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2008年9月

2008年9月30日 (火)

「グッピーへの招待」 和泉克雄 その3

第2章 飼い方の要点
 第1節 水槽

  • グッピーは卵胎生魚の中でも、リミア、モーリの属とともに最も活発に泳ぐ。
    大型1ペアには40リットルの水槽が必要(45*30*30)

 第2節 水質

  • 生きている水にへんな匂いがしないように、生きていて何の故障もない魚には、何の匂いもない。水槽に顔を寄せて、水を嗅ぎ、少しでもへんな匂いがすれば、それは匂いによる危険信号で、その源を探らなければならない。・・・・・・・

    <水の状態>で、水はいつも若々しく澄んでいて、老いてにごったことを許さぬ、ということが、グッピーのための水、ということになる。

 第3節 水草

  • ウォータースプライトがグッピーの水草としてなぜ最上かの理由を9つ挙げている。

 第4節 水温

  • 私は22~24度を適温としている。グッピーは低温に強く、高温にもろいので、元気良く活動し、餌をむさぼるようにして食べ、故障無く育って行けば、いいわけである。   

 第5節 酸素

  • 体は小さくとも、非常に活動的なグッピーの美と健康を保つには、水中の酸素はいつも豊富でなければならない。
    送気がとぼしいか、全く送気がない水槽では、稚魚の育ちはとまり、幼態のままでおとなになってしまい、奇形、早死、虚弱体が多くなり、非活動的となり、きわめて陰気な姿となる。世にも哀れな地獄の天使達を見なければならない。

 第6節 濾過装置

  • フィルターの必要性、濾過細菌の要点を広崎芳次理博の「水中生物の飼育法」から紹介。
    どんなフィルターを用いても、グッピーの場合では1カ月以内に水の全部を取り替える。

 第7節 光線
 第8節 餌
 第9節 砂

  • グッピーは寝るとき、砂の上に座りこむようにして、静止するので、そこに、何か安定性のあるものを求めるようになり、それらが、全くないよりは、あった方が、はるかに良いことになる。

 第10節 病気
   病名、症状、処置法を解説。

 第11節 害敵
 第12節 共棲できる魚

  • 同じ大きさの魚と共棲させても支障がないが、稚魚の安全は保証されないし、餌を食べる場合に、先に食べられてしまうおそれがある。

    グッピーが安心して共棲出来るのはコリドラスだけである。この魚は何時も底にいて、昼間余り動かないので、グッピーの邪魔にならないばかりでなく、食べ残した物を掃除してくれる。加えて24~25度の水温を最も好み、古い水を嫌うという、グッピーと共通した趣味の持ち主である。

    共棲で困ることは、砂をほじって水草を浮かすのと、強い塩分に弱いことである。

2008年9月29日 (月)

「グッピーへの招待」 和泉克雄 その2

カバー表紙
 デルタテール・オブ・フォンテーヌの群泳 カラー写真
カバー裏表紙
 パープルリング・オブ・マキファンテール

序文

  •  虹か宝石のような美しい色彩のグッピー。・・・・・
    これから熱帯魚を志す人、正にグッピーならでは夜も日も明けぬ人には至上最良の指導書であると共に、業界人もグッピーを含めた全観賞魚を再認識する意味で是非、おすすめしたい。・・・・・

         1967.6  木村 重

口絵
 グッピーの種類 カラー写真

  • デルタテール・オブ・フォンテーヌ、パンジー・オブ・フォンテーヌ、フラミンゴ・グッピー、パープルリング・オブ・マキ(最近輸入されたアメリカのファンシー・グッピー)、グリーン・タキシード・グッピー、アルビノ・グッピー、ソードテール・グッピー、ダブルソードテール・グッピー、ポピィ・オブ・フォンテーヌ

 白黒写真

  • デルタグッピー、旭光学工業社長室の飼育槽、著者のグッピー飼育室、飼育に必要な器具、健康なグッピーのペア、グッピーの稚魚、グッピーと共棲出来る魚(コリドラス達)

本文
第1章 グッピーへの誘い
 第1節 はじめに

  • グッピーは楽しい魚である。・・・・・全ての熱帯魚のなかでも最も素朴でありながら、最も華麗であり、これ以上に興味深い魚もいない。
    ・・・・・いきなり高価な改良品種より、手軽く買える普通種からはじめる方がいい。これはグッピーに限ったことではなく、飼育・栽培の原則である。
    ・・・・・
    「グッピーへの招待」という題名は、ソ連の生物学者ツインゲル著「動物学への招待」からヒントを得た。

 第2節 グッピーの歴史

  • グッピーの発見者や学名の変遷、欧米での改良の歴史、日本での普及について

 第3節 グッピーの魅力

  • グッピーは楽しい魚であるが、本当のことを言うと、やさしくてむずかしい魚とも言える。
    ・・・・・
    グッピーの魅力は、その本来の生活力の旺盛さを信頼して、最もラフな飼い方が、最も楽しかった時期と、その時期を過ぎて、どうしたら美を奪回できるか、或いはどうしたらさらに美しいものがえられるか、と言う時期へ進入して行く。・・・・・
    ・・・・・
    終わりがないと言うことは非常に楽しいことで、グッピーの魅力はそこにつきる。

 第4節 さまざまな形

  • イラストで種に尾びれ、背びれの違いによる各品種の解説。
    ヴェールテールとファンテールの違いについて解説

    ヴェールテールは尾びれが非常に長くのび、色とりどりの紋様が多く、アメリカ系にすばらしいのがいる。
    ファンテールは扇のように開いた形で、尾びれの赤系等が多く、ドイツ系ににすばらしいのがいる。

    著者が作出したデルタテールは尾びれが三角形になり、ファンテールから改良したものである。

 第5節 品種

  • 品種として流布するには80%の子が出る確定性がなければならない。
    現在の日本のグッピー界で確実な品種と言えるものは、フラミンゴグッピー、タイガーグッピー、デルタテールグッピーの3種ぐらいだろう。

    タイガーグッピーはヴェールテールグッピーとゴールデングッピーの交配から生まれたと言われている。

 第6節 日本とアメリカの違い

  • 戦後のアメリカはポール・ハーネル、フランク・アルガー、ウイリアム・スタンカ、ローランド・ウェンク、ウォルター・ケリイ等により素晴らしいグッピーが作出された。

    我が国が品種を生み出せない理由は、売ることのみ専念するためと思われる。
    けれども日本のグッピーの世界にも、やがてさまざまな品種が花開く時代がくることは間違いない。

2008年9月26日 (金)

「グッピーへの招待」 和泉克雄 緑書房 昭和42年

「グッピーへの招待」 和泉克雄 緑書房 昭和42年9月25日 A5版 220ページ 定価700円

 本書はグッピー専門書として日本で始めて出版された本で、著者である和泉克雄氏はその第一人者であった。

 同氏は詩人でもあるため文体は一部独特であり、また「こだわり」をもって書いているので同業者に対し痛烈な言葉も時々でる。このことは「グッピー百科」のあとがきにおいて氏自身も述べていることである。

 この本の出版後同氏は、代表的なグッピーの本として、昭和45年に「グッピー交配の秘密」(緑書房)、昭和47年には「グッピー百科」(西東社)を著している。

 出版社である緑書房は観賞魚専門雑誌「フィッシュマガジン」を昭和40年から出版しており、熱帯魚界では古くから多くの関連本を出している出版社である。

 なお、古書界において昭和40年代の同氏の本は高価である。

 また氏は魚に関しては卵生目高やグッピー以外の卵胎生にも精通しており、「熱帯メダカ族入門」(東京書店)1985 は結構楽しめる本である。

 もう一つ氏の得意分野は水草である。今でこそアクアデザインアマノ(ADA)の天野尚氏が熱帯魚界の新境地として水草によるレイアウトに着目し広く普及したが、それ以前の水草本の出版物としてはヤマサキ水草園の山崎美津夫氏の「水草の世界」(緑書房)1978と和泉克雄氏の「水草のすべて」(緑書房)1968だけであった。

 実はもう一冊「水草園芸」 近藤龍雄 加島書店 昭和38年と言う本がありますが、熱帯魚分野ではなく園芸分野の本でした。もちろん熱帯魚用の水草も載っています。

 本書の構成の特徴は、前に述べた「こだわり」の現れだろうか、一つの章を6節と12節でまとめている。

【構成】
 ※本書では「章」はローマ数字、「節」は単にアラビア数字

表紙

序文
目次
 第1章 グッピーへの誘い
  第1節 はじめに
  第2節 グッピーの歴史
  第3節 グッピーの魅力
  第4節 さまざまな形
  第5節 品種
  第6節 日本とアメリカの違い

 第2章 飼い方の要点
  第1節 水槽
  第2節 水質
  第3節 水草
  第4節 水温
  第5節 酸素
  第6節 ろ過装置(ろはさんずいに戸)
  第7節 光線
  第8節 餌
  第9節 砂
  第10節 病気
  第11節 害敵
  第12節 共棲できる魚

 第3章 すばらしいグッピーの作り方
  第1節 すばらしいグッピーとは
  第2節 すばらしいグッピーを作るには
  第3節 改良種と純粋種
  第4節 純粋種の見分け方
  第5節 選別と除去
  第6節 処女雌
  第7節 純粋種の設定
  第8節 純粋種と品種改良
  第9節 色彩について
  第10節 劣性斑点
  第11節 出産についての注意
  第12節 すばらしいグッピー論

 第4章 グッピーの遺伝と法則
  第1節 ハーネル,ホイトニーの言葉
  第2節 グッピーとエンドウ豆
  第3節 優勢と劣勢
  第4節 グッピーとホシカメムシ
  第5節 単性雑種
  第6節 グッピーとヴェリフェラ
  第7節 突然変異
  第8節 グッピーとオシロイバナ
  第9節 もどし交配
  第10節 グッピーの尾びれとニワトリのとさか
  第11節 グッピーの特質
  第12節 禁じられた色

 第5章 グッピーの世界
  第1節 開拓者達
  第2節 グッピーと朝顔
  第3節 空港で生まれた三匹の子
  第4節 <グリーンネオン・キャッツアイ>
  第5節 レビステス・メランゾーナス
  第6節 他の属との雑種
  第7節 グッピーの同性愛
  第8節 やもめの出産
  第9節 テストフィッシュとしてのグッピー
  第10節 副業としてのグッピー飼育
  第11節 未来のグッピー
  第12節 一輪の花

 第6章 コンクール・その他
  第1節 コンクール
  第2節 コンクールの在り方
  第3節 コンクールの採点基準
  第4節 夢想と現実
  第5節 楽しい世界へ
  第6節 おわりに

口絵
本文
参考書及び資料
奥付

-----メモ-----
「グッピーのすべて」(東京書店)1995
「グッピーの楽しい飼い方」(東京書店)2002
  上記2冊は同じ内容

「熱帯メダカ族入門」(東京書店)1985
「熱帯メダカ族百科」(東京書店)1996
「熱帯メダカ族の楽しい飼い方」(東京書店)2001
  上記3冊は同じ内容

1963年=昭和38年
1967年=昭和42年
1968年=昭和43年
1970年=昭和45年
1972年=昭和47年
1978年=昭和53年
1985年=昭和60年

関連書

2008年9月25日 (木)

「金魚の飼い方・ふやし方」 新井邦夫 その5

本文つづき

第7章 らんちゅう飼育四季の手引き
 1月

  • 暖かい日には覆いをとり、日光浴をさせる。

 2,3月

  • 少量の給餌は活餌か消化のいい人工餌料。
    2月、3月の始めは差し水程度で、完全な水換えは3月中は2,3回に止めたい。
    雌雄を分ける。

 4,5月

  • 雌魚は体腹を増し、雄魚には追星がはっきり現れる。
    産卵は5月2日(八十八夜)を前後する頃。ミジンコの用意をする。
    卵は紫外線を避けるため1,2日池に覆いをして保護する。

 6月

  • 稚魚は親指大か、ウズラの卵大に成長している。
    選別は少なくとも3,4回終わっていなければならない。
    入梅中は水換えを行わない。又雨水の流入を防ぐ。
    6月下の入梅明けごろまでに、1坪当たり2,30尾までにする。

 7,8月

  • このころに褪色が始まる。
    月に4,5回の水換えをする。
    夕方から夜は、覆いをはずし風を当て水温を下げる。

 9,10月

  • 9月の終わり頃には雌雄の差がではじめる。
    10月には品評会が行われる。  

 11月

  • 11月の終わりには、今年最後の池替えして冬囲いの準備に入る。

 12月

  • 不用意に魚を掬ったり驚かしたりしない。

第8章 らんちゅう品評会とその鑑賞

  • 大会及び審査規定を記述
    肉瘤、背成り、尾の良否、鱗の並び、静止地の姿勢、泳ぎ方、丸手と長尾についての解説。

第9章 副業及び専業としての金魚飼育
 イ,金魚生産県の歴史

  • 東京(江戸川区)、奈良(郡山)は武士の遊びごとが、士農工商の廃しに伴い専業化していき、愛知(弥富)は奈良の成功に刺激を受け基礎を築いた。

 ロ,金魚の養殖池の選定とその経営

  • 将来の消費地を考える。
    水利の便について不覚をとらないように。
    地盤の確かなところ。
    コンクリート池は坪当たり5,6千円、板張池は3千円

 ハ,親魚の購入について

  • 生産県から系統の良い親魚を購入する。
    大衆的な魚種にする
    購入親魚の価格は1尾300円乃至500円ぐらい

 ニ,養殖場の運営は人である

  • 1,000坪位は家庭労働によって行われている。
    養殖はやり直しがきかないので、よき協力者の傭入れが大切。

 ホ,金魚の販路について

  • 輸送方法、運賃の関係で輸出は伸び悩んでいる。
    国内市場順調な歩みを続けている。

 ヘ,養魚場の収入支出

  • 埼玉県水産試験場の金魚養成試験の資料を掲載
    いろいな試算を掲載
  • 少なくとも500坪乃至1000坪の池を獲得する必要がある。

 ト,資金調達について
 チ,金魚の小売について

  • 金魚の飼い方を知らない小売人では、2,3年目からでないと、十分な利益は挙がらない。
    普通金魚の仕入れ価格の倍以上の小売り価格にしている。

第10章 金魚問答

  • かつて私は一冊の単行本をまとめたが、出版そのものは誠意のない本やに会い誤字、脱字が多く、改訂版すら行わない不満足のものであった。
    ここでは最初の出版時に寄せられた質問を掲げる。

附 中国における金魚雑観 渡辺宗重
 1,形態の変異
  外形(体躯)
   狭長と短円(たんえん)
  頭部

  • 高頭、虎頭(ことう)、鵝頭(がとう)、獅子頭、蛤蟆頭(はまとう)、鼠頭(そとう)

  眼部

  • 竜晴=普通眼
    水泡眼
    灯泡眼(とうほう)=出目の眼球の先に、透明な角膜が発達突出している
    朝天眼=頂天眼
    葡萄眼=出目の眼球の部が葡萄のように黒いもの
    (石朱)砂眼(しゅしゃ)=目の左右ともに赤いもの
    えんおう眼=目の一方が赤く、一方が白いもの

  鰓蓋
   縁が反転しているものを反鰓(はんすう)と呼ぶ

  鼻膜

  • 鼻孔内の襞が発達して、鼻孔外にふさふさと出ているものを絨球(しゅうきゅう)と呼ぶ。日本では絶滅したといわれる「はなぶさ」に当たる。

  鱗片
   透明鱗、網透明鱗の他に珍珠鱗(ちんじゅ)がある。

 2,色彩の変異
 3,金魚の分類
  分種 普通形の全部含めているようだ
  竜種 竜晴、朝天眼の種類
  蛋種 体躯短円で背鰭を欠く種

あとがき

  • ・・・・・つとめて図版や写真を豊富に取り揃え、目次の配列や内容の表現についても、充分意を尽くしたつもりでありますが・・・・・

-----メモ-----
蟆=バ、マ、バク、ひき、ひきがえる
絨=ジュウ
蛋=タン、たまご

これでこの本の紹介は終了。

2008年9月24日 (水)

「金魚の飼い方・ふやし方」 新井邦夫 その4

本文続き

 第4節 魚病の原因とその手当
  観察で次に点に注意する
   1,色や艶

  • 平素より粘液分泌が極端に多かったり或いは反対に少なかったりして、何となく精彩を欠いている。

   2,運動状態

  •  群から離れていたり、静止して動かない、身体を擦りつける、跳躍しる場合。

   3,鰓の色
    黒ずんでいたり、白っぽいとき

   以下症状、手当と治療法が詳細に解説してある。
   イ,まつかさ病(鱗立病、松皮病)
   ロ,わたかび病(わたかぶり病、みずかび病)
   ハ,白点病(疥癬病)
   ニ,ちょう(魚虱)
   ホ,いかりむし
   ヘ,便秘
   ト,腸炎
   チ,心臓病
   リ,卵の病気

第5章 容器の大きさと飼育尾数

  • 例を挙げるなら、縦横20糎水槽では、4~5糎の和金なら2尾、3尾が適当。
    らんちゅうの飼育池で、0年魚でも30尾から10尾、2・3年魚で6尾位が1坪の収容数の常識となっている。

第6章 金魚の飼い方
 金魚飼育は研究次第である
 イ,室内装飾としての金魚飼育

  • 金魚鉢は飾るだけの容器とし、育て、休息できるところを別に作る。

 ロ,金魚の生れ故郷
  養魚場を考える

 ハ、水槽の選び方
  最低でも縦横30糎乃至40糎が限度。

 ニ,金魚を求めるときの準備
  同じ種類の同じ大きさの金魚を選ぶ。

 ホ,水槽の管理と金魚の飼いかた

  • 置き場所、水換えの時期・時間、水温計の必要性、餌の与え方について解説。

 ヘ,趣味としての庭池飼育
  位置について
   1,東南に開放した日当たりのよいところ。
   2,北又は西は建物や木立によって囲まれている。
   3,適当な勾配がとれて、注水及び排水が容易。
   4,井戸又は水道に近い

  コンクリート池の数

  • 親魚池1面、ふ化池兼稚魚池1乃至2面、予備池(水換池)1面で計3・4面

  ト,誰にも造れる1坪池
   著者が造った池をイラストで解説。

  • 型枠は素人には難しいので、万年塀の材料であるコンクリート板を使うといい。
    一枚の大きさは、6尺*9寸6分でこれを4枚使う。

  チ,金魚の購入と雌雄の鑑別

  • 1年を経過した魚であれば臀鰭の大きさや追星でわかるが、小型の魚は肛門によって鑑別する以外ない。雄魚の肛門は楕円形で雌より小さく、雌魚では円形でやや突出している。

    他所より求めるときは、その年に生まれた零年魚の、姿の定まる9月頃がよい。
    らんちゅうは、生後1、2ヶ月目位がいい。

  リ,産卵の準備

  • 産卵は八十八夜(5月2日)を相前後した、水温17、8度に昇る頃に始まる。
    雌雄の隔離、産卵月、魚巣、ミジンコの用意について解説

  ヌ,卵の採りかた

  • 親魚の放養、雌雄比率、年令、2番仔の産卵準備について解説。

  ル,ふ化から稚魚の餌付けまで

  • ふ化池、卵の消毒、雨水対策、餌付け後の換水、1回目の選別について解説。

  ヲ,稚魚の飼育から取揚げまで
      (附・らんちゅうの飼い方)
   養魚池の話が中心。
   らんちゅうについて

  • 選別は7月末頃までには1坪池に20尾、10月末までに10尾を目標とする。
    梅雨中の換水は天気の良い日以外は避ける。

  ワ,金魚の色変り

  • ふ化後1ヶ月位の稚魚は鮒色をしているが、6月頃になると黒色が増して、やがて橙黄色(だいだい)に変色する。

    色素胞(しきそぼう)、虹胞層(こおぼうそう)、調色、餌の種類による体色、らんちゅうの色模様について解説。

2008年9月23日 (火)

「金魚の飼い方・ふやし方」 新井邦夫 その3

本文つづき

第2章 金魚の由来と飼育の歴史
 由来を古文書にて解説。

  • 文亀説 「金魚養玩草」(やしないぐさ)安達喜之 寛延元年 1748年
    元和説 「大和本草」 貝原篤信(号 益軒) 寛永6年 1626年
    白鳳説 「広大和本草」 直海竜 撰 宝暦5年 1759年

第3章 金魚の種類
 イ,わきん(和金、和錦、やまと)
 ロ,りゅうきん(琉金、琉錦、ながさき、長尾)

  • 野生種からの突然変異説と、「わきん」が突然変異したという二説がある。

 ハ,らんちゅう(卵虫、丸子、金鋳、<魚蘭魚壽>)
 ニ,おらんだししがしら(和蘭獅子頭)

  • 「りゅうきん」と「らんちゅう」の交配によって出来た説と、「りゅうきん」の突然変異による淘汰出現説がある。
    治承4年(じしょう)頃から飼われた。

 ホ,でめきん(出目金)

  • 「あかでめきん」は明治28年頃渡来した。

 ヘ,ちょうてんがん(頂天眼)

  • 明治35、36年頃移入されたが全滅。大正年間に再移入されたが消滅。現在飼育されているものは戦後移入されたもの。
    中国では深い坪瓶に飼育すると云われている。

 ト,しゅぶんきん(朱文金)

  • 「三色出目」と「わきん」又は「緋鮒」の交配といわれている。
    相互交配では60%位が「しゅぶんきん」で、40%は鮒色をした金魚。

 チ,キャリコ(キャリコ琉金)

  • キャリコという名は、明治45年に米人のフランクリン・バッカードという人がつけたといわれている。
    キャリコには「まだら色」という意味がある。
    秋山吉五郎という東京の金魚養殖業者が作った。

 リ,あずまにしき(東錦、キャリコ和蘭獅子頭)

  • 「おらんだししがしら」に「三色出目」を交配。

 ヌ,ぢきん(地金、孔雀、六鱗、しゃち)
  「わきん」の突然変異したものを分離淘汰。

 ル,とさきん(土佐金)

 ヲ,コメット
  18世紀の頃ワシントンの水産局の池で出来た金魚であるといわれている。
  コメット(彗星)の如く泳ぎの早い魚である。

 以下は品種として固定されなかったため、見ることが出来ないか、見る機会のほとんどないもの。

 ワ,きんらんし(金蘭子)

  • 明治35、36年頃秋山吉五郎氏が作った金魚で、「りゅうきん」と「らんちゅう」を交配すると、約30%得られるとされている。一説には「わきん」との交配であるともいわれている。

 カ,わとうない(和唐内、和琉)

  • 「りゅうきん」と「おらんだししがしら」の交配

 ヨ,しゅうきん(秋錦)

  • 「らんちゅう」と「おらんだししがしら」の交配して秋山吉五郎氏が作った。
    この金魚が泳いでいると、秋の紅葉が池に散って、あたかも錦を敷いたようであることから、松原新之助博士が名付けた。

 タ,つがるにしき(津軽錦)

  • 元明・明和年間に津軽藩の武士達に愛玩飼育された。

 レ,はなぶさ(鼻房)

 この他には弘前の「ひろにしき」、山形県の「やまがたきんぎょ」、新潟県の「さばお」

 遺伝から色彩や形を解説
  目は普通目が優勢、出目は劣性
  鱗は普通鱗、透明鱗、網透明鱗があるが優勢、劣性諸説ある。
  色は鱗に分布するグワニン結晶体による。

第4章 金魚の飼い方の基本
 第1節 金魚を飼育する水について
      (水中の酸素と炭酸ガス)

  • 摂氏25度位の水温で飼われている金魚の正常な呼吸回数は100回位。
    硬度、PHの説明

 第2節 金魚の飼料と正しい給餌
  イ,天然餌料  種類、採集法等を詳細に解説
   みじんこ(水蚤)
   けんみじんこ
   赤ぼうふら
   糸みみず
   ブライン・シュリンプ

  ロ,人工餌料

 第3節 適当な光線と水中植物の働き
  青粉の重要性を解説

2008年9月22日 (月)

「金魚の飼い方・ふやし方」 新井邦夫 その2

本文

第1章 魚の生活の知識
 第1節 水温と魚の体温

  • 「こい」、「ふな」は摂氏0度というような、表面に氷の張りつめた池の底でも、又反対に熱帯魚が喜びそうな摂氏30度という高い水温の中でも生活に耐えうるので広適温性魚類という。

    「にじます」、「いわな」等は適水温の範囲が狭いので、狭適温性魚類と呼んでいる。

 第2節 魚の運動

  • 魚の型には、紡錘型(まぐろ)、側扁型(かれい)、縦扁型(えい)、延長型(うなぎ)がある。

    胸鰭は主として上昇に、又腹鰭は沈降に役立っている。背びれの働きについては平衡に関係があるとするものと、体の保護を意味するだけのものであるとする説があるが、臀鰭と共に余り運動には関係ない鰭として扱われる。

 第3節 魚の感覚
  (イ) 聴覚

  • 鯰の聴覚は高音で13.139サイクル、低音は16サイクルまで感じる。人間が聴き取れる低音は40サイクル。普通魚の内耳で聴き分ける音は、高音で200乃至300サイクル以上だが、100サイクル以下は側線によって聴き取る。

  (ロ) 味覚・嗅覚

  • 人間の舌にある味蕾に相当する組織は口唇、頭部、鰭、髭などにも分布しているので、口に入らなくても味わうことが出来る。

  (ハ) 視覚
   魚の眼は近視

 第4節 魚の呼吸

  • 炭酸ガスが沢山水中に蓄積されてくると、たとえ水中に酸素が残っていても、魚は水中に炭酸ガスを吐き出すことが出来なくなって、ついに呼吸困難になる。

    水中の炭酸ガスは塩類(カルシウム、マグネシウム等)と良く化合する性質があるので、魚を飼う水には塩類を多少含んだ水のほうが都合がいいことになる。

 第5節 魚の食性と飼料

  • 胃と腸について説明。
    蛋白質、脂肪、炭水化物、無機物(ミネラル)、ビタミンについて詳細に解説。

 第6節 魚の社会

  • 「こい」、「ふな」は、いずれも食性のよく似た、然も水界の底の方を好む魚であるが、この二種類の魚を実験水槽に飼育した場合底には、いつも「ふな」が棲んで「こい」は上層に追いやられる事が明らかにされている。

 第7節 魚の生殖
 第8節 魚と水生植物との関係
  養魚家が池の中に水藻類が沢山生えることを嫌う理由

  • 1,水藻の繁殖は魚類の運動を妨げる
    2,春秋、池の温度を低下させるため魚類の摂餌を不良にする
    3,池底に根を下ろす水藻類は水中の栄養塩類を肥料として吸収するため動物プランクトンの繁殖を抑制する
    4,水藻類の呼吸作用による炭酸ガス増加の危険が伴う
    5,魚の水揚げに不便である
    6,害虫の産卵場や隠れ場になる

  程良い「青こ」(青水)の繁殖によってもたらされる利点

  • 1,酸素補給源となる
    2,魚類の飼料になる
    3,水温の上昇及びいったん上がった水温の下降防止に役立つ
    4,魚に安定感を与える

 第9節 有害な水棲昆虫
  甲虫類
   イ,げんごろうむし 幼虫は「まごたろうむし」
   ロ,がむし

  半翅類(はんし)
   ハ,みずすまし
   ニ,たいこうち
   ホ,みずかまきり
   ヘ,たがめ 「かっぱむし」、「みずぜみ」とも呼ばれる。
   ト,こおいむし(子負虫)

  甲殻類
   チ,ちょう

  • 養殖池などではB・H・C水和剤で駆除。

   リ,いかりむし

  • 養殖池では塩素酸石灰散布が行われている。

2008年9月21日 (日)

「金魚の飼い方・ふやし方」 新井邦夫 金園社 昭和37年

「金魚の飼い方・ふやし方」 新井邦夫 金園社 昭和37年3月30日発行 B6判 248ページ 定価200円 実用百科シリーズ

 著者は農林技官でこの本の他に昭和29年に同名の「金魚の飼い方 ふやし方」を福書房より出しています。

 この本の特徴はフリガナが多いところで、有難いのですが多すぎて読みづらい。
金魚独特の言葉遣いだけで良かったのかと思う。

 しかしながら、内容は若年層向けではなく、可成りきっちり書かれている。

【構成】
表紙

口絵
まえがき
目次
 第1章 魚の生活の知識
  第1節 水温と魚の体温
  第2節 魚の運動
  第3節 魚の感覚
   (イ) 聴覚
   (ロ) 味覚・嗅覚
   (ハ) 視覚
  第4節 魚の呼吸
  第5節 魚の食性と飼料
  第6節 魚の社会
  第7節 魚の生殖
  第8節 魚と水生植物との関係
  第9節 有害な水棲昆虫

 第2章 金魚の由来と飼育の歴史
 第3章 金魚の種類
 第4章 金魚の飼い方の基本
  第1節 金魚を飼育する水について
  第2節 金魚の飼料と正しい給餌
  第3節 適当な光線と水中植物の働き
  第4節 魚病の原因とその手当

 第5章 容器の大きさと飼育尾数
 第6章 金魚の飼い方
 第7章 らんちゅう飼育四季の手引き
 第8章 らんちゅう品評会とその鑑賞
 第9章 副業及び専業としての金魚飼育
 第10章 金魚問答

附 中国における金魚雑観 渡辺宗重
あとがき
奥付

表紙はらんちゅうとキャリコ

口絵
 金魚のカラーイラスト 12種
 白黒写真

  • わきん、しゅぶんきん、りゅうきん、でめきん、らんちゅう、おらんだししがしら、キャリコでめきん、あずまにしき、キャリコ、ぢきん、ちょうてんがん、とさきん、以上各ページに2種

    品評会の入賞魚 観魚会会報写真
    昭和31年10月14日 第68回品評大会 主催 観賞魚 於 石川宗家

    養魚場全景、らんちゅう池、養魚場のふか池、群泳する金魚、鼻上げ状態、品評会のらんちゅう展示、輸出金魚の選別、缶に詰める輸出金魚、金魚集荷場

    金魚の発生 受精からふ化稚魚まで8段階写真

まえがき

  • ・・・・・「金魚は死に易いものだろうか」というような疑問を未だにもっている人が多いようですが、・・・・・これも飼い方を知らない人達だけの責任では無くて、私達著者にもその一端があります。

    ・・・・・手引き書のようなものは単なる金魚の飼い方の手順を示すだけでなく、自己の経験した失敗談を織り込むことがどの位読者各位のお役に立つか知れないと考えました。・・・・・

    「こい」や「ふな」が自然のままに放任されていながら、しかも丈夫に育っているのに、朝夕となく一生懸命世話をしているはずの金魚は、何故死ぬのだろうかという疑問が解けない限り・・・・・。

    この疑問を解くためには、金魚の飼い方に入る前に、魚というものの生活について一通りの知識を持って頂くことが一番近道ではないでしょうか。・・・・・

---メモ---
西暦1962年=昭和37年
関連本

2008年9月18日 (木)

「フィッシュマガジン」 創刊号 その3

つづき

水槽の上手な扱い方 小久保清治
 執筆者は東北大学名誉教授
 6ージで解説

 1,水槽今昔

  • 明治の末年学校を出るとすぐ養殖研究室にたてこもり・・・・・。その後浅虫の東北大学実験所に・・・・・。それから日大の水産へ行って・・・・。まる50何年か水槽をやって来た。

    私が水槽を始めた頃は、総硝子製(※バット)か、枠も底も木枠で硝子の接着にはパテ、石膏、うるしなどが用いてあり、水漏れに困った。

    大正中頃から金属枠のものが出来るようになった。鉄枠又は真鍮、ニッケル、メッキで底まで金属で出来ていた。

    米国製や独乙製の多くは鉄枠に錆止塗装したもので底は厚い石盤石で作られている頑丈なものであった。

 2,水槽の大きさ
  水槽の大きさには次の規格がある。
      長さ、高さ、幅
   1号  36*24*24
   3号  40*40*30
   6号  60*30*30
   8号  90*40*45
   10号 120*60*60

 3,気通、濾過

  • 毎立1cc以下即ち常量の六分の一になると鼻上げと云って水面に浮き上がってしまう。
    広崎式濾過の作り方と原理の説明(※底面濾過のこと)。
    この当時から、アンモニア→亜硝酸→硝酸→無害な塩類 のことを説明。

 4,気通ポンプ(エアポンプ)と水槽の水換え
  a,気通
  b,水槽の水換え
  c,水槽内の景色
   水槽石

  • 三波石の様に青みを帯びた中に白い条か模様があるのがいい。秩父石のように深いしわのあるものは感心しない。

   植物
    ※以下面白いです。

  • 浮漂植物は、光合成の結果酸素は皆気中に出してしまいそうに見えるが、実験してみるとさにあらず、水中へ多量の酸素を送り水のPHを上昇せしめる。

  d,水槽の背景

  • 今で云うバックスクリーンの絵の描き方を解説している。※珍しいです

    真っ先に注意しなければならぬ事は、画面全体をごくあっさりしたうすい青緑色にすること。

    最下方は左右両方から芦とか萩とかの水辺植物をほんの少しばかりあっさり書く。
    中景には右又は左の方から小さな半島を出し、小さな松並木ぐらいをあっさりぼかす。

    その向こうには高くない山の裾が湖水に入り込んだ様な景色を見せ。
    その向こうの遙か遠所は水平線で小さくひくくかすんだ遠山をかく。
    その上にはあっさりと少しばかりの雲をえがく

 5,水温調節
  水銀調節器とバイメタル式の原理説明。
  冷温水槽

 6,水槽の照明

かわいいタナゴ 加福武一郎
 執筆者は淡水区水研
 2ページで主に産卵生態について解説。

  • 出水管に産卵管を入れるのが腑に落ちないので、一日水槽にへばりついて調べた。

    出水管から吐き出される水にリズムがあるらしいのである。おそらく出水管から吐き出される水のとぎれ目に体内に反流の出来るのを利用し、普通では想像もつかない難所に卵を産み落とすのであろう。

    関東でヤスリメというゼニタナゴは9~10月が産卵期。

らんちゅう選別上の注意 石川亀吉
 執筆者は日本らんちゅう協会会長
 2ページ

 頭部
 背型
  1,腰高
  2,登り腰
  3,一文字
  4,鋸背
  5,帆柱
  6,背瘤

 尾筒(尾部)
  1,筒のび
  2,筒しゃくれ
  3,筒つまり

 腹部
  1,前孕
  2,釣腹
  3,方孕

 尾型
  1,心なし
  2,付け違い
  3,尾心立ち
  4,尾心太
  5,山形(やまなり)
  6,差込
  7,梶尾外出
  8,尾心しゃくれ

 動作

  • 踊奴(おどりやっこ)とは泳ぎのスタートに水面に向かって飛び上がるような動作のもの。

 色彩
  色彩による選別は最後に行わなければならない。

  素赤
  猩々
  更紗
  鹿の子更紗

水草を生き生きと育てるコツ 屋代幹二
 3ページ
 グループに分け解説

 イ,底性植物(水底の砂に植えるもの)

  • 1,サジタリア、バリスネリア、クリプトコリネ、アマゾン・ソード・プラント
    2,カボンバ、ミリオンフラム(ミリオフィラム)、ハイグロフィラ、ナイアス
    3,ウォータースプライト

 ロ,浮性植物(水面に浮いているもの)

  • リシア(原文はシリアと誤植)、ウォーターファン、ダックウィード、ウォーターレタス

 ハ,遊性植物(水の中でゆれているもの)

  • ニテラ、レッサー・ブラダーウォート

 ニ,その他
  河骨(※コウホネ)、ラジカンス

  • 河骨の繁殖については知られてないが、根のワサビ状の部分を厚さ5mm位の輪切りにし、1週間程乾燥させておいてから砂中にうめておくと、希に芽を出すことがある。

    調和水槽について、ろ過器有りと無しで実験した結果を掲載。入れた魚がティラピアの幼魚というのがスゴイです。

錦鯉に大切な日常管理 小杉泰一
 執筆者は新潟県立能生高校教諭
 2ページ半

 1,水の管理
  イ,水道水
  ロ,地下水、井戸水
   井戸水の「かなけ」とは鉄分やマンガンを含む一種の硬水。

  ハ,水温について
  ニ,雨水
 2,飼料の管理

小型飼育槽の濾過装置 柴田 清
執筆者は東京水棲生物研究所

  • 塩ビパイプに鋸目を入れた底面濾過での硝化バクテリア濾過法について説明。
    砂の中にアンモニアを吸収して繁殖するカビの一種(佐伯有常理博によって明らかにされた)がいる。

混乱している魚の名前 加福武一郎

  • 始めは日本のコイ科だけで満足していたが、50種そこそこのコイ科では次第に満足できず、海外に手を伸ばし、いくつでもないが、この頃はそれらのホルマリン漬け標本に取り囲まれホクソ笑んでいた。

    標本集めに努力してきたが、打率は1割で、なかなか集まらなく腐りきっているとき熱帯魚に気付いた。

    暇があるときには熱帯魚屋へ行っていたが、次第に名前に疑問を持つようになった。

    俗称は結構だが学名がある。似た魚に同じ俗称を使っている。信用に関わる。せめて学問的な参考書が欲しい物である。

-----メモ-----
猩=ショウ、セイ

2008年9月17日 (水)

「フィッシュマガジン」 創刊号 その2

ページ順で紹介していきます。ただし淡水魚だけです。

表紙

  • 創刊号の表紙は黄色で赤銅色のベタの雄の写真

魚を研究される皇太子

  • 許可か写真が発刊に間に合わなかったのか、遊紙に写真を手で貼っています。

グッピー一筋に十年間 平林たい子

  • 作家である平林たい子氏への訪問インタビューと写真。
    この後のフィッシュマガジンにも座談会形式で時々登場しています。

水族館めぐり1 上野動物園水族館
 質問形式になっている。
  年間の維持費は
  一番長生きは、又手数がかかるのは
  一番苦心なさることは
  特色は何ですか
  病気はどうですか

天然の個性を生かしたい 江戸家猫八

  • 落語家の江戸家猫八氏への訪問インタビューと写真。
    師匠は熱帯魚の他、自身で釣ったヘラブナ等も水槽で飼ったいました。

錦鯉300匹 武者小路実篤

  • 作家の武者小路実篤氏への訪問インタビューと写真。
    東京で庭の総面積1500坪、池だけで100坪余に新潟から品評会特等クラスの錦鯉
    70匹を自身の絵50枚と交換で取り寄せた。

魚の必要な栄養と餌 青江 弘

  • 蛋白質、脂肪、炭水化物、ビタミンについて2ページにわたり解説。

白点病の予防と新しい治療法 笠原正五郎

  • 執筆者は東京大学農学部
    白点病について繁殖法、予防、治療法について2ページを割いている。

 治療法として ※数値は省略
  1,ホルマリン
  2,醋酸と過酸化水素水 ※酢酸
  3,食塩
  4,過マンガン酸カリ
  5,塩酸キニーネ
  6,メチレンブルー
  7,マーキュロクローム
  8,硫酸銅
  9,アクロマイシン
  その他将来はサルファ剤の応用が考えられる

世界の珍奇魚 バシラコ・ニグリカンス 阿部宗明
 執筆者は東海区水産資源部主任 名はトキハル
 シーラカンスぐらい珍しい海水魚らしい。

金魚・錦鯉の病気と手当 別所充三
 2ページで説明。各々症状と手当が書いてある。
 皮膚病
  1,皮膚に白いものがつく
   イ,白点病
   ロ,白雲病
   ハ,水棲菌病
   ニ,泥かぶり病
   ホ,鱗立病
   ヘ,赤斑病
   ト,疱瘡病

 鰓病
  イ,鰓ぐされ病
  ロ,吸虫類寄生

 害虫
  イ,魚じらみ
  ロ,イカリ虫

 その他
  イ,腹水病
  ロ,ガス病
  ハ,うき袋病

グッピーの優良品種はこうして作ろう 鈴木清吉
 4ページの解説
 品種説明

  • 普通種、スペード、ポィンテッド(尾が細く、尾の先端がいくぶん上方にとがったもの)、ソードティル(テール 当時はトップとボトムを分けていないようだ)

    ダブルソード(ライアテールから発達したものと解説)、ラィアティル(ライアテール)、レース、ゴールデン、タキシード、タイガー

    ベールテイル(ベールテール ポール・ハーネルによって作成され改良が重ねられた。デルタ・グッピーは特に尾の開いた優良なもの)

 器具、水槽
 親魚の入手、購入

  • 良い親魚から悪い仔魚がとれても、悪い親魚から良い魚が得られることは少ない。
    ベールテール種の場合、赤を地色とするときは、明るい色彩を選ぶ。
    雌は俗な言い方をすると、気品のある雌がよい。

 餌料
 繁殖
 仔魚の育て方
 種親の育成と選択
 新品種の育成

放射線で魚の品種改良 東京農大

  • 東京農業大学育種学研究所の多紀先生と書いてあるので、熱帯魚の飼育本も執筆している多紀保彦氏のことだと思う。

    ちょっと恐い話だが、最初の目的は「赤い縞のあるエンゼルをつくろう」といことだったが、生まれる子は奇形が多く、縞の数が多いぐらいであった。
    照射角度を変えての実験が必要になるらしい。

魚紳士録 1,ケツギョ 木村 重

  • 後に緑書房から2度にわたり出版された同名の書「魚紳士録」はフィッシュマガジンの創刊号から連載が始まっていました。

    内容は2ページにわたり、ケツギョの種類、食性、生長度、産卵・孵化、伝説、食べ方等について書かれている。

    因みに別名は桂魚、鮭魚、水豚、牡水豚で、北京辺りではホアチュイ(花季魚)が通称である。

    ついでにコウライオヤニラミについては、内田恵太郎氏の「稚魚を求めて」に興味深く書いてある記されている。

2008年9月13日 (土)

「フィッシュマガジン」 創刊号 昭和40年7月 緑書房

「フィッシュマガジン」 創刊号 昭和40年7月20日発行 緑書房 第1巻第1号 B5版 90ページ 定価200円 

 古くから有る観賞魚専門誌です。後記に書いてあるようにフィッシュマガジンは日本始めての観賞魚雑誌で、この後は昭和41年12月に蒼洋社(後にはペットマガジン社)から「ペットマガジン」、昭和42年4月に観魚タイムス社から「観賞魚の友」、昭和42年7月にはフィッシュライフ社から「フィッシュライフ」が創刊されて、バブル期の観賞魚雑誌創刊ラッシュ状態であった。

 その後フィッシュマガジン以外の専門誌は廃刊となり、しばらくはこの雑誌だけであったが、1979年6月に(株)バレンタインから季刊誌「ザ・フィッシュ・ワールド」が創刊され、1979年8月には「アクアライフ」が創刊された。

 「ザ・フィッシュ・ワールド」は3巻で廃刊となったので、以降バブル期まで日本の観賞魚雑誌は「フィッシュマガジン」と「アクアライフ」の2誌による時代が続いた。

 雑誌の作りは今と同じであるが、執筆陣は大学の教授、水族館園長、研究者等雲泥の差であった。

目次
 表紙
 魚を研究される皇太子
 魚紳士録 1,ケツギョ 木村 重
 私と愛魚(訪問)
  グッピー一筋に十年間 平林たい子
  天然の個性を生かしたい 江戸家猫八
  錦鯉300匹 武者小路実篤
  情操教育に熱帯魚 墨田区向島中学校

 水槽の置場所の工夫
 変わった熱帯魚 1,サカサナマズ 牧野信司
 放射線で魚の品種改良 東京農大

 魚の必要な栄養と餌 青江 弘
 混乱している魚の名前 加福武一郎
 錦鯉に大切な日常管理 小杉泰一

 グッピーの優良品種はこうして作ろう 鈴木清吉
 第二回神戸観賞魚展示会並びに品評会
 らんちゅう選別上の注意 石川亀吉

 海水魚飼育のポイント 杉浦 宏
 金魚・錦鯉の病気と手当 別所充三
 白点病の予防と新しい治療法 笠原正五郎

 かわいいタナゴ 加福武一郎
 水草を生き生きと育てるコツ 屋代幹二
 小型飼育槽の濾過装置 柴田 清

 水槽の上手な扱い方 小久保清治
 水族館めぐり1 上野動物園水族館
 相談室 水槽の苔の簡単な落し方

 フレッシュ画廊
  新潟の錦鯉(いろごい)
  レッドティールブラックシャーク(テール)

 ワニの飼育と注意点 杉浦 宏
 フィッシュテスト 私は誰でしょう
 世界の珍奇魚 バシラコ・ニグリカンス 阿部宗明

 魚豆知識
  魚飼育の歴史
  世界で一番大きな魚
  ブラインシュリンプのような魚 グラニオン

 香港フラワーの苔の落し方
 友の会会員を募る
 編集後記

-----メモ-----
西暦1965年=昭和40年
西暦1979年=昭和54年
関連本

2008年9月12日 (金)

「熱帯魚のやさしい飼い方」 熊谷孝良 その3

本文つづき

第4章 熱帯魚のふやし方
 a,卵胎生魚のふやし方

  • 雌は肛門のすぐ下が黒くなっているか、うす茶色をしている。これを雌性斑紋と呼ぶ。

 b,卵成魚のふやし方
  イ,卵を水底にばらまく魚
  ロ,卵を水草に産みつける魚
  ハ,卵をガラス面、底などにくっつけて産む魚
  ニ,卵を泡の巣の中に産む魚

 c,ブラインシュリンプについて

 d,パラメシウムについて

  • 藁を小さく切って煮出すと茶色の液ができる。
    これをかすかに光がとおるくらいのうす茶色の濃度にして、数日放置しておくと、たいていごく小さな粉のようなものが、殖えてくる。

    小さい口のビンに入れておくと空気を求めて上の方に来るので、これをスポイトで取って与える。
    種を入れず不安なら、古い水やドブの底の水を1滴入れると、必ず何か出てくる。

第5章 魚のわけ方と魚の説明
 a,群になって泳いでいる魚
 b,水面をおもに泳いでいる魚
 c,水底におもに泳いでいる魚
 d,自分の縄張りを主張する魚
 e,1匹で飼うかまたは他種の魚と混ぜないで飼った方がよい魚

 f,熱帯魚の種類と説明
  ※自分のメモ程度に書いておきます。
  和名、産地、大きさが記載され学名はない。

  卵胎生 5種

  • プラティとは旧属名からきたニックネームで、「扁平な」という意味で、日本の古い遺伝書には扁平魚という名で書かれている。

    バリェタス(バリアタス)は生まれてから色の出るまで10ヶ月かかる。
    ブッラクモーリーのモリーは仏人M.Molienからとっている。

  コイ科 11種

  • バーブ(バルブ)の意味は「バーベル(ひげ)」からきている。
    ロージィバーブ(ロージーバルブ)はヒゲの無いのが特徴。

    ラスボラ・ヘテロモーファ(ヘテロモルファ) ヘテロモルファとは「他のラスボラとは形が違っている」という意味

  ローチ・キャットの仲間 4種

  • クーリーローチ ローチとはどじょうのことで、どじょうのことを「ウェザーフィッシュ(天気魚)」とも呼ぶ。

  闘魚科 8種
  卵生目高科 4種

  • アプロカイルス・リニアータス(アプロケイルス・リニアタス) リニアータスとは「線がある」という意味。

  その他の魚種 4種
   クイーンスランドレインボー、バディス、ポリセントラス、グラスキャット

  カラシン科 12種

  • モンコホージア(モンクホッシャー)名前はモンクハオス博士の名からきている。

  シクリッド科 10種

第6章 水草
 a,根がなくてもよい水草 6種
 b,根がないと枯れてしまう水草 9種

  • サジタリアとは「そりかえった」という意。
    ラディカンスはエレファントイアー(象の耳)と英語で呼ばれている。戸外で越冬する。
    クリプトとは「かくれた」の意。

 c,水面に浮いている水草 4種

  • リチア(リシア)米国では「クリスタル草」と呼ばれている。水晶が成長するように伸びる。

第7章 記録をつけるおすすめ
 飼育記録表の様式(サンプル)が載せてある。

あとがき

  • 魚の写真はできるだけ、生態のでているものをのせました。どれも動物写真専門家岩合徳光撮影のものです。・・・・・・

裏表紙
 エンゼルフィッシュの白黒写真です。

以上でこの本の紹介は終わりです。

2008年9月11日 (木)

「熱帯魚のやさしい飼い方」 熊谷孝良 その2


後半で次の様に述べています。
 魚を水槽で飼うに必要な心得のうち、してやらなければいけないことはむしろ少ない、多くの失敗は余計なこと、いわばしてはならないことをしたための結果が多いようで・・・・・

   東京都恩賜上野動物園水族館館長 久田迪夫

改訂版発行について

まえがき

本文
第1章 はじめて熱帯魚を飼うかたがたに

第2章 熱帯魚の飼い方
 a,容器
 b,水

  • 小さな容器に弱アルカリの水を作っても、空気中から炭酸ガスが飛び込みますから、やがては酸性になってしまいます。

 c,水草

  • 水草は熱帯魚飼育の楽しさの半分を占めるものだとわたしは思っております。

 d,砂(小石)
 e,餌
  魚の食性による分類
   粉餌でよく育ち繁殖もする魚
   生き餌だけのほうが好ましい魚
   水草を食べて困る魚
   ホウレン草などをゆでてやると食べる魚

  粉餌
  糸目

  • ユリミミズとかイトミミズと呼ばれる。普通店で売っているのは、Tubifex hattaiという学名である。

  赤虫

  • 釣りに使う赤虫は、種類が違うもので、熱帯魚店で売っているものは、Chironomus dorsalisという学名を持っている。

  ミジンコ

  • 何種類もあるが、Daphnia pulexと呼ばれるものがふつうのようです。
    ケンミジンコは稚魚にやらないほうがいい。

  ブラインシュリンプ

 f,光

  • 私達の目は明暗を絶対的に測ることが出来ないで、比較的暗いところでも、眼のしぼりが自然に広がって明るく感じてします。
    できれば、露出計を使って、一日中の明るさを1時間おきに調べてみる。

 g,エアーポンプ
 h,ろ過器(フィルター)
 i,温度

第3章 飼育管理上の注意

  • 飼育管理上の要訣は観察に始まり、観察に終わると言ってもいいでしょう。

 a,水槽の状態が良い場合
 b,水槽の状態が悪い場合およびその処置 
  イ,水の緑変

  • 排泄物が多いためですから、それを吸収する高等植物を多くするとか、魚を減らすかして緑藻に栄養を与えない。

  ロ,水の白濁

  • バクテリアが発生したため。エヤーポンプを4,5日かけたままにする。

  ハ,水の悪臭
   ただちに水を換える。

  ニ,酸素の不足
   巻貝が入っていれば、水面に上がってくるのでわかる。

  ホ,水温の低すぎるとき
  ヘ,水温の高すぎるとき

  • 高温そのものと、高温による酸素不足の二つの原因で死ぬ。
    ゼブラが38度以上の湯気が出かかっているような水の中で生きていたことがあるが、エヤーポンプがかなり強くエアーを送っていた。

 c,病気とその処置 ※以下古い本なので試す場合は自己責任で。

  • 高価な薬を買って、安価なソードテールの病気を治しても、つまらないことかもしれないが、苦心して治してみると、さらに楽しさも湧き、愛情も出てくる。

  イ,白点病

  • 硫酸キニーネは水草があってもいい。0.01gを水1リットルに溶かす。溶かすときは極少量の微温湯でペイストのようによく練り50度ほどの湯でだんだん溶かしてゆき、白い結晶が見えなくなったら水槽に入れる。
    1箱25gで350円ぐらいの薬

  ロ,ひれ腐れ病

  • 水溶性のペニシリンが面白いように効く。白い結晶となったものでも乳濁したものでもかまわない。室温貯蔵が可能だが有効期間に限りがある。5cc入りびんで350円。66*33*33cm水槽で0.5cc入れると効果がある。使用後水を換える必要はない。

  ハ,マウスファンガス

  • 鰭の先は切り、赤チンを塗る。切り取れない場所は、2,3日濃い塩水に浸けるか、ピンセットで取り過マンガン酸カリ0.1%を塗る。

  ニ,松かさ病(鱗立病)
  ホ,サイクロキータ

  • 塩水に浸けて、清水にもどすことを根気よくする。
    最近の研究では、ネグホンというバイエル製武田薬品販売の家畜用の外部寄生虫殺虫剤の25万から50万分の1くらいの投与が鯉には害が無く安全に使用出来るようだ。

  ヘ,出目病

  • 魚が耐えられるほどの塩水に入れ、苦しがったら段々と水を入れ濃度を少なくする。
    アージロール(銀とプロティンを含む防腐剤)5%につけるとよいとあるが、余り一般的ではない。
    アンモニア水を魚が堪えられるまで一滴ずつ落としてゆく方法もある。

  ト,風邪病
  チ,イカリ虫
  リ,チョウ(魚じらみ)

 d,魚に使う薬について
  イ,ハイポ
  ロ,メチレンブルー

  • 色素。光の影響を受け、色が薄くなると効果が無くなる。殺菌力はそれほど強くない。

  ハ,過マンガン酸カリ

  • 緑色の光沢のある赤紫色の結晶。強力な殺菌消毒剤。水に溶かしておくと、効力が無くなる。魚にも害があるので、0.1%ぐらいにして使う。網や器具の消毒に使う。グリーンウォーターを澄ますのにも使える。

  ニ,アクリフラビン

  • 色素。魚卵の消毒にも、傷の腐敗にもいい。トリパフラビンとも呼ばれる。ベルベット病にも効く。人間に使うアクリノールとういものもあるが、わからない。

  ホ,マーキュロクローム(赤チン)

  • 溶液に魚を入れる死ぬ。エラに触れないようにする。

  ヘ,サルファ剤

  • 魚のでき物や可能に効く。錠剤をつぶして水に溶かす。酸性の強い水の中ではだめ。

  ト,ペニシリン
   注射用の水溶性のものを用いる。

2008年9月 8日 (月)

「熱帯魚のやさしい飼い方」 熊谷孝良 包装印刷工芸社 昭和42年

「熱帯魚のやさしい飼い方」 熊谷孝良 包装印刷工芸社 昭和42年7月発行 B6版 110ページ 定価200円 副題「はじめて飼われるかたがたのために」

 本書は昭和40年前半に出版された他の飼育書に較べ、カバーもないソフトな装丁である。
 「改訂版発行について」の中で、本書は前年に発行したが、読者から写真を入れて欲しいとの要望に対応し改訂したと書かれている。

 ただ、文面の最後に「昭和卅八年八月 著者しるす」となってる。卅=30なら昭和38年となり年代が合わないので、恐らく卅は四の誤植でしょう。

 出版社である包装印刷工芸社についてはまったくわかりませんが、同じ著者による「金魚・鯉のあたらしい飼い方」、副題「日本産金魚 中国産金魚・錦鯉」 定価160円を出しています。(巻末広告より)

 著者の熊谷孝良氏は本書執筆時点では東大生物学教室にいたが、多分後には慶應大学の教授をされていたと思います。初期のフィッシュマガジンにも執筆していた記憶があります。

 主に海外の飼育書を翻訳し、昭和60年にTFH社の翻訳本として緑書房から「原色熱帯魚大事典」、昭和55年~昭和58年に西ドイツテトラベルケ社出版部の本を翻訳し日本ワーナー・ランバート(株)より「テトラ熱帯魚シリーズ」を海水魚1冊を含め6冊著している。

 この本は作りが洋書テイストで良かったが当時としては非常に高価であった。(今出版しても3500円は購入に躊躇するかも)。他にもディスカス本なども翻訳している。

 また、熱帯魚ばかりでなく、先に書いた金魚飼育書の他に東京書店から「金魚の飼い方」なども書いている。

 余談だが、ワーナー・ランバート(株)からは世界のアクアリウム情報として「Tetra Aquarium Digest International」が季刊誌(多分19冊で終わり)として、また1979年頃にクラブの会誌「テトラアクアリストクラブ」全9冊が出ている。これにより、当時は世界の最新アクア情報を日本語で知ることが出来た。

【構成】

口絵


改訂版発行について
まえがき
目次
 第1章 はじめて熱帯魚を飼うかたがたに
 第2章 熱帯魚の飼い方
 第3章 飼育管理上の注意
 第4章 熱帯魚のふやし方
 第5章 魚のわけ方と魚の説明
 第6章 水草
 第7章 記録をつけるおすすめ
あとがき

-----メモ-----
卅=ソウ、さんじゅう
西暦1967年=昭和42年
関連本

2008年9月 7日 (日)

「金魚の飼い方 附・熱帯魚」 木村四郎 その6

熱帯魚編
 第1節 熱帯魚飼育の始まり
 第2節 日本での熱帯魚の飼育

  • 大正末年から昭和の初めになって熱帯魚飼育が流行しはじめた。外国から色々な熱帯魚が輸入されてきたが、その殆どは個人が輸入したもので、園芸界の先覚者としても有名であった故広瀬巨海氏がその最先端にいた。

    私達は日本の熱帯魚界の創始者として、また恩人として広瀬氏におしみなく拍手を送りたいものであります。

 第3節 科学すると同時に心の糧に
 第4節 興味ある熱帯魚の習性
  卵や仔魚を保護する魚
  口の中で卵を孵すマウスブリーダー

 第5節 熱帯魚を飼う準備
  水槽(アクァリューム)の種類
  水槽の置き場所
  手網やエヤーポンプその他
   手網
   エヤーポンプ
   フィルター
  砂の用意
  熱帯魚を飼う水

 第6節 水草の働きと種類

  • サギッタリア・ギガンテア(※サジタリア以下S)、S.スブラータ、S.ナタンス、S.ギアネンシス(Sagittaria.guayanesis=Echinodorus.radicans 横浜の鈴木吉五郎氏が最近輸入した)、S.ミニマ

    エキノドルス・インテルメディウス(アマゾンソード)、セキショウモ(バルリスネリア・スピラーリス・ギガンテア、V.S.ミノール、V.S.ルブリフォーリアvar.rubrifolia)

    カナダモ、オオカナダモ、エローディア・クリスパ、ハゴロモモ(カボンバ、フサジュンサイ、ワシントン・グラス、ウォーター・シールドとも呼ばれる)

    コウホネ類、フサモ類(キンギョモ、ミリオフィルム・プロセルピナコイーデスproserpinacoides、M・ルブリフォーリウムrubrifolium、M.スカプラツムscapratum)

    ヘヤ・グラス、アメリカミズユキノシタ、ハイグロフィラ

    クリプトコリネの類(グリフィッティ、キリアータ、ウイリジー、ベッケティ、コルダータ、ハエルテリアーナhaerteliana、ロンギカウダ)、マダガスカル・レース・プランツ

    アポノゲトン・アングスティフォーリウムangustifolium、ミズワラビ、ボタヌキクサ、ミズアオイ(ホテイソウ)、リムニアンテムーム(バナナ・プランツ、ウォーター・スノー・フレークとも呼ばれ鈴木吉五郎氏が輸入した)、ミズオジギソウ

 第7節 保温器と保温の方法
  熱帯魚と水温
  家庭で出来る保温箱
  サーモスタットとヒーター

 第8節 熱帯魚の種類と解説
  卵生する種類

  • カラシンを30種、コイ科を19種、卵生メダカを10種、シクリッドを13種、アナバンテッドを7種を紹介

  胎生する種類
   7種を紹介
  その他の熱帯魚
   7種を紹介

 第9節 熱帯魚の餌
  食べすぎはよくない
  生餌の種類

  • イトミミズ(アカコ)、赤ボウフラ、ボウフラ、ミジンコ、ホワイト・ウォーム、ブライン・シュリンプ、ミクロ・ウォーム、インフユゾリア

  粉餌の作り方

 第10節 水槽の掃除と消毒
  清掃と水換え
  水が緑や白くなった時は

 第11節 害虫と病気について
  ヒドラ、白点病

 第12節 熱帯魚の種類と飼育器具
  熱帯魚の種類一覧表
   和名、学名、産地が書いてあります。

  • こい科22種、目高科で胎生するもの5種、卵生するもの12種、キクラ科15種、カラシン科30種、闘魚科12種、その他の科に属するもの20種

 熱帯魚と飼育器具の価格表
   熱帯魚の価格は

  • 胎生目高科15種、闘魚科14種、卵生目高科11種、鯉科28種、カラシン科36種(ハチェット3,000円、カージナル3,000円)、シクリッド科19種(アストロ5,000円、ディスカス15,000円)、その他の科30種(オトシン3,000円)

   水草の価格 23種(C.ロンギコーダ1,500円)
   熱帯魚飼育器具 可成り詳細に載っています。

以上でこの本の紹介を終わります。

2008年9月 6日 (土)

「金魚の飼い方 附・熱帯魚」 木村四郎 その5

本文続き

  水換えの仕方

  • 水を汲みおいて太陽光線に充分曝しておくことを「水を枯らす」といい、その水を「枯れ水」といっている。

   1月・2月

  • 殆ど換水の必要なし。余り青すぎるときは差水程度にする。

   3月

  • 古い水を半分位残して枯れ水を足す。関東以西では月2回ぐらい。

   4月・5月

  • 親魚は水温が高まったら差し水で水温を下げる。産卵の準備が整うまでは換水しない。
    親魚以外は、5日乃至1週間目位には古水を2割程度入れて換水する。

   6月

  • 丁度梅雨時期に当たるので、降雨中は換水しないほうがいい。
    晴天の続いた日を選んで、古水を1割程度入れ、月2~3回換水をする。

   7月
    5日乃至1週間目位には水を換えるようにする。

   8月
    7月と同様

   9月
    幾分涼しくなるので、8日乃至10日位で水を換える。

   10月
    2週間乃至3週間に一度位の程度で充分。

   11月
    天候のよい温かい日を選んで1回ぐらい水を換えればいい。

   12月
    東京以北では、冬囲い前に異地租水換えを行う。
    これを最後の翌年の2月頃までは殆ど水を換えることはない。

  専業者或いは漁業家の場合
  硝子容器(タンク)の水換え
  冬囲いの仕方
  容器(タンク)で飼っていた金魚の越冬
  専業者の土池の場合
  冬囲い中の注意

 第22節 金魚屋の開店案内
  床店で売る場合
  行商の場合
  夜店又は露店を出す場合
  金魚の掬い取り或いは釣堀り
  金魚の取引と容器類の値段

  •  「わきん」と「りゅうきん」の昭和32年度の東京都淡水魚養殖業組合連合会卸売業連合会の値段が掲載してある。

    業者の間ではその売買に当たり、一般の人達にその金額が分からぬように符牒を使う。

    1  2  3  4  5  6 7  8  9
    千 り 川 月 丁 天 カ ツ 丸

  • 「りゅうきん」(小琉)「千川」は1尾13円となり、「わきん」小が「月ツ」と言えば1尾4円80銭となる。
    小売価格は大体卸売価格の倍以上とみて間違い有りません。

  容器類の値段
   四方硝子の容器で俗にタンクと称するもの
    10種類の卸値が書いてある。

   全部硝子製のバットと称するもの
    4種類の卸値が書いてある。

 第23節 金魚の売れる時期

  • 夏を中心として、春の彼岸から秋の彼岸迄(大凡3月半ばから9月末迄)というのが普通。

 第24節 金魚の輸送について
  輸送の準備
  容器と輸送の方法
   「組み桶」の仕組みや温度、輸送量をくわしく書いてある。

  金魚輸送後の注意
  卵の輸送

 第25節 金魚の品評会

  • 金魚の品評会が最も早く行われたのは愛知県で、明治8年(1875年 ※本では昭和と誤植)10月に三河の岡崎で、竹谷円蔵という人の主催で、岡崎六地蔵で開かれたのが最初だということです。

    東京では明治18年(1885年)に「らんちゅう」の観魚会が、第一回の品評会を浅草千束町の石川という人の家で開いたのが最初だそうです。
    観魚会の会則の抄録を載せてあります。

 第26節 金魚の食用と薬用のこと

  • 形が余りにも優美であり、食用にするには如何にも色が赤く綺麗なので、食べるのに忍びなかった。

    また、元禄6年(1693年)に発行された西鶴の「置土産」という本には、金魚を「5両7両に買い求めて行く」とありますから、実際上高価で食べられなかったのかも知れない。

2008年9月 4日 (木)

「金魚の飼い方 附・熱帯魚」 木村四郎 その4

本文続き

 第16節 金魚の淘汰と選別
  第1回目の選別
   孵化後2週間ぐらい、1糎位の時

  選別の方法
   蛤貝に柄をつけたもので、水と一緒に掬い取る
   選別後は1m2あたり60尾内外で飼育

  第2回目の選別
   第1回目後から2~3週間後、2糎内外の時
   ミジンコからイトミミズへ切り替える。頭位の分量が適当

  らんちゅうの選別
   不合格にすることを「ハネ出す」という。

  • 第1回目は孵化後10日乃至2週間目位。ハネ出すものを、尾形、心、背に分け実寸大のイラストで説明。
    2ヶ月位からの悪い例を5ページ分のイラストで解説。

  色による選別

  • 体の白いもの大部分白いものは淘汰する。関東では「シラッコ抜き」という。

   商品的名称と品位は
    更紗    白と赤の斑         上
    多赤更紗 赤が多い斑         上
    多白更紗 白の多い更紗       下
    腰白    尾の白いもの        下
    背赤    背部の赤いもの      上
    腹模様   腹部に斑のあるもの    上
    六鱗    体が白、各鰭の赤いもの 上

  鰭による選別
   秋までには3回位は行いたい。

 第17節 金魚の害敵とその防ぎ方
  以下の害敵とその対策を結構詳細に解説してある。
  ※すごいのは野鼡(のねずみ)チフス菌をまく方法

  獣類
   猫、ねずみ、いたち
  鳥類
   かわせみ(翡翠、しょうびん)、ごいさぎの類、こあじさし
  魚類

  • うなぎ、なまず、らいぎょ、その他の魚類(餌を食べてしまうハヤ、オイカワ、クチボソ等)

  昆虫類 近代戦のように空から爆撃を受けるようなものです。

  • げんごろうの類、がむしの類、とんぼの幼虫(やご)、たがめ(カッパ虫)、たいこうち、みずかまきり、こおいむし、まつもむしの類、みずむし(ふうせんむし)

  寄生虫
   うおじらみ(ちょう)、いかりむし

 第18節 金魚の病気と治療
  以下の病気について、症状や治療法を解説。

  • 白点病、白雲病、鰭腐病、鰓腐病、白黴病、気胞病、その他の病気

 第19節 金魚の飼い方いろいろ
  観賞用硝子容器での飼育
   容器で飼える金魚の数
   餌の与え方
   換水
   容器飼いの金魚を長く飼うには

  かめで飼うには
   水換え

  コンクリートの飼育池で飼う場合
  睡蓮池や泉水などでは

 第20節 金魚の観賞用器具

  • ※目次ではありますが、「第19節 金魚の飼い方いろいろ」と兼ねています。

 第21節 金魚の王様「らんちゅう」の一年中の飼い方心得
  1,2月

  • 砂ほこり、煤煙を取り除くため月に一度位、上水をすくい取る。
    餌は暖かい日だけ、嘗める程度与える。
    温かい日中だけ防寒用の上覆いを取り除き日光に当てる。

  3月

  • 少しずつ餌を殖やし、来るべき産卵に備える。
    暖かい日を選んで、汲み置きの水に、古い水を3~4割位入れ水換えをする。
    冬囲いも、中旬過ぎに取り始める。

  4月

  • 餌を充分与える。
    水換えは古い水を2割程度入れて、3,4回行う。
    夕方は簾を全面にかけ、日中は北側半分にし日光をあてる。

  5月

  • 上旬(八十八夜前後)には一番仔を産卵
    気温が上がるので、日中には簾を、上旬は2分、下旬は4分まで覆う。
    産卵用親魚の水換えは新しい水で、その他は古い水を少量加える。

  6月

  • 梅雨期間は水温が下がるので、餌は控えめにする。
    水換えも余り行わない。
    暑さが酷しいので、覆いは6,7分、夜は取り除いて通風をよくする。

  7月

  • 餌を充分与え、成長させる。
    水換えも4,5日位で行う。
    稚魚は色変わりするので、幾分餌を控える。
    日覆も当才魚は5,6分、親魚は7,8分かけ、簾と水面をすかせ風通しよくする。

  8月

  • 7月と同様
    蒸すので、通風に注意する。

  9月

  • 水の温度も、日中と夜間で相当あるので、夜は簾をかける。
    当才魚では雄の成長が鈍く、僅かだが追尾も現れるので雌雄の区別が出来る。
    水換えは古い水を2、3割加える。

  10月

  • 日中は出来るだけ日光にあてる。
    餌は午後3地以降与えない。
    水換えは9月と同じ。

  11月

  • 日中は十分に日に当てる。
    暖かい日には充分餌を与え、冬越しの態勢を整える。
    冬囲いを月末までに完成させる。

  12月

  • 晴天で暖かい日には、ボーフラ、アカコを嘗める程度に与える。
    風のない暖かい日には、10時頃から3時頃まで、日光に直射させ暖める。

2008年9月 3日 (水)

「金魚の飼い方 附・熱帯魚」 木村四郎 その3

本文続き 

第9節 金魚を飼う場所
  部屋の中で飼う場合
   硝子製の容器
   板硝子を用いた容器

  戸外で飼う場合
   金魚がめ

  • 主に愛知県の常滑で生産される。高級なものに「支那がめ」がある。

   木舟

  • 高級な金魚の飼育家に賞用された。材質は杉、檜、椹(さわら)

   セメント作りの箱
   睡蓮池
   泉水

  飼育池を作る場所の選定
  趣味を目的とした飼育池の作り方
   飼育池の大きさ
    配置図と断面図のイラストあり。
    イ、3尺*5尺
    ロ、4尺*6尺
    ハ、4尺5寸*7尺
   排水口

  副業又は専業(営業用)として飼育池の作り方
   池の大きさ
   池の形
   土池の深さ
   池の周囲
   注水口
   排水口

 第10節 金魚と水の関係
  川の水、湖や沼の水、湧き水、井戸水の説明
  どんな水ならよいか
  水と酸素の関係

  • 清水中の酸素の溶解量グラフ(横軸に水温、縦軸に酸素の量CC)

  水中酸素の欠乏の原因と手当

  • 金魚は酸素の量が1m3中0.5CC位になると不安の状態を示し、0.3CC位ともなると窒息して死んでしまう。

  鼻上げの手当(酸素欠乏の手当)

 第11節 金魚と水草
  水草の種類

 第12節 金魚を飼う道具

 第13節 金魚の餌とその与え方
  蛋白質、脂肪、炭水化物、鉱物質、ビタミンの解説

  • ビタミンでAが不足すると抵抗力が弱くなる、Bが不足すると発育不良、Cが不足すると鰓腐病等、Eの不足は繁殖力の低下

  動物性の餌
   ミジンコの解説
   ミジンコを採集するには
   ミジンコを作るには

   ぼうふらの説明
   アカコ(糸ミミズ)の説明
   アカコを採集するには
   アカボーフラとアカコの保存法

  植物性の餌
  餌の調整
  餌のやり方
   趣味的の場合
    切餌(きりえ)と附餌の説明

   営業用の場合

  • 素焼きの烙烙(ほうろく)に穴を開け与える。 ※焙烙の誤植か

  金魚の餌の分量
   水温20度の時、魚の体重の5/100位

 第14節 金魚の遺伝と雑種・変種について

  • 「豌豆」(エンドウ豆)の赤花と白花を交配すると赤花になるのは優性
    「おしろばな」の赤花と白花を交配すると桃色になるのは不完全優性(中間雑種)
    「ちょうせんあさがお」の刺有りと無いものを交配すると両方でる。
    これはモザイック(※モザイク)雑種

    金魚の普通眼は優性で、出目性は劣性
    普通鱗と透明鱗では中間雑種でモザイク状に混在する。(キャリコ)

 第15節 金魚を繁殖させるには
  親魚
   雌は3年乃至5年魚、雄は幾分若くても差し支えない。

  金魚の雄と雌の区分
  金魚の取り扱い方
  採卵前の準備
   雌1尾に対して雄2乃至3尾。採卵前は同じ水に入れない。

  魚巣の準備
  金魚の産卵数
   大体3,000乃至5,000粒ぐらい産む

  産卵のさせ方
  産卵後の親魚の取扱い方

  • 雌雄を別にして1日絶食させる。2回目の産卵は早ければ10日位、遅くとも20日位。

  孵化前の準備

  • 温度変化による孵化のばらつきをなくすため、魚巣が中層になるようにする。

  孵化

  • 20度位で2日で発眼、4日目に孵化。水温と孵化日数の表を掲載。
    孵化後2,3日で泳ぎ出す。これを浮出し或いは浮上するといい、これらを青仔又は毛仔という。
    茹卵の黄味は松井博士の研究によると、金魚の稚魚はこれを消化する酵素を持たないので無駄である。

  稚魚の飼育
  一定面積にどれ位飼えるか
   魚の大きさ別に1m2当たり尾数と1坪当たり尾数の表を掲載  

-----メモ-----
烙=ラク、カク

2008年9月 2日 (火)

「金魚の飼い方 附・熱帯魚」 木村四郎 その2

本文
金魚編
 第1節 金魚という名前の起源
  中国の文献では次のような字が用いられている。

  • 黄(虫鼠)魚、(虫鼠)魚、金鱗、赤鱗、盆魚、火魚、錦鱗、丹魚、銀魚、金魚
    ※()内は一文字だが虫編にねずみのような文字でよくわからない。

    日本では大体金魚という字を用いるが、錦魚、銀魚、珊瑚珠魚(さんごじゅ)、玳瑁魚(たいまい)との文献もある。さんごとたいまい(べっこう)は美しく、珍奇で高価であったことからと思われる。

 第2節 金魚はいつ頃日本へ来たか
  金魚愛玩録の文亀2年と大和本草の元和2年、説がある。

  •  欧州方面へは1600から1700年頃と言われている。またアメリカへ渡ったのは1878年頃アンメンという将軍が持っていったのが始めてらしい。

 第3節 金魚の流行史

  • 徳川2代将軍秀忠の時代に盛んに輸入され、上層階級の愛玩物になり、一般民衆へも普及していった。

    元禄7年の町触れで金魚を取り上げ相州(神奈川)藤沢の遊行寺に放した受難時代があった。

    明治維新に再度一般にこの趣味が普及し、この時代「らんちゅう」などは現代のような形になり、明治18年には観魚会の第1回品評会が開かれている。

    地錦(孔雀)は尾張藩士の間で流行し明治8年には六地蔵尊の境内で品評会が開かれた。

    第2次大戦と昭和22年の関東を襲った大水害で再度受難期があった。

    昭和25年ごろから急速に復活し、昭和32年においては70%位の復活の状態である。

 第4節 金魚に関する文献
  江戸時代の文献が13冊、中国の文献が4冊、紹介されている。

 第5節 金魚飼育の現況

  • 昭和9,13、25~30年の農林省統計で養殖面積(色鯉を含む)と収穫量を掲載。

 第6節 金魚の形態
  魚網 - 硬骨魚類 - 骨鰾類 - 鯉科
  金魚の外形

  • 頭部として、ししがしら、ときん(兜巾)、おかめ、の説明
    口、眼、胴部・鱗、鰭、消化器、呼吸器、心臓、鰾(うきぶくろ事)、運動について解説。

 第7節 金魚の種類

  • わきん(和金)
    りゅうきん(琉金、琉錦) 鮒尾の長いものは「ふきながし」と呼ぶ。

    でめきん(出目金) 明治28年に渡来、支那金とも呼ぶ。
    くろでめきん(黒出目金)、あかでめきん(赤出目金)、キャリコ出目金

    ちょうてんがん(頂天眼) はじめは出目金のように横を向くが育つにつれ上を向く。他に「でめらんちゅう」、「でめしゅうきん」などがある。

    らんちゅう(卵螽、金(魚壽)、蘭(魚壽)) ※魚編に壽で一文字
    おおさからんちゅう(大阪らんちゅう) 頭部に肉瘤がない。

    なんきん(南京) 出雲地方で飼育される。
    オランダししがしら(和蘭獅子頭) 相当に古くから渡来。

    ぢきん(地錦) 別名を孔雀地金魚、地王(じおう)、しゃち、名古屋金魚、六鱗、愛金(あいきん)。東京に移入された頃「孔雀」と命名。
    「愛錦」は昭和3年の三河金魚競泳会の折りに愛知県特産という意味で命名され、「地王」は愛錦家、牧田屋孫兵衛が十王堂の付近に居住していたからと言われている。

    とさきん(土佐金)
    つがるにしき(津軽錦) 完全褪色するのに2~3年要する。歴史がある。
    しゅうきん(秋金) 「らんちゅう」と「オランダししがしら」の交配淘汰。

    やまがたきんぎょ(山形金魚) 「りゅうきん」の「吹き流し」の退化型とも見られる。
    しゅぶんきん(朱文金) 「三色出目金」と「わきん」との交配。

    キャリコ 「三色出目金」と「りゅうきん」との交配で先代の秋山吉五郎が作った。
    あずまにしき(東錦) 一名「キャリコオランダししがしら」で「三色出目金」と「おらんだししがしら」との交配。

    ひろにしき(弘錦) 「つがるにしき」と「らんちゅう」との交配。
    わとうない(和唐内) 「わきん」と「りゅうきん」の交配。別名「わりゅう(和琉)」
    きんらんし(金蘭子) 「わきん」と「らんちゅう」の交配で和金の背びれがないもの。

    てつおなが(鉄尾長) 「りゅうきん」と同じだが色が変わらない。
    てつぎょ(鉄魚)野生の金魚と言われている。「りゅうきん」と「ふな」で雑種を作ると「てつぎょ」と同様のものが出来る。

    コメット
    ひぶな(緋鮒)鮒尾の和金。自然産のものがある。

 第8節 金魚の習性

  • 要約して言うならば「金魚は温暖な溜り水を好む雑食性の淡水魚である」

  金魚の生長
   理想に近い飼育で1年で
    らんちゅう       7~8糎(※cm)
    りゅうきん       7糎前後
    わきん         10糎前後
    でめきん        6糎前後
    おらんだししがしら 8~9糎

   最も大きな記録として
    おらんだししがしら 6年生 32糎
    りゅうきん      5年生 29糎
    らんちゅう      4年生 13糎
    じきん         5年生 18糎

  金魚の寿命

  • わきん 普通7、8年で大体10年位、条件が適当であれば20年以上
    らんちゅう 精々6、7年。昔は17、18年から20年も生きた
    おらんだししがしら 奈良県下で22年、東京で25年の記録がある。

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