「神戸の淡水魚」 大前泰男 その5
本文続き
※稀少魚種の場合、特定できる河川・地名等は伏せました。
第2章 神戸の外来魚
- 外国の魚が、日本の自然の中にすみつくのは、種類が増えて、習性の異なる魚が混じり、自然がある面で豊になることは事実だと思う。
しかし、そのために今までそこにすんでいた魚たちが少なからず影響を受けていることも事実だと思う。
写真解説で
オオクチバス → オイカワ
タイリクバラタナゴ → ニホンバラタナゴ
カダヤシ → メダカ
第3章 ボテジャコ今昔
- ボテジャコと呼ばれる魚がいる。主にタナゴ類(主にアブラボテ)を呼ぶときの呼び名である。
須磨区の小川(側溝)には多数泳いでいたがすっかり住宅街に変わってしまっている。北区の池でも、かつては多数の二枚貝とアブラボテがとれたが、それもうそみたいに変わりつつある。
現代ではとって(釣って)捨てられる魚といえばブルーギルといえるだろうか。
第4章 フィールドへ出かけよう
持ち物と服装がイラストで紹介。
持ち物
- 地図、ノートと鉛筆、ビニール袋、輪ゴム、雨具、水筒、タオル、魚の入れ物、エアーポンプ
魚をとる道具
もんどり(セルビン)、手網、サデ網
- 魚を持ち帰るときは夏場特に気を付けたい。オイカワは特に弱いので、はじめにアイスパックを入れて水を冷やして持って帰ると、生きていることが多い。
明石川へ採集にいこう
- 2箇所写真入りで特定できる場所、採集できる魚種を紹介している。
住吉川へ採集にいこう
- ここも2箇所写真入りで特定できる場所、採集できる魚種を紹介している。
第5章 神戸の淡水魚を飼育しよう
用意する物をイラストで紹介
飼育法をエサ、酸素、光について解説
飼育の難しい魚について
- 冷水を好むアカザやタカハヤは夏場30度を超えると弱るので難しくなる。
オイカワは酸素を多く消費するので、エアーレイションは強めにすることが大切。
オヤニラミは激しく争うので、一匹飼いが一番よい。
第6章 放流魚について
- 身近な川に渓流魚がすむことで住環境の良さが味わえたり、子供たちが水に濡れながら大喜びで魚を追いかけ自然の中ですごす意義も大きいといえる。
しかし、水があれば魚は喜ぶというものではない。やはり放流の基準はその場所で繁殖できることと、他の魚への影響を考えて放したいものである。
第7章 むすびにかえて
「神戸の淡水魚に未来はあるのか」
- 河川改修とブラックバス問題を取り上げ、実は魚の問題だけでなく、私達の問題でもあるとしている。そして魚とともに人間に未来がありたいと願うのは私の強い希望である。と結んでいる。
第8章 神戸の淡水魚生息地域別一覧表
- 神戸市内の河川と運河名を横軸に、縦軸に先に紹介した37種の魚種名を書いて、河川ごとの生息している魚種がわかる表になっている。
第9章 分布図
- イラスト風の地図に河川が書かれ、流程にそって生息魚種名が引き出しで記入されている。これを4ページにわたり記載。
参考文献
目次にはないが参考文献が20載せてある。
※古書を購入するとき非常に参考になる。
第10章 あとがき
- 川や池の様子が変わり、そこにすむ魚たちも年月とともに変わっていくのはある程度自然であり、やむを得ない。
人の手によって環境の悪化を招き、そこにすむ魚たちが一時的に減少しても、自然の浄化力と人々の努力によってフィードバックされていく。
あの琵琶湖でさえ50種あまりの生息数であり、神戸の自然はまだまだ捨てたものではない。(前段で神戸は37種と言っている)
神戸の豊かな自然をこれからも残すために神戸の市民はもっと神戸の河川に目を向けて愛着をもってもいいのではないだろうか。
裏表紙の写真はムギツク
これでこの本の紹介を終わります。
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