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2008年6月26日 (木)

「金魚の飼い方」 中村中六 その5

第8章 趣味の会と金魚の観賞

  • 各地に金魚の会がある。
    東京では明治17年頃よりこの種の集まりがあり、明治33年観魚会という会になって以来60余年続いている。
    東海地方では明治45年に愛友舎という名で始まり大正始めに愛友会となり、その後名古屋を中心とする金魚文化連合会、三河を中心とする東海愛錦会がある。
    大阪には錦蘭会、郡山には錦寿会がある。

 第1節 ランチューの見所
  1,頭(かしら)

  • 吻長即ち眼先が長く、頭の巾が横に広いのが良い。肉瘤は万遍なく十分よく出たものは「獅子頭」と呼ばれる。
    頭頂に高く盛り上がったものは「兜巾頭(ときんがしら)」、眼の下の頬肉と鰓蓋部に著しく発達したものは「おかめ」、鰓蓋に特に多くつくものを「髭張り」、吻端両側に角の様に出たものを「龍頭(たつがしら)」と呼ぶ。

  2,背と尾筒(背成り)

  • 胴の部分の背面が広く平らで尾筒に至る巾広く太くいかにも力強いものが良い。
    ※腰高、雁首、背だるみ、しゃくれ、とめ瘤というような用語解説とイラストが載っています。

  3,腹

  • 腹の形は上から見て将棋の駒のように安定感のあるものが良い。

  4,尾

  • 尾鰭は左右相称が第一である。片張り、片落ち、付け違いはいけない
    尾肩の張り、つまり尾鰭の開き具合いである。尾肩の張りは尾皿のよく発達しているかで決まる。
    尾皿というのは尾鰭の基部にぐるっと取り巻いている鱗の群を言う。
    ※しやらい、まくれ、びりという用語と解説有り。
    尾芯について突込み、さし、袋尾、つまみ尾、えび、いかりという用語解説とイラスト有り。

  5,その他の鰭

  • 臀鰭は揖鰭(かじ)といわれ、それ程やかましくない。きれいに揃ったものは少ない。胸鰭、腹鰭は問題になる事は少ない。

  6,姿勢

  • 静止している時は左右どちらにも傾かず、頭部を僅かに下げているのが良い。
    金魚の鑑賞はその泳ぎ出し大事とされ、静かに滑り出す所が良い。

 第2節 地錦の見所
  1,六鱗の体色

  • 口の周りと5カ所の鰭全部が赤でそれ以外白、それに鰓蓋の縁りに僅かに赤が弧状に残るのが最も良い。これは人工調色で作る。
    昔は側線より下は赤、所謂「背抜け更紗」が普通であった。また、鰓蓋の部分を赤く残したものは「奴」、「両奴」といわれ以前は標準であった。
    背鰭は基部の方は白く洗っても先が赤ければいい。

    調色は水温が低い時に行う。1~2日絶食後に行う。褪色が半分に達したときに行う。終了したら別の容器に蓋入れ温度が上がらないよう、また安静にするため蓋をする。
    鰭が赤く変わり、体の鱗が再生して段々白くなってくるまでには10日乃至2週間ぐらいかかる。

  2,尾

  • 尾鰭は孔雀尾で短くて先端が丸味を帯びた4片が体軸に略垂直について、後ろから見ると見事にX字状をして、その中心部から下に盤状をした尾皿の一群の小鱗が見られる。
    孔雀尾は遺伝である。

    尾芯を段々持ち上げると同時に上の割れ目が広がるので、左右の上下両葉はどちらも垂直に立ちようになる。これを「ひきを立てる」と言う。
    左右の上葉の割れ目の形によって区別すると笹破型将棋頭型に分けられる。
    さらに泳ぐときはこれがなびいて左右の下葉の先端が軽くふれ合う、これを「はふが合う」と言うが、その点が大事である。
    普通の四つ尾の様に伏せているものは「蠅たたき」と呼ばれ悪い例である。

  3,体付き

  • 寸がつまって太い感じが良い。今では丸い地錦は見られず、長手に変わっている。
    背中の曲線は浅い櫛の背型が良い。飼うときの水深と関係があるらしい

  4,尾鰭

  • 地錦では揖鰭はやかましい。1枚は駄目で2枚鰭がきれいに平行しているのが好い。

  5,鰓蓋

  • 良くしまっていなければいけない。深い水で飼うと鰓蓋の上部が空いて見苦しくなる。

 第3節 その他の金魚の見所
  オランダシシガシラ

  • 必ず四つ尾でなければいけない。肉瘤は所謂兜巾頭である。

  東錦

  • 体色の雑色の美しさが見所であって藍の勝ったものが喜ばれ、赤の多いものは好ましくない。

  琉錦

  • 背が高く、腹部の膨らみが十分あって、尾鰭が長く柔らかである事が必要。色は更紗が一番で次に赤、白はいけない。

  出目金

  • 眼が左右不相称のものはいけない。

  朱文金

  • 尾が長い程喜ばれ、色は赤、黄、青、白が平均して分布しているものが好く、黄色の多い者は好くない。

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