「金魚の飼い方・ふやし方」 新井邦夫 その5
本文つづき
第7章 らんちゅう飼育四季の手引き
1月
- 暖かい日には覆いをとり、日光浴をさせる。
2,3月
- 少量の給餌は活餌か消化のいい人工餌料。
2月、3月の始めは差し水程度で、完全な水換えは3月中は2,3回に止めたい。
雌雄を分ける。
4,5月
- 雌魚は体腹を増し、雄魚には追星がはっきり現れる。
産卵は5月2日(八十八夜)を前後する頃。ミジンコの用意をする。
卵は紫外線を避けるため1,2日池に覆いをして保護する。
6月
- 稚魚は親指大か、ウズラの卵大に成長している。
選別は少なくとも3,4回終わっていなければならない。
入梅中は水換えを行わない。又雨水の流入を防ぐ。
6月下の入梅明けごろまでに、1坪当たり2,30尾までにする。
7,8月
- このころに褪色が始まる。
月に4,5回の水換えをする。
夕方から夜は、覆いをはずし風を当て水温を下げる。
9,10月
- 9月の終わり頃には雌雄の差がではじめる。
10月には品評会が行われる。
11月
- 11月の終わりには、今年最後の池替えして冬囲いの準備に入る。
12月
- 不用意に魚を掬ったり驚かしたりしない。
第8章 らんちゅう品評会とその鑑賞
- 大会及び審査規定を記述
肉瘤、背成り、尾の良否、鱗の並び、静止地の姿勢、泳ぎ方、丸手と長尾についての解説。
第9章 副業及び専業としての金魚飼育
イ,金魚生産県の歴史
- 東京(江戸川区)、奈良(郡山)は武士の遊びごとが、士農工商の廃しに伴い専業化していき、愛知(弥富)は奈良の成功に刺激を受け基礎を築いた。
ロ,金魚の養殖池の選定とその経営
- 将来の消費地を考える。
水利の便について不覚をとらないように。
地盤の確かなところ。
コンクリート池は坪当たり5,6千円、板張池は3千円
ハ,親魚の購入について
- 生産県から系統の良い親魚を購入する。
大衆的な魚種にする
購入親魚の価格は1尾300円乃至500円ぐらい
ニ,養殖場の運営は人である
- 1,000坪位は家庭労働によって行われている。
養殖はやり直しがきかないので、よき協力者の傭入れが大切。
ホ,金魚の販路について
- 輸送方法、運賃の関係で輸出は伸び悩んでいる。
国内市場順調な歩みを続けている。
ヘ,養魚場の収入支出
- 埼玉県水産試験場の金魚養成試験の資料を掲載
いろいな試算を掲載 - 少なくとも500坪乃至1000坪の池を獲得する必要がある。
ト,資金調達について
チ,金魚の小売について
- 金魚の飼い方を知らない小売人では、2,3年目からでないと、十分な利益は挙がらない。
普通金魚の仕入れ価格の倍以上の小売り価格にしている。
第10章 金魚問答
- かつて私は一冊の単行本をまとめたが、出版そのものは誠意のない本やに会い誤字、脱字が多く、改訂版すら行わない不満足のものであった。
ここでは最初の出版時に寄せられた質問を掲げる。
附 中国における金魚雑観 渡辺宗重
1,形態の変異
外形(体躯)
狭長と短円(たんえん)
頭部
- 高頭、虎頭(ことう)、鵝頭(がとう)、獅子頭、蛤蟆頭(はまとう)、鼠頭(そとう)
眼部
- 竜晴=普通眼
水泡眼
灯泡眼(とうほう)=出目の眼球の先に、透明な角膜が発達突出している
朝天眼=頂天眼
葡萄眼=出目の眼球の部が葡萄のように黒いもの
(石朱)砂眼(しゅしゃ)=目の左右ともに赤いもの
えんおう眼=目の一方が赤く、一方が白いもの
鰓蓋
縁が反転しているものを反鰓(はんすう)と呼ぶ
鼻膜
- 鼻孔内の襞が発達して、鼻孔外にふさふさと出ているものを絨球(しゅうきゅう)と呼ぶ。日本では絶滅したといわれる「はなぶさ」に当たる。
鱗片
透明鱗、網透明鱗の他に珍珠鱗(ちんじゅ)がある。
2,色彩の変異
3,金魚の分類
分種 普通形の全部含めているようだ
竜種 竜晴、朝天眼の種類
蛋種 体躯短円で背鰭を欠く種
あとがき
- ・・・・・つとめて図版や写真を豊富に取り揃え、目次の配列や内容の表現についても、充分意を尽くしたつもりでありますが・・・・・
-----メモ-----
蟆=バ、マ、バク、ひき、ひきがえる
絨=ジュウ
蛋=タン、たまご
これでこの本の紹介は終了。
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