「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その4
第2節 水鉢
- 白黒写真で各種水槽紹介
- 金属製の框に硝子を填めたものはタンクと呼ばれる。総硝子製で円筒形のものは、俗にヅンドン、電池のバットがある。普通は平面な硝子を使った物がよく、殊に奥行きの狭い物がいい。
第3節 飼育の手順
- 白黒写真で「水草植え込み順序」、イラストでインネスの本より「水草の植え方」
- 「砂植と土植」
洗い砂を3~4糎ぐらい敷くが、細砂より2~3粍程度がいい。水草の種類によっては眞土を混ぜ上に荒砂を置く方法もある。また、泥土で団子を作り隙間に砂を入れる遣り方もある。ただし、水草には荒砂がいいようだ。
団子とはADAの「侘びさび」商品の先取りのようだ。
- 「水草の植え方」
浅植えの方がいい。量が少ないときは両側に植えると繁茂する上で好都合である。分檗(根張り)の少ないラドウッキアやサジタリア・シネンシス等はまとめて植える。植え終わればその上に化粧砂または玉石を置くのもいい。
この時代に今流行の化粧砂と言う考えがすでにあった。
野生品種は水瓶などに仮植えし、アヲミドロや病害虫をなくし収容する。
- 「貝の取り扱い」
巻貝を養うことは従に属し、魚と水草の間に介在し三者が相互扶助的な生存しているものに意義がある。
交雑を防ぐため同一種を一タンクで養い、繁殖を放任しないこと。
- 「用水の話」
井戸水は硬水であり酸素量が少ないので、一度汲み置きし十分日光に晒していくことが大切である。
青い水は葉緑が存し魚には害はないが、観賞に不便であればミヂンコを入れると透明になる。
素人方が金魚の水を全部取替え、魚がさかんに活動し始めると嬉々とするが実は苦悶しているのであって、無知を悲しみたい。
換水は精々三分の一を残し行う。
最近売り出された「オキシデーン」(Oxydene)と称する焦茶色の鉱石は、浄水以外にも47%の純粋な酸素含まれ、有害なクロライン(Chlorine)の中和に効果がある。米国ではこれ無しの養魚はないとまで言われている。用法は、1~2塊を入れ置くだけである。用量は5立に対し500瓦が適量である。
かなり以前「オキシデータ」と言う円筒形の商品があり、これも活性酸素増加をうたい文句にしていたように思う。70年前に同じような商品が存在したのか。ただしオキシデータは薬品を追加するような製品だったかもしれない。
一部の愛魚家は酸化を防ぐため石膏或いは石灰石を入れる試みもしている。
金魚鉢のように途中が太いタンクは表面積が多い部分までしか水を入れてはならない。
- 「恰當な置場所」
白黒写真はコンクリート製の商業的な養魚室(引用メレン)、米国におけるペットショップ(メレン)、園芸温室内の雛壇式配列、温室植物に配せられたテーブル・アクアリウム
簀一枚越しの光線を受ける温度変化の少ない場所が理想。
- 「飼育上の注意」
イラストは収容過大による魚群の鼻上げ(インネス)
白黒写真は超紫光線を1~15分浴びせ成長の如何を実験中(メレン)
タンク設置後、跳び出し防止に金網等で蓋をする。魚の数は4号型ではグラミ類は一番(つがい)、ソードテール、フレーム・フィッシュ、パンチャックス、ムーン等は三番。エンゼル・フイッシュ、アカラ等は1号型に1尾または一番。
我々は失敗を通じて更に良く飼育上の注意を与えることであろう。
----メモ----
糎=センチ、粍=ミリ、分檗=ブンハク? 檗=キハダ、立=リットル、瓦=グラム、恰も=あたかも、コウ、當=トウ、あたる、簀=す、サク
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