「神戸の淡水魚」 大前泰男 その3
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※稀少魚種の場合、特定できる河川・地名等は伏せました。
第3節 澱みを好む魚 11種
17,ヒガイ(コイ科)
- タナゴのように淡水二枚貝に産卵する。しかし、二枚貝がないときは小石の下などに産卵する場合もある。神戸市内では二枚貝がないのに繁殖しているよい例である。
- 市内では1河川の中流にすむ。ここにはブラックバスも多数すんでおり、脅威にさらされている。
18,タモロコ(コイ科)
- 川の下流や池・用水路など、水の濁った流れのゆるやかな所のすんでいる。
ホンモロコに似るが体がやや太く円味をおびてずんぐりしている。
明石川やその付近に普通に生息している。
19,モツゴ(コイ科)
- クチボソとも呼ばれる。口ひげはない。
川の下流や平野の池や沼にすみ、流れのない泥底を好む。
北区や西区の水の汚れの目立つ川や池に多数生息する。
20,コイ(コイ科)
- 野生種と飼育品種との交雑もすすみ、判別できない個体もふえている。
神戸市内では、各地の池に釣り用として放流されている。
21,ゲンゴロウブナ(コイ科)
- もともとは琵琶湖だけに生息していた植物プランクトン食のフナである。
ヘラブナと呼ばれ、釣りの対象魚として人気が高い。
神戸市内でも釣り用に各地の池に放流されている。
北区ではギンブナとの交雑種らいいものが多数混じっていた。
22,ギンブナ(コイ科)
- 雄の数が極端に少なく、コイ・ドジョウなど他種の精子を刺激剤として、人工処女生殖を起こさせることができるらしい。
神戸市内の各地の川や池に普通に生息している。
23,ヤリタナゴ(コイ科)
- 川が平野部をゆっくり流れるところや用水路にすむ。藻類を主に食べるが雑食性で、イトミミズやミジンコなどの動物食も喜んで食べる。
神戸市内では1河川の下流に生息している。ここはタイリクバラタナゴも混じる。
24,アブラボテ(コイ科)
- ボテジャコの愛称で、食用にもされず、獲れても喜ばれずの不遇な魚だったが、最近はめっきり姿を消した。
神戸市内では1河川に生息する。以前は捨てられるぐらい多数獲れたが最近は著しく減ってきた。
25,ドジョウ(ドジョウ科)
- 流れのほとんどない泥底を好み、底生藻類やその分解物を泥土とともに吸いこんで食べる。
市内では明石川をはじめ、池や水田でときどき見られるが、最近その数が少なくなってきている。
生田川や都賀川にもすむが、放流の生き残りかもしれない。
26,マナマズ(ナマズ科)
- 魚のくせに鱗がない。
神戸市内では明石川や点在する池などに多く生息している。
27,メダカ(メダカ科)
- 全国的に減少してきているが、知名度は最も高く、身近にいないのによく親しまれている。
明石川水系を中心に、まだ広い範囲にすんでいる。
メダカの産卵を2ページにわたり写真とイラストで説明。
第4節 汽水にすむ魚 5種
28,ウナギ(ウナギ科)
- 主に夜間活動し、昼間は砂にもぐっているか岩かげに潜んでいる。
神戸市内では海から遡ってきた20cm前後の稚ウナギを河口付近で時々見かける。
29,ボラ(ボラ科)
- 出世魚といわれ、全長4cmまでをハク、4~18cmをオボコ、18~30cmをイナ、30cmを越すとボラという。さらに40cm以上に成長したのはトドと呼ばれる。
稚魚は河口に多数群れ、石についた藻類を食べている。
神戸市内でも明石川や都賀川などの河口付近から下流にかけて見かける。
30,カワアナゴ(ハゼ科)
- 川の下流から、汽水域にかけてすみ、水の流れのゆるい泥底を好む。ふ化した仔魚は、海に下って遊泳生活を送る。
市内の1河川の下流でたまにとれることがある。
31,ゴクラクハゼ(ハゼ科)
- ヨシノボリによく似ているが、ほほに複雑なミミズ状斑があることや、腹の吸盤が縦長でヨシノボリほど吸着力が強くない点、体の側面、縦一列に青く光る点斑があることで区別される。
主に河口付近から川の下流に生息するが、中には湖や池で一生を過ごすものがある。
水槽では、吸盤が強くないので底にいる事が多い。
神戸市内の池にいる。この池は今では魚のすめない川と細々とつながっている。
32,ミミズハゼ(ハゼ科)
- ウナギより頭が平らたくて、つぶれたようになっていて別名「あたまひしゃげ」と呼ばれる。
主に河口から汽水域に入り、小石混じりの場所を好む。
神戸市内では1河川で多く獲れる。
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