「支那の淡水魚」 その2
1,支那の川
流域から支那を大体分けてみると
満州 アムール河流域 黒龍江、遼河、松花江
北支 黄河流域 白河
中支 揚子江流域 准河
南支 珠河流域
内支 蒙古、西域地方
2,支那の魚の重要さ
- 大河では単に流程が長いばかりでなく、急流、緩流あり、又深く或いは浅く、途中に膨らみを作り、清水、濁水の変化有り、更に底質も岩、礫、砂、泥など多くの種類があり、高山地方では寒冷の清水であるが其の下流は非常に熱い所がある。
故にこれらの河川に棲む魚は甚だ多種である。
- 次に支那の大河の魚類は地質学的とか地理学的とかに非常に面白い。
黄河、揚子江に産する特殊の魚で北アメリカのミシシッピー河に棲むものがある。(※ヘラチョウザメの事か)
しかも世界中で以上の場所しか居らぬ之から考えると是等の河は今こそ、淡水的には関係は無いが遠い昔にはやはり関係連絡があったと思う。
3,支那の淡水魚の分布
- 支那の中部、黄河、揚子江等はアムール水系のもの、中央亜細亜系のもの、又南の方では印度、馬来半島(マレー)方面の淡水魚も移って来ていると思われる。
従ってここに棲む魚は甚だ多く、多種多様な訳である。
4,魚の作り変へ
- 飼養の歴史が古ければ古い程品種の数が殖えて来る。
陶朱公は2400年前に「養魚経」なる書物を著して、主に鯉の飼い方に就いて実地指南を垂れて居る。
野生と変わった品種であるが、東洋人の思想が実利の考えを放れて、好奇と言う点に向かっていることを示し、同じ鯉でも東洋では色の珍しいもの、美しいものを作るが、西洋特にドイツになると実用的で骨の少ない、鱗の無い鯉等をつくる。
5,魚の研究略史
- 支那の淡水魚の研究は、ロシア、オランダ、英国、ドイツ、フランス、スエーデンの順に科学的に研究を始め、最近米国、日本、支那がその歩を進めている。
6,支那の魚の特徴
- 魚の形が大きくなるものは非常に大きくなっている。日本の川魚等では見られぬ大きさとなる。
濁った水に棲むので目が小さく、髭のある魚が多い。
« 「支那の淡水魚」 雨宮育作、木村重共著 東亜研究会 昭和6年 | トップページ | 「支那の淡水魚」 その3 »
コメント