヤベイワナと呼ぶ場合がある。
18,イワメ
--天然淡水の稀魚--
ニシン目サケ亜目サケ科同属
- かつて北海道においてはヤマメとアメマスの交雑種がイワメの俗称で呼ばれた。
標準和名として中村・木村両氏によって1961年新種として報告された。
大分県大野川支流で初めて捕獲され、地元での呼び名をそのまま和名とした。
19,ウキゴリ
--金沢でゴリの一種--
スズキ目ハゼ亜目ハゼ科ウキゴリ属
- 石川で単にゴリと呼ばれるのはドンコ(カワアナゴ科)が一般的だが、和倉ではマハゼのことでカジカをゴリという。
ウキゴリは石川ではシマゴリともいう。
他地方でゴリと呼ばれる魚を見ると、黒っぽい体色をした小魚が多く、関東などで、チチブを主とした小型ハゼをゴロ、と呼ぶのと同じでその語源はクロ(黒)のようである。
石川県での強引な漁法から「ゴリ押し」というそうだ。
20,ウグイ
--信州千曲川のアカウオ--
コイ目コイ亜目コイ科コイ亜科ウグイ属
- 関東では一般にハヤと呼ばれ、方言の多い魚として知られている。
産卵期の4~5月になると河川に人工的産卵床を備え、一網打尽にする。この漁場を「ツケバ」と呼んでいる。
戸倉温泉ではアユの時期以外は名物アカウオとして必ず膳につける。
21,ウナギ
--庶民のウナギ--
ウナギ目ウナギ亜目ウナギ科同属
- 「ウナギの荷鞍」、「ウナギは滑っても一代」の説明。
川柳での使用例を紹介
22,ウロハゼ
--皇太子もご研究のハゼ--
スズキ目ハゼ亜目ハゼ科ウロハゼ属
マハゼに似た汽水魚だが、純淡水域には入らない。
これとよく似たフタゴハゼが沖縄にいて、現皇太子殿下(※此の当時)が別種とした。
23,エゾウグイとウケクチウグイ
--吻に特徴ある地方種--
コイ目コイ亜目コイ科ウグイ属
- 北上川ではフェザと日本語らしからぬ呼び方をするが、フエザッコの略称で、上吻が長く横笛を吹くときの唇の格好に似ているからである。
酸性度の元々強いのが只見川でこの水域には下唇が突き出ているのでウケクチウグイと命名された種がいる。
24,オイカワ
--東西で異なる大きさ--
コイ目コイ亜目コイ科コイ亜科オイカワ属
- ヤマベのことで、オイカワというのは琵琶湖周辺などで特にオスを指す一地方名にすぎなかった。関西では一般にハエと呼ぶ。
釣り競技会の方法も異なり、関東では総重量、関西では2尾の長さの合計で成績を決める。
関西では17センチ以上を狙うが、関東では18センチ以上は稀で16センチ級を釣るのも容易ではない。
25,オオウナギ
--魚に大切なヌメリ--
ウナギ目ウナギ亜目ウナギ科同属
- 体色が褐色で斑紋があるのでアカウナギ、また甲殻類を好んで喰いカニクイなどの別名もある。
難しい話は抜きにして海水と淡水の間を自由に往来できるのもヌメリのお陰で、もしヌメリがなかったら障害物で傷だらけになるだろうし、細菌にも犯され病気にとなる。
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