「金魚の飼い方」附熱帯魚の飼い方 中村中六 泰文館 昭和30年
「金魚の飼い方」附熱帯魚の飼い方 中村中六 泰文館 昭和30年5月18日発行 200円 219ページ B6版
著者は当時東京大学助教授で附属の水産実験所勤務だったとの事です。
この本の特徴は、字が大きくて読みやすいです。また、金魚だけでなく熱帯魚についても併記されていることだと思います。因みに158ページから219ページまでが熱帯魚の飼い方となっています。
また、目次の最後に本文中で使用した図と表の一覧ページを載せているのが親切です。ただ紙質が悪いのが難点かな。
構成
扉
序
目次
本文
第1章 金魚の外形上特徴となる諸点の説明
第2章 金魚の品種
第3章 金魚の繁殖と採卵の仕方
第4章 金魚の飼い方
第5章 餌について
第6章 金魚の取扱い方、輸送方法
第7章 金魚の病気とその手当
第8章 趣味の会と金魚の観賞
第9章 金魚の輸出について
附 熱帯魚の飼い方
序 ※要約です。
金魚を身近に置いて朝夕眺めて楽しむ事の出来るのは平和な時代に生きえる者の特権の一つと言える。(※戦時中の状況からということ)
さて、金魚を飼ってみて永いことうまく飼いあげる人がどの位いるであろうか。
金魚を飼いたくても適当な参考書がないという事はまことに惜しいと思うので、乞われるままに本書を執筆した次第である。
本文 ※自分のメモ書き程度に抜粋です。
第1章 金魚の外形上特徴となる諸点の説明
第1節 各部の名称
- 図で各鰭の名称、長さの取り方を説明。
品種によって大体その形は定まっている。その体形は体長と体高の比で正確に表されるもので、和金では2.1~2.7位、琉金では1.3~1.8位である。
第2節 鰭
- 背鰭 ランチュー(ランチュウ)より採卵した仔に背鰭が現れる率は、昭和の初め頃で40%ぐらいと言われていたが、今では一腹の中に数十尾程度のようである。
地錦では第一条の先端が洗われていない(赤く残っている)事が必須条件とされる。
- 臀鰭 臀鰭は楫鰭(かじびれ)とも言われる。これが尾鰭より外にのぞいているのは出楫と言って見苦しい。
第3節 鱗と体色
- 黒色素細胞、黄色素細胞、紅色素細胞の分布により特有の色を呈する。グアニンを多く含んだ虹彩細胞によって鱗は不透明となり、金属光沢を発する。透明鱗はこれが欠乏している。ほんの少し有るものを網透明鱗という。
尾鰭の先まで全部赤いものは特に「猩々」、赤白斑は「更紗」、鱗の基部が赤で縁が白の場合は「小豆更紗」と呼ばれる。
各部位の色合いでは、口辺と各鰭を赤く残したものは「六鱗」、尾鰭のもとに三つの赤斑があると「三つ星」、頭部の全部赤いものは「面被り」、頭部に白い部分があるものを「まど」、左右の鰓蓋だけ赤いものを「両奴」、目縁の赤いものを「目赤」と言う。
第4節 褪色現象
- フナ色から赤に変わる現象で、一般に「はげ」と呼ばれる。
一度出た赤味が消えて白くなることを「洗う」と言う。
褪色前に黒い水槽で飼うと赤になり易く、白い水槽では白くなり易いことが実験で確かめられている。
第5節 肉瘤
- 表皮が肥厚して出来る脂肪組織である。
第6節 人工調色
- 地錦は所謂六鱗即ち5カ所の鰭と口の周りだけ残し、他の部分を白くする。
褪色現象中に鱗を取り、再生を待って白くする方法と酒石酸、酢酸、サルチル酸、梅干し肉等の弱酸で色素胞を壊す方法がある。
---メモ---
西暦1955年=昭和30年
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