「支那の淡水魚」 その3
7,魚の説明 ※中国の字がないので魚偏の字は(魚?)の2文字で表しています。
象か天狗の白(魚尋) ※魚偏に尋ねる
- 日本名ハシナガチョウザメ、ヘラチョウザメ。今は北アメリカのミシシッピー河と黄河、揚子江のみに産する。揚子江でも上流に行かねば余り捕れぬ。四川省では目が小さく、吻が長いから象魚と呼ぶ。
支那では鮪魚、王鮪、碧魚等の名がある。
皇帝の魚
- 所謂チョウザメで、黄(魚尋)※とも言う。又の名は鰉である。清朝までは皇帝に献上されていた。鰉の字は日本では琵琶湖付近で獲れるヒガイを呼ぶのに使われる。
チョウザメの名はこの他に、皮の光沢や歯型の鱗がカサブタに似て所から瘤魚、又黄魚、王版魚。
国粋黨の鮎
鳥の化けた(魚齋)魚 ※魚偏に齋
- (魚齋)魚とは九州有明湾に産するエツに似ている魚で特にシナエツと呼ぶ魚である。
春に姿を現す(魚時)魚 ※魚偏に時
- 有明湾のヒラコノシロに似ている。
川どりは海育ち
鞋底魚その他
- ウシノシタ一般にはシタビラメの事、又ハゼの類は弾塗魚。
太公望の釣針魚
- サヨリの事。
喰い残しの銀魚
- シラウオ(白魚)の事。支那で白魚と書く魚は別物。
川畔でフグ料理
床の置物紫扁魚
- 四川省では形と色が昔支那の大官の儀式服である袍に似ているので鐘袍魚とも呼ぶし岩梨把とも呼ぶ。(※エンツイユの事。)
小皿になる鯉の鱗
- 流石の支那でも鯉だけはどこでも鯉魚である。ただし色から云って、黒鯉、蒼鯉、金鯉等がある。揚子江産のものは黄河産のより黒色が多い。
なりかけ鮒に腹黒タナゴ
- フナは魚即魚(※魚偏に即)、鮒魚が古体である。(魚即)※とは泳行するに相即いて(ついて)行くからで、鮒とは相附いて(ついて)いるからだと言う。
タナゴ又はカワタナゴは膨皮、(魚旁)(魚比)(※魚偏に旁、魚偏に比)、(魚節)魚(※魚偏に節)と言う。即ち櫛の化物だ。
異名に妾魚、婢魚と言うは、タナゴの行動は3尾1群になっていて、前に1尾、後に2尾続いて行く有様が妾と婢の様だからと言う。
低脳らしい尖口魚 附 雀膳
- 尖口魚は頭が体に比して恐ろしく長く、口が其の前端に小さく附いている。揚子江の中流でとれ、3~4尺になり、体は細長く色合いも鱒に似ている。一名杵魚とも言う。
吻の尖ったのには他に雀膳と云う魚がある。学名をレピドステウスと言う。元来北米にしか産せぬのだが、名と書のある以上支那にも棲むだろう。
物凄い奥歯の草魚
- 一名(魚完)魚(※魚偏に完)と言う。またサウヒーとも云う。
咽頭に棘のささった時、此の魚を酒にとかして汁を呑めば吐くと物の本にある。
サバ、マスでない鯖と鱒
- 支那本土では鯉科の川産の魚に用いる。鯖は一名青魚で鯉に似て鱗が青味を帯びている。
鱒は目玉が腐れかかった鰯の様に赤いので一名赤眼魚、又は(魚必)魚(※魚偏に必)。
サバそっくりの魚は(魚咸)(※魚偏に咸)、竿魚、竹魚という魚。
妾魚の(魚扁)魚 ※魚偏に扁
- 体が恐ろしく扁平のくせに丈が高い。菱形であるから魴魚とも云う。(※ダントウホウのことかも)
目のヤニ下がった(魚連)魚 ※魚偏に連 レンギョ
- レンギョと呼ぶ魚には2種あって、背中の黒い黒(魚連)と花(魚連)、白(魚連)、(魚興)と呼ぶもので体色幾分黄色を帯びている。(魚興)は日本ではタナゴに用いる。
-----メモ-----
黨=トウ、褞袍=どてら
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