「熱帯魚」 雨宮育作監修 誠文堂新光社 昭和29年
「熱帯魚」 飼い方の手引き 雨宮育作監修 誠文堂新光社 農耕と園芸編集部 昭和29年12月1日発行 定価500円 145ページ 186*180 園芸手帖シリーズ(7)
数少ない昭和20年代発行の熱帯魚飼育書で、手元のは昭和39年6月30日 第8版発行ですが、こんなに重版ながらも古書界では何故か出てこない本です。
この本のすごいところは、監修の雨宮育作氏だけでなく当時の熱帯魚界において一線級で活躍された方々が執筆を担当しているところにあります。
執筆陣は牧野信司、石川貞二、鈴木吉五郎、広海貫一、竹腰宏、藤井安雄、皿井長四郎で、和泉克雄氏は詩を書いています。特にすごいのは、広海貫一氏が執筆していることだと思います。
思想家であった広海氏が何故熱帯魚界に身を置いたかは知りませんが、氏は戦争中も熱帯魚を維持し続けた数少ない人でした。
戦後は緑鱗荘という今で言う問屋(当時は温室)で、各デパートに熱帯魚を卸していたとの事です。後には業界紙として日本熱帯魚新聞を発行しています。
また、1968年には熱帯魚飼育本も1冊執筆しています。
牧野信司氏については沢山の飼育書を書かれているので、みなさんもご存じかと思います。
石川貞二はフリスコ研究所にて熱帯魚の繁殖をされていた方で、本も数冊出しています。
鈴木吉五郎は野生ランの本を書かれている方で、この本では水草の部分も執筆しています。
他の方たちは今わかりませんが、古いフィッシュマガジンで名を見た記憶がありますので、気が付いたら書いてみます。
(追記)皿井長四郎氏は慈恵会医大講師(FM創刊3号 S40当時)
竹腰宏は東京水族館(ペットマガジン27号 S43当時)
構成
扉
目次
口絵
本文 章立てになっていない。
熱帯魚分類一覧表
熱帯魚と飼育器具価格表
この他に途中途中に囲みでコラム、トピックスがあります。
この本の構成で面白いのは、口絵の前に目次があることと、口絵が40ページ近くあり一部本文を補完しているところです。
-----メモ-----
西暦1954年=昭和29年
関連書
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