「金魚の飼い方」 中村中六 その2
第2章 金魚の品種
1,和金
- 大和とも言われ、白は低級品とされる。
琉金との中間種で体型は和金、鰭は琉金に似て尾が長いものは和唐内又は和流と呼ばれる。
更に背鰭のないものは金襴子(らんは金偏)と呼ばれる。
2,琉金
- フナ尾のものは吹き流しと呼ばれる。
3,ランチュー
- 大阪ランチューは頭部に肉瘤が出ず、尾も三つ尾の平付けである。
なんきんは島根県だけで飼育されるが、肉瘤がなく更紗で六鱗が標準とされる。
4,出目金
- 明治28年に広東より輸入されたものと言われている。
眼球の突出は孵化後1~2ヶ月より次第に始まる。
赤出目金、黒出目金、三色出目金
5,地錦
- 愛知県下で飼育されている金魚で六鱗、地王、孔雀とも言われる。
6,頂天眼
- 明治35年頃中国より輸入されたが全滅し、その後再三輸入されている。
7,オランダシシガシラ
- 肉瘤は頭頂に厚く両頬に少ない。所謂兜巾頭(ときんがしら)である。
本種に似て鼻孔褶(しゅう)が特別に肥大した「はなふさ」という金魚が50~60年前に伊勢地方にあったと言われるが、現今不明である。
8,秋錦
- ランチューとオランダシシガシラとの交配によって秋山吉五郎氏が作出した。
青森地方にこれに似た津軽錦と呼ばれる品種がある。
9,東錦
- 三色出目金とオランダシシガシラの交配によって出来たもので、もとは「キャリコおらんだ」とも言われた。
10,朱文金
- 秋山吉五郎氏が三色出目金とフナ尾の和金及びヒブナとの3種を混合、自由交配させて得たものの内で、モザイク鱗性、雑色でフナ尾が長いものに命名された。
第3章 金魚の繁殖と採卵の仕方
第1節 親魚と卵
1,親魚
雌は3才以上5才位、雄はそれより1年位若いもの
2,産卵期
春で水温18~20度位が最適。
3,金魚の雌雄差
- 雌の生殖口は円形に近くてやや突出しているが、雄はやや長く楕円形である。また、雄には追星が出る。
4,産卵数
数百乃至五千粒位までである。
5,卵の大きさ、孵化日数
- 直径0.7mm前後である。
松井氏(佳一のことか)が恒温槽を用いて実験した。
9.8度→孵化セズ、12.5度→14.5日、14度→10日、17度→7日、19度→5日、21度→4日、24度→3.2日、25度→3日、27度→36日、30度→2日
第2節 採卵の準備と産卵
1,親魚の飼育
- 雌雄別々に飼っておく。その時他の品種と混養しないことが必要。
2,前日の準備、特に魚巣について
- 新しい温い水をはって魚巣を入れ、雌1尾に対し雄2~3尾の割りで放養する。
魚巣は水面少し下に垂れる様ににする。これを縦巣と呼ぶ。卵が散らばるので無駄にしないよう縦巣の下に池面に平らに並べる魚巣を敷巣という。
3,産卵及びその後の処置
- 大抵、組み合わせた翌日の午前中に産卵する。産卵池は汚れるので魚巣を他へ移す方がいい。
4,孵化と最初の餌付け
- 水温の変化をなるべく防ぐ。孵化後2~3日すると突発的に泳ぎ出ては他の所へ落ちつくという動作をし、段々水中を泳ぐことが多くなる。これを「腰をきる」と言う。
最初の餌としてミジンコの篩ったものを与える。篩わないと大小不揃いになる。
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