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2008年9月 2日 (火)

「金魚の飼い方 附・熱帯魚」 木村四郎 その2

本文
金魚編
 第1節 金魚という名前の起源
  中国の文献では次のような字が用いられている。

  • 黄(虫鼠)魚、(虫鼠)魚、金鱗、赤鱗、盆魚、火魚、錦鱗、丹魚、銀魚、金魚
    ※()内は一文字だが虫編にねずみのような文字でよくわからない。

    日本では大体金魚という字を用いるが、錦魚、銀魚、珊瑚珠魚(さんごじゅ)、玳瑁魚(たいまい)との文献もある。さんごとたいまい(べっこう)は美しく、珍奇で高価であったことからと思われる。

 第2節 金魚はいつ頃日本へ来たか
  金魚愛玩録の文亀2年と大和本草の元和2年、説がある。

  •  欧州方面へは1600から1700年頃と言われている。またアメリカへ渡ったのは1878年頃アンメンという将軍が持っていったのが始めてらしい。

 第3節 金魚の流行史

  • 徳川2代将軍秀忠の時代に盛んに輸入され、上層階級の愛玩物になり、一般民衆へも普及していった。

    元禄7年の町触れで金魚を取り上げ相州(神奈川)藤沢の遊行寺に放した受難時代があった。

    明治維新に再度一般にこの趣味が普及し、この時代「らんちゅう」などは現代のような形になり、明治18年には観魚会の第1回品評会が開かれている。

    地錦(孔雀)は尾張藩士の間で流行し明治8年には六地蔵尊の境内で品評会が開かれた。

    第2次大戦と昭和22年の関東を襲った大水害で再度受難期があった。

    昭和25年ごろから急速に復活し、昭和32年においては70%位の復活の状態である。

 第4節 金魚に関する文献
  江戸時代の文献が13冊、中国の文献が4冊、紹介されている。

 第5節 金魚飼育の現況

  • 昭和9,13、25~30年の農林省統計で養殖面積(色鯉を含む)と収穫量を掲載。

 第6節 金魚の形態
  魚網 - 硬骨魚類 - 骨鰾類 - 鯉科
  金魚の外形

  • 頭部として、ししがしら、ときん(兜巾)、おかめ、の説明
    口、眼、胴部・鱗、鰭、消化器、呼吸器、心臓、鰾(うきぶくろ事)、運動について解説。

 第7節 金魚の種類

  • わきん(和金)
    りゅうきん(琉金、琉錦) 鮒尾の長いものは「ふきながし」と呼ぶ。

    でめきん(出目金) 明治28年に渡来、支那金とも呼ぶ。
    くろでめきん(黒出目金)、あかでめきん(赤出目金)、キャリコ出目金

    ちょうてんがん(頂天眼) はじめは出目金のように横を向くが育つにつれ上を向く。他に「でめらんちゅう」、「でめしゅうきん」などがある。

    らんちゅう(卵螽、金(魚壽)、蘭(魚壽)) ※魚編に壽で一文字
    おおさからんちゅう(大阪らんちゅう) 頭部に肉瘤がない。

    なんきん(南京) 出雲地方で飼育される。
    オランダししがしら(和蘭獅子頭) 相当に古くから渡来。

    ぢきん(地錦) 別名を孔雀地金魚、地王(じおう)、しゃち、名古屋金魚、六鱗、愛金(あいきん)。東京に移入された頃「孔雀」と命名。
    「愛錦」は昭和3年の三河金魚競泳会の折りに愛知県特産という意味で命名され、「地王」は愛錦家、牧田屋孫兵衛が十王堂の付近に居住していたからと言われている。

    とさきん(土佐金)
    つがるにしき(津軽錦) 完全褪色するのに2~3年要する。歴史がある。
    しゅうきん(秋金) 「らんちゅう」と「オランダししがしら」の交配淘汰。

    やまがたきんぎょ(山形金魚) 「りゅうきん」の「吹き流し」の退化型とも見られる。
    しゅぶんきん(朱文金) 「三色出目金」と「わきん」との交配。

    キャリコ 「三色出目金」と「りゅうきん」との交配で先代の秋山吉五郎が作った。
    あずまにしき(東錦) 一名「キャリコオランダししがしら」で「三色出目金」と「おらんだししがしら」との交配。

    ひろにしき(弘錦) 「つがるにしき」と「らんちゅう」との交配。
    わとうない(和唐内) 「わきん」と「りゅうきん」の交配。別名「わりゅう(和琉)」
    きんらんし(金蘭子) 「わきん」と「らんちゅう」の交配で和金の背びれがないもの。

    てつおなが(鉄尾長) 「りゅうきん」と同じだが色が変わらない。
    てつぎょ(鉄魚)野生の金魚と言われている。「りゅうきん」と「ふな」で雑種を作ると「てつぎょ」と同様のものが出来る。

    コメット
    ひぶな(緋鮒)鮒尾の和金。自然産のものがある。

 第8節 金魚の習性

  • 要約して言うならば「金魚は温暖な溜り水を好む雑食性の淡水魚である」

  金魚の生長
   理想に近い飼育で1年で
    らんちゅう       7~8糎(※cm)
    りゅうきん       7糎前後
    わきん         10糎前後
    でめきん        6糎前後
    おらんだししがしら 8~9糎

   最も大きな記録として
    おらんだししがしら 6年生 32糎
    りゅうきん      5年生 29糎
    らんちゅう      4年生 13糎
    じきん         5年生 18糎

  金魚の寿命

  • わきん 普通7、8年で大体10年位、条件が適当であれば20年以上
    らんちゅう 精々6、7年。昔は17、18年から20年も生きた
    おらんだししがしら 奈良県下で22年、東京で25年の記録がある。

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