« 「神戸の淡水魚」 大前泰男 神戸市立教育研究所編 昭和63年 | トップページ | 「神戸の淡水魚」 大前泰男 その3 »

2008年8月23日 (土)

「神戸の淡水魚」 大前泰男 その2

表紙
カワムツ


オオクチバス

魚の各部の名前とはかり方
 イラストで説明

魚の模様とすじ
 間違えやすい縦条、横帯をイラストで説明

川の瀬と淵をイラストで説明

本文
第1章 神戸の淡水魚
 はじめに

  • ・・・・・清流魚が減っていくことは、水が悪化しつつあることを彼らが告げているのです。・・・・。

本文での構成は左ページに生体写真と説明で、説明は和名、科名、一般的な解説、日本での分布、学名となっている。
右ページは1/50,000の地形図に生息場所を赤でプロットし、生息河川の写真、市内での生息状況の説明となっている。

※稀少魚種の場合、特定できる地名等は伏せました。

 第1節 清流を好む魚  7種
  1,アマゴ(サケ科)

  • 神戸市内のアマゴの放流は、住吉川、生田川で行われている。住吉川の上流に放流されたものは、この川に定着している。生田川では定着しているかどうかはわからない。

    アマゴの住む場所は、かつて新聞に公表されたが、その直後、心ない人によって取り尽くされてしまったことがあった。

  2,アユ(キュウリウオ科)

  • 生田川や都賀川でその姿を見かける。

  3,タカハヤ(コイ科)

  • アブラハヤに似ているが、タカハヤは尾柄が太く、体色が茶かっ色であることで区別される。水槽で飼ってみると、アブラハヤの方がスマートである。

    六甲山地の川や山あいの池にすんでいる。住吉川にもすんでいる。

  4,カワムツ(コイ科)

  • 別名「アカムツ」と呼ばれる。白焼きより唐揚げがおいしい。
    明石川のような平野を流れる場所より、山あいを流れる所に好んですむ。

  5,ムギツク(コイ科)

  • やや下向きの姿勢で泳ぎ、ちょうど麦をついている格好に似ているので名付けられた。付け焼きがうまい。
    市内の川の一部で見つかっている。

  6,アカザ(ギギ科)

  • 水質が悪くなるといなくなるので、自然度判定のよい生物指標種になされている。
    背びれ、胸びれ毒の棘をもつ。

    神戸市内に生息している。

  7,オヤニラミ(スズキ科)

  • いわゆる淡水魚マニアの中では人気の高い魚である。
    えらぶた後方に、目と同じような斑紋があり、「四つ目」というあだ名もここからついている。

    市内の川の貯水池付近にすんでいるが、これは放流されたものである。
    しかし流れ込みの所にブラックバスがいる。

    オヤニラミの習性と採集
     ※採集圧防止のため省略。

 第2節 平瀬に多い魚  9種
  8,オイカワ(コイ科)

  • 水槽で飼育すると酸素欠乏で死ぬことがよくある。
    神戸市内のほどんどの河川にすんでいる。

  9,カマツカ(コイ科)

  • 西区と北区の河川にすむ。浅い川では、8月カマツカの仔魚が砂底にたくさん生息しているのが確認できる。

  10,イトモロコ(コイ科)

  • 川の中流から下流の流れのゆるやかな底の方に好んですむ。
    神戸市では、わずかに1河川の一部で見つかっているだけである。

  11,スジシマドジョウ(ドジョウ科)

  • 小型ながらスマートで美しく、ひれがとがっていて泳ぎも素早い。驚いたときに砂底によく潜る。
    神戸市内の1河川に生息している。河川改修や宅地開発などで水がよごれ数は著しく減少した。

  12,シマドジョウ(ドジョウ科)

  • スジシマドジョウによく似るが、シマドジョウは体側の縦すじが点列型でスジシマドジョウは連続線になっているので区別できる。砂の中に潜るのはスジシマドジョウほど上手くない。
    雌は雄より大形になり、産卵期は4~6月。
    神戸市内では1河川に生息している。たくさんはいない。

  13,ハゲギギ(ギギ科)

  • 岩かげや石の下にひそんでいる。水槽内では、同じぐらい大きさの魚を殺してしまうことがある。
    胸ひれの棘は大きく、刺されると激しい痛みを味わう。

    市内では明石川、淡河川(おおご)、武庫川に広く生息する。食物連鎖の頂点に立つ魚である。

  14,ドンコ(ハゼ科)

  • 小石や砂の多い所を好む。湖や池にも生息する。
    神戸では明石川、淡河川、志染川など市内の各河川に生息している。

    ドンコの産卵
    写真と過程が2ページにわたり解説されている。
    親は時々鳴き声を出す。鳴き声は2種類あって、「グーーーッ」と長くのばすのと、「グーッグーッグーッグーッ」と短く切って鳴くときがある。
    卵を保護している夜間、毎日のようにその声が聞こえてくる。

  15,ヨシノボリ(ハゼ科)

  • 日本全国の河川や湖沼に最もポピュラーに分布するハゼの一種である。湖沼陸封的なものから、川と海を往復する両側回遊的なものまである。

    神戸市内でも各地に広く分布している。武庫川では10cmをこえるヨシノボリがいる。池にすむものは矮小化下ものが多い。

    ヨシノボリの型
    流域によるすみ分け、体の斑紋などに違いがあり、いろいろな型に分けられる。
    横斑型、黒色型、るり型、黒色大型、橙色型(とうしょく)
    神戸市内のヨシノボリは橙色型である。

  16,カワヨシノボリ(ハゼ科)

  • 河川の中流から上流にかけてすみ、れき底に好んですむ。本種は一生を淡水でおくる。
    ヨシノボリとの区別は、胸びれ条数が15~17本でヨシノボリの19~22本と比べて少ないのと、卵が大きいことで区別される。

    神戸市内では山あいを流れる川の上流に多く生息する。生田川でも、杣谷(そまだに)でも、石楠花谷でも、六甲山を源とする流れのある所はどこにでもいる。

    カワヨシノボリの産卵図
     1ページにイラストで説明

    カワヨシノボリの教材化
    産卵が容易なことなどで小学校の「魚の産卵」の教材の素材として利用できる。
    メダカと比較した表を掲載。形態、雌雄の見分け方、産卵ふ化、成熟年月、寿命

    メダカと比べて特徴的な点は
    • 1,全長が大きいので観察しやすい。
      2,雌雄の見分けが容易。第一背びれの大きさがはっきり違う。
      3,産卵・ふ化は難しいが観察しやすい。メダカの卵の6倍。守る姿が情操教育となる。
      4,魅力ある生態。なわばり、石の下の巣作り。
      5,神戸市内での分布域はヨシノボリを加えるとメダカより広い。

« 「神戸の淡水魚」 大前泰男 神戸市立教育研究所編 昭和63年 | トップページ | 「神戸の淡水魚」 大前泰男 その3 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 「神戸の淡水魚」 大前泰男 神戸市立教育研究所編 昭和63年 | トップページ | 「神戸の淡水魚」 大前泰男 その3 »

ブログ村

  • にほんブログ村 観賞魚ブログ 熱帯魚へ
無料ブログはココログ